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未経験業界・職種へ転職するには?転職を成功させるためのポイントと求人の選び方

未経験 転職

「業界や職種に将来性を感じない」「未知の仕事にチャレンジしたい」といった理由で、未経験での転職を考える人は少なくありません。

ただ、一口に「未経験」といっても、業界を変えるのか、職種を変えるのかで条件や難易度は違ってきます。未経験での転職を成功させるには転職の軸をどう定め、どんな視点で求人を見、企業にどんなアピールをすれば良いのでしょうか。人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。

「未経験」分野への転職で知っておきたいこと

「未経験OK」の求人で企業が求めるものとは?

転職市場には「未経験者歓迎」「未経験者OK」をうたう求人が数多く存在します。
とりわけ20代〜30代前半をターゲットにした求人では、「一から学ぶ意欲のある未経験者を積極的に採用したい」「スキルや経験よりもポテンシャルを重視したい」と企業が意図しているものも少なくはありません。

しかし多くの場合、企業は「本当は経験者が望ましいが、入社後にキャッチアップも可能」「経験者の応募があまりないので、間口を広くして多くの求職者と会おう」と考える傾向にあります。そもそも中途採用は即戦力採用を主な目的としているので、経験者の応募が多いことを期待するのが企業の本音なのです。従って、同じ求人に経験者と未経験者が応募した場合は、経験者の方が有利になる傾向があります。

「未経験」での転職には3つのパターンがある

「経験のない分野にチャレンジしたい」という人がまず念頭に置いて欲しいのは、「未経験での転職」にも業界・職種で分けると次の3パターンがあるということです。
一般的に難易度は「1→2→3」の順に高くなります。転職の軸が定まったら、自分が目指す未経験転職の傾向や、それぞれの場合で企業へアピールするべきポイントを理解することも大切です。

1. 同じ職種で未経験の業界へ転職
2. 同じ業界で未経験の職種へ転職
3. 業界・職種とも未経験での転職

「何を実現したいか」を軸に業界・職種を絞ろう

未経験転職を希望して、異業界や異職種も含めて可能性を探ろうというとき、募集されている数多くの求人から漠然と転職先を探すのでは、あまりに多くの時間と労力を要してしまいます。
まずはキャリアの棚卸しをして、自分がどんな分野に興味があり、どんなことを大切にして働きたいのかをじっくり考えましょう。そのようにして転職の軸が定まれば、自分が希望する転職パターンのイメージが湧いてくるはずです。興味を持った企業や職種に関する情報を収集して、業界・職種の研究を進めていきましょう。

未経験だからこそ志望動機、自己PRがカギになる

未経験転職をするときは、経験がない分、志望動機をしっかり磨くことで「仕事に対する熱意があり、将来的に伸びしろがありそう」といった印象づけをすることが重要になります。加えて、今の仕事と応募先での仕事との間にできるだけ多くの共通点や接点を提示し、「未経験の自分でも、強みを活かすことで即戦力に近付けます」とアピールすることも大切です。

ここからは未経験転職のパターン別に、企業は求職者に何を求めているのか、それを踏まえたアピールのポイントと、実際の転職成功事例をご紹介していきましょう。

1.「未経験の業界」への転職のポイント

職種経験を活かして転職する場合の考え方

未経験転職の中でも比較的実現しやすいのが、「同じ職種で未経験業界へ転職する」ことです。
企業は業界・職種とも経験のある人を採りたいものですが、それが叶わない場合の次善の策として、「業界経験なし・職種経験あり」の人を採用することがあります。
理由としては「業界経験はあるが職種経験がない」人よりも業務のキャッチアップが容易である、業界や自社の慣習に囚われない自由な発想や知見をもたらすことを期待する、といったことが考えられます。

たとえば金融、自動車、食品といった幅広い業界に顧客を持つIT企業が営業を募集するときには、顧客の業界の営業経験者を採用することがよくあります。IT業界は未経験でも、顧客が属する業界を熟知している人材は強い戦力になるからです。こうした転職は営業職のほか、人事や総務、経理などの管理部門や、エンジニアなどでも多く見られます。

志望動機、自己PRはここを突き詰めよう

志望動機は、今の仕事を通じて得た知識や抱いた思い、あるいは学生時代の体験などから具体的な事例を通じて、未知の業界に興味を持った理由を自分の言葉で伝えられることが大切です。「なぜ業界を変えて働きたいのか」について、相手企業が納得する志望動機を磨きましょう。

