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転職の適性検査「SPI」は合否に影響する?SPIの開発会社が対策をアドバイス

転職 SPI

企業が採用選考で実施する「適性検査」の中でも、代表的なものが「SPI」。最近は転職活動でも対策が必要だと言われるように、新卒採用だけでなく、中途採用で実施する企業も増えています。

そこで、SPIの開発元であるリクルートマネジメントソリューションズの測定技術研究所 研究員 新井一寿さんに、転職でのSPIは中途採用の合否に影響するのか、応募者はどんな対策をすればよいのかについて、開発元の目線から解説をしていただきました。

転職でもSPIは実施される?その目的は?

SPIとはどんなもの?

企業が人材の採用を行う際に、応募者の能力や人となりを把握する目的で「適性検査」と呼ばれるテストを行うことがあり、そのうちのひとつが「SPI」です。SPIは全国で約1万3600社の企業に利用され、年間204万人が受検しています(2019年度実績)。中途採用に導入している企業も数千社あり、転職活動でSPIを受検するケースは増えていると考えられます。

SPIは大きく2種類の検査で構成されており、働く上で必要な知的能力を測る「能力検査」と、応募者の人となりを把握する「性格検査」がセットで実施されます。採用職種によっては、それらに「英語能力検査」が加わることもあります。

●能力検査

あらゆる仕事をするうえで必要となる、基本的な知的能力を測る検査です。
具体的には、言葉の意味や話の要旨を的確に捉えて理解する力を測る「言語分野」と、数的な処理や論理的な思考力を測る「非言語分野」の2種類の問題があります。これらを通じて、コミュニケーション力や思考力、新しい知識・技能の習得のベースとなる能力などを測定しています。

実際の問題のイメージは以下をご覧ください。
【参考URL】SPIの能力検査とは?

●性格検査

日ごろの行動や考え方に関する質問から、その人がどんな人なのか、どのような仕事や組織に向いていそうかなどを把握するための検査です。
具体的には、日常の行動や考え方について複数の質問項目が提示され、「どの程度自分にあてはまるか」を選んでいきます。

実際の問題のイメージは以下をご覧ください。
【参考URL】SPIの性格検査とは?

企業が中途採用でSPIを導入する目的は?

中途採用は基本的に「経験者採用」なので、企業は応募者に職務経歴書の提出を求め、職務経験やスキルを大きな選考基準とします。半面、新卒採用より選考期間が短い傾向があるため、限られた時間の中で職歴だけでなく、応募者の人となりを確認・評価するのは難しいものです。面接者によって評価のばらつきが生じる問題もあり、その結果「職歴やスキルは十分だったのに、社風に馴染めず辞めてしまった」という例も少なくありません。

そこでSPIを始めとする適性検査を用い、能力特性や性格特性の客観的な評価を採用選考の一部に取り入れることで、短時間でも応募者の人となりや、求めているポストに適した人材であるかどうかを、より的確に把握することが可能になるのです。

SPIを採用だけではなく、入社後の育成やフォローアップに活用する企業もあります。
即戦力として採用された転職者であっても、新たな組織の文化や仕事の進め方に馴染むまでは一定の時間がかかるものです。そんなとき、職場の上司や同僚に転職者のSPIの結果を共有しておくことで、人物への理解が深まり、質の高いコミュニケーションに繋げることができます。SPIは選考用のツールと思われがちなのですが、このように入社後の育成に使用できる報告書も用意しており、多くの企業にご活用いただいているのです。

選考のどの段階で行われることが多い?

中途採用でのSPIも新卒採用と同様に、一次面接の前か、一次面接と同じ日に実施されることが多いようです。受検方法は、自宅などのインターネット環境のある場所でWEB経由のテストを受けるか、応募先企業へと出向いて受検するケースが多くなっています(後述)。

企業はSPIの結果から何を見る?

