
会社を辞める際に退職交渉の進め方を誤ると、希望のスケジュール通りに退職できなかったり、トラブルが発生する可能性もあります。
そこで円滑に退職するための「会社の辞め方」について、ご紹介します。
辞める理由や覚悟を再確認する
今の会社に退職意思を告げる前に、まずは自分の意思がしっかり固まっているのかどうかを見つめ直してみてください。
退職を申し出ると、会社側から強く引き止められる可能性があります。それによって気持ちが揺らぎ、とりあえず今の会社に残る選択をした場合、不満点は改善されず、しかも一度退職を伝えたことで職場に気まずい雰囲気が漂う……というケースも見られます。
自分自身が覚悟を決め、強い意思があることを会社に伝えれば、強引に引き止められたり 、退職願の受理を拒まれたり……という事態を防げるかもしれません。
逆に、自分の中でもう一つ覚悟が決まらないのであれば、今は転職すべきタイミングではないことも考えられます。現状への不満など一時的な感情に流されず、転職する目的を整理してみましょう。
円満退職のポイントは、辞める時期・タイミング
円満に退職するポイントの一つは、自分がいなくなることでチームや同僚にかける負担を最小限に抑えること。例えば、次のようなポイントに留意しましょう。
● 担当プロジェクトが完了、あるいは一区切りがついたタイミングを選ぶ
● 繁忙期の真っ只中での離脱は避ける
● 後任者の選定や業務の引き継ぎを、余裕を持って行えるだけの期間をとる
● 期末など、定期の組織変更のタイミングを踏まえ、組織改編や人事異動が決定する前に退職意思を告げる
とはいえ、会社の事情に考慮するあまり、せっかく訪れたチャンスを逃すことは避けたいものです。なるべく自分にとって最適なタイミングで辞められるようにするためには、転職先の入社日が決まって退職の意思を伝える前までに、就業規則の確認や以前退職した人の傾向を把握しておくなど、準備をしておくことをおすすめします。また、退職することが具体的に決まった際には、上長と相談しながら、引き継ぎに必要な資料を用意したり、社外への挨拶などを進めましょう。
退職意思の表示から退職までのスケジュール
民法上では、退職意思を表示してから2週間が経てば、いつでも辞めることができます。
しかしながら、原則、会社の「就業規則」に従いましょう。就業規則には、「退職は1カ月前に申し出る」などの規定が設けられていることがあります。就業規則を確認し、それに沿って退職手続きを進めてください。
また、「退職前に有給休暇を消化したい」「後任者の選定や引き継ぎに時間がかかりそう」といった場合には、就業規則に関わらず、早めに退職意思を伝えておきましょう。
退職時、こんなトラブルに注意
ここでは、退職にあたって起こりがちなトラブルをご紹介します。注意すべきこと、やってはいけないことを心得ておいてください。
退職を「最初に告げる相手」を間違え、関係が悪化
最初に退職意思を告げるときは、必ず「直属の上司」に話しましょう。その上の上長、社長などに先に話してしまうと、直属の上司は管理能力を問われてしまうかもしれません。また、同僚・先輩・後輩に先に話し、後から上司の耳に入る…という事態も避けなければなりません。直属の上司との関係が悪化すると、退職手続きがスムーズに進まなかったり、後味悪く会社を去ることになったりしますので、くれぐれも礼儀を大切にしましょう。
退職願を出したのに、勝手に保留にされていた
「就業規則に従い、退社希望日の1カ月前 に直属の上司である課長に退職願を提出。しかし課長は渋い顔で『考えておく』と言ったきり。次の会社への入社日が迫ってきたので状況を確認したら、部長や人事に話が通っていなかった」――そんなケースも実際に起きています。
上司が退職を認めたくないがために、退職願を正式に受理せず、話を先送りにしてしまうことがあります。この場合、上司とじっくり話をして納得してもらうに越したことはありませんが、次の会社への入社日が決まっていると、そんな時間もありません。部門長や人事部門に相談し、解決を図りましょう。
こうした事態を防ぐためには、行動記録を残しておくのが得策です。
退職願には、希望退職日、提出日を明記し、コピーを取っておきます。処理状況の確認をする際には、口頭だけでなくメールも送付し「確かに申請した」という証拠の履歴を残しておくといいでしょう。
強い引き留めに合い、キツイ言葉で責められることも
「退職を申し出たら、上司や役員が代わる代わる説得に来た。あるときは、終業後2時間も役員室に閉じ込められ、『恩を仇で返すつもりか』と責められた」という経験談も。
強い説得に折れて会社に残っても、「辞めようとした」という事実は残ります。上層部や同僚との信頼関係が崩れ、後々の昇進・昇格にマイナスに響くこともあるようです。
こうした局面で重要なのは、強い意思を表明することでしょう。
退職理由をあいまいに伝えると、相手は「説得の余地がある」と思います。「そういう理由・目的なら仕方ない」と思わせるような、確固たる退職理由を述べましょう。このとき、今の会社への不平不満ではなく、将来の夢やキャリアビジョンを語ることをおすすめします。
また、転職活動中から引き継ぎのためのマニュアルや計画表をしっかり作っておくことも、強い意思を表明する手段の一つとして有効です。「退職を認めていただく」のではなく、「なるべく迷惑をかけずに済む退職スケジュールを相談する」。退職交渉には、そんなスタンスで臨むことが大切です。
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