自己PRでは、現職と応募先企業の業務との接点を探しましょう。両方を「いつ」「どこで」「だれと」「何を」「どのように」と5W1Hで整理すると見つけやすくなります。
たとえば営業では、業界が違っても「営業スタイルが近い」「顧客の性質が似ている」「商品の価格帯が近い」などの共通点が見つかることがあります。「自分が強みとしてきた〇〇が共通するので、貴社(御社)でも活躍できます」という風に、未経験業界でもキャッチアップが早く、すぐに戦力になれることをアピールしましょう。

未経験業界への転職成功事例

職種を変えず、未経験の業界への転職を成功させた事例をご紹介しましょう。

製薬会社のMR(医薬情報担当者)からIT企業の営業へ

製薬会社のMRとして病院を担当してきたAさん(20代後半・男性)。新卒から医療に関わりたいという情熱を持って就いた仕事でしたが、次第に医薬品業界とMRの将来性に疑問を抱き始めました。そんなとき、患者や医療者の負担軽減を目的とする医療のIT化に興味を持ち「自分は医療に直接関わるより、ITからアプローチした方が医療業界に貢献できるのではないか」と考えて転職活動に踏み切りました。

Aさんは転職エージェントを通じて、病気のAI診断プログラムを開発するベンチャー企業に応募。志望動機では日本の医療をより良くしたいという思いと共に、「製薬会社にいて病院の現場を見ていたからこそ、ITで医療を効率化する価値の大きさを知っていました」と伝えました。

また、MRとして新薬販売プロジェクトのリーダーを務めた経験を「新しい分野や領域に技術を売り込む仕組み作りに活かせます」とアピール。医薬品業界から成長著しいIT業界へ、営業職として転職を果たすことができました。

2.「未経験の職種」への転職のポイント

業界経験を活かして転職する場合の考え方

「同じ業界で職種を変える」というパターンが比較的多く見られるのは、業界の成長が著しく、多くの人材を必要としている業界内での転職です。

例えばIT・ネット系企業では、組織が大きくなることで社内のポジションがどんどん増えたり、「カスタマーサクセス」に代表されるような新しい職種が誕生したりすることがあります。そうした企業の求人では職種経験者が少ないため、業界の事情をある程度知っている業界経験者が、未経験の職種にチャレンジすることも少なくありません。同じようなケースは人材業界や、成長中のスタートアップ・ベンチャー企業における採用でも多く見られます。

逆に、ある程度大きな企業や安定期にある企業では、異動や出向で人員をまかなうことも多いため、育成に時間のかかる職種未経験者を採用することは少ないかもしれません。

志望動機、自己PRはここを突き詰めよう

同じ業界の中で職種を変える転職では、業界に対する知識や理解の深さ、「自分がどう貢献していきたいか」という熱意を打ち出すことが重要です。これまでの経験を踏まえて、業界の面白みや価値を自分なりの視点で伝えられるようにしておきましょう。また「なぜ職種を変えて今までと違う形で関わりたいのか」と聞かれることは多いので、納得感のある志望動機を準備することも大切です。

自己PRを考えるときは、今までの仕事の中から、転職を希望する新たな職種と共通する経験や、活かせる経験をできるだけ多く洗い出し、それらを足がかりにしましょう。また、未経験なりに仕事や資格などに関係する勉強をしていれば、そのこともアピール材料になります。業界経験や知識を活用することで、新しい職種へ少しでも早くキャッチアップできる可能性を示すようにしましょう。

未経験職種への転職成功事例

同じ業界内で、未経験の職種への転職を成功させた事例をご紹介しましょう。

IT企業の営業からIT企業のマーケティングへ

人事系クラウドサービスのインサイドセールスとして、顧客へ貢献することにやりがいを感じていたBさん(20代後半・男性)。マーケティング担当者と共に仕事をするうち、科学的な分析を根拠にした仕掛けで大きな結果を出すマーケティング職に、強く興味を持つようになりました。しかし数百人規模の現職では部門が細分化されており、希望通りの異動が難しかったため、悩んだ末に転職を決意しました。

転職活動では、現職より小規模なIT企業を検討していたBさん。中小企業向けにクラウドサービスを提供するスタートアップ企業で、「マーケティング兼営業」という求人を見つけて応募しました。

