
履歴書の志望動機欄に対して「何を書けばいいのかわからない」「アピールできる書き方を知りたい」と悩む方も少なくないようです。
そこで、志望動機の書き方や評価のポイント、職種別の志望動機の例文について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説いただきました。
伝わりやすい志望動機の構成
伝わりやすい志望動機を作成するには、以下の3つの構成を意識するとまとめやすくなります。志望動機の書き方のポイントを解説します。
<志望動機3つの構成>
1.書き出し
2.根拠となるエピソード
3.締めくくり
1.書き出し
志望動機の冒頭で、志望動機の結論となる「なぜこの会社を選んだのか(書き出し)」を伝えましょう。「貴社を志望する理由は◯◯だからです」のように、明瞭かつ簡潔な一文になるよう意識することがポイントです。
【例文】
2.根拠となるエピソード
応募企業を選んだ理由の根拠となるエピソードを伝えます。これまでの経験・スキル・実績との接点を交えながら、意欲の高さをアピールしましょう。数値を活用して規模感を伝えるほか、募集要項に使用されているキーワードを用いても良いでしょう。
【例文】
3.締めくくり
最後に、入社後どのような活躍や成果を出そうとしているのかを伝えます。採用担当者がイメージしやすい表現が良いでしょう。
【例文】
説得力のある志望動機の3つのポイント
説得力のある志望動機のポイントをご紹介します。志望意欲の高さをアピールしましょう。
ポイント1:応募企業の独自性を意識する
志望理由は、応募企業の独自性を意識しましょう。どの企業にも言えることを志望理由にしてしまうと、採用担当者に「他の企業でも良いのでは?」「業界・企業研究が不十分なのでは?」という不安を与えてしまいかねません。競合他社と定量的・客観的な違いが見つからない場合は、自分が受けた印象や自己流の分析などでも構わないので、応募企業ならではの魅力を交えるという方法もあるでしょう。
ポイント2:自己PRと一貫している
志望動機以外に、応募書類には自己PRを記載することもあります。自己PRも、志望動機同様にエピソードや入社後に実現したいことを伝えるため、一貫性を意識しないと整合性がとれなくなってしまう可能性があります。応募書類に志望動機や自己PRを記載する場合は、採用担当者がイメージしやすいように、人物像の一貫性を心掛けましょう。
ポイント3:応募する仕事との関連性が高い
これまでの職務経験や仕事の価値観などが応募する仕事と関連していると、仕事にマッチする可能性が高くなります。未経験の業界・職種にチャレンジする場合は、キャリアの棚卸しを行い、接点となるような経験がないか探してみましょう。また、応募企業がどのようなことを大切にしているのかを、企業研究を通じて調べてみるのも方法のひとつです。
【全54種】志望動機の例文集
志望動機の例文を紹介しています。志望動機の例文や書き方のポイントを参考にしてみましょう。
【営業・販売・カスタマーサービス】志望動機例文一覧
営業/広告営業/派遣コーディネーター/リクルーティングアドバイザー/販売職
【企画・マーケティング・経営】志望動機例文一覧
マーケティング(経験者)/マーケティング(未経験者)/マーケティング(未経験者_商品企画)/広報/Webマーケティング
【人事・総務・経理・事務】志望動機例文一覧
人事職/総務職/経理職/総務事務/経理事務/医療事務/一般事務/貿易事務/人事事務/金融事務/学校事務/営業事務(経験者)/営業事務(未経験者)/秘書
【コンサルタント】志望動機例文一覧
コンサルタント/採用コンサルタント
【IT技術職】志望動機例文一覧
IT業界全般(未経験も含む)/SE・ITエンジニア/サービスエンジニア(経験者)/サービスエンジニア(未経験者)/インフラエンジニア(経験者)/インフラエンジニア(未経験者)/社内SE/プログラマー(経験者)/プログラマー(未経験者)/Webデザイナー/Webディレクター
【建築・土木・設備】志望動機例文一覧
研究・設計職/生産・品質管理職/サポートエンジニア(経験者)/サービスエンジニア(未経験者)/製造業(経験者)/製造業(未経験者)
【その他(講師・調理師・介護など)】志望動機例文一覧
大学職員/介護職(経験者)/介護職(未経験者)
【職種以外】志望動機例文一覧
外資系企業/第二新卒/未経験業界×経験職種/経験業界×未経験職種/未経験業界×未経験職種/安定性を志望する場合/地元で働きたい場合
