
「何から始めたらいいのか分からない」「アピールできるものがない」「やりたい仕事が分からない」──。
働くこと、仕事のことで悩んでいる第二新卒のみなさんに向けて、第二新卒の方々の転職エピソードを、毎週1話ずつご紹介します。
自分がやりたい仕事がわかりません。
20代前半のうちは、職業の選択肢も豊富。けれど、選択肢が多すぎるがために、1つに絞り込むのは、とても難しいようです。
子どもの頃からの思い出を書き出してみたT・Yさんの事例
●新卒の就職活動では「知名度」を重視。大手流通会社に就職。
●直営店での販売職、副店長を務めるが、将来に夢が持てなくなる。
●3年目、とにかく今の会社を飛び出したいと考えるが、希望は定まっていなかった。
「逆説」の手法を用いたK・Kさんの事例
●大学時代のクラブの先輩に誘われ、保険会社に入社。
●代理店営業として、代理店の開拓および営業サポートを担当。
●「自分に向いていない」と感じるとともに、会社の将来性に不安を抱き、転職を決意。
大手流通企業に勤務するT・Yさんが転職を決意したのは、「上司を見ていて、自分の10年後の姿が予想できてしまった。その未来に魅力を感じない」という理由から。しかし、今の会社を離れる決意は固いものの、次に目指す方向性は決まっていませんでした。彼自身、自分が何をやりたいのか、わからなかったのです。これでは、求人情報の収集のしようがありません。
そこで、私たちはまず「子どもの頃から今までの経験の中で、楽しかったことを思いつくまま書き出してみましょう」と提案しました。これまでの人生で「何を楽しいと感じてきたか」ということから、志向を探るためです。
T・Yさんは、小学校、中学、高校、大学と、アルバムや日記を見返しながら記憶を辿りました。学校の文化祭にクラブ活動、ゼミ、アルバイト、旅行……。
「楽しい」「うれしい」と感じたエピソード、そして「特にどういう部分で、楽しさ、喜びを感じたのか」を細かく書き出すと、A4版2枚がびっしり埋まりました。
しかし、この時点では、単なる思い出の羅列に過ぎません。
次に、T・Yさんは、その中から「共通項目」を抽出する作業に取り組みました。そして彼は、自分の中に隠れていた、ある志向に気付きます。それは「人が成長していく姿を見るのが好き」というものでした。
そこで、「人の成長をサポートする仕事」をキーワードに求人情報を収集。彼が最終的に選んだのは、人事・社員教育を専門に手がけるアウトソーシング企業でした。
一方、K・Kさんは、やりたいことを見つけるために、別の手法を用いました。まず「やりたくないこと」を列挙。そして「なぜ、それをやりたくないのか」を分析して、書き出してみたのです。
「やりたくないこと:デスクワーク、理由:オフィス内に長時間いるのは苦痛だから」
……といった具合にです。
やりたくないことを裏返してみれば、やりたいことがおのずと浮き彫りになるもの。
K・Kさんが自身の志向を整理してみると、「外を飛び回る」「活動方針やスケジュールを自分で決められる」「専門知識を積み重ねる」「長期スパンで顧客と信頼関係を築く」といったキーワードが出てきました。そして、その要素のどこかを満たす仕事を探し、「製薬会社のMR(医薬情報担当者)」という道を選んだのでした。
このように、T・YさんもK・Kさんも、「やってみたい!」と思える仕事に出会えたわけですが、少なからず自己分析が役に立っています。やみくもに求人情報を漁ってみるよりも、まずは自己分析から始めてみてはいかがでしょう。
キャリアアドバイザーからのひとこと
これまでの自分史の中に「やりたいこと」を見つけるヒントは隠れている。
自己分析というと「難しい」「やり方がわからない」という声が聞こえてきますが、そんなに難しく考えないでください。例えば、身近なところではアルバイト。深く考えて選んだわけではないアルバイトでも、すぐに辞めてしまったものもあれば、長く続いたものもあるはず。
その理由は何だったのかを自己分析してみることによって、自分が求めている仕事や環境が見えてくるかもしれません。
また、事例のように中学、高校、大学などの学生時代から現在までを振り返って、どんな時に楽しかったか、成長ややりがいを感じたか、あるいは、「自分が嫌いと感じること」などを書き出してみると、意外とそこに共通する<何か>が見えてきたりします。
その<何か>にあった職種にはどんなものがあるのかを探していく――今後の方向性に迷った時は、面倒と思わず、ちょっと自分のこれまでを振り返ってみませんか?