
転職活動で履歴書を作成する際は、記入の仕方やテンプレートの選び方、送り方などについて迷いが生じがちです。今回は、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が、履歴書の書き方やテンプレートの利用法、送付の仕方などについて解説し、疑問に答えます。
目次
履歴書の基本!各項目の書き方を解説
履歴書には、①学歴・職歴欄②免許・資格欄③志望動機・自己PR欄④その他、といったように、大きく分けて4つの記入欄が設けられています。項目ごとに書き方を解説します。

①学歴・職歴欄
学歴の書き方
高校卒業以上の学歴がある場合は、高校入学から最終学歴までを記載しましょう。その際は、どの高校に何年に入学し、何年間で卒業したかが一目で分かるよう、入学から記載することが一般的です。 義務教育を記載する場合は卒業年次のみとします。学校名やコース・学部・学科名などは略さず正式名称を記載し、中退の場合は年月とともに「中途退学」と記載しましょう。
職歴の書き方
基本的にすべての入退社歴を省略せずに記載します。職歴欄には、退職歴も記入する必要がありますが、記入の仕方は自己都合の場合、会社都合の場合など、ケースによって異なります。詳細を知りたい人は、下記の記事を参考にしましょう。
②免許・資格欄
免許・資格欄には、免許や資格の正式名称を記載します。免許を取得年度順に記入し、その後に資格を記載すると分かりやすくなるでしょう。資格が多い場合は、業務に関連性の高いものから優先的に記載するのがおすすめです。特に記載すべき資格がない場合は、「特になし」とし、取得に向けて勉強中の資格があれば、「○○資格取得に向けて勉強中」「20XX年X月に○○資格の○次試験受験予定」などと記載しておきましょう。
③志望動機・自己PR欄
志望動機は、200〜300文字程度を目安として、多くても400文字以内にまとめましょう。自己PRは、志望動機と同等程度の文字数を目安とすると読みやすく整います。
④その他
趣味・特技の書き方
趣味・特技欄には、業務に活かせる特技や強みをアピールできるものから優先して記載しましょう。
本人希望欄の書き方
応募企業から職種や勤務地の希望を記入するよう指示があった場合は、希望を明記しましょう。在職中に転職活動をしている場合は、連絡を取りやすい方法や時間帯を記載するとスムーズです。特に希望がない場合は、「貴社の規定に従います」と記入しましょう。
ダウンロード可能な履歴書テンプレート3種類
履歴書にはさまざまな形式がありますが、大きく分けて以下の3種類のテンプレートに分類できます。
- 厚生労働省様式
- 自己PRや長所をアピールできる様式
- 志望動機をアピールできる様式
ダウンロード形式は、主にPDF、Word、Excelなどがあります。パソコンで作成する場合はWordやExcelのデータを、手書きで記入する場合はPDFをダウンロードして印刷してから記入すると良いでしょう。
なお、厚生労働省様式にはmacOS/iOS向けのPagesデータもありますが、Windowsには対応していないため、利用時は注意が必要です。
厚生労働省様式
厚生労働省が作成したテンプレートは、志望動機や特技などを記入するスペースがコンパクトなため、初めての転職活動に取り組む人にとって使いやすい形式です。アルバイト・パート・派遣スタッフへの応募にも適しているでしょう。
また、厚生労働省が公正な採用選考を行うことを目的として作成したため、性別欄の記載が任意となり、「通勤時間」「扶養家族数」「配偶者関連」の項目が削除されている点も特徴となっています。厚生労働書様式のテンプレートはハローワークの公式サイトからもダウンロード可能です。
(※)出典:履歴書・職務経歴書の書き方(ハローワークインターネットサービス)

自己PRや長所をアピールできる様式
自己PRや長所をアピールできる様式は、経験年数が短い人や応募職種に合った強みを伝えたい人に適しています。学歴・経歴欄、資格・免許欄がコンパクトにまとめられているため、その分、自己PR、長所などを記入するスペースが広く確保されているのが特徴です。応募への熱意や自身の強みをしっかりアピールできる点がメリットと言えるでしょう。一方で、自己PRなどの記入欄が広いため、作成に時間がかかる場合があります。

志望動機をアピールできる様式
異業界や未経験職への応募、または職歴や経験に自信がない人は、志望動機や入社意欲を強調できるテンプレートを活用すると良いでしょう。志望動機や自己PR欄が広く設けられており、その分、学歴・職歴欄、免許・資格欄がコンパクトなため、新卒学生の就職活動にも適しています。十分に書き込むことで、自身のポテンシャルや人柄を効果的にアピールできることが期待できるでしょう。

