転職エージェントが行う面接対策について「何をやるのか知りたい」「メリットがあるなら活用したい」と考えている人もいるでしょう。転職エージェントで行う面接対策の流れや上手に活用するためのポイントなどを、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏にうかがいました。よくあるQ&Aなども紹介するので、疑問や不安の解消に役立てましょう。
目次
転職エージェントの面接対策では何をするの?全体の流れを紹介
転職エージェントでは、事前準備から面接対策、面接後のフォローまで行います。全体の流れに沿って、それぞれ何をするのか詳しく解説します。
面接対策
書類選考に通過した後は、面接前の対策を行います。キャリアアドバイザーが模擬面接を行ったり、転職エージェントが開催する面接対策セミナーなどに参加したり、さまざまなサポートを受けることができます。
模擬面接を受ける
応募企業の書類選考に通過したらキャリアアドバイザーによる模擬面接を受けることができます。面接でアピールする内容や話し方などについて改善のアドバイスをもらえるでしょう。応募企業を想定した上で模擬面接をしてくれるので、よりアピールにつなげることができます。
面接でよくある失敗の一つが「面接の練習をしなくても、その場に行けば話せる」と考え、面接対策をせずに失敗してしまうケースです。コミュニケーションに自信がある場合でも、転職エージェントで模擬面接を受け、客観的なアドバイスを受けたほうが安心できるでしょう。
面接対策のセミナーなどの開催
面接対策に役立つセミナーを開催している転職エージェントも少なくはありません。例えばリクルートエージェントでは「面接力向上セミナー」を開催しており、「面接についての理解」「企業視点での面接力チェック」「面接で話すシナリオ制作」などを実施しています。こうしたセミナーを活用することも面接対策に役立つでしょう。
面接後のフォロー
一次面接を通過しても、その後、二次面接が控えています。また、選考に通過しなかった場合は、ほかの応募企業の面接に向けて改善することが重要です。そのため、転職エージェントでは面接後にも改善アドバイスなどのフォローを行います。
面接後に企業からのフィードバックを受ける
面接終了後には、キャリアアドバイザーが企業の採用担当者にヒアリングを行い、その内容をフィードバックしてくれます。二次面接や、ほかの企業の面接を受ける際にフィードバックの内容を役立てることで選考の通過率を高められるでしょう。
必要があれば再度、模擬面接を受ける
今後の面接選考に向けて必要がある場合は、再度、模擬面接を実施するケースもあります。キャリアアドバイザーが改善ポイントについて重点的にアドバイスしてくれるので、自分で改善することに不安がある人や、どう改善すればいいのかわからない人にとっても非常に役立つでしょう。
転職エージェントの面接対策を上手に活用するポイント
ここでは、転職エージェントの面接対策を上手に活用するためのポイントを紹介します。
面接対策をしてくれる転職エージェントを選ぶ
面接対策などのサポートを行わない転職エージェントもあるので注意しましょう。大手・総合型のエージェントは全社的にサポート体制を整備しているため「拠点やキャリアアドバイザーによって受けられるサポートが違う」などの不安もありません。
電話面談やオンラインの面接対策も活用できる
キャリアアドバイザーとの面談は、オンラインで行うケースも増えており、電話で行うことも可能です。また、オンラインの面接対策を活用することもできます。模擬面接や面接対策セミナーなどをオンラインで受けることもできるため、遠方の場合や、オンライン面接そのものに不安がある人にもお勧めです。
在職中の場合は面接対策の時間帯も調整できる
在職中に転職活動を進める場合は、現職の業務と並行するため、日中に活動することが難しいものです。現職の業務時間外に面接対策をしてほしい場合は、転職エージェントに在職中であることを伝えた上で、時間帯の調整について相談すると良いでしょう。
キャリアアドバイザーとの面接対策では本音を話す
面談や模擬面接を受ける際には、キャリアアドバイザーに自分の考えを本音で話すことがポイントです。転職先に望むことや目指すキャリアをより深く理解してもらえば、よりマッチする求人を紹介してもらいやすくなります。また、模擬面接では、面接に臨む際に抱えている不安や疑問なども伝えれば、適切なアドバイスを受けられます。
自ら積極的にコミュニケーションし、本音を伝えることでキャリアアドバイザーもより応援してくれるようになるでしょう。
面接対策のアドバイスは素直に聞き入れる
キャリアアドバイザーからの改善アドバイスを受け入れず、面接に失敗するケースは少なくありません。アドバイスを素直に聞き入れ、客観的な視点を改善に役立てる意識を持つほうが選考通過の確率を高めることができます。また、疑問に思った場合は、それについてきちんと質問しましょう。自分自身の納得度を高め、さらなる改善に役立てることが大事です。
転職エージェントの面接対策を活用するメリット
転職エージェントの面接対策を活用するメリットについて解説します。
面接でアピールする方法をアドバイスしてくれる
模擬面接は、面接においてよくある質問に対し、実際に回答する練習ができます。その際、話す内容や構成、話し方まで、よりアピールできる方法を客観的な視点でアドバイスしてくれます。面接慣れしてない人はもちろん、自分一人で転職活動を進めて選考になかなか通過できない人も客観的なアドバイスを受けて改善できるでしょう。
企業の求める人物像を理解している
転職エージェントは過去の実績から企業の事情を理解しているケースが多くあり、こうした場合は企業が求める人物像についても深く理解していると言えます。求職者の経験・実績、強みなどをもとに、よりアピールできる回答内容を一緒に考えてくれるでしょう。
事前にキャリアの棚卸しや応募書類作成もサポートしてくれる
先にも述べたように、転職エージェントでは面接対策を行う前の時点で、キャリアの棚卸しや応募書類の作成もサポートしてくれます。そのため、転職の目的や背景、目指すキャリアなどを理解した上で面接対策を行ってくれるでしょう。志望動機や転職理由、自己PRなど面接でよくある質問にどう答えればいいか、自分の考えを整理できます。また、自分でも気付いていないアピールポイントを見つけることもできます。
面接対策を含むサポート活用で選考の通過率を高められる
転職エージェントでは、キャリアの棚卸しから書類作成、面接対策まで一貫してサポートを受けられる上、自分の希望や市場価値にマッチした転職先を紹介してもらえます。採用の可能性が高い企業選びや客観的な改善に役立つため、選考の通過率を高めることができるでしょう。
転職エージェントの面接対策における不安や疑問を解消【よくあるQ&A】
転職エージェントで面接対策を受ける前に、よくあるQ&Aを把握し、不安や疑問を解消しましょう。
面接対策に必要な時間は?
