
「何から始めたらいいのか分からない」「アピールできるものがない」「やりたい仕事が分からない」──。
働くこと、仕事のことで悩んでいる第二新卒のみなさんに向けて、第二新卒の方々の転職エピソードを、毎週1話ずつご紹介します。
職務経歴書が3行しか書けません…
入社1~2年程度だと、「職務経歴書」がスカスカで、それゆえに自信をなくしてしまうことも。けれど、職歴書に書ける内容は、探せば意外とあるものです。
実質5カ月間しか仕事を経験していなかったF・Tさんの事例
実質5カ月間しか仕事を経験していなかったF・Tさんの事例
●大手運輸会社に就職。3カ月の研修を経て、輸送管理部門に配属される。
●体質が古く、責任ある仕事を任されるまで時間がかかりすぎることに不安を覚える。
●入社8カ月目、「早く成長できる環境」を求め、転職活動を開始。
大手運輸会社に就職したF・Tさん。3カ月間の新入社員研修の後、輸送スケジュールの調整・管理を行う部署に配属されました。ところが、正式配属からわずか5カ月で、転職活動を開始。大手企業のブランドイメージに惹かれて入社したものの、体制の古さに窮屈さを感じてしまったのです。「早く成長できる環境」を望んだF・Tさんは、ベンチャー企業の経営企画部、事業開発部などのアシスタントクラスの求人を狙い、チャレンジすることに。しかし、自身が作成した職務経歴書を前に、頭を抱えてしまいます。
「200X年4月 ○○株式会社に入社。導入研修を受ける。
〃 7月 輸送管理部3課に配属。主に△△の輸送にあたり、運行管理、納期管理を担当。 以上」
実質5カ月間しか働いていないため、A4版の紙面のほとんどが空白だったのです。
「こんな職務経歴じゃ、何のアピールにもなりませんよね……」そう言ってうなだれるF・Tさんに、私たちは尋ねました。
「仕事をする上で、心がけていたこと、工夫していたことって、どんなことですか?」
「そうですね……輸送には突発的なアクシデントがつきものですから、どの段階でどんな事態が起こり得るか、いくつかのパターンを想定して、何かあった時には即座に対応できるよう入念に準備していました。あとは……ミスを防ぐために、あちこちの部署の担当者とこまめに連絡を取り合うとか……」
「いま話されたそれらを書くことが大事ではないですか?“リスク管理”に“関連部署との連携”、どちらも企画部門には必要とされる要素です」
「えっ、そんなことまで書いていいんですか?」
「もちろんです。経験が短い求職者は、たいていの場合、なんにも書くことがない。どうしようと、そこからペンが進まない状態になりがちです。でも、短い経験でも、何もしなかったわけではないのですから、<短い=何にもない>という志向には、ちょっと待った!です」
大事なのは、職務経歴書とは、あなたが“何ができるか”を伝えるものであるということ。それは、職歴が短くても長くても同じです。F・Tさんが、話された、きちんとした意識を持って仕事に取り組んだことは、立派な“能力”“スキル”の一つなのです。書き漏らさないでください。
F・Tさんは早速、日々の業務の中で心がけていたこと、独自に工夫していたことを書き出し、「自己PR」の欄に記しました。
加えて、大手企業だけに、しっかりとした研修を受けたことも伝えました。机上の勉強とはいえ、ビジネスの基本に関する知識・意識を身に付けていることを、アピール材料として活かしたのです。
そうして観点で書かれた職務経歴書は、短いながらも、無事、書類選考を通ったのでした。
キャリアアドバイザーからのひとこと
「この程度のこと…」と軽く思わないで。一つひとつの経験が貴重な財産。
たしかに短い経歴は転職では不利になるでしょう。だからといって、職務経歴書を「所属部署名」「職種名」「業務内容」だけで終わらせるのはもったいない。短期間であっても、仕事内容を細かく分解してみれば、応募先企業が注目する経験が含まれているかもしれません。わずか数週間程度、たまたま他の部署のサポートをした経験が評価される可能性だって、十分にあるのです。業務内容を羅列するだけでなく、その経験から何を学んだか、どんな力を身に付けたかを記すのも一つの手。企業にとっては、その仕事を通して「何ができる人なのか」ということを知ることが一番大事なのです。