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山崎元のビジネス羅針盤

転職礼賛

2014年3月5日

機会が拡がる!

転職には、プラス面とマイナス面がある。また、職業人生にあって、必ず転職しなければならないというものではない。

しかし、転職が「必要」になる可能性は、殆どのビジネスパーソンにとって潜在的に存在する。また、選択肢として「転職もある」と考えておくことで、職業人生の可能性が大きく拡がる。

転職のメリットを一言でいうなら、機会が拡がるということだ。人生は、選択の連続だが、職業の人生にあって自分が選択できる機会を複数持つ事ができるか否かは、人生の質の改善に関わる大きなポイントだ。

転職によって拡がる機会は、「学習」、「仕事」、「経済条件」、「働き方」の4種類に分けて考えることができよう。

先ず、自分が覚えたい仕事、レベルアップしたい仕事がある場合、最も手っ取り早いのは、その仕事にあってレベルが高い会社に転職することだ。独学では、気付くことに限界がある。レベルの高い会社には、いい仕事が集まるから、ケースも豊富だ。もちろん、指導者やライバルがいる環境の方が効率よく仕事を身に付けられる。

筆者は、商社の財務部にいて、資金運用の仕事に興味を持ち、その仕事の「最前線」を求めて運用会社に転職した。これが、筆者の最初の転職だったが、この転職で身に付けた「運用」の知識や経験が、後の筆者の仕事の「コア・スキル」(中核的職業技能)となった。1980年代後半は折からのバブル景気で資金運用がブームになり、商社でも資金運用の仕事のチャンスはあったが、そのまま商社にいたのでは、運用の仕事を高いレベルで覚えることは難しかったと思う。

また、転職による「学習」で見落とせないのは、転職者として注目を受けながら、新しい職場に適応しなければならないというプレッシャーが、仕事の学習を促進してくれることだ。転職で、職場毎に異なる仕事のやり方、知識を身に付けられることに加えて、モチベーションが高まることの効果は大きい。

より大きな仕事、あるいは面白い仕事に辿り着く手段として転職が有効な場合もある。一般に、30代前半くらいになると仕事の能力がピークに達するが、この時に、会社のスケールや、取り組むことが出来る仕事に不足を感じる人が少なくないはずだ。こうした場合、転職で自分に合った「場」を得ることを目指してもいい。

もちろん、転職を経済的な条件の改善に使うのも「あり」だ。お金があるのは、悪くないことだ。また、仕事の満足は、報酬としての金銭だけでは不十分な場合が多いが、プロである以上、金銭的な評価が気にならないというのは不自然だ。

筆者の毎回の転職は、何れも経済的な条件改善を第一に目指したものではなかったし、年収が下がった転職が複数回あるが、総合的には転職を選択肢に入れたことで、経済的な条件は改善した。外資系の会社に転職して交渉のベースになる収入レベルが上がったことと、業界内である程度の個人的知名度を作ることが出来た二つが要因としては大きかったと思う。

また、転職によって、自分のライフスタイルに合った働き方を手に入れる場合もある。家族との時間、副業の自由度、職業的制限の緩和などの点で、自由の拡大が可能になる。

筆者の場合は、転職によって、実名での意見発表の自由を得たことが大きかった。現在、サラリーマンと同時に評論家の仕事が出来ているのは、この効果だ。時間、副業、意見発表などを自由としてくれる職場を探して、条件を交渉した。

転職で最大の副産物は友達

キャリア戦略を考えた意思決定として転職を行うことが望ましいのだが、転職には、幾つかの副産物があることをお知らせしておこう。

転職で最大の副産物は、親しい友達が増えることだ。共通の目的を持ちながら同じ環境で一緒に働いた同僚とは仲良くなりやすい。一生付き合える友人が出来やすい。また、1度一緒に働いて親しくなった人間関係は、その職場を離れても続くことが多い。