テンプレートを使った履歴書の作成手順を紹介
Word・Excelの履歴書テンプレートを使用して履歴書を作成する手順を説明します。まずは、使用するテンプレートを選んでダウンロードしてから、「手順1」以降に進みましょう。
手順1:履歴書の各項目を埋める
履歴書の各項目を記入します。履歴書の基本!各項目の書き方を解説を参考にすると良いでしょう。
手順2:文字のフォント・サイズを整える
次に、フォント(書体)や文字の大きさを調整しましょう。氏名はスペースに合わせてサイズや字間を整え、ふりがなは漢字の上の正しい位置に配置します。また、志望動機や自己PRなどの文章は、文字サイズを小さくしすぎると読みづらくなるため、適切な大きさを維持しましょう。
フォント・サイズ変更の手順
1. フォント・サイズを修正したいセルを選択する
2. 「ホーム」タブを選択する
3. フォント名(サイズ)の右にある矢印をクリックする
4. 変更したいフォント名(サイズ)を選択する

手順3:作成した履歴書データを保存する
作成した履歴書データを保存しておきます。保管することで、次回、作成する時に、応募企業に応じた修正が可能になり、作成時間の短縮にもつながるでしょう。また、後から内容を見直すことができるという利点もあります。複数の企業に応募する場合は、それぞれの企業ごとにデータを残しておくと、後で確認しやすいでしょう。
データの保存手順
1. 「ファイル」タブを選択する
2. 「名前を付けて保存」を押下する
3. 保存先を選択し、「保存」ボタンを押下する

手順4:ファイルをPDFに変換する
メールなどで履歴書データを送るように指示された場合は、第三者による改変を防ぐため、PDFに変換してから送付しましょう。PDFには書式が崩れないという利点もあるため、郵送で送る場合も印刷前にPDFに変換することをおすすめします。
PDFへの変換手順
1. 「ファイル」タブを選択する
2. 「名前を付けて保存」を押下する
3. 保存先を選択する
4. ファイル名を指定する
5. 「ファイルの種類」のプルダウンリストから「PDF(*.pdf)」を選択する
6. 「保存」ボタンを押下する

