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【例文付き】未経験業界・職種に転職する際の志望動機|面接での伝え方と書き方

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志望動機は、転職活動の面接で必ず聞かれる質問のひとつです。経験を活かして転職する場合は、これまでの経験・スキルをアピールしながら志望動機を伝えることが有効ですが、未経験業界・職種に転職する場合は、どのように志望動機を伝えたらいいのでしょうか。

そこで、未経験転職の志望動機の伝え方や書き方のポイントについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にお伺いしました。

未経験業界・職種への転職は増加中

以前は、「未経験業界・職種への転職は難易度が高い」とされていましたが、リクルートエージェントの転職決定者分析(2009年度~2020年度)では、未経験業界・職種への転職は11.9ptも増加していることが分かりました。その一方で、業界・職種経験を活かして転職した方の割合は27.9%から19.6%まで減少しています。

『リクルートエージェント』転職決定者データ分析

未経験業界・職種への転職が増加している背景として、企業に変革をもたらす異業種・異職種の異能人材を積極的に受け入れる企業が増加していることが挙げられます。また、働く個人の意識も変化し、成長できる機会に積極的にチャレンジしていることも要因のひとつでしょう。

未経験業界・職種に転職する際の志望動機の考え方

「未経験転職」は、業種・職種の経験別に、次の3つにわけることができます。

・未経験業種×経験職種
・経験業種×未経験職種
・未経験業種×未経験職種

いずれにしても、転職したい業界・会社・仕事についてよく調べ、今までの自分の経験や学び、志望理由と紐づけることが大切です。また、「未経験でも自ら積極的に取り組んでいく」という、仕事への意欲やスタンスを伝えることも必要です。3つのパターンごとに、志望動機に入れるポイントを解説します。

未経験業界×経験職種の志望動機

職種は同じで、業界を変えるパターンです。例えば、医療機器メーカーの営業職からIT企業やソフトウェアベンダーなどの営業職、メーカーの人事から小売業の人事など、職種の専門性は変わりません。

この場合、職種ならではのテクニカルスキル(その仕事で必要とされる知識・経験)として、実績や成果と併せて、取り組み姿勢、創意工夫の具体性が求められます。業界は異なっても、顧客属性や商品・サービスの特徴などに共通点があると、採用担当者が活躍可能性をイメージしやすくなります。例えば、不動産の個人営業から金融の個人営業の場合は、「長期的なマネープランの知識が求められる」「個人営業」「高額商材」という共通点があります。過去の経験と応募する仕事との共通点を探してみましょう。

また、業界や商品知識が不十分だとしても、すぐにキャッチアップして活躍してくれそうなポータブルスキル(特定の仕事に限定されない課題解決や対人関係スキル)をアピールすることも重要です。

経験業界×未経験職種の志望動機

業界は同じで、職種を変えるパターンです。IT業界のコンサルタントからIT業界の人事、メーカーの経理からメーカーの営業など、業界知識を活かすことができます。

この場合、業界のテクニカルスキル(その仕事で必要とされる知識・経験)として、業界特性やマーケット・事業内容への理解が求められます。また、未経験職種であっても、ポータブルスキル(特定の仕事に限定されない課題解決や対人関係スキル)を持っていることが大切です。志望する職種とこれまでの職種の類似した経験やミッション、問題が起こった際の対応力や顧客・上司とのコミュニケーションの取り方などを改めて見直して整理すると良いでしょう。

未経験業界×未経験職種の志望動機

業界も職種も変えるパターンです。アパレル販売員から人材業界のコンサルタントや、医療機器の営業からIT業界のWebエンジニアなど、業界知識や業務経験を活かすことができないため、アピールに工夫が必要です。

まず、パソコンスキルなどの基本的なビジネススキルが身についていることを前提に、ポータブルスキル(特定の仕事に限定されない課題解決や対人関係スキル)において、類似した経験があることを伝えたり、コミュニケーションを取る上での心がけを伝えたりすることが大切です。業界・職種が異なっていても、例えば「イベントを手伝った経験が、応募企業の顧客セミナーで活かせそう」「使用ツールは異なるが分析するプロセスは共通」など、応募する仕事に何かしらの共通点がないか、求人や採用ページなどを読み込んで過去の経験との接点を探してみましょう。

