転職エージェント トップ > 転職成功ガイド > 職種 > ITエンジニアとは? 仕事内容や年収動向、転職チャンスを徹底解説

ITエンジニアとは? 仕事内容や年収動向、転職チャンスを徹底解説

ITエンジニアとして転職を考えている方々に、さまざまな分野のITエンジニアの仕事内容、必要とされるスキル、未経験から目指す方法、向いている人などについて、人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。

ITエンジニアの年収相場と転職動向

「ITエンジニア」とは、システムの開発や運用の仕事に携わるエンジニアの総称です。手がけるシステムの種類や機能によって、職種が細かく分かれています。

ITエンジニアは全般的に人材不足の状態が続いており、採用ニーズが旺盛。専門分野によって差はありますが、経験を積んだエンジニアにとっては転職先の選択肢が多く、転職によって年収アップを果たしている事例が多く見られます。

リクルートが行った「転職時の賃金変動状況」の調査によると、2022年4~6月期にリクルートエージェントのサービスを使って転職したITエンジニアのうち、転職後の賃金が前職に比べ1割以上増加した人の割合は37.2%に達しています。3人に1人以上が、転職で年収アップを果たしている状況です。ITエンジニアのニーズの高さを証明しているといえるでしょう。

2022年4-6月期-転職時の賃金変動状況-株式会社リクルート
出典: 転職支援サービス『リクルートエージェント』における2022年4-6月期の「転職時の賃金変動状況」

未経験でもITエンジニアになることは可能か

未経験からでもITエンジニアを目指すことは可能です。SIer(システムインテグレーター)やSES(システムエンジニアリングサービス)と呼ばれる技術者派遣企業などでは、未経験者を積極採用し、自社の研修プログラムによって育成している企業が多数あります。特に第二新卒層には門戸が開かれています。

こうした企業に入社し、プログラミング、テスト、運用・保守といった業務から経験を積んで上流工程へ移っていくことが可能です。ただし、未経験者を受け入れている企業であっても、「入社後に研修で学ばせてもらおう」というスタンスで応募したのでは、選考を通過できない可能性があります。

ITエンジニアは継続的な学習が欠かせない職種であるため、「自主的に学ぶ姿勢」が評価のポイントとなります。すでに独自で学び、基礎知識を習得している人が歓迎される傾向が見られます。

プログラミング言語や開発環境に関する知識は、独学でも習得が可能。ITスクールや職業訓練校のほか、オンライン学習プログラムでも学ぶことができます。これらを活用して基礎知識を身に付けておくことで、転職成功の可能性が高まるでしょう。

ITエンジニアの種類と仕事内容

ITエンジニアの職種分類と、それぞれの仕事内容・必要とされるスキルをご紹介します。

アプリエンジニア

主にOS上にインストールして使用するソフトウェアの開発を行います。手がけるアプリケーションには、「業務・オープン系(会計、人事、物流、生産管理、顧客管理など)」「Web系(Webサイト、ECサイト、各種Webサービスなど)」「スマートフォン向け」などがあります。

必要とされるのはプログラミング言語の知識。業務・オープン系であれば「C」「C#」「Java」など、Web系であれば「HTML」「CSS」「Java」「PHP」「JavaScript」「Go」「Ruby」「Python」など、スマートフォンアプリでは「Swift」「Objective-C」「Java」「Kotlin」などの言語スキルが求められます。

サーバーエンジニア

システムを運用するサーバー機器の構築や、サービスを提供するサーバーソフトの設定を行います。Webサーバー・メールサーバー・ファイルサーバー・データベースサーバーなど多様な用途があり、要件定義・設計・構築・運用・保守を担います。

必要とされるのは「Linux」「Windows」といったOSの知識。また、3大クラウドとされる、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform (GCP)」の知識もニーズが高まっています。

