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自分に合った業界の選び方は?業界研究のやり方を解説

転職する業界の選び方と業界研究のやり方

転職を考えるにあたり、異業界へのキャリアチェンジを視野に入れるものの、業界の選び方・業界の絞り方に悩む声が多く聞こえてきます。各業界の基本情報、自分に合う業界の見つけ方について、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。

異業種への転職が増えている

近年、異業種に転職する人が増えています。株式会社リクルートが転職支援サービス「『リクルートエージェント』の転職決定者分析(2009年度~2020年度)」を行ったところ、業界や職種を越えた「越境転職」が増加している傾向が明らかになりました。

転職先を「同業種×同職種」「同業種×異職種」「異業種×同職種」「異業種×異職種」の4つに分類すると、2017年度以降、「異業種×異職種」へ転職を果たすパターンが最も多かったのです。

2020年度では、「異業種×異職種」への転職が36.1%に達しました。2009年度の24.2%と比較すると、11.9%増加していることになります。

また、「異業種×同職種」「異業種×異職種」の転職となると7割近くを占めました。異業種にキャリアチェンジできるチャンスは以前に比べて広がっているといえそうです。

「リクルートエージェント」での転職結果・2009年度と2020年度の比較

出典:『リクルートエージェント』の転職決定者分析(2009年度~2020年度)株式会社リクルート

業界とは

「業界」とは、扱う対象物や事業の構造によって分けられています。例えば、「メーカー」であれば「有形のモノを作る」、「小売」であれば「消費者にモノを販売する」、「サービス」であれば「無形のサービスを提供する」となります。

業界を細分化したものは「業種」と呼ばれます。例えば、メーカーは「自動車」「食品」「医薬品」など、「小売」は「百貨店」「コンビニエンスストア」「ドラッグストア」など、サービスは「旅行」「教育」などに分類されます。

一方で、業種を指して「○○業界」と呼ぶケースも多々あります。ここからは主な業界・業種について解説します。

IT・通信業界

IT業界には、企業をクライアントとして情報システムの企画立案・開発を行う「システムインテグレーター(SIer)」、会計ソフトや顧客管理ソフトといった企業向けソフト、各種アプリケーションを開発する「ソフトウェア会社」、パソコンやサーバなど機器の開発・販売を行う「ハードウェアベンダー」などがあります。

通信業界は、携帯キャリア大手4社(KDDI・ソフトバンク・NTTドコモ・楽天)を中心に、電波を使用したサービスを提供します。

Web・インターネット業界

インターネット販売を行う「ECサイト」(楽天、アマゾンなど)、ネット検索システムを提供する「検索エンジン」(Google、Yahoo! JAPANなど)、個人のコミュニケーションツールを提供する「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」(Facebook、LINEなど)をはじめ、売り手と買い手を結ぶ「マッチングサービス」、「スマートフォンアプリ」など、多様なサービスが展開されています。

Webサイト制作、Webアプリ開発、Webマーケティング、ネット広告代理店などの企業で構成されます。

機械・電気業界

機械業界には、工作機械・建設機械・農業機械・産業用ロボット・FA(ファクトリーオートメーション)などの産業機械分野のほか、OA機器などの精密機器、自動車などの輸送機器の分野があります。

電気業界には、家電、AV機器、コンピュータなどの開発・製造を行うメーカーが含まれます。これらの業界では、「自動運転」や「IoT(モノとインターネットの接続)」などをキーワードに変革が進んでいます。

化学・素材業界

素材業界には、鉄鋼、非鉄金属、石油・化学製品、樹脂、繊維、紙・パルプ、ガラス、ゴム、電子材料などのメーカーが含まれます。化学業界は、原材料に合成・分解・発酵などの「化学反応」を加えて製品を作るメーカーで構成されます。

いずれの分野でも高付加価値製品の開発、用途の拡大、対象顧客業種の開拓などに力が注がれています。

商社

商社とは、貿易・輸出入の仲介および国内での商品販売を行う業態。幅広い商品・サービスを扱う「総合商社」と、特定の分野に特化した「専門商社」があります。

大手総合商社は、有望な事業領域への投資・ビジネスの運営支援も行っています。資源事業に力を入れる商社、非資源分野(食料・ヘルスケア・小売・ITなど)に強みを持つ商社など、企業によって注力分野・得意領域が異なります。

専門商社では、「マーケットニーズの理解」という強みを活かし、メーカーの商品開発支援も手がけています。

物流・運輸業界

物流企業は、依頼主から預かった荷物を運ぶ「輸送」をはじめ、「保管」「荷役」「包装」「流通加工「情報管理」などの機能を備えています。物流の一連業務を提案・受託する「3PL(サードパーティー・ロジスティクス)」に注力する企業が多数あります。

運輸業界には、貨物のほか旅客を運ぶ企業も含まれます。鉄道やトラックで輸送する「陸運」、航空機で輸送する「空運」、船舶で輸送する「海運」などの種類があります。

小売・卸売・サービス業界

小売企業には、幅広い商品を販売する百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストア・ホームセンターのほか、アパレル店、ドラッグストア、家電量販店、家具店などの専門店があります。

一方、卸売業はメーカーから商品を仕入れ、複数の小売店に販売します。サービス業界には、外食・ホテル・レジャー・教育・介護・冠婚葬祭・美容など多様な無形サービスを提供する企業があります。

旅行・エンタメ業界

旅行業界とは、旅行に際しての交通手段や宿泊施設の手配、パッケージツアーのプランニング・販売などを手がける企業を指します。「修学旅行」「社員旅行」「研修旅行」といった団体旅行も手がけます。旅行者側、宿泊施設側の両方から収益を挙げる仕組みです。