選考では、未経験なマーケティングの仕事に就きたい理由と熱意を伝えたうえで、「現職でのインサイドセールスの経験を、御社の体制づくりに活かすことができます」とアピールしました。そのことが企業側の「一から組織づくりに関わってくれる人材が欲しい」というニーズとマッチし、見事採用に。「マーケティング職のキャリアを歩みたい」という希望を叶えることができました。

3.「業界・職種とも未経験」の場合の転職のポイント

全く未経験の分野へ転職する場合の考え方

「業界・職種どちらも未経験OK」という求人を目にすることも多いかと思いますが、まず前述の2パターンよりも転職難易度は高くなることを頭に入れておきましょう。

ただ、「採用ブランド力がないので業界・職種未経験者も視野に入れたい」「新卒採用の代替として、一から教育できる方がいい」「経験より企業理念とのマッチングを重視する」といった募集背景がある場合は、ポテンシャルや人柄、熱意が決め手となって採用されることもあります。

また、上で紹介した「同業界・未経験職種への転職」と同様、多くの人員を必要としている成長業界であれば、大手企業や安定期にある企業に比べると転職できる可能性は高くなるでしょう。

志望動機、自己PRはここを突き詰めよう

志望動機を伝えるためにも、業界・企業・仕事内容に関してよく調べ、未経験なりに理解を深めておくことが重要です。聞かれたときは「こんな勉強をしてこう理解しています」と具体的に答えられるようにしておくこと。そのうえで過去の経験と応募先との接点や、現職と希望職種の共通項を洗い出します。現職の経験やスキルを細かな要素に分解して、「こういう経験は新たな仕事でこう活かせる」と伝えましょう。

全く未経験な分野への転職では、業種・職種に関わりなくどんな仕事にも求められる「ポータブルスキル」をアピールすることも大切です。たとえば「コミュニケーション能力」「問題解決力」「論理的思考」などについて、現職で具体的にどう発揮してきたか、それを新たな職種でどう活かせるかをイメージして、自己PRに繋げましょう。

業界・職種とも未経験での転職成功事例

業界・職種とも未経験の転職を成功させた事例をご紹介しましょう。

楽器店の店長からカスタマーサポートのSVへ

楽器店の店長Cさん(30代前半・男性)は、楽器の販売や音楽イベントの企画をしながら自身の音楽活動に力を入れてきました。しかし、キャリア・年収ともに頭打ち感を覚え、将来を考えて転職を決意。転職エージェントに登録して求人を探すことにしました。

Cさんの経歴を聞いたキャリアアドバイザーが提案したのは、ネット系企業のカスタマーサポートのSV。その企業はサービスの満足度を上げるために、月に一度個人ユーザーの生の声を聞くユーザーインタビューを何年にもわたって続けていました。その取り組みは、Cさんが音楽イベントの企画で常に観客の声を大切にしてきたことと通じ、Cさんにとって強く共感できるものでした。

さらにCさんは、店長としてアルバイトスタッフをうまくモチベートすることや、次期店長候補の育成にも力を注いでおり、こうしたスキルはSVの行うチームマネジメントにも必ず活かせるとキャリアアドバイザーは判断しました。
最終的に企業側が、実務経験よりも自社カルチャーへの共感を重視したことで、見事採用となったCさん。音楽の仕事で大切にしてきたものや、磨いたスキルをひもとくことで、今まで思ってもみなかった仕事に巡り会えました。

未経験分野への転職は転職エージェントの利用をお勧め

未経験業界や職種への転職を希望する場合、どんな条件の求人が自分にマッチしているか自分ひとりでは判断が難しいこともあります。

転職エージェントでは、キャリアアドバイザーが求職者の経験・スキルを分析し、希望や適性に合わせた求人案件を探して提案をしています。さらに過去の未経験転職の事例や、未経験者を歓迎する企業、積極的に採用する企業の情報をピックアップすることも可能。自分では想像していなかった意外な選択肢や可能性が見つかるかもしれません。

なお、年代別の未経験転職のポイントについては、以下の記事を参考にしてください。

* 20代転職の特徴と企業選びのポイント
* 30代で未経験な職種への転職はできる?キャリアチェンジ成功のための秘訣とは
* 転職は35歳が限界はホント?―転職を成功させるための6つのポイント
* 40代転職成功のポイント│転職前~応募、面接、入社後までステップ別に解説

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

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