
「やりたい仕事を見つけて、ビジネスパーソンとして成長したい」と考えていても、適職をうまく見つけることができず、悩んでいる方も多いようです。やりたい仕事とは、どのように見つければいいのでしょうか。そこで、やりたい仕事の見つけ方について、人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏がアドバイスします。
やりたい仕事が見つからない理由
やりたい仕事が見つからないのはなぜでしょうか?「やりたい仕事が見つからない」と悩んでいる方によくある傾向をご紹介します。
求める条件が多すぎる
興味のある仕事があったとしても、「月額○○万円以上は欲しい」「残業はできるだけしたくない」「土日は休みたい」など、求める条件が多すぎると、応募する求人の候補はどんどん減ってしまいます。同じような仕事でも、業界や企業によって給与や勤務時間などの条件は異なるものです。やりたい仕事を見つける場合は、条件はできるだけ設けず、まず「自分はどのような仕事をやりたいのか?」という軸で探し、選択肢を広げることを優先しましょう。
仕事への解像度が低い
情報収集を十分にしないまま「知人に聞いた」「○○という印象がある」など、偏ったイメージだけで仕事選びをすると、選択肢が狭まったり、誤った選択をしたりする可能性があります。例えば、「営業はノルマが厳しそう」とネガティブな印象を持っている方もいますが、営業にもさまざまなスタイルがあり、カスタマーサクセスやインバウンド営業など、比較的ノルマが少なく顧客との関係構築を中心とする営業や営業に類似する職種もあります。偏った先入観だけで仕事選びをしてしまうと、それだけで選択肢が少なくなってしまうため、できるだけ客観的に判断できるだけの情報を集めるようにしましょう。
後ろ向き思考になっている
後ろ向きの思考になっていると、「ハードワークなので大変そう」「専門スキルが身につかなさそう」など、仕事のネガティブな側面に目が向くようになって、やりたいと思える仕事が見つからなくなってしまう可能性があります。短所は長所の裏返しとも言えます。「ハードワークだけど、その分短期的に成長できる」「専門スキルを高めるために主体性や行動力が身につく」など、長所にも目を向けて探してみましょう。
やりたい仕事の見つけ方
では、やりたい仕事を見つけるのはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、自己分析と他己分析の2つの方法をご紹介します。
キャリアの棚卸しを通じて自身の志向を分析する
やりたい仕事が見つからない時は、「キャリアの棚卸し」と呼ばれる自己分析を行ってみましょう。これまでの経験を洗い出して、身に付いたスキルや得意な仕事をピックアップし、仕事で熱中したことや褒められたこと、やりがいを感じた経験などを整理します。例えば、過去にチームメンバーをフォローし褒められた経験から「人から『ありがとう』と言われるフォロー業務にやりがいを覚える」、ミスを減らすためにチェックフローを変えた経験から「問題点を見つけてクリアすると達成感がある」など、自分の特性や価値観が見えてきます。
他者に自分の話を聞いてみる
自分のことは、考えている以上に理解をしていない可能性があります。自己分析だけではなかなか志向が分からない場合は、自分をよく知る同僚や上司などに、自分の強みや向いている仕事などを聞いてみましょう。「関係者への根回しが上手」「本音で言ってくれるので相談しやすい」など、自分では気づいていなかった、意外な得意分野や強みが明らかになるかもしれません。
やりたい仕事を見つけるときの注意点
「コスメが好きなので、化粧品会社のPRをやりたい」「ガーデンウェディングを提案する仕事がしたい」など、憧れや好きな気持ちだけでやりたい仕事を見つけると、転職活動が難航する可能性があります。「化粧品会社のPR」「ガーデンウェディングの提案」など、やりたい仕事がピンポイント過ぎて、応募する求人が限定されてしまうからです。PRに限らず「化粧品の販売」など職種の幅を広げたり、ガーデンウェディングに限定せず「イベントを提案する仕事」など業界を広げたりして、選択肢を増やしましょう。
また、「化粧品会社のPR」「ガーデンウェディングの提案」など、誰もがイメージしやすいBtoC(Business to Consumer:消費者向け)の仕事は、他の求職者も希望している可能性が高く「ライバルが多い仕事」とも言えます。応募企業を増やすか、BtoB(Business to Business:法人向け)の商品・サービスに広げると、転職成功の可能性が高まるでしょう。
それでもやりたい仕事が見つからない場合
どうしてもやりたい仕事が見つからない場合は、「得意な仕事」を軸に仕事を見つけるという方法があります。自分では特にやりたいと感じていなくても、得意な仕事に就くことができれば成果が出しやすく、成果を出すことができれば、周囲から高く評価されるので、やりがいも得られます。
自己分析で洗い出した過去の経験から、成果を出した仕事内容をピックアップしてみましょう。他己分析で上司や同僚などから褒められた、自分の強みや向いている仕事から選んでも構いません。「得意な仕事」という軸で仕事を選ぶ場合は、転職活動で過去の経験をアピールしやすいので、やりたい仕事よりも「転職活動がしやすい」というメリットもあります。
迷っている場合は転職エージェントに相談を
やりたい仕事が見つからず、今後のキャリアに迷いが生じている場合は、転職エージェントに相談してみましょう。転職エージェントのキャリアアドバイザーから、キャリアの棚卸しのサポートや、キャリアに関するアドバイスを受けられます。
なお、転職エージェントに申し込んだからといって、必ず転職しなければならないわけではありません。相談してアドバイスを聞いているうちに「もう少し現職で頑張ろう」と思い直したり、キャリアアドバイザーから「キャリアや希望を総合すると、現職で経験を積んでから転職した方が良い」と言われたりするケースもあります。サービスは無料で、面談をオンラインで行っている転職エージェントも多いので、気軽に相談してみましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。