履歴書の書き方に関する注意点5つ
履歴書に記入するときの以下の5つの注意点について解説します。
注意点1:企業が指定したフォーマットを使用しているか
注意点2:誤字・脱字・略字・略称や略語はないか
注意点3;履歴書と職務経歴書の内容に相違がないか
注意点4:履歴書に空欄がないか
注意点5:和暦・西暦の表記は統一されているか
注意点1:企業が指定したフォーマットを使用しているか
履歴書を作成する前に、応募先企業がフォーマットを指定していないか確認しましょう。公平な採用を目的に、統一フォーマットへの記入を求める企業もあるためです。
注意点2:誤字・脱字・略字・略称や略語はないか
誤字・脱字や略字、略称や略語があると採用担当者の印象が悪くなる可能性があるため、慎重に確認しましょう。複数回のチェックに加えて、パソコンの校閲機能を活用することをおすすめします。
注意点3:履歴書と職務経歴書の内容に相違がないか
履歴書と職務経歴書を併せて提出する場合、入社・退社年月や資格などの内容に相違がないよう注意しましょう。2つの書類を照らし合わせながら作成することをおすすめします。
注意点4:履歴書に空欄がないか
履歴書の項目はできる限り埋めましょう。空欄が多いと意欲に乏しい印象を与えてしまいかねません。免許や資格など記入する内容がない項目には「特になし」と記入します。空欄のままだと記入漏れと思われてしまう可能性があるためです。
注意点5:和暦・西暦の表記は統一されているか
生年月日や学歴・職歴、資格取得日などの年月日の表記は、西暦(20XX年)または和暦(平成〇〇年)で統一しましょう。職務経歴書とも揃えておくと、採用担当者がスムーズに確認できるでしょう。
作成した履歴書を送付・渡す際のポイント
以下の3つのシチュエーションごとに、履歴書を送付・渡す際の注意点を解説します。
ケース1:履歴書を郵送する場合
ケース2:履歴書をメール等で送付する場合
ケース3:履歴書を持参して渡す場合
ケース1:履歴書を郵送する場合
履歴書を郵送する場合の注意点を4つ紹介します。
- 添え状(送付状)を同封し、2つ折り以上にはたたまずにクリアファイルに挟みます。
- 宛名を書く際は油性タイプのペンを使用します。濡れても文字が滲んで判読不能になる心配がないからです。
- 封筒に「履歴書在中」と書き添えます。職務経歴書も同封する場合は「応募書類在中」と記入しましょう。
- クリアファイルが入る無地の角形A4号または角形2号の封筒を使用しましょう。
送付にかかる時間や料金も確認の上、期限に遅れたり料金が不足したりすることのないように注意しましょう。
ケース2:履歴書をメール等で送付する場合
履歴書をメールなどで送るときは、次の2点に注意しましょう。
- PDFファイルに変換してから送付しましょう。第三者により改ざんや書式の崩れを防ぐことができます。
- 採用担当者が管理しやすいファイル名にしましょう。「【履歴書】20XX年_氏名」といった要領で、ファイル名だけで「どのようなデータか」「いつのデータか」「誰のデータか」の3点が分かるようにしておきます。
送付の方法は応募企業の指定に従います。メールで送る場合は、次の項目をメール本文に記入しましょう。
- 宛名
- 冒頭の挨拶
- 氏名と簡単な自己紹介
- 履歴書送付の旨
- 結びの挨拶
- 署名
ケース3:履歴書を持参して渡す場合
履歴書を持参して直接渡すときは、次の2点に注意しましょう。
- 履歴書が折れたり汚れたりしないように、封筒に入れておきましょう。クリアファイルに挟んでから封筒に入れると、より安心です。
- 封筒の封は閉じずに、開けた状態にしておきましょう。提出を求められた時にすぐ手渡せます。
【Q&A】履歴書に関するさまざまな疑問を解消
履歴書を書くときに生じるさまざまな迷いや疑問に答えます。
Q1.書き損じた時、修正液や修正テープを使用しても良い?
A1.書類に誤りがあった場合、たとえ一カ所であっても、最初から新たに作成し直しましょう。修正液や修正テープを使用すると、書類の信頼性が損なわれる可能性があります。特に採用担当者の心証を悪くすることも危惧されます。なお、パソコンを用いて書類を作成すれば、誤字や脱字の修正がしやすく、書き直しの手間も軽減されます。書き損じや修正を避けたい場合は、パソコンでの作成を検討すると良いでしょう。
Q2.「御社」と「貴社」どちらを使用するべき?
A2.ビジネス文書では、「貴社」と表記するのが通例です。履歴書においても「貴社」と記載しましょう。
Q3.職歴欄は、全ての経歴を書くべき?
A3.職歴はすべて記載するのが一般的です。過去の職歴の一部を省略すると、履歴書上に空白期間が生じることになり、採用担当者に「この期間に何をしていたのか?」と不審に思われたり、「就業のブランクがある」と判断されてしまったりする可能性があります。空白期間については、面接で詳しく聞かれることもあります。あらかじめ履歴書に記載しておくほうが良いでしょう。
Q4.勉強中の資格は書いても良い?
A4.まだ取得していない資格でも、現在勉強中であれば、自己PRに役立てることができます。特に、応募する職種との関連性が高い資格や、取得が難しいとされる資格については、勉強中であっても履歴書に記載することをおすすめします。その際、「20XX年X月より独学で勉強を開始」「20XX年X月より通信講座を受講中」「20XX年X月に試験受験予定」など、現在取り組んでいることが伝わる具体的な表現を添えると、より説得力が増すでしょう。
Q5.履歴書はコピーして使ってもいい?
A5.一般的に、履歴書はコピーして使うものではありません。コピーした履歴書を提出すると、他社に提出した履歴書を使い回していると疑われ、志望意欲が低いと見なされてしまう恐れがあるでしょう。
Q6. サイズはA4(A3二つ折り)・B5(A4二つ折り)のどちらがいい?
A6.多くの企業では、ビジネス文書をA4サイズで統一しているため、履歴書もそれに合わせてA4サイズ(A3二つ折り)とするのが一般的です。ビジネス文書とサイズが揃っていることで、採用担当者にとって書類の管理や整理がしやすくなるというメリットもあります。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2023年02月16日
記事更新日:2024年11月30日
記事更新日:2025年07月14日 リクルートエージェント編集部
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。