ネットワークエンジニア

コンピュータネットワークの設計・構築・運用・保守を担当。PCや通信機器上でのデータのやりとりを円滑に安全に行えるよう、通信環境を整備します。

必要とされるのは、ネットワーク機器・ツールを提供する「Cisco」「NetApp」などの製品の知識のほか、LAN、WAN、ルータなどの知識。未経験からシスコ技術者認定資格である「CCNA」を取得し、運用・保守の仕事からスタートする人が多く見られます。

データベースエンジニア

企業内のさまざまなデータについて、「保存する」「管理する」「目的に応じて抽出する」といった業務を円滑化するために、データベースシステムの構築・運用を担います。近年はデータを収集・分析して事業戦略に活かすため、「どのようなデータを集めるか」「どのように格納するか」など、上流工程を考える役割も大きくなっています。

開発設計ではサーバーやデータベース言語である「SQL」の知識が求められ、管理の工程ではストレージやサーバーなどハードウェアの知識が必要とされます。

セキュリティエンジニア

セキュリティに強いシステムの設計・構築をはじめ、常に外部からの侵入や攻撃を監視し、予防策を実践しながら運用します。システムの脆弱性診断、サイバー攻撃対策、新ウイルスへの対策、ウイルスの動きの検知、障害対応、外部からの侵入を防ぐシステムのプログラミングなど、業務は多様。仕事が幅広いため、ITに関する何らかのスキルがあれば、それを活かせるポジションがあります。

通信系インフラエンジニア

「インフラエンジニア」とは、ネットワークやサーバーといったインフラ基盤の設計・構築・運用を担当するエンジニアの総称です。細分化すると、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニア、データベースエンジニア、セキュリティエンジニアなどの職種があります。このうちいくつかの職種を兼務するケースも多く見られます。求められるスキルは、職種によって異なります。

ITアーキテクト

ITアーキテクトとは、「企業経営に作用するIT戦略を構築する」仕事と定義されています。クライアント企業、あるいは自社の経営戦略に向き合い、今後の事業の方向性と技術の最新トレンドをキャッチアップしながら、システム設計のあるべき姿を描く役割を担います。

システム開発における上流工程の知識や経験をはじめ、「ビジネス」の観点が求められます。情報処理推進機構(IPA)が資格試験を実施・認定していますが、業務にあたり資格は必須ではありません。

サポートエンジニア・運用システムエンジニア

企業などで使用されているシステムの安定稼働を維持します。業務内容は幅広く、企業や人によって異なりますが、主には「トラブル発生時の対応」「障害につながりそうな挙動の察知・対策」「機器のリニューアル」「リニューアル時の設計・構築」などを担います。

扱うシステムの環境に関する知識が必要。「Windows」または「Linux」が主流で、「VMware」「AWS」などの知識を求められるケースもあります。

社内SE(アプリエンジニア)

社内SE(アプリエンジニア)は、事業会社のシステム部門などに所属し、自社システムの開発や運用を担います。安定運用を図るほか、システムの導入や刷新のニーズがある部署の課題や要望にもとづき、最適なシステムを設計・開発。SIerやベンダーなど、外注先との折衝も行います。SEとしての知識はもちろん、社内各部署との調整力も求められます。

近年は、デジタルを活用した業務改革やビジネスモデル創出といった「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進を担うケースもあります。

社内SE(インフラエンジニア)

社内SE(インフラエンジニア)は、事業会社のシステム部門などに所属し、自社のサーバー、ネットワーク、セキュリティ、データベースなどの設計・構築・運用を行います。トラブル発生時の対応はもちろん、セキュリティ強化のニーズが高まっています。

IT戦略・システム企画担当

SIerやコンサルティングファームに所属する場合はクライアント企業に対して、事業会社のシステム部門に所属する場合は自社の経営陣に対して、経営戦略や事業戦略にもとづくIT活用の戦略を企画・立案します。IT関連の知識はもちろん、「ビジネス」「経営」の知見が求められます。

ヘルプデスク

システムを利用するユーザーからの問い合わせに対応。疑問やトラブル、クレームなどの解決にあたります。事業会社に所属する社内ヘルプデスクの場合、自社社員からの質問や相談に応じるほか、機器のセットアップや保守、アカウント管理などを担当するケースも多数あります。