能力検査では、職種の違いを越えて共通して要求される「知的能力」を測定しています。具体的には、課題に対して合理的に思考し、目的を定めそれに沿って行動し、効果的・能率的に事態を処理していくなど、実際の仕事の場面で求められる能力が数値化されます。企業はこの結果を「自社が求める能力水準を満たしているかどうか」という観点で参考にしています。

性格検査では、応募者の性格的な特徴に加えて、どのような業務内容や職場の雰囲気に適応しやすいかが数値化されます。企業はこうした結果を見て、自社の求める人材像と応募者の持つ特徴が合っているか、自社の職場風土に馴染むことができるかを確認しています。

また、「限られた面接時間を有効に使うため、応募者に質問すべき内容を事前に想定する際にSPIの結果を利用している」、「面接での印象と異なるところはないかについても確認している」という声も聞きます。応募者の人となりをより深く理解できるように、数値化された情報から、面接で確認しておきたいポイントや具体的な質問例も提供しているので、こうした情報を有効にご活用いただいているのだと思います。

合否にどう影響する?SPIで落ちることはある?

新卒採用では一度に大勢の応募者の選考を行うことが多いので、面接に進める応募者の優先順位づけのために、書類選考と合わせてSPIの結果を活用することがあります。

一方で中途採用では、面接の場面において、応募者の人物理解のための参考資料として利用されることが多いようです。採用担当者はSPIの結果と面接を合わせて応募者の人物特性を理解し、自社に合う人材だと総合的に判断すれば採用となるでしょう。

仮に選考が進んで応募者への評価が拮抗した場合、「同じ基準で客観的に比較できる指標」としてSPIが利用されることもあるかもしれません。しかし、SPIは万能ではなく、応募者の人となりをすべて説明することはできません。あくまでも他の要素と合わせて判断されることでしょう。

出題内容や問題のレベルは新卒向けのSPIと同じ

SPIには大学新卒採用向けの「U」、中途採用向けの「G」といった種類がありますが、これらの違いは得点を算出する際の基準母集団です(学生か社会人か)。出題内容や検査方式は大きく異なることはありません。
また「新卒の能力検査の正答率は7〜8割必要だが、転職では3〜4割で十分」という言説を時々耳にしますが、あまり正しくはありません。企業が能力検査に求める水準はあくまでもケースバイケースです。「中途採用だから、新卒よりも正答率が低くていい」と決めつけることのないようにしましょう。

SPI対策は「受検方法」と「問題形式」に慣れること

例えば私たちが資格試験を受ける際には、合格を目指して勉強をします。しかし、SPIは学力を測定しているわけではありませんので、事前に何かを記憶したり、練習問題を解いたりすれば成績が上がるというものではありません。その理由と、お勧めしたい準備や心構えについて解説しましょう。

能力検査の対策

能力検査は、出てきた問題を正しく理解し、処理することが求められるテストですから、付け焼き刃で対策をしても、得点結果はさほど変わらないことが実証されています。

それよりも重要なのは、本番で自分の実力をきちんと出せることです。
パソコンでの受検では「手元で計算して画面上で答える」「次に進むと前の画面には戻れない」など独特の進め方があるので、あらかじめ受検方法や解答方法を確認しておきましょう。実際に受検する際には、本番の前に「説明画面」や「練習画面」が用意されていますので、ぜひ活用してください。

また、どのような形式の問題が出題されるか全く知らないと、受検のときに焦って力が発揮できない可能性があります。ですからどんな問題が出るのか、どんな感覚で解いていくのかを事前に把握しておきましょう。「【参考URL】SPIの能力検査とは?」に問題例があるので、確認しておくことをお勧めします。

性格検査の対策

性格検査の準備は特に必要ありません。とにかく自分を正直に出し、あまり考え過ぎずに答えていくことが大切です。

性格検査では似た質問が何度も出てくるため「答えが食い違うと矛盾になるのでは?」と考える方もいますが、心配はいりません。これは、ひとつの性格特性について表現を変えながら多角的に質問することで、その特徴の強さを精度高く測定するための手法です。同じ人物の中でも回答がぶれるのが普通なので、「正解は何だろう?」などと考えず直感的に答えていきましょう。

