
新卒入社してまだ1年〜2年目で、「このままこの会社にいることに不安を抱いている」「もっと自分に合う会社があるんじゃないかと思えてきた」――など、「転職」を意識し始める人は少なくありません。しかし短期間で会社を辞めて、ビジネス経験がまだ浅い状態で転職はできるのか、という不安もあるようです。新卒入社から1年〜2年での転職で心得ておくべきこと、成功のポイントを、リクルートのキャリアアドバイザーがお伝えします。
目次
新卒1年目での転職は可能
結論からお伝えすると、新卒1年目でも転職できます。
新卒入社して1~2年目の人たちは、一般的に「第二新卒」と呼ばれ、第二新卒を対象とした求人も数多くあります。昨今は、新卒採用競争が激化しており、予定していた採用人数を満たせない企業もあります。それを補うため、第二新卒を対象に中途採用が行われています。
第二新卒の場合、最初に入社した会社でビジネスの基礎を身につけていることから、導入研修が不要であるという点で、新卒より第二新卒を求める企業も見られます。このように、第二新卒は企業から一定のニーズがありますので、転職のチャンスは豊富にあるといえます。
転職を検討したほうがよいケース・慎重に検討したほうが良いケース
ここでは、転職を視野に入れたほうが良い場合・そうでない場合について説明します。
どちらのケースに自分が当てはまるのか考えてみましょう。
転職を検討したほうがよいケース
具体的には、下記の3つのケースが想定されます。
労働条件が悪い
たとえば残業が多かったり、休日出勤が常態化していたりする場合です。
どうしても仕事中心の生活になってしまい、プライベートの時間を確保できないと悩んでいる人は多いかもしれません。
単純に労働条件が理由で転職したいと伝えると、面接担当者はあなたを「条件で会社を選ぶ人」と判断するでしょう。
そうならないよう、前職の愚痴や不満ではなく客観的な労働環境を伝えた上で、それが自分には合わなかったという説明をしましょう。
あるいは今の会社でスキルを磨き、より良い条件の会社を選べる人材になってから転職する方法もあります。
会社の将来に不安がある
この理由の場合、状況によって、すぐ辞めるべきかどうかの判断が分かれます。今後のビジョンや成長性に不安を抱いたとしても、今取り組んでいる仕事でスキルを磨けるなら、もうしばらくとどまるのも手です。
しかし、事業内容が時代にそぐわなくなっていてニーズが減少していくような状態であれば、そこで経験を積んでも、今後に活かせなくなる可能性もあります。その場合は、早々に成長が望める分野へのキャリアチェンジを考えてはいかがでしょうか。
明らかに社風が合わない
「やりたい仕事ができると思って入社したけど、社風が合わない」という声もよく聞こえてきます。例えば「どんどん新しいチャレンジがしたい」と思っているのに、入社してみると、保守的な風土であることがわかった……など。価値観のギャップは、時間をかけても埋められるものではありませんので、自分の価値観や志向に合う企業へ移ることをお勧めします。
転職を慎重に検討した方が良いケース
一方で、安易に転職をおすすめできないケースもあります。下記のような場合は、努力次第でいい方向に転換できる可能性があるでしょう。転職するのはそれからでも遅くありません。
人間関係に悩んでいる
社会に出て働くようになると、自分と相性が合わない人も出てくることがあります。一緒に働く同僚や上司との人間関係がぎくしゃくしてしまうと仕事も上手くいかなくなり、ストレスに感じるでしょう。
そういった場合には、自分の考え方や相手との接し方を変えるなどして、周囲の環境ではなく、まずは自分から変わってみるというのもひとつの方法です。
また信頼出来る人に相談をするだけでも気持ちが軽くなる事があります。
仕事内容が想像していたのと違っていた/やりたい仕事ができない
「こんなキャリアを築きたい」という目標を持って就職活動を行い、会社説明会や面接で希望通りの仕事ができるという説明を受けて入社を決めたが、配属されてみると聞いていた仕事と違っていた――こうした理由であれば、目標に近づけるために早めに軌道修正したほうがいでしょう。応募先企業からも納得を得やすいといえます。
一方、「漠然とした憧れやイメージを抱いて入社したが、現実は異なっていた」ということであれば、くれぐれも早まらないようにしてください。イメージ通りの仕事ができるようになるまで、段階を踏んで経験を積んでいく必要があることもあります。まずは目の前の仕事を頑張ってみれば、見えてくることもあるはずです。また、希望の仕事ができる部署に異動するチャンスを探ってみてもいいでしょう。
「これがやりたい」「こんな自分になりたい」という目標が定まっていながらも、目指していることが実現できない、思うような成長ができないというケースもあります。それが今の会社で実現できないのであれば、早めの転職を考えてもいいでしょう。
新卒1年目で転職して成功する人の特徴
続いては、新卒1年目でも転職が成功する人の特徴について説明します。
新卒時の就職活動と転職活動の違いを理解している
新卒の就活では、企業は学生のポテンシャルに期待して採用します。
