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「システム監査」の仕事内容とは?求められるスキル・将来性を解説

システム監査

「システム監査」の仕事に「興味がある」「転職を考えている」というエンジニアの皆さんに、仕事内容、働き方、仕事の魅力、適性、キャリアパス、転職市場でのニーズなどについて、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーがお伝えします。

システム監査って、どんな仕事?

主には監査法人に所属し、第三者の立場でクライアントのシステム環境を評価する仕事が「システム監査」です。システム評価の指標となるのは、「信頼性」「安全性」「効率性」など。つまり「システムが停止しないか」「外部からの侵入を防げるか」「内部情報を抜き取られないか」といった観点でチェックを行います。

システムを評価・保証する業務は「アシュアランス」、評価を踏まえてクライアントに改善提案を行う業務は「アドバイザリー」と呼ばれます。

また、クライアント企業がシステムを活用した新たな取り組みに着手する場合など、それに伴うリスクなどの分析・提案を行う「コンサルティング」まで担うこともあります。コンサルティングをどのレベルまで行うかは、監査法人によって方針が異なります。

システム監査を行うエンジニアは、監査法人のほか、事業会社のシステム部門に所属しているケースもあります。自社のシステムを評価し、監査法人からの評価やアドバイスを受けて、社内での改善プロジェクトを主導します。

事業会社に所属している場合、システムの評価・改善に専任で取り組むケースもあれば、「社内SE」として運用・開発業務と並行して手がけているケースもあります。

システム監査のやりがいは?どんな人が向いている?

システム監査は、社会貢献性が非常に高い仕事です。企業が新たな事業に取り組んだり、変革を図ったりする際、「リスク」が見えていなければ、計画を実行に移す決断ができません。セキュリティ面はもちろんのこと、自然災害などにも備え、事業継続のためのリスク対策を万全にしておく必要があります。

社会への影響が大きな大企業ほど、チャレンジするためにはリスク管理が必要となります。企業が新たなことに取り組み、成長していくことは、日本経済の活性化につながります。企業のリスク管理を支え、チャレンジの後押しをする点で、社会貢献を感じられると言えるでしょう。

また、経営との接点が多い仕事でもあります。クライアント企業に対し「利益を生む」目的でコンサルティングを行う場合、事業部門トップと協議することが多いかと思いますが、監査となると、「事業継続」をミッションとする経営陣とのコンタクトが必然的に多くなります。より経営に近い立場で支えとなれるやりがいも感じられるでしょう。

このように、システム監査職は、社会や企業への貢献意欲が強い人が向いているといえますが、そのほかに「知的好奇心が強い人」にもマッチします。

システム監査を務めるにあたっては、多岐にわたる知識を学び、情報を取り入れなければなりません。さまざまなシステムの構成内容の知識に加え、最新のシステムの知識、クライアント企業独自のルールへの理解も必要です。

評価に際しては、感覚や経験値に頼るのではなく、体系的に考える必要がありますので、理論をしっかり学ばなければなりません。ですから、勉強して知識を増やしていくことが好きな人に向いています。「特定の技術を深掘り、極めたい」「最先端の技術に触れていたい」といった志向も満たせるといえるでしょう。

また、クライアント企業の内情や新たな取り組みに関する情報も入ってきますので、「ビジネスや経済のトレンドを知り、視野を広げたい」という志向を持っている人も面白みを感じられると思います。

なお、「安定感を持って働きたい」というワークライフバランス重視型の人にもフィットします。「開発」をしないため納期を気にかける心配ことがなく、「運用」しないので突発的なアクシデントへの対応もありません。計画的に、スケジュールをコントロールしながら働ける仕事だといえます。

システム監査の仕事に必要なスキル・資格は?

システム監査の仕事に就くにあたって、条件として金融、通信、官公庁や大手製造業など、「絶対に止めてはいけない」大規模基幹システムを手がけた経験を求められることが多いようです。また、システム監査は評価のみでなく、提案と改善のサイクルにも関わっていきますので、システム開発の下流から上流まで一連の工程の経験も必要とされます。

このほか、「会計」関連の知識が重視される傾向が見られます。監査とは、もともと会計システムの信頼性・安全性の評価から始まっていますので、会計システムに携わった経験や簿記の知識・資格があればプラス評価につながります。

近年は、海外に拠点展開する大手メーカーや総合商社の案件も増えていますので、英語力が必要とされることもあります。必ずしも「必須」ではなく、求人においてもTOEICスコアの条件を明示されていることはあまりないのですが、TOEIC700~800点レベルの人が採用に至っているケースが多く見られます。

「資格」については、実務経験が最重視されますので、必須ではありません。しかし、システム監査職の方々は資格保有率が高い傾向にあります。「体系的な知識」「学習への意欲」が重要な仕事ですので、資格はそれらの素養を持っている証明として捉えられるといえるでしょう。

対象資格としては、情報処理推進機構(IPA)が実施する「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」をはじめ、「CISA」を取得している人が多く見られます。「CISA」は情報システムの監査、セキュリティ、コントロールに関する高度な知識、技能、経験について、 この分野の国際団体であるISACAが認定する国際資格。日本語では「公認情報システム監査人」と称されます。

システム監査にはどんなキャリアパスがある?

監査法人内では「アシュアランス」業務からスタートし、「アドバイザリー」業務へステップアップします。役職としては、「スタッフ」→「マネジャー」→「シニアマネジャー」→「パートナー」へと昇格します。パートナーになるまでの期間は、一般的に15年前後と言われます。

ITエンジニア関連職の中でもシステム監査の年収は高水準。平均的にはマネジャーからシニアマネジャーへの昇格で年収200~300万円アップ、シニアマネジャー以上となれば年収1000万円以上に達することがようです。

「特定領域を極めたい」、あるいは「コンサル領域に携わりたい」などの志向から職場転換を図る場合は、「他社への転職」より「グループ内別会社への転籍」という道を選ぶケースが多数です。一方で、所属法人と方向性が合わない場合などは、別の監査法人グループやコンサルティング会社などに移るケースもあります。

また、システムに関する幅広い知識を活かし、事業会社に転職する道もあります。評価やリスク管理にとどまらず、事業戦略の策定にまで携わることを志向する人が、ベンチャー企業のCIO (Chief Information Officer:最高情報責任者)として迎えられるケースも見られます。

システム監査エンジニアの採用ニーズは?

システム監査職の中途採用は、若手層を対象とする求人が大半です。「基幹システムの上流工程の経験」+「ポテンシャル」を重視した採用が行われています。

全般的にニーズは高いのですが、採用意欲は監査法人によって異なります。最近は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多くの企業が「リモートワーク」の体制構築に動いています。コロナ収束後もリモートワークは定着すると見られており、大きなパラダイムシフトに対応するにあたってリスクコンサルティングのニーズが高まっています。

こうした変革期のアドバイザリーやリスクコンサルティングに力を入れている法人では積極採用を行っています。

また、「事業会社に移りたい」という人にも、チャンスがあります。大手企業のサイバーテロによる情報漏洩事件が、度々ニュースで報道されていますが、企業側も危機感を強め、対策をとっています。システム監査の経験者は歓迎されるでしょう。

※本記事の内容は、2020年7月取材時点の情報です。

リクルートエージェント キャリアアドバイザー 堤 祥太
リクルート(旧:リクルートキャリア)の転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、主にSE・ITエンジニア全般を担当。

【参考】SE・ITエンジニアの転職者向け求人情報

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