
転職活動で履歴書を作成する際は、テンプレートの選び方や書き方によって、採用担当者の印象が異なる可能性があります。そこで今回は、履歴書の正しい書き方や基本的なルール、テンプレートの効率的な作成方法や応募企業への送付方法などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
ダウンロード可能な履歴書テンプレート
履歴書にはさまざまな形式がありますが、「厚生労働省様式」または「志望動機・自己PRをアピールできる様式」のテンプレートが、シンプルで使いやすいでしょう。
ダウンロード形式は、Word、Excel、PDFがありますが、パソコンやスマートフォンで作成する場合はWordやExcelのデータを、手書きで記入する場合はPDFをダウンロードして印刷してから記入すると良いでしょう。
厚生労働省様式
厚生労働省が提供している履歴書のテンプレートは、学歴・職歴欄が大きく、志望動機や特技などの記載欄がコンパクトなため、初めての転職活動に取り組む人にとって使いやすい形式です。
また、性別欄の記載が任意となり、「通勤時間」「扶養家族数」「配偶者関連」の項目がない点も特徴です。厚生労働書様式のテンプレートはハローワークの公式サイト(※)からもダウンロード可能です。
(※)出典:「履歴書・職務経歴書の書き方」(厚生労働省)

志望動機・自己PR付き履歴書
異業界や未経験職への応募、または職歴や経験に自信が持てない場合は、志望動機や入社意欲を強調できるテンプレートを活用すると良いでしょう。志望動機や自己PR欄が広く設けられており、学歴・職歴欄、免許・資格欄がコンパクトなため、自身のポテンシャルや人柄をアピールしやすいでしょう。

履歴書の正しい書き方
履歴書の各項目の正しい書き方をまとめました。
履歴書の書き方の基本ルール
履歴書の書き方には、基本的なルールがあります。ルールを理解して、正しく作成しましょう。
正式名称で記載する
住所、学校名、企業名、資格名などは、誤解を防ぐために省略せず、正式名称で記載しましょう。
和暦・西暦どちらかに統一する
履歴書と職務経歴書に記載する日付や生年月日、学歴や職歴などの年月表記は、西暦または和暦のどちらかに統一しましょう。
空欄を作らない
履歴書の各項目はできる限り埋め、書くことがない場合は「記載漏れ」と勘違いされないように、「特になし」と記載します。
修正液や修正テープは使わない
履歴書の修正はネガティブな印象を与えることもあるため好ましくありません 。そのため、記載を誤った場合は、修正液や修正テープを使わずに、新しく作成し直しましょう。
サイズはA4(A3二つ折り)またはB5(B4二つ折り)
履歴書のサイズは、A4(A3二つ折り)またはB5(B4二つ折り)のどちらかを選びましょう。職務経歴書はA4で作成するため、履歴書もA4(A3二つ折り)で作成すると統一感が出ます。
文字色は黒、サイズはできる限り統一する
履歴書の文字色は黒を選び、文字サイズはできる限り統一して見やすさを心掛けましょう。
証明写真は縦4cm×横3cm、3カ月以内に撮影したものを使用
履歴書に貼付する証明写真のサイズは縦4cm×横3cm、3カ月以内に撮影したものを使用します。また、画像データを使用する際は、「縦560×横420ピクセル」または「縦600×横450ピクセル」が目安です。
履歴書テンプレートの効率的な作成方法
前述のWord・Excelの履歴書テンプレートを使用して履歴書を作成する手順を解説します。まずは、使用するテンプレートをダウンロードするところから始めましょう。
共通の欄を入力したら応募企業ごとに履歴書ファイルを作成する
ダウンロードした履歴書は、まず氏名や住所、学歴や職歴などの共通項目を入力します。日付と志望動機は応募する企業によって異なるため、複数の企業に応募する場合は、応募先に合わせて提出日や志望動機を入力したら、ファイル名を「【履歴書】yymmdd(提出日)_(応募企業名)_氏名)などに変えて応募企業ごとに保存しておきましょう。
PDFに変換し面接用にデータを保存しておく
保存した履歴書は、PDF形式に変換しメールなどでの送信や印刷ができるようにしておきます。
PDFへの変換手順
- 「ファイル」タブを選択する
- 「名前を付けて保存」を押下する
- 保存先を選択する
- 「ファイルの種類」のプルダウンリストから「PDF(*.pdf)」を選択する
- 「保存」ボタンを押下する