転職では、職場が変わるのと同時に、職場の人間関係が変わる。新しい人間関係の中で、新しい友達が出来る。

また、再び転職して職場を去っても、かつての同僚と再会すると、当時の職場の話や、共通の知り合いの噂話など、共通の話題が尽きない。

筆者もまた、自分の転職を振り返って、何度も(主な勤め先だけで12回転職した)転職して良かったことの1番目か2番目に来るのが、友達が増えたことだ。

違う職場の仕事の進め方が分かることのメリットも大きい。ある会社ではなかなか解決しない問題を、別の職場が上手に解決していることがある。転職によって複数の職場を見ると、ひとつの職場だけでは分からない様々なアイデアを自然に吸収できることがある。

要領のいい職場から、そうでない職場に変わった時に、「ここの連中は、なんて鈍いのだ!」と怒ってはいけない。軽蔑混じりの愚痴を言ったりするのは、もっといけない。その状況は、使えるアイデアを持って、新しい職場に「サービス」できる大きなチャンスであることが多い。

もうひとつ、転職の際の休暇期間のメリットにも触れておこう。転職する際には、主に有給休暇期間をある程度消化することで、まとめた休みを取ることができる事が多い。転職の狭間の休暇期間は気分のいいものだ。これまでの職場のストレスから解放されるのと共に、まだ次の職場の難点は見えていない。自分で進路を決めたという気分の高揚感もある。

癖にまでなるとまずいが、この期間は大いにリフレッシュして、次の仕事に備えたい。但し、長く休みすぎたり、仕事から離れすぎたりするのは良くない。解放感に浸りながら、次の仕事で役に立つ知識でも「自発的に」仕入れるくらいの心掛けが望ましい。

転職で得る精神の自由

転職することが出来るのと出来ないのとでは、精神状態もちがう。

出来れば遭遇したくない状況だが、働いていると「理不尽だ」と思うことに出会う時がある。それは、自分の仕事のプライドに関わる問題である場合もあるし、社会的・倫理的な問題であることもある。

この時に、「いざとなれば転職が出来る」という選択肢を持っているのといないのとで、自分なりの「筋を通す」ことが出来る程度が違ってくる。

どの程度まで筋を通すことが出来るかは、腹の括り方や、能力、経済力なども含めて、その人の「実力に応じて」というしかないのだが、転職の可能性を視野に入れることで、自由の範囲と精神衛生が改善する。

例えば、上司の要求が不当であると感じた時、転職のオプションがあれば、交渉にも迫力が生まれる。

転職して会社が客観視できる

冒頭で、転職は必ずしなければならないというものではない、と申し上げた。しかし、1社にずっと勤めていると得られないものとして、会社を客観視する視点をあげることが出来る。

ひとつの会社の中にばかりいると、会社の大きさや、他の会社と比べた時の特質などが、実感として把握できない場合が多い。これは、人を使う側からすると、「ウチの会社は、こんな社風なのだ」という物語が、社員にそのまま通用することは好都合なのだが、働いている側が、それに甘んじているのは、少し情けない。

転職して離れて元の勤め先を外から見た時に、「大きい!」と思っていた会社が、世間での存在感ではそれほどでもないことが分かったり、逆に、前の職場で「物足りない」と思っていた部分が、外の世界で比較して見ると、「案外大した物だった」といったことが分かったりする。

「ウチの会社(の人間)は、元気がいい!」などと、内輪で言い合っている会社を、別の組織と比べると、全くひ弱で頼りないことが分かったりする、というようなことは、転職してみると、よくあることだ。

転職で得られる最大の財産は、会社を客観視できること、また、自分と会社とは基本的に「対等なのだ」と実感できることかも知れない。

転職の「快感」

最後にもうひとつだけ付け加えよう。

転職には、自分の進路を自分で決めた、という達成感、あるいは高揚感が伴う。それ自体を目的にしてはいけないが、「転職には、快感がある!」と申し上げて構わないだろう。

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