志望動機のまとめ方

志望動機はどのようにまとめればいいのでしょうか。未経験業界・職種に挑戦する場合の、志望動機のまとめ方について解説します。

入社意欲:会社の理念や戦略、方針に共感していることを伝える

採用担当者が志望動機を通じて確認しているのは、「なぜ他の企業ではなく自社を志望しているのか」ということです。自社のビジョンや企業理念、事業内容や商品・サービス、社風など、企業の様々な要素に対して、どこに魅力を感じているのかを知りたいと考えています。企業のビジョンや理念に共感し、事業内容や商品・サービスに強い関心がある応募者であれば、モチベーション高く活躍してもらえる可能性が高まります。また、応募企業への理解度を探ることで、企業研究をしているかどうかも判断しています。

入社後活躍:今までの経験・スキルが活かせると具体的にアピールする

採用担当者は、応募者の経験・スキルや仕事に対するこだわりや価値観が、募集している仕事にマッチするかどうかも確認しています。未経験業界・職種への転職だとしても、全く共通点がないままの志望動機では、採用担当者は入社後に成果を出してもらえるのかどうかの判断ができません。また、応募する仕事へのイメージができていないと捉えられる可能性もあります。未経験業界・職種への転職でも、これまでの経験・スキルを洗い出して、応募する仕事との接点を探すようにしましょう。

定着性:この会社ならば、転職理由が実現できると伝える

応募者が入社後に何を実現したいのか、実現したいことが自社で叶うのかどうかを志望動機で確認しています。例えば「入社後はグローバルに活躍したい」という志望動機に対して、応募するポジションは国内のみだった場合、応募内容とマッチしていないため「入社後にすぐ辞めてしまうのでは」「企業研究不足では」と懸念されてしまいます。事前に企業研究を行い、実現できる内容を意識しましょう。また、同様の質問に「転職理由」があります。転職理由との一貫性を意識して伝えるようにしましょう。

未経験業界・職種に転職する場合の志望動機例文

未経験業界・職種に転職する場合の志望動機の例文をご紹介します。書き方に迷ってしまったら、例文を参考にして自分なりの志望動機を考えてみましょう。

未経験業界×経験職種の志望動機例文

まず、自分が仕事で経験してきたことを5W1H*で整理し、応募先の仕事との共通点を見つけ、経験を活かせる部分を探していきましょう。

*5W1H
Who(=仕事で関わる相手)
When(=一つの仕事に関わる期間)
What(=扱う商材)
Why(=仕事のミッション)
Where(=働く場所が自社か顧客先か、グローバルかなど)
How(=どのような方法で課題解決するか)

同じ職種でも、業界が異なると、ターゲット、取引先、期間、商品・サービスの種類、仕事の目的、方法が変わってきます。共通点が多ければ、未経験業界でも活躍できると判断してもらうことができます。また、実績を出すためにどのような工夫をしてきたかについても、具体的にし、仕事への取組み方が見えるようにしましょう。

【例文】食品メーカー/営業→ITソフトウェアベンダー/営業

食品メーカーの営業として、約100社の部長職以上の方へ商品提案をして参りました。2年前から社内にSFA(セールスフォースオートメーション)ツールが導入され、新規開拓を商品企画やマーケティング部門と共同で推進するようになり、新規顧客の約5割をセミナーやメールマーケティングから獲得しました。この経験を通して、顧客に有効な情報を効率よく提供することの重要性を感じ、IT、特に最も成長しているSaaSビジネスで自分の力を試したく、貴社を志望いたします。

貴社は小売り・飲食向けのソフトウェアを提供されており、「小売り飲食分野の非効率を解決する」というミッションに共感いたしました。市場の中でもシェアが高く、顧客から高く評価されていることが事例からも伝わり、大変魅力を感じております。また、食品メーカーでの知識・経験を最大限に活かせるとも考えております。

既存顧客に対しては、カスタマーサクセスを心掛けたフォローで顧客満足度を上げ、契約更新を促進して参りました。継続率を高く維持し、アップセル、クロスセルを通して顧客単価を上げてきたので、新規開拓、既存顧客の満足度向上の両面で貴社の事業に貢献したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