書類選考を通過した後に転職エージェントで行う模擬面接は「1回あたり30分~1時間程度」が一般的です。また、自分で行う企業研究や質問への回答準備、面接後の改善にかかる時間については、志望度の高さや個々の意欲・進め方によっても変化します。1社の面接を受ける前にしっかり準備する場合は4〜5時間程度(イメージ例:企業研究1時間、自分の中で面接の回答準備1時間、転職エージェントとの模擬面接1時間、最終確認の準備1時間)かけるケースが多いでしょう。ただし、1社に対する面接対策を行えば、ほかの企業の面接にも応用しやすいため、経験を重ねる中で効率化していくことができます。
面談や面接対策を受ける際の服装は?
面談・面接対策では、特に服装の指定はありません。日ごろからスーツやオフィスカジュアルなどで仕事をしている場合は、面談でも同様の服装としたほうがビジネスシーンのイメージが伝わりやすいでしょう。また、模擬面接でキャリアアドバイザーから服装へのアドバイスを受けたい場合は、面接当日に着用する予定の服装で受ける方法もあります。
キャリアアドバイザーに対し、「より良い印象を与える服装をしたほうがいいのではないか」という不安を抱く人もいますが、心配であれば「今日は私服で来た」「面接ではスーツを着用する予定だが、仕事の都合でカジュアルな服装をしている」などと最初に伝えると良いでしょう。
面接対策をしてくれないのは見捨てられたから?
そもそも面接対策を行わない転職エージェントもあります。また、面接対策を実施している転職エージェントの場合でも、人員体制や繁忙期などの事情によって、面接対策への対応が遅れるケースはあります。事前に面接対策のサポートを受けたい旨を伝えた上で「いつごろ、どのような面接対策をしてほしいのか」などの要望も伝えておくと良いでしょう。
キャリアアドバイザーが希望通りのサポートをしてくれない場合は?
キャリアアドバイザーに対して「連絡をもらった後に返信しない(もしくは、返信が非常に遅い)」「面談や面接対策、選考などを当日キャンセルする」などの対応を続けていた場合は、転職活動に対する意欲が低いと受け取られたり、「社会人として対応に疑問があるため、企業に自信を持って紹介できる人材ではないかもしれない」という懸念を抱かれたりする恐れがあります。こうした場合、意欲的に転職活動を進めているほかの求職者を優先する可能性があるでしょう。
転職エージェントの各種サポートは無償で受けられますが、そこには企業と求職者のマッチングをビジネスとして行っている背景があります。転職エージェントの役割は、個人の転職支援だけではなく、企業の採用支援という側面もあり、求職者の希望通りに対応できないこともあるので、それを踏まえた上で、ビジネスシーンにふさわしいきちんとした対応を心がけることをお勧めします。その上で、サポート内容に疑問を感じた場合は、利用する転職エージェントを変更したり、キャリアアドバイザーの変更を申し出たりすることもできます。
面接対策だけ受けたい場合は?
先にも述べたように、転職エージェントは企業と求職者のマッチングをビジネスとして行っています。転職エージェント経由で面接に進んだ場合は、面接対策のサポートを受けることができますが、転職サイト経由などで自主応募した場合には難しいでしょう。転職エージェントの面接対策に興味がある場合は、まずは面談を受けてどのようなサポートがあるのかを確認し、その上で「今後、転職エージェントを活用するか」を考えてみることをお勧めします。
自分でも面接練習をするなら1日に何時間やればいい?
「このくらいの時間、面接の練習をすれば選考に通過できる」という明確な答えはないものです。そのため、自分の中で「ある程度は準備できた」など、自信を持って面接に臨めることが大事と言えます。とはいえ、在職中の場合などは、面接練習の時間をしっかり取ること自体が難しいので「今日は志望動機に対する回答練習を30分やる」など、短く時間を区切って計画的に進めていくと準備しやすいでしょう。
転職エージェント経由で応募しても落ちる可能性はある?
転職エージェントでは、最初に転職エージェント内で候補者の選考を行い、よりマッチする人材を企業に推薦しますが、そこで落ちるケースもあります。また、企業との面接に進んだ場合でも、自分の経験・スキルや面接の受け答え、競争倍率などによって選考に落ちる可能性もあるでしょう。
ただし、転職エージェントの場合は、企業の募集要件にマッチしている人材を紹介するため、面接での求職者の受け答えが要因で選考に落ちるケースが多いと言えます。転職エージェントを活用した場合でも、必ずしも採用されるとは限らないので、面接対策などのサポートを活用し、しっかりと準備を行うことが重要だと考えましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。