転職活動中は、履歴書や職務経歴書の見直しを行う
転職活動中に、「複数企業の採用担当者からいつも同じ質問をされるので、意図がうまく伝わっていない」と気づくなど、応募書類の改善が必要だと感じることもあります。履歴書や職務経歴書は自分をアピールするツールでもあるため、改善できそうな項目があれば、都度内容の見直しを行いましょう。
作成した履歴書を送付・郵送・渡す際のポイント
応募企業によって、履歴書の提出方法は異なります。メールでの送付・郵送・対面で渡す場合のポイントについて解説します。
履歴書をメールなどで送付する場合
メールなどで送付する際は、第三者による改ざんや印刷時の書式の崩れを防ぐために、PDFファイルに変換しましょう。ファイル名は「【履歴書】yymmdd(提出日)_(応募企業名)_氏名」など、自分も採用担当者も管理しやすいようにしておきます。
履歴書を郵送する場合
履歴書を郵送する場合は、添え状を用意し、「添え状→履歴書→職務経歴書」の順で重ね、クリアファイルに挟んでから封筒に入れると、折れや汚れなどを防ぎ、丁寧な印象を与えられるでしょう。封筒には「履歴書在中」や「応募書類在中」と表面の左下に赤文字で記載し、切手を貼って郵送します。
履歴書を持参して渡す場合
履歴書を応募企業に持参し、対面で渡す場合も封筒には入れておきます。封筒には封をせず開けた状態にしておくと、提出を求められた時にすぐに手渡せるでしょう。
【Q&A】履歴書に関するさまざまな疑問を解消
履歴書作成にあたり、よくある疑問にお答えします。
メールアドレスはどのように書く?
採用担当者との連絡はメールで行うことも多いので、履歴書に記入欄がなかったとしても、メールアドレスは書いておきましょう。メールアドレス欄がない場合は、連絡先欄やFAX欄、住所や電話番号欄の余白に記載する方法があります。
履歴書の「現在に至る」「以上」はどのように書く?
「現在に至る」は左寄せ、「以上」は右に寄せて書きましょう。
在職中の場合は、履歴書にどのように書けば良い?
在職中の場合は職歴欄の最後に「現在に至る」と記載し、改行して右寄せで「以上」と書くのが一般的です。
職歴が多くて履歴書に書ききれない場合は?
職歴は全て記載するのがルールなので、例えば学歴・職歴欄が大きい履歴書フォーマットを選ぶ、職歴を1社1行にする、「現在に至る」と「以上」を同じ行に記載するなどの方法が挙げられます。
履歴書は細かく折って提出しても良い?
履歴書の折り目を増やすと、採用担当者は「広げる手間がかかる上に読みにくい」というデメリットが生じるかもしれません。可能であれば、A4またはB5サイズで提出するようにしましょう。
履歴書の職歴欄にアルバイト経験を書いても良い?
アルバイト経験は、応募する仕事に活かせる場合に書くと良いでしょう。また、アルバイト経験が長い場合も、ブランクを説明できるので書いておくのも一案です。
異動歴がある場合の履歴書の書き方は?
履歴書の職歴欄は、所属企業と在籍期間を全て記載する必要がありますが、異動歴が多い場合は、学歴・職歴欄の大きいフォーマットを使用する、詳細を職務経歴書に記載するなどの方法があります。
履歴書はコンビニで買っても良い?
コンビニエンスストアで購入した履歴書を使用しても問題はありませんが、種類が限られていることに加えて、直に書かなければならないため、使いにくさを感じるかもしれません。インターネットから無料でダウンロードできるファイル形式であれば、種類が多くパソコンやスマートフォンで作成できるので効率的です。
履歴書には「退社」と「退職」どちらを使うのが正解?
どちらで表現しても間違いではありませんが、「退職」を使うのが一般的です。
応募先企業に提出した履歴書は返してもらえますか?
企業側には提出された履歴書を返却する義務はなく、入社後の保管資料になることも考えられるため、基本的に履歴書は返却されないものと考えておきましょう。
履歴書に退職理由は書いたほうがいい?
履歴書に退職理由を記載する必要はなく、「一身上の都合により」や「会社都合により退職」と記載するのが一般的です。やむを得ない事情がある場合は、退職理由を書くことで採用担当者の理解が深まる可能性もあります。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
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