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・階段を一歩上るとき
・「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰 
・糸井重里
・心の奥に懐中電灯を照らし、自分はどうなりたいかを真剣に探ってみよう

2013年9月19日更新

TCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞等を受賞後、80年代のコピーライター・ブームの火付け役となり、一世を風靡した糸井さん。「やりたくない仕事をやらないために始めた」という「ほぼ日刊イトイ新聞」も15周年を迎え、その間に数々のヒット商品を手がけ、多才ぶりを発揮し続けてきた。常に第一線で活躍するクリエイターでありながら、社員を率いる経営者でもある糸井さんは、どのように仕事を楽しみ続けてきたのか?

  • 「不思議大好き。」「おいしい生活」でコピーライターブームの火付け役に
    「不思議大好き。」「おいしい生活」でコピーライターブームの火付け役に
    ベストセラー本の構成、編集、ヒット曲の作詞なども手がけ、コピーライターとして時の人となる。

    産みの苦しみを忘れるからこそ、また産み出せる

    小学生の頃、大人になって仕事をするのが嫌で布団の中で泣いたことがあるんです。学校ですら嫌なことがあるのだから、大人が行く会社はもっとつらいことがたくさん待っているに違いない、と思ったんですね。でも、大人になると学校より社会の方が自由だった。広告のコピーや書籍の編集、ゲーム制作にテレビ出演など、いろんな仕事をやらせていただけるようになりました。でも、別に多方面にいろんなことをやっているわけではなく、根本は同じ。どういう出来栄えにするかは違うけど、「考えること、書くこと」の2種類どちらかをやっているだけで、それ以外のことはできないし、もしできているように見えたら、それはごまかせているだけです。

    楽しく仕事をするための工夫はいろいろできますよ。たとえば、うちの会社では、タイムカードがある壁に「楽しめ」って書いた紙が貼ってあるんですよ。僕自身に向かっても言うんだけど、「なにやったって大丈夫、とにかく楽しめ!」と社員に言います。「あとは楽しいばかりだもんね」って気持ちにさえなれたら、苦しさも含めて楽しいんですよ。たまに「ものすごいものをつくるぞ」と宣言しちゃうときもあるんです。ヒットじゃダメ、ホームランを宣言して自分でハードルを上げるんですよ。人から見たら「それでいいアイディアが出なかったらどうするの」「気の毒に」って切羽詰まった状況でも、本人はすっごく面白いんです。その時間は人にあげたくないくらい。もったいなくて。

    経験を積んでくると、絶対に出てくることはわかるようになるんですけどね。若いうちは、その状況でいいものが出てくるかはわからない。いわゆる「産みの苦しみ」というか、出産した女性が「また産みたくなっちゃった」って、すごいセリフを言いますよね。泣き叫ぶくらい、えらいことなんでしょ。出産したことがないからわからないけど、よくコピーを見て「やあ、これいいね」って言うと、「糸井さんが書いたんじゃないですか」って。それくらい、僕も産みの苦しみを忘れてます。「忘れる」ということも楽しむコツのひとつかもしれないね。

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  • 反対側から見る練習で、心の中に「自分の代理」を増やす

    仕事を楽しみ続けるには、いろんなモノの見方ができることも必要なんじゃないかな。それには練習が必要なんです。僕は日々、自分が本当はどう思っているのかを疑い続けてます。自分に都合がいいように考えていると試算して、反対側から見る練習を常にしてるんです。たとえば、日本人と外国人選手のボクシングの試合って、日本人観客は完全に日本人選手と一体になって見てますからね。「やられた」というときは必ず日本人選手がパンチされたときのことで、主語が完全に日本人。勝手に「こう思いたい見方」をしちゃってるんですよ。

    それと同じで、相手に腹が立っても「それは、俺の勝手じゃないか?」と疑って、相手から見たらどうなるかを常に考えるんです。「相手の立場に立って」と口にするのは簡単だけど、それって、相当難しいんです。他人の心っていうのは自分の中にないですからね。でも、ボクシングの試合を見たりしながら練習をし続けていくと、少しだけできるようになる。他人って永遠に分かんないんだけど、そうやって心の中に「他人に似せた代理の自分」をつくり出して、それを増やしていく作業をするんです。

    「一度殴られてみなよ」なんて考え方もあるけど、実際に自分が殴られちゃうと「この野郎!」って思うからダメなんですよ。あくまで想像力で自分の中に他人を増やす。それができるようになると、応用編で目の前にあるモノになって、横に置いてあるモノとの関係も見れるようになる。実際にはできっこない想像の世界なんですけどね、自分の中に要素として加わるんです。それが身についてくると、どんな仕事でも相手の気持ちがよく見えてくるようになるんです。商品を使う側とか文章を読む側の立場で発想するというのも同じで、立場をひっくり返してみることを絶えず練習していると、上手になるんです。自分の心は非常に柔らかいものだと思って、そんなふうに常に練り直しているのが、僕なりの練習です。


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