履歴書の写真は、応募書類の中でも最初に目に付く項目の一つであり、書類選考時の印象を左右する可能性があります。
そこで本記事では、人事担当者が着目するポイントや撮影時の注意点を、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説いただきました。
また履歴書の写真についての一般的な質問も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
履歴書の写真で見られているポイントが何かを知ろう
履歴書の写真で企業の人事担当者が着目するポイントは、次の3つの項目が挙げられます。
- 表情・身だしなみ
- 履歴書の写真のルール
- 丁寧さ・こだわり
ここでは、人事担当者が着目するポイントと、そこからどのような情報を読み取りたいと考えているのかについて、解説します。
表情・身だしなみ
人事担当者は、写真の表情や身だしなみから人柄を想像する可能性があります。
特に下記は、人事担当者がよく見るポイントであり、印象を左右することもあります。
撮影の際は、ぜひ意識してみてください。
- 衣服にシワや汚れがないか確認し、身だしなみを整える
- 口角を少し上げ、明るい印象を与える
- 背筋を伸ばし、自信が伝わるように写り方を意識する
- レンズの奥を見るように意識し、目力を感じられるようにする
履歴書の写真のルール
履歴書の写真にまつわるルールについて着目する人事担当者も少なくありません。
人事担当者の中には、履歴書の写真を通じて社会人として最低限のマナーを備えているか知りたいと考えている場合もあります。
後にも紹介しますが、履歴書の写真と一口に言っても写真を書類に貼る時や、撮影する時にはさまざまな注意点やルールがあります。いずれも社会人として知っておくべき注意点やルールと考える人事担当者も少なくありません。
丁寧さ・こだわり
基本的に履歴書の写真だけで合否が決まるわけではありません。
とはいえ、写真の切り方や貼り方、さらには撮影方法など、丁寧でこだわった写真からは、選考への意欲が感じられるでしょう。人事担当者にも、入社に向けた意欲が伝わる可能性があります。
なお、一般的には写真は鮮明に写っていれば、写真館の他、証明写真ボックス(スピード写真機)で撮影したものでも問題ないでしょう。
履歴書の写真を用意する際のポイント
履歴書の写真を用意する際は、次に紹介する3つのポイントを意識しましょう。
- 履歴書の写真に用いることのできる写真を使用する
- 写真の裏に記名をしておく
- 選考にふさわしい服装・髪型の写真を使用する
履歴書の写真に用いることのできる写真を使う
履歴書に貼る写真は、何でも良いというわけではありません。
企業によっては撮影日・サイズなど規定があることも考えられるため、次に紹介する規定に沿った写真を用意しましょう。
3ヶ月以内に撮影した写真
履歴書の写真は、本人かどうかを確認することが目的の一つとして挙げられます。撮影から何年も経つと本人かどうかを確認できない可能性もあります。そのため3ヶ月以内に撮影した写真を使うようにしましょう。
タテ4cm×ヨコcmの写真
タテ4cm×ヨコ3cmは、一般的な履歴書の写真のサイズです。
適度に余白を切り取り、被写体が中央に収まるようにしましょう。
無背景の写真
背景は、基本無背景で撮影しましょう。
背景色は、白の他にグレーやブルーなどの色で撮影することもあります。
正面を向いている写真
履歴書の写真のアングルは、基本的には正面から撮影します。
撮影時には姿勢を正しましょう。あごを少し引き、口を閉じたまま口角を少し上げます。
鏡で練習しておくと、表情を作りやすくなるでしょう。
また履歴書の写真は、個性を自由に表現するものではありません。ピース・ガッツポーズなど、ポージングを取ることも控えましょう。
顔が隠れていない写真
帽子・マスクなど顔の一部が隠れてしまう写真は、履歴書に貼る写真としては不適切です。
眼鏡の着用については、面接時にも眼鏡の着用を予定しているのであれば、眼鏡を着用し撮影することが一般的です。レンズの反射で顔が隠れてしまうことのないように注意しましょう。
また前髪で目が隠れてしまったり、後ろ髪で顔周りが隠れてしまったりした写真も好ましくないと考えられます。顔全体がはっきりと分かるよう、髪型をセットしておきましょう。
良い写真例 | 避けた方が良い写真例 | |
撮影日 | 履歴書提出日より3ヶ月以内に撮影した写真 | 撮影日が履歴書提出日より3ヶ月を 場合 |
写真サイズ | タテ4cm ×ヨコ3cm | 写真欄から著しくはみ出たりサイズが足りなかったりするもの |
背景 | 白・グレー・ブルーの単色 | 左記以外の色もしくは屋外 |
撮影時の身体の向き | 正面 | 斜めもしくは横顔 |
顔周り | 顔全体が隠れないヘアスタイル・服装 | 帽子・マスクの着用 前髪や後ろ髪で目や顔周りが隠れるヘアスタイル |
写真の裏に記名をしておく
万が一剥がれてしまった時に備え、写真の裏には記名をしておきましょう。
履歴書は何度も出し入れをしたり、スキャナで記録保存したりすることもあるため、何かの拍子に写真が剥がれてしまう可能性もゼロではありません。
なお、名前を記入する際は、細めの油性ペンを用い、フルネームを書きましょう。
選考にふさわしい服装・髪型の写真を使用する