逆に、志望企業の求める人材像に合うように回答を取り繕っても、その後の面接で回答内容と実際の人物とのかい離はすぐに明らかになってしまうでしょうし、仮に入社できたとしても、企業風土や職務に合わず苦労する可能性もあります。企業によって求める人材は異なり、1つの企業のなかでも特定のタイプの人材だけを必要としているわけでもありません。自分の持ち味に合った仕事や企業に出合うためにも、正直に回答することをお勧めします。

問題数と時間制限について

基本的なSPIでは、パソコン受検は能力検査と性格検査を合わせて約65分、マークシート受検は110分です。

パソコンによる能力検査は、IRT(Item Response Theory:項目反応理論)という技術を用いた「適応型テスト」を導入しています。適応型テストでは、出題した問題に対する正誤をもとに受検者の能力を推定し、次にその人に合った難易度の問題を選んで出題するという「視力検査」のような方法で、受検者の能力レベルを測定しています。よって出題内容・出題数とも受検者によって異なり、能力を精度高く推定できた時点で終了となります。
一問ごとに時間制限がありますが、多くの人が十分に解ける時間を設定しているので、出題を良く読み、焦らずに解答していきましょう。

性格検査の方は全員が同じ内容で、全問を回答する前提で設計されています。問題数は多いですが、時間は十分あるので慌てずに取り組んでください。

転職でのSPIの実施方法は?

SPIの実施方法は、中途採用での利用が多い順に次の4種類。どの方法になるかは応募先企業によって異なります。企業からの案内をよく読み、間違いのないよう受検しましょう。

●WEBテスティング

インターネット環境に接続できるパソコンから受検する形式。企業から指定された受検期間内で、自分の都合のよい時間に自宅などのパソコンから受検します。

●ペーパーテスティング

応募先の企業が用意した会場で、紙のテスト用紙を使い、マークシートで受検する形式です。

●インハウスCBT

応募先企業内のパソコンで受検する形式で、一次面接と同じ日に実施する企業も多いようです。その場で結果が出て面接に使えるため、企業と応募者の両方にとって効率的です。

●テストセンター

リクルートマネジメントソリューションズが準備する専用会場のパソコンで受検する形式。指定された受検期間から都合の良い日程・会場を予約し、自宅のパソコンかスマートフォンで性格検査を済ませた後、会場に足を運んで能力検査を受検します。

等身大の自分を出すことがメリットになる

40年を超える実績の中でデータを蓄積してきたSPIの目的は、学歴などの属性を離れた1人ひとりの人物特性を理解し、「個を生かす」採用選考を実現することにあります。
その意味で、応募先の企業に入社して長く活躍していくためには、SPIに対して「ありのまま」のスタンスで向き合うことが、自分にとっていちばんのメリットになります。

例えば、性格検査で自分を良く見せようと日常の考え方や行動と異なる回答をしてしまうと、本来合っている業務内容や職場の雰囲気に「適応しにくい」という検査結果が出たり、逆に本来は適応しにくい業務内容や職場に「適応しやすい」という検査結果が出たりする可能性もあります。誤解に起因した転職は企業にも本人にとっても不幸です。

実力や性格的な特性が的確に反映できれば、SPIは自分の持ち味に合った職場とのマッチングだけではなく、入社後の周囲とのコミュニケーションや仕事・職場への適応においても、転職者の力になってくれることでしょう。

新井 一寿(HRアセスメントソリューション統括部 測定技術研究所 研究員)
2005年株式会社リクルートマネジメントソリューションズ入社。採用領域のアセスメントや従業員向けサーベイの研究・開発に携わる。その後SPIのコールセンターやテストセンター運営・採点物流のマネジメントを経験し,2017年より現職。SPIをはじめとする適性検査の開発・品質管理や心理測定技術に関する研究を担う。

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