転職理由の上位に挙がるのが、「人間関係」です。とはいえ、ただ「あの人と合わなかった」という理由で転職しても、次の転職先でも同様に人間関係で悩む可能性もあります。失敗を繰り返さないためにも、「人間関係のどこが合わないと感じているのか」を冷静に分析し、次の応募企業の見極めに生かしましょう。
その人と合わない理由を整理しよう
仕事をしていると、人間関係で腹を立てたり、悩んだりすることがあるでしょう。ですが、多くの場合は「その人自身が嫌い」というわけではないようです。その人の何と合わないのか……その理由を突き詰めて分析していくと、事業方針や業務管理方法、仕事に対するスタンスや価値観など、人間関係の先にある本質が明らかになってくるはずです。
人間関係をブレイクダウンする
その人と合わない理由を整理するには、「誰と、何が、どうして合わないのか」をブレイクダウン(分析)することから始めましょう。人間関係の悩みは千差万別ですが、重要なのは、感情的にならず客観的に考えること。いくつか例を挙げながら、人間関係の先にある本質を探ってみます。
ありがちな人間関係の悩み -1-
「何が何でも数字必達を強いる上司と合わない」
→ブレイクダウンしてみると
「会社の事業方針と合わない」のでは!?
ありがちな人間関係の悩み -2-
「成績が上がると自分の手柄、トラブルは後輩任せ。そんな先輩に嫌気がさしている」
→ブレイクダウンしてみると
「その人の仕事に対するスタンスに不満がある」のでは!?
ありがちな人間関係の悩み -3-
「品質より納期を優先させる上司に納得できない」
→ブレイクダウンしてみると
「上司の仕事の進め方と合わない」のでは!?
ありがちな人間関係の悩み -4-
「ルールを守らない社長。怖くて誰も指摘できない」
→ブレイクダウンしてみると
「トップダウンの社風が合わない」のでは!?
ありがちな人間関係の悩み -5-
「同僚はサボってばかりなのに、上司に受けがいいのがムカつく」
→ブレイクダウンしてみると
「会社の人事評価制度に不満がある」のでは!?
応募企業の見方と確認ポイント
人間関係をブレイクダウンしていくと、理由の本質が見え、「自分はどのように働きたいのか」が明らかになってきます。本質が明らかになると、次に応募する企業で確認するべきポイントが見えてくるはずです。転職活動の過程で実践したいチェック方法を、いくつかご紹介しましょう。
1)応募企業の面接で質問する
目標管理方法や評価基準などについて、面接で率直に質問してみましょう。組織として何を大切にしているのか、営業の行動目標や顧客満足度をどのように評価しているのか、マネージャーが現場のどこを見ているのか、裁量を与えられるのか、マイクロマネジメントなのかなど、自分が気になるポイントを確認します。
2)職場を見せてもらう
可能なら、面接後にオフィスを見せてもらいましょう。オフィスの張り紙やレイアウトから社風が判断できる可能性があります。職場に活気があって社員が明るい表情で仕事をしているか、出会った社員が挨拶をしてくれるか、などの確認も大切です。自分の目で確かめ、肌で感じた印象に勝るものはありません。
3)一緒に働く同僚に会わせてもらう
同僚になるかもしれない社員に会わせてもらうことで、組織の雰囲気がよりリアルにつかめるはず。組織構成や仕事の進め方、顧客との向き合い方、仕事の楽しさややりがいなどについて質問し、自分の価値観やスタンスとマッチするかどうかを確かめましょう。
4)キャリアアドバイザーに相談する
その企業に転職して活躍している同世代がいたら、その人の転職理由をキャリアアドバイザーに聞いてみましょう。自分と同じような価値観を持った転職者が活躍していることがわかれば、自分の将来像もイメージしやすいはず。第三者の立場からの専門的なアドバイスも受けられるので、とても参考になります。
本質は「自分はどのように働きたいのか」
さまざまな手を尽くしても、必ずしも次の転職先での人間関係がうまくいくわけではありません。ですが、「人間関係がうまくいかない」というネガティブな感情を分析し、その背景にある「自分はどのように働きたいのか」を明らかにすることは、ポジティブな転職理由の発見にとても役立つ作業です。さらには、次の職場での自分自身のコミュニケーションの取り方にも、いい変化をもたらしてくれるかもしれません。人間関係に悩んだら、その背景にある本質を明らかにしていくことが、次の転職を成功に導く第一歩です。