
転職する際、企業に応募すると履歴書や職務経歴書など書類を提出し、そこでまず、書類選考が行われるのが一般的です。転職が初めての方は、提出する書類の書き方に悩むことも多いのではないでしょうか。ここでは、書類の書き方のポイントをご紹介します。
書類選考に必要な書類
転職の書類選考は、一般的に履歴書と職務経歴書によって行なわれます。応募先企業や職種によっては、能力やスキルを示す書類が必要になるケースもあります。たとえば、外資系企業や貿易事務職などでは英文レジュメ、クリエイティブ系の職種ではポートフォリオや過去の作品、プログラマやSE職では開発ツールのアカウントの提出が求められることが多いです。応募先企業が選考でどのような書類を必要とするかは、求人情報に記載されていますので作成前に確認しましょう。
なお、リクルートエージェント経由で応募する場合は、エージェントで作成するキャリアシートが履歴書の代わりになることがあります。
書類選考通過のポイント
多くの企業が面接の前に書類選考を行なっている理由は、応募者が募集ポジションに合致した経験・スキルを持っているかを確認するためです。そのため、応募書類には経験やスキルが企業にしっかり伝わるように書くことが重要です。
以下で、書類別に解説しています。ぜひ参考にしてください。
職務経歴書
職務経歴書は応募者が所属していた会社や、経験してきた職務内容についてまとめたものです。そのため、企業は職務経歴書から、応募者が自社の戦力になり得る経験を有しているか、どのような可能性を持つ人物なのかを確認しています。特に企業は、仕事内容とその成果を重視していることが多いと考えて作成しましょう。職務経験が浅い人は仕事への取組み姿勢などを追記するとより良い印象を与えられる可能性があります。
書き方のポイント
フォーマットに明確な定めはなく、これまで職歴・得た知識やスキルをどのようにまとめるかがポイントになります。
まずは、これまでの職歴から以下の点を、具体的な事例とともに書き出してみましょう。
・それぞれの職務で、どんな仕事に携わったか
・何を意識して仕事に取り組んだか、どのような結果が出たか
・得られたことや気づいたこと
その上で、応募先企業で活用できそうな経験・スキルや、自分のアピールポイントは何かを検討します。
職務経歴書の形式は、時系列に記載する「編年体」、直近の経験からさかのぼる「逆編年体」、経験した職務・スキルごとにまとめる「キャリア式」の3つがあります。
どの形式で記載したら自分の強みがより分かりやすく伝えられるかを検討し、作成しましょう。
【参考記事】職務経歴書の書き方・職種別の書き方見本とフォーマットダウンロード
【参考記事】職務経歴書テンプレートの選び方とダウンロード(Word形式)
【参考記事】自己PRの書き方と面接での伝え方(職務経歴書や面接で使える例文つき)
履歴書
履歴書は、応募先企業が学歴・職歴など、あなたのプロフィール確認する書類です。そのため、基本的な情報を正確に記入することが重要です。「志望動機」や「自己PR」欄がある場合は入社への意欲や、入社後にどのように活躍できるかを簡潔にまとめましょう。
書き方のポイント
履歴書はフォーマットが概ね決まっている書類なのでフォーマットに沿って、各項目を相手が「読みやすく」・「丁寧に」記入することが基本です。その上で、応募先企業の募集職種や会社の事業内容を踏まえた「志望動機」や、「自己PR」欄がある場合はこれまでの経験をもとに、今後応募先企業でどう活躍できるか、自分の強みなどを記載しましょう。
履歴書を作成する際は、ビジネスパーソンとしての常識を逸脱するようなマナー違反をしていないかに気を付けましょう。たとえば、写真が貼られていない、誤字脱字や不備がある、他社の応募に使用した履歴書を使いまわしている、などです。
また、どんな企業でも通用する「志望動機」や「自己PR」などは、入社意欲の低い応募者として書類選考の結果に影響を与える可能性もあります。企業と自己分析をしっかり行った上で、応募先企業ならではの内容にすることをおすすめします。求人要件とキャリアがマッチしていても、応募書類の書き方で「一緒に働きたいとは思えない応募者」と判断されてしまい、書類選考を通過できない可能性も考えられますので、丁寧かつ魅力的な履歴書の作成を心がけましょう
【参考記事】履歴書の書き方・見本(テンプレートダウンロード付き)
英文レジュメ
応募先企業が外資系企業や日系グローバル企業の場合、提出することが多いのが英文レジュメ(英文履歴書)です。英文レジュメは日本語の履歴書と職務経歴書を融合させたような内容で、仕事に関連する自分の情報をまとめるのが一般的です。
日本語の履歴書とは作成上のポイントが異なり、あくまでも応募する職種やポジションに合う経験やスキルのみに絞ります。「この応募者はこのポジションで求められる職歴やスキルを持っている」と、採用担当者に伝わる構成にすることをおすすめします。
Objective(目的)とSummary(要約)で簡潔に構成
英文レジュメの書き出しはObjective(目的)とSummary(要約)にするのが一般的です。「Objective」には、応募ポジションと、そのポジションに応募した目的を記載します。 経歴を表記する「Summary」は、応募ポジションに見合う経歴を持つ人物であると伝わる構成にすることがポイントです。まずは応募するポジションでどのような経験やスキルが求められているかを求人情報や企業ホームページなどを読み込むなどし、把握しましょう。その上で、自分の経歴から、ポイントに沿って経歴を抽出し、各経歴を3~4行の箇条書きでまとめます。客観的な表記が重要なので、「8年間Web広告サイトのマーケティング・アカウンターとしての法人営業経験、および3年間のチームマネジメント経験」など、可能な限り実績は数値で記載することをおすすめします。
使い回しや誤字脱字に注意
応募先企業や職種によって求められるポイントは異なるでしょう。そのため、複数の企業やポジションに応募する際はその都度自分の職歴を精査し、アピール要素が高いレジュメを作成するのが基本です。似たようなポジションに複数社応募する場合でも、使い回しは避けたほうが無難です。
場合によっては、英文レジュメと日本語の職務経歴書双方の提出を求められるケースもあります。外資系企業の場合は、海外の本社用に英文レジュメを、日本国内での選考に職務経歴書を用いるのが一般的です。日系企業の場合は、応募者の英語力を判断するツールとして英文レジュメを使用することもあります。いずれにせよ、スペルミスがないかをしっかりチェックし、正確な書類を作成するようにしましょう。
【参考記事】「英文履歴書」の書き方のコツ
書類選考の期間と通過率
書類選考にかかる期間は、1~2週間という企業が多いです。
【参考記事】転職の書類選考の期間はどのくらい?連絡がこない理由と対処法は?
また、書類選考の通過率は、募集内容や応募者の経験・スキルによって変化しますが、約5割というのが一般的です(リクナビNEXTの調査結果より)。複数の求人に応募したものの、書類選考の通過率が5割よりも極端に低い状況が続くのであれば、応募先(業界、職種等)や応募書類の内容を見直すことをおすすめします。
見直しのポイントは、応募先の仕事内容と自分の経験やスキルがかみ合うものであるかどうか、応募書類で自分の経験を活かせることをアピールできる内容になり得ているか、転職理由や志望動機に一貫性があるか、退職理由に疑問を感じることはないか、といった観点から検討してみましょう。
また、客観的なアドバイスをもらうことも、有効な改善策のひとつです。友人や家族など身近な人に目を通してもらう、あるいは転職エージェントに相談するなど、書類選考の通過を目指し、前向きに検討しましょう。