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月給制とは?日給月給制との違いやメリット・デメリットについても解説

月給制

月給制と求人票に記載されていた場合、「毎月固定された給与額が支払われる」とイメージする方が多いかもしれません。しかしその内容には、「日給月給制」や「月給日給制」など複数種類があるため、企業によって定義が異なります。

「想定していた給与額と違っていた」と後悔しないために、支払われ方の違いについて認識しておく必要があるでしょう。そこで社会保険労務士の岡氏と、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が、月給と日給月給制との違いや最低賃金の計算方法などを解説します。

月給制とは1か月単位の固定された給与形態

月給制は1ヶ月いくらと決められた給与形態のことをいいます。
完全月給制と呼ばれることもありますが、月給制とだけ求人広告に書かれている場合は日給月給制を指しているケースもあるため確認が必要です。

完全月給制

1ヶ月を計算単位として給与を定め、毎月1回まとめて支払われる給与形態を指します。
遅刻・早退・欠勤があったとしても、その時間の賃金が差し引かれることはありません。
所定の労働時間を超えた場合は残業代が発生します。

日給月給制

1日を計算単位として給料を固定し、毎月1回まとめて支払われる給与形態を指します。
労働日数が多い月は給与額が増え、少ない月には減額されて支払われます。
遅刻・早退・欠勤した場合はその分の給与が差し引かれて支給となります。残業代については「1日8時間、週に40時間以上」労働した場合発生し、月の給与額に上乗せして支払われます。

月給日給制

1ヶ月を単位として固定された賃金が支払われる給与形態を指します。毎月の労働日数が変わっても支払われる額は一定です。
遅刻・早退・欠勤の時間分の賃金が差し引かれるのは、日給月給制と同じですが、あくまで固定給からのみ控除されるため、就業規則等に特に定めが無い限りその他の手当てに影響はありません。残業代も同じく発生します。

月給制の仕組みや支払われ方は?

遅刻・早退をした場合や残業代、最低賃金の計算方法について紹介します。

月給制で遅刻や欠勤したら

まずは月給制で遅刻や欠勤をした場合の給与の支払われ方についてそれぞれ説明します。

完全月給制の場合

遅刻・早退・欠勤した場合でも、あらかじめ決められた月給額から減額されることはありません。
しかし有給休暇を使わない欠勤が多くなると、翌年度の有給休暇の付与条件である8割以上の出勤を満たすことができない場合があります。有給休暇があれば、優先して欠勤にあてる方がおすすめです。

日給月給制の場合

遅刻・早退した場合は時間分の賃金を差し引かれます。また欠勤についても、休んだ日数分の給与を減らしていく方式と捉えるとわかりやすいです。欠勤した場合、控除される対象は基本給だけでなく、職務手当てや役職手当のように月単位で支給する各種手当も原則日割りして控除されます。
欠勤すれば月額の給与がその分減りますが、有給休暇を上手に使うことで減額せずに済むケースもあります。

月給日給制の場合

遅刻・早退・欠勤をした場合は、その時間分の賃金を差し引かれて支給されます。
日給月給制との違いは、職務手当、役職手当などの手当金は原則控除対象とならず、そのまま支給される点です。そのため減額されるのは基本給の部分のみとなります。
しかし会社によって制度が異なるため、手当てが控除対象となるかについてあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

残業代の計算方法

残業代は「1日8時間、週に40時間」の法定労働時間を超えて働いた場合に支払われます。(法定労働時間内での所定労働時間を超えての残業は法定内残業になり、労働基準法上は割増をつけて払う必要はありません)
残業代は1時間につき25%割増、深夜労働に及ぶ場合は深夜手当の25%を含め、合計50%割増で計算されます。休日出勤については、通常賃金の35%割増で支給されます。

【残業代の計算方法】
1時間あたりの賃金×1.25(割増分)×残業時間

【1時間あたりの賃金の計算方法】
月給÷所定労働時間÷所定労働日数

一般的に完全月給制、日給月給制、月給日給制と、いずれもその対象であるため、支払われない場合は労働基準法違反となる場合があります。

最低賃金の確認方法

最低賃金とは使用者が労働者に対して支払う給料の最低額のことであり、各都道府県によってその額が定められています。支払われている賃金が、最低賃金以上になっているか確認したい場合は計算してみるとよいでしょう。厚生労働省が公開している計算方法をご紹介します。

まずは自分に当てはまる給与制度での時間額を算出します。

時間給制の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)

日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合
日給≧最低賃金額(日額)

月給制の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

上記で算出した時間額を下記の計算式に当てはめます。

月給制の計算方法
【例】
△△県の最低賃金1,000円

基本給 170,000円
職務手当 40,000円
通勤手当 6,000円
時間外手当 35,000円
合計251,000円
指定賃金の対象とならない賃金の通勤手当、時間外手当を除外し、
251,000円-(通勤手当6,000円+35,000円)=210,000円
(210,000円×12ヶ月)÷(250日×8時間)=※1,260円>△△県の最低賃金1,000円
※最低賃金以上となっている。

出典:最低賃金額以上かどうかを確認する方法(厚生労働省)

月給制のメリット・デメリット

月給制のメリット・デメリットについて紹介します。

月給制のメリット

基本的には毎月決まった給与額が支給されるため、安定的な収入が得られることです。忙しい月に残業や休日出勤が増えれば、その分給与が多くなることや、直近の成果が賞与に反映されやすいのもメリットといえるでしょう。

月給制のデメリット

日給月給制・月給日給制の場合は、欠勤した分だけ給与から差し引かれてしまうため欠勤が多くなってしまった月は給与額が減ってしまいます。
また会社によっては残業時間を調整するケースもあるため、給与として当てにできない場合もあります。会社によっては賞与が無い、福利厚生が整っていないこともあるため会社に事前に確認しておくとよいでしょう。

社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所代表 岡 佳伸氏

大手人材派遣会社にて1万人規模の派遣社員給与計算及び社会保険手続きに携わる。自動車部品メーカーなどで総務人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険適用、給付の窓口業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として複数の顧問先の給与計算及び社会保険手続きの事務を担当。各種実務講演会講師および社会保険・労務関連記事執筆・監修、TV出演、新聞記事取材などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

リクルートエージェントでは、転職でお悩みの方に適切なアドバイスをお送りしています。また、企業の面接対策や職務経歴書の作成サポートや、スムーズな退職のためのサポートを行っています。お悩みの方はぜひ一度相談に来てみてください。