履歴書に貼る写真は、選考にふさわしい服装・髪型の写真を使用しましょう。
【服装】
一般的にスーツに襟付きのシャツなど、面接時と同じ服装で撮影します。シャツの色は、ベージュやグレーなどの淡い色でも問題ない場合もありますが、背景色と重ならないように注意しましょう。派手な色や透ける生地、レース・フリルを多用した服は避け、落ち着いた印象を与える服装が好ましいでしょう。
なお、撮影前には、衣服にシワやヨレはないか、左右均等に着用できているか、ネクタイを着用する場合は曲がっていないかなど、身なりを改めて確認し、撮影に臨みましょう。
【髪型】
髪の毛はボサボサにならないよう、整えておきます。
また髪の毛で顔が隠れすぎてしまうと暗い印象を与えてしまうこともあるため、注意しましょう。
良い写真例 | 避けた方が良い写真例 | |
服装 | ・濃色のスーツ+白か淡色のシャツ | ・派手な色の衣服 ・透ける生地やレース・フリルを多用した服 |
髪型 | ・整った髪型 ・髪の毛で顔が隠れていない |
・ボサボサの髪型 ・髪の毛で顔が隠れている |
履歴書の写真はどこで撮れば良いのか
履歴書の写真の撮影手段は、大きく次の3つのパターンがあります。
- 写真館
- 証明写真ボックス(スピード写真機)
- 自撮り
写真館で撮影する場合
写真館は、スタジオでプロに撮影してもらえるサービス・施設を指します。
写真館で撮影するメリットは、上質な写真が出来上がる点と言えるでしょう。証明写真ボックス・自撮りと比較すると、仕上がりの差を感じるかもしれません。
また履歴書の写真に適した表情づくりのアドバイスも期待できるでしょう。
一方でデメリットは、時間や費用がかかる点です。
証明写真ボックス(スピード写真機)で撮影する場合
証明写真ボックス(スピード写真機)とは、セルフで撮影できる証明写真用写真機です。
証明写真ボックスで撮影するメリットは、10分程度で撮影できる手軽さと800円~1200円程度の比較的利用しやすい価格です。また24時間対応している点にメリットを感じる人もいるでしょう。
一方、撮影方法によっては、表情が暗くなってしまう場合もあるかもしれません。
なお、証明写真ボックスで撮影する場合は、次のポイントを意識してみてください。
- 姿勢を正す
- 撮影時にももの上に白いハンカチを広げておく
- 肌補正機能を活用する
撮影時は、背筋を伸ばし、あごを少し引いた姿勢になるよう姿勢を正しましょう。
また、ももの上に白いハンカチを広げておくと、ライトが反射し明るい仕上がりになります。
スマートフォンやデジカメで自撮りをする場合
スマートフォンやデジカメで自撮りした写真を使用する場合は、スナップ写真にならないよう注意が必要です。
次のポイントを押さえ、撮影しましょう。
- 背景が無地になる場所で撮影する
- 顔に影のできない場所で撮影する
- スタンドや台などカメラを固定して撮影する
自撮りをする時は、背景が無地になる場所で撮影します。もし撮影に適した場所がない場合は、光沢のない模造紙を貼付し、その前で撮影しましょう。
また昼間に撮影する場合は、直射日光が顔にあたらないよう、レースカーテンを引くなどして光の加減を調整します。夜に撮影する場合は、ウォーム系の電球色は避け、昼光色や昼白色などクリアな色合いの照明下で撮影しましょう。
自分で撮る時、カメラを手に持ち撮影すると、姿勢が崩れてしまいます。手持ち撮影は避け、スタンドや台などにカメラを固定し、タイマー機能を使って撮影しましょう。
家族や友人に撮影を依頼できる人がいれば、撮影に協力してもらうのも良いでしょう。
履歴書の写真に関する質問
最後に履歴書の写真に関する一般的な質問を紹介します。
履歴書の写真はスマホ(自撮り)でも大丈夫?
鮮明に写っているものであれば良いでしょう。
しかし、写真館でプロに撮影してもらう写真と比較すると、見劣りする仕上がりになることが考えられます。
Web履歴書の場合はどうやって写真を用意すれば良いの?
写真館で撮影する場合は、データをもらえるプランを選びましょう。証明写真ボックスで撮影する場合は、写真データを転送できる機種もしくはQRコードなどからデータを取得できる機種で撮影しましょう。
なお、データをアップロードする際は、ファイル形式・サイズ・写真の向きに注意しましょう。ファイル形式・サイズが適さない場合、アップロードされないこともあります。
また写真の向きを調整しないと、逆さま・横向きになったままアップロードされることもあります。
せっかく良い仕上がりの写真を用意できたとしても、アップロードでミスをしてしまうと評価が下がってしまう可能性があります。
最後まで丁寧な作業を心がけましょう。
スーツ以外で写真を撮っても良いの?
特別な事情がない限りは、状況に応じて服装を考慮することも大切です。
“私服での撮影をしてはならない”という決まりはありませんが、履歴書の写真は採用選考の場で使用される写真です。
スーツ以外の衣服は、“シーンにそぐわない”とみなされる可能性もあるでしょう。
写真で選考に落とされることはあるの?
履歴書の写真だけで選考の合否が判定されるようなことはありません。
しかし社会人としてのマナーや常識が不足しているとみなされる写真の場合には、選考に影響を与える可能性もあるでしょう。
【参考記事】
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。