社外(顧客)からの問い合わせに対応するヘルプデスクは「ユーザーサポート」「カスタマーサポート」と呼ばれることもあります。扱う製品・サービスの知識はもちろん、相手の話を聴く力、わかりやすく説明する力、トラブルの原因などの分析・解決力が求められます。

製品開発

自社製品を持つソフトウェア会社などに所属し、パッケージソフトの企画・設計・開発を手がけます。企業ごとに「会計」「販売管理」「物流管理」など強みとする分野を持ちます。近年は、クラウド上でソフトウェアを提供する「SaaS(Software as a Service)」が主流になりつつあります。扱う製品に応じたプログラミング言語やデータベースの知識が必要となります。

研究開発(R&D)

R&Dとは「Research(研究) and Development(開発)」を意味しています。パッケージソフトやアプリケーションなどの開発とは異なり、これまでにない技術やモデルなどを探求し、新たな価値の創出を担うポジションを指します。

公的機関・教育機関・民間企業が手を結ぶ「産学官連携」プロジェクトのメンバーとして活動するケースも多数です。対象分野についての高度な専門知識が求められます。

プロジェクトマネジャー・プロジェクトリーダー(PM/PL)

システム開発などのプロジェクトにおいて、プロジェクトの目的達成に向け、メンバーのマネジメント、スケジュール管理、予算管理、品質管理など全体を統括します。開発手法などの知識はもちろん、課題分析・解決力、コミュニケーション力、交渉力、リーダーシップなど幅広いスキルが求められます。

組み込み・制御エンジニア

自動車・家電・通信機器などさまざまな製品に搭載され、製品を動作させる制御システム・組み込みソフトウェアの開発・実装を行います。近年、電子機器でシステムが搭載されていない製品はほとんどないため、組み込み・制御エンジニアはあらゆる種類のメーカーで活躍しています。

必要とされるスキルは「アセンブラ」「C言語」など。大規模プロジェクトでは「C++」や「Java」などのプログラミング言語を使用することが多く、複数タスクの並行動作が可能である「リアルタイムOS」上での開発スキルも求められます。

プリセールス・セールスエンジニア

主に自社製品・サービスを持つITベンダーに所属し、クライアントに対して製品・サービスの説明や提案、導入支援を行います。一般的なセールス(営業)と異なるのは、「技術」の知見をベースとしている点にあります。契約後はエンジニア部門と連携し、導入開発プロジェクトを進めます。

扱う製品・サービスに関連する開発経験、運用・保守経験が活かせるほか、クライアントの業務(会計・生産管理・物流など)も理解していることが望ましいとされます。

テクニカルサポート

一般的には自社製品・サービスを持つ企業に所属し、ユーザーからの問い合わせに対応します。技術的な知識をベースに、操作方法を教えたりトラブルシューティングを行ったりします。扱う製品・サービスに関する技術知識をはじめ、相手の話を聴くヒアリング力、わかりやすく説明する力、トラブルの原因などの分析・解決力が求められます。

品質管理(テスト・QAエンジニア)

IT分野においての品質管理は、システム開発のプロセスで正常に動作するか、「バグ」などの不具合はないかをチェック。不具合があれば開発エンジニアにフィードバックを行い、修正されたものを再度チェックします。

クライアントやユーザーのニーズを満たすクオリティを実現しているかどうかを評価します。技術の基礎知識、問題点を追求する探求心、開発部門などと連携するためのコミュニケーション力が求められます。

情報システム・システム監査

主に監査法人に所属し、第三者の立場でクライアント企業のシステム環境を評価します。「信頼性」「安全性」「効率性」などの観点でシステムのチェックを行います。

評価・保証業務は「アシュアランス」、評価を踏まえてクライアントに改善提案を行う業務は「アドバイザリー」と呼ばれます。クライアントがシステムを活用した新たな取り組みを行う際には、リスクなどを分析・提案する「コンサルティング」を担うこともあります。

