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【社労士が解説】満額ボーナスをもらって転職するベストスケジュールの立て方は?

転職 ボーナス

「確実にボーナスをもらうための転職スケジュールの立て方を知りたい」「転職先でボーナスをもらえるのはいつから?」──そんな疑問について、社会保険労務士の岡佳伸さん監修のもと、お答えします。

ボーナスをもらってから転職するポイント

「ボーナスを受け取って退社」を狙う場合、まずは自社のボーナス支給規程を確認しましょう。「就業規則」あるいは「給与規程(賃金規程)」「賞与規程」などを参照すると、記載されています。支給規程は企業によって異なりますが、多くの企業の場合、「ボーナス支給日に在籍していなければ支給しない」規程とされています。

例えば、ボーナス支給日が12月10日であるとします。転職先企業から「12月1日に入社してほしい」と言われ、前の会社を11月30日に退職した場合は、ボーナスをもらえないケースが多いのです。この場合、退職日を12月11日以降に設定し、転職先への入社日をさらにその後に設定すれば、ボーナスを受け取ることができます。

なるべく多額のボーナスを受け取りたいなら、「退職を申し出るタイミング」を計ることも重要です。査定期間中──つまり、賞与額を決定するための人事評価を行う期間中に退職を申し出ると、それが評価に影響し、本来もらえるはずだった金額より減額される可能性がないとも限りません。

ですから、自社の規程の「査定期間」を確認し、なるべくなら査定期間終了後に退職意思を表示するのが得策です。ただし、就業規則には「退職希望日の○カ月前までに退職を申し出なければならない」といった規程も設けられていますので、その時期との調整が必要です。

転職先でのボーナス支給はいつから?

転職先でいつからボーナスをもらえるか、どれくらいの額をもらえるかは、その会社の規程によります。判断のポイントは、「査定対象期間に在籍していたか」です。

以下の規程を例にとってみましょう。

●査定対象期間(冬のボーナス)

4月1日~9月30日 → 10月~11月に査定・金額決定 → 12月に冬季賞与支給

●査定対象期間(夏のボーナス)

10月1日~3月31日 → 4月~5月に査定・金額決定 → 6月に夏季賞与支給


4月1日入社の場合、夏季ボーナスの査定対象期間である10月1日~3月31日にはまだ在籍していないため、夏季ボーナスは支給されません。しかし、12月まで働けば、4月1日~9月30日の査定が反映された冬季ボーナスが支給されます。

ただし、上記のように4月1日入社で夏季ボーナス支給対象外であっても、会社の配慮により、「寸志」程度の金額が支給されることもあります(業績に応じ、1万~5万円など)。

また、通常の査定期間は6カ月間ですが、入社のタイミングによって、査定対象期間中の在籍期間が1カ月~5カ月間である場合もあります。その場合、在籍した期間分が査定の対象となり、その期間分のボーナスが支給される会社が多数です。入社前にボーナスの規程・額を知りたいのであれば、内定が出たあたりのタイミングで、給与条件と合わせて尋ねるといいでしょう。

その前の選考段階で知りたい場合は、求人情報に賞与の前年実績が記載されていることがあります(「○カ月分」など)。ただし、「○カ月分」という表記は、「基本給の月額」の場合もあれば、手当などまで含めた「総支給の月額」の場合もあります。それによって金額が大きく変わることを心得ておいてください。

満額ボーナスをもらって転職するスケジュールの立て方

上記を踏まえ、ボーナスを受け取って退職するためのスケジュールをシミュレーションしてみましょう。企業のボーナス支給規程として、よく見られるモデルを例にとります。

就業規則では、「退職希望日の1カ月前までに退職を申し出る」規程と設定します。
このケースであれば、以下のようにスケジュールを組むことで「査定へのマイナス影響」「ボーナスのもらいそびれ」を防止できます。

ボーナスを確実に受け取るスケジュール例

※有給休暇消化と夏季休暇を合わせ、8月末退職→9月1日入社で設定する方法もあります。

なお、引継ぎに時間がかかると見込まれる場合、退職の申し出~退職日までを長めにとったほうがいいでしょう(1カ月半~2カ月など)。早いタイミングで退職意思表示をすることで査定に影響することを避けるなら、新しい会社への入社時期を後ろ倒しにする方法もあります。

ボーナスにこだわりすぎないことも大切

ボーナスを受け取ることにこだわりすぎると、転職チャンスを逃してしまう可能性もあります。企業側が、プロジェクトのスケジュールの都合などで、「この日までに入社してほしい」と考えている場合、その日に入社できなければ採用見送りとなる可能性もあります。

1回分のボーナスを手にしても、長い目で見たとき、将来の収入アップにつながるキャリア構築のチャンスを逃したのでは、本末転倒と言えるでしょう。自身にとって、今のタイミングで本当に大切なのは何なのか、見失わないようにしてください。

また、ボーナスをもらってすぐに退職するとなると、上司や同僚は快く思わないかもしれません。しかし、なるべくなら円満に退職し、退職後もいい関係を続けたいものです。そのためには、引継ぎを怠らず、最後まで組織に貢献しようとする姿勢で取り組みましょう。

転職エージェントを活用しよう

ボーナスをもらった上での転職を図る場合、これまでお伝えしたとおり「スケジューリング」が重要です。転職エージェントであれば、求職者個人ではわからない、企業の選考スケジュールを把握していますので、応募するタイミングや入社時期などを判断・調整することが可能です。

また、企業から強く求められる方であれば、「企業側の希望時期に入社すると、前の会社でのボーナスを受け取れない」といった場合、転職先企業が「入社支度金」などの名目で、そのボーナス額に相当する額を支給するケースも。そうした交渉も、転職エージェントが間に入って行うことが可能です。

企業との交渉をスムーズにするためにも、転職エージェントを活用してはいかがでしょうか。

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社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所代表 岡 佳伸氏

アパレルメーカー、大手人材派遣会社などでマネジメントや人事労務管理業務に従事した後に、労働局職員(ハローワーク勤務)として求職者のキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は、雇用保険を活用した人事設計やキャリアコンサルティング、ライフプラン設計などを幅広くサポート。特定社会保険労務士(第15970009号)、2級キャリアコンサルティング技能士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士など保有資格多数。

リクルートエージェントでは、転職でお悩みの方に適切なアドバイスをお送りしています。また、企業の面接対策や職務経歴書の作成サポートや、スムーズな退職のためのサポートを行っています。お悩みの方はぜひ一度相談に来てみてください。