一方、転職活動ではポテンシャル以外の要素も判断材料に加わります。やる気以外にも、職務経験を通じて得たスキルを武器にしましょう。
自分の強みやスキルを把握している
一度社会人経験をしている分、学生時代に頑張ってきた事ではなく、過去に経験した業務を書き出すことができると思います。
そこでの経験から「こんな仕事を任された」という話や「作成した資料が評価された」など、どんなに小さな事でも「できること」のアピールをしてみましょう。
どんな仕事をしたいのか明確に説明できる
例えば「簿記・会計の知識を活かして経理に挑戦したい」といった、明確な説明ができるようにしておきましょう。何となく転職活動を進めてしまうと、曖昧な転職理由となり面接担当者に納得してもらいにくくなる可能性があります。
なぜ転職をしたいのかという理由を自分の中ではっきりさせ、動機となる軸を定めましょう。
転職活動を成功に導く3つのコツ
ここからは転職活動を成功させるポイントについて解説します。
ぜひ参考にしてください。
転職理由はあくまでも前向きな内容にする
面接で必ず聞かれる質問ですので、念入りに準備しておく必要があります。
前提として、会社に対する愚痴や悪口は控えましょう。面接担当者の心証を損ねてしまうため、不満があるとしてもポジティブな表現に置き換えることをおすすめします。
重要なのは会社や周りの環境のせいにするのではなく、自分自身のために転職を決断したという気持ちです。
在職中に転職活動する
会社を辞めてから転職活動をすると、収入源がない状態で動くことになります。お金の心配が出てくると精神的にも余裕がなくなってくるものです。
また、離職期間が長くなると「他の企業で選考がうまくいかなかったり、ちゃんと転職活動に取り組んでないのでは?」といったマイナスイメージを企業にもたれる可能性もあります。そのため、在職中に次の仕事を探すことをおすすめします。
転職エージェントの力を借りる
第二新卒世代であれば、転職経験がない人は多いでしょう。
初めて転職する場合は転職エージェントのサポートを受けることも有効な手段です。応募書類の作成から面接の日程調整、内定後の条件交渉などをサポートしてくれます。
非公開求人に応募できるメリットもあり、サポートを受けつつ効率よく転職活動を進めたい人に向いているでしょう。
新卒1年目の転職でよくある質問
最後によくある質問と回答をまとめました。
短期離職すると転職で不利になるのか
「入社して1年も経っていないのに会社を辞めると、印象が悪いのでは?」と心配する人は多いはずです。
確かに短期離職は定着性の観点と、経験者と比較した時の経験・スキルの観点で、採用担当者から懸念を持たれたり、選考での評価が不利になったりということはあるでしょう。ただし転職活動を検討しても良いケースに該当する場合は、早い段階で軌道修正するのが得策です。
1年しか働いていないのに辞めてもいいのか
かつては「石の上にも三年」と言われたように、すぐ会社を辞めるのは好ましくないと考える面接担当者が大多数でした。
しかし今は第二新卒への門戸が開かれており、むしろチャンスとも考えられます。
向いていないことを無理して続けるよりも、自分のスキルをより発揮できる環境に身をおいて成長する方が、自分も会社にとっても良い結果になる可能性があります。
上司や同僚に対して申し訳ない気持ちになる
仕事を教えてもらってきた上司や一緒に頑張ってきた同僚に対し、申し訳ない気持ちになり、転職をためらってしてしまう人もいるでしょう。
しかし周りの人たちへ後ろめたさを感じながらも、思い描くキャリアビジョンの実現を求め転職活動を続ける人の方が多いのも事実です。上司や同僚には「転職してやりたいことがある」「チャレンジしてみたい」など、前向きな転職理由を伝えることで、成長を喜んでもらえる場合もあるでしょう。
最後には自分自身で決断し、後悔のない選択をすることが大切です。
入社1年目の転職はエージェントに相談しよう
転職活動に悩みはつきものであり、不安を抱えている求職者はたくさんいます。
とはいえ、安易に転職すべきでないケースも存在します。
会社を辞めてもいいのか迷ったら、転職エージェントに相談して意見を聞いてみるのも一つの方法です。
新卒入社1~2年の人は、新卒の就活の感覚を引きずりがちです。しかし、1~2年でも仕事を経験した中で、感じたこと、身に付けたことはたくさんあるはずです。それらを整理した上で、「どんな自分になりたいか」を中長期視点で考えてみてください。
この記事のおさらい
新卒入社1年目での転職は可能?
新卒入社1~2年目のいわゆる第二新卒は企業から一定のニーズがあり、転職のチャンスは豊富にあるといえるでしょう。その理由はこちらでご紹介しています。
転職を慎重にした方がいいケースは?
人間関係の悩みや仕事内容が想像と違ったといった場合は、現職で自分にできることがないか一度考えてから慎重に検討した方がいいでしょう。詳しくはこちらで解説しています。
新卒1年目で転職成功する人の特徴は?
新卒時の就職活動と転職活動の違いを理解している人です。ポテンシャル以外にも職場を通じて得たスキルも武器にしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。