履歴書の志望動機の注意点
履歴書に志望動機を記載する場合に気をつけたほうが良いことをご紹介します。
文字数は200~300字程度で簡潔に
履歴書の志望動機欄には限りがあるため、文字の読みやすさを考慮し、200~300文字程度で簡潔に記しましょう。面接でも志望動機を聞かれる可能性があるので、履歴書ではアピールしたい要素やキーワードを絞り込み、詳しい内容は面接で伝えるようにしましょう。
条件面だけに偏らないようにする
志望動機は志望意欲の高さや入社後の活躍可能性、応募している仕事にマッチしているかを応募企業にアピールする項目です。そのため、「同業他社よりも待遇が良いため貴社を選びました」「テレワークが導入されている点に魅力を感じました」など、応募企業を志望した理由が条件面だけになると、採用担当者は自社に合っているのかを判断できません。履歴書では、採用担当者が「面接で詳しく話を聞いてみたい」と感じられる志望動機にしましょう。
ネガティブな印象を与えないようにする
前職(現職)の不満を記載するなど、履歴書の志望動機はネガティブな印象を与えないようにしましょう。面接で伝える場合は、ネガティブな内容だったとしても表情や声のトーンなどでフォローや印象の調整が可能なこともありますが、文面だけだと温度感が伝わらず冷たい印象を与えやすくなります。履歴書ではポジティブな内容を意識し、強い入社意欲を伝えましょう。
履歴書に書く志望動機のよくあるQ&A
履歴書に書く志望動機のよくあるQ&Aを紹介します。
志望動機を書く前に一読しておくと書き方の理解が深まり、スムーズに書き進められるようになるでしょう。
Q.自己PRと志望動機の違いは?
A.自己PRは、自分の強みや長所をアピールする項目です。一方の志望動機は、なぜ応募したのかという理由を明瞭に伝える項目です。自己PRでは、募集要項に合致している旨を伝えたり、他の応募者と差別化を図れる強みや長所を訴求したりすることを目的に置き内容を考えてみましょう。志望動機は、企業研究の成果をベースに「いかにその企業に興味があるか」を伝えることが大事です。
Q.面接で話す志望動機は履歴書と同じでもいい?
A.面接で話す志望動機は、履歴書と同じ内容が好ましいでしょう。
反対に面接で話す志望動機と履歴書に記載の内容が異なる場合、「一貫性がない」と判断され、面接での印象もネガティブな評価になってしまう懸念が考えられるでしょう。面接では履歴書に記載した内容をベースにより詳細な志望動機を伝えられるよう、練習しておきましょう。
Q.志望動機を書ききれない場合はどうする?
A.伝えたいことに優先順位をつけ、削れる要素がないか見直してみましょう。
履歴書に書ききれない場合は、面接の場で補足したり、職務経歴書に記載したりする他に、どうしても応募段階で志望動機を伝えたい場合は「志望動機書」を作成するという方法もあります。
Q.志望動機が見つからない場合はどうする?
A.一人で志望動機を考えられない時は、転職エージェントを活用するのも1つの方法です。転職支援のプロならではの客観的なアドバイスを期待できるでしょう。
なお、キャリアの棚卸しや企業研究をしても志望動機が思いつからない場合は、応募企業そのものがマッチしていない可能性もあります。応募先を再検討することも考えておきましょう。
Q. 転職活動で書く志望動機は、新卒の就職活動と何が違う?
A.中途採用の場合は、即戦力となる人材を採用する傾向が強いため、志望動機もこれまで培ったスキル・経験を以てどのように貢献できるのかという点が重視されるのが一般的です。一方、新卒採用では、社会人として働いた経験がない人材が大半を占めます。採用担当者は経験やスキルを活かした貢献・活躍よりも志望度の高さや仕事に対する価値観のマッチ度を判断しているでしょう。
転職活動では、ポテンシャルよりも実務経験やスキルをベースに入社後どう活躍・貢献できるのかをアピールすることを意識しましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事更新日:2022年11月18日
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記事更新日:2025年06月05日 リクルートエージェント編集部
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