大規模基幹システムを手がけた経験、システム開発の下流工程~上流工程の経験などが求められる仕事です。

AI・データエンジニア

AI(人工知能)の知識・技術をベースに、企業の事業活動におけるAIの活用方法の提案、データ解析、システム開発などを行います。類似職種には「データサイエンティスト」「機械学習エンジニア」などがあり、企業によって呼称が異なります。

求められるスキルは役割にもよりますが、「数学の知識(微分積分、確率、線形代数など)」「統計学の知識」「機械学習、ディープラーニングの知識」「PythonやRなどの言語を用いたプログラミングスキル」 「SQLなどデータベースの知識」などが挙げられます。

ITコンサルタント

主にコンサルティングファームに所属し、クライアント企業が抱えている課題に対し、ITを活用した解決に取り組みます。クライアントの経営者・経営企画・事業部門責任者・情報システム担当者などから課題・要望をヒアリング。システム開発の上流工程である「企画」「要件定義」などを担います。ITに関する専門知識に加え、クライアントの業界・業務に関する知識が求められます。

ITエンジニアに必要なスキル・資格、向いている人

これまでご紹介してきたとおり、ITエンジニアに求められるテクニカルスキルは分野によって異なります。なお、分野ごとに資格や検定があります。

情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験では、「ITパスポート試験」を入り口として、「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」などが汎用的。そのほか、専門領域ごとに資格が設置されています。国際団体が認定する資格もあります。インフラエンジニアに関しては、ネットワーク機器・ツールを提供するベンダーが資格認定しています。

ただし、採用において「資格」が必要とされるケースは少なく、「実務経験」が重視されます。しかしながら、資格を取得することで「基礎知識」「体系的な理解」「向上心」が評価されるケースも多々あります。特にネットワーク系エンジニアの場合、ベンダー資格を取得することで未経験者や経験が浅い人でもプラス評価を得られます。

専門スキル以外で、ITエンジニアの多くに共通して求められるのは次のようなスキル・素養です。以下の要素を持つ人が、ITエンジニアに「向いている」といえるでしょう。

論理的思考力

目的や課題に応じたシステムの設計・構築、あるいは問題が発生した場合の解決にあたっては、論理的に考える力が必要とされます。

コミュニケーション能力・折衝力

単独での作業が多い職種もありますが、実はコミュニケーション力も重要です。要件定義・設計など上流工程を担当する場合は、クライアントや発注部署の担当者と折衝を行います。プログラミングやコーディングといった下流工程を担当する場合も、プロジェクトを円滑に進めるためにチームメンバーとのコミュニケーションが必要となります。

学習力・向上心

新しい技術や手法が次々と生まれてくる業界であるため、知識・スキルをアップデートし続ける必要があります。学習を継続する力や意欲が欠かせません。

マネジメント力

プロジェクトのリーダーやマネジャーを担うようになると、「マネジメント力」も求められます。プロジェクト全体を見渡して複数の作業を同時に進めていくため、多角的に物事を見る力やスケジュール管理能力が必要となります。

ITエンジニアへの転職には、転職エージェントを活用しよう

ITエンジニアは非常にニーズが高く、求人の選択肢が豊富にあります。「下流工程から上流工程へ」「2・3次請けから1次請けへ」「業務系からスマホアプリ系へ」「オンプレミスからクラウドへ」「エンジニアからコンサルタントへ」など、キャリアの選択肢も多様です。企業によっては、フルリモートワークやフルフレックスなど、自由度が高い働き方を選ぶことも可能です。

自身の視点だけで求人を探した場合、選択肢や将来の可能性を狭めてしまうこともあります。自身のキャリアビジョン・志向・価値観に合う企業やポジションに出会うために、転職エージェントの情報とサポートサービスを活用してはいかがでしょうか。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事作成日:2020年11月4日 記事更新日:2023年2月24日

リクルートエージェントでは、転職でお悩みの方に適切なアドバイスをお送りしています。また、企業の面接対策や職務経歴書の作成サポートや、スムーズな退職のためのサポートを行っています。お悩みの方はぜひ一度相談に来てみてください。