経験業界×未経験職種の志望動機例文

業界に関しての知識・理解があるため、異なる職種でもすぐにキャッチアップできそうだと考えがちですが、業界や商品知識があることと、その職種の仕事への理解や適性があるかは別の問題です。職種未経験を補う学習意欲や姿勢などを交えて、経験不足をカバーしましょう。また、現職(前職)で職種変更が叶わなかったことを伝え、その仕事を目指した理由や背景を明確にし、貢献できる部分を整理して志望動機を作成すると良いでしょう。

【例文】人材業界/営業→人材業界/経理

人材紹介会社の営業として、累計100社ほどの企業人事に対して、主に採用領域において、採用プロセス、ツール、手法の提案をして参りました。営業目標に対して、行動を数値化し、分析するなど数字管理を得意としております。企業経営における人材の重要性を感じ、人材業界を今後も志していますが、学生時代より、企業内のお金の動きにも興味があり、今後は経理として身を立てたく、簿記2級まで取得し、現在は1級取得を目指して勉強しています。

貴社は、人材業界でも常に新しい分野に最初に取り組む企業であること、業界セミナーなどで拝見する社員の皆様の優秀さや仕事に取り組む誠実なスタンスに魅力を感じました。また、現職でも大事にしてきた、新しいことへチャレンジする風土があり、また仲間と切磋琢磨できる企業であると感じ、貴社の一員として成長したいと考えております。現職で経理への異動を出しましたが叶わなかったため、人材業界での経験と自己学習した簿記の知識を活かし、貴社の事業に貢献したいと存じます。

未経験業界×未経験職種の志望動機例文

中途採用の多くは即戦力を期待されるため、未経験業界×未経験職種の転職は最も難易度が高くなります。経験者と比べて経験・スキルが足りないため、志望動機が「貴社のブランドが好きだから」「以前から興味のあった業界」など、曖昧な内容では説得力に欠けてしまいます。代表や役員などの記事を読んでおく、競合他社も含めて商品・サービスを使ってみる、店舗に足を運んで従業員をチェックするなど、できる限り企業研究を行っておきましょう。また、応募する求人や採用ページなどを読み込んで、これまでに培った経験・スキルとの接点を探して志望動機でアピールすることも大切です。

【例文】飲食業界/店長→IT業界/営業

飲食店店長として、5年間接客をしています。お客様は20代から50代まで幅広く、店に求めているものも異なります。お客様に評価された事例を店舗内で共有する仕組みを作り、ナレッジにすることで、店舗全体の接客スキル向上に貢献してきました。その結果、全国XX店舗の中で顧客満足度上位10%を常に維持する店舗に成長しました。

IT業界を志望したきっかけは、飲食店向けの予約管理システムやお客様向けアプリの進化に強い興味を抱いたことです。特に貴社のお客様向けアプリ「〇〇」は、現職でも導入されており、個人としても利用しておりますが、類似サービスと比べてUIが圧倒的に良く、年配のお客様でも簡単に扱えると感じています。貴社は「ユーザー目線」をミッションとされていますが、私も同様に、現職では「お客様目線」を大切にしてきました。

ITスキルは、ブラインドタッチ、顧客分析の簡単なExcel利用、社内会議向けのワード資料作成等が可能です。基本的なITスキルは持っていると考えていますが、業界知識や営業スキルなどはできるだけ早く習得できるよう努めてまいります。貴社において、飲食店に向けた様々な営業活動やヒアリング、満足度向上やリピートへの取り組みが必要と存じますので、これまでの経験を活かし、事業の成長に貢献したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

迷ったら転職エージェントに相談を

志望動機だけでなく、応募書類や面接では、未経験をカバーするアピールの工夫も必要です。転職エージェントは、未経験業界や職種への転職支援実績も豊富にあるため、どのように企業に伝えると効果的か、応募書類・面接でのアピール方法のアドバイスを受けることができます。また、未経験者に門戸を広げている求人を中心に紹介してもらうことで、転職活動をスムーズに運ぶことができるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事作成日:2020年12月24日 記事更新日:2023年03月9日

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