エンターテインメント業界は「娯楽サービス」を提供する業種であり、テーマパーク・レジャー施設・音楽・ゲーム・映画・劇場など多様なジャンルがあります。

マスコミ・広告業界

新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどのメディアを通じて広く情報を発信するのがマスコミ業界。新聞社、出版社、放送局などの企業が該当します。

広告業界は、自社製品・サービスを宣伝したい企業に対し、出稿先メディア、広告内容、キャンペーン・イベント企画などを提案します。かつては、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの「広告枠」の販売が主流でしたが、近年はWeb広告やSNSを活用したプロモーションを手がける企業が伸びています。

人材業界

求人広告料を収益とする「転職サイト運営」、社員を採用したい企業と求職者のマッチングサービスを手がける「人材斡旋(転職エージェント)」、派遣人材を活用したい企業と派遣就業を希望する求職者をつなぐ「人材派遣」、人材開発・人事制度企画・採用戦略などを支援する「人材コンサルティング」、ビジネス系SNSや企業の口コミサイトなどを運営する「採用プラットフォーム」など、多様なジャンルがあります。

コンサルティング業界

クライアント企業の課題に対し、解決策の提案を行うのがコンサルティングファームです。企業のトップと対話して経営戦略を支援する「戦略系」、税務・財務面を強みとする「会計系」「監査法人系」、IT導入を強みとする「IT系」、調査・分析からコンサルティング業務へ展開している「シンクタンク系」のほか、「人事」「マーケティング」「M&A」「IPO(株式公開)支援」「新規事業開発」など、専門分野に特化した企業もあります。

金融・保険業界

金融業界は、銀行(メガバンク・地方銀行)、証券、保険(生命保険・損害保険)、信用金庫・信用組合、政府系金融機関、投資ファンド(投資家から資金を集めて投資を行い、収益を分配)、アセットマネジメント(投資信託の商品開発・資産運用)、カード、リース、消費者金融などに分類されます。

生命保険業界では、営業職員による「対面販売(訪問販売)」のほか、インターネットや直営店舗での「直接販売(直販)」「保険ショップ」などチャネルが多様化しています。

不動産・建設業界

不動産業界には、取得した土地を造成したりビル・マンションを建設したりして販売する「デベロッパー(開発)」、不動産を所有して第三者に貸す「賃貸」、不動産物件の売り手と買い手・貸し手と借り手を結びつける「流通(仲介)」、不動産物件の維持・管理を担う「管理」、注文住宅や建売住宅などを手がけるハウスメーカーなどがあります。

建設業界は、建設計画・設計・施工管理を総合的に行う「ゼネコン」を中心に、工事の一部を請け負う「サブコン」や多数の中小工務店で構成されています。

医療・医薬業界

医薬品メーカーは、医薬品の研究開発、効果の確認、販売を行います。医師が処方する「医療用医薬品」と薬局やドラッグストアで販売される「一般用医薬品」に大別されます。近年は「バイオ医薬品」「再生医療」「遺伝子治療薬」などに注力する企業が多く見られます。

医療機器業界には、検査・診断機器、治療機器(手術用・処置用)、医療用具(注射器・カテーテルなど)などがあり、近年は自動手術ロボットの開発も進んでいます。

インフラ・官公庁・その他

インフラ業界とは、社会や人々の生活を支える基盤の整備やサービスの提供を行う業界。エネルギー(電力・ガス・石油など)、交通(鉄道・航空など)、運輸、通信、土木・建設などが該当します。

官公庁とは、国(中央官庁)、地方公共団体(地方自治体)などを指します。いわゆる「役所」と呼ばれる機関のほか、警察・裁判所などを含むこともあります。

自分に合った業界の選び方

転職を検討するにあたり、「おすすめの業界」は一概には言えません。人それぞれ向き・不向きがあり、やりがいを感じるポイントも異なりますので、自分にマッチした業界を選ぶことが大切です。

業界を選ぶためにするべきことをご紹介します。

自己分析をする

まずは自己分析を行い、以下のポイントについて整理してみましょう。

  • 強みとする経験・スキル
  • 今後積みたいキャリア
  • 求めているやりがい
  • 求めている働き方・ライフスタイル

これらを明確化し、経験・スキルを活かして貢献できる業界、求めるキャリア・やりがい・働き方を得られる業界がどこなのかを探ってみてください。

業界研究で絞り込む

業界研究の第一歩は、業界でのシェアが上位にある企業に注目しましょう。『会社四季報』などで上位企業の売上高や利益率などの動向をチェックする、あるいは企業のIRページやメディアの記事などで中長期戦略や新たな取り組みを知ることで、マーケット全体の状況がつかめてくるはずです。

なお、新卒の就職活動向けの業界研究本・情報サイトなどでは、業界の構造や今後の展望がわかりやすく解説されています。

企業研究する

同じ業界であっても、経営理念、注力する事業分野、商品・サービスの特性、組織風土などは大きく異なります。企業サイトやSNS、メディアの記事などを読み、自身が理念や方針に共感できるか、風土になじめそうかをイメージしてみましょう。

仕事の進め方に関しても、「個人の裁量に任せる」「チームワークを重視する」など、企業によってさまざまです。自身の志向にマッチしているかどうかに注目してください。

自分に合った業界を探すなら、転職エージェント活用がおすすめ

全ての業種について研究し、自身との接点を探すのは、時間も手間もかかります。転職エージェントに相談すれば、自身の経験・スキル・志向がどの業界で活かせるか、客観的視点とこれまでの転職事例をもとにアドバイスを受けられます。

転職エージェントからヒントを得ておけば、効率的に業界研究・企業研究を進められるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2018年09月27日 記事更新日:2023年09月26日

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