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試用期間中に退職できる?退職理由の伝え方と退職の注意点

試用期間 退職

入社後の数カ月間を「試用期間」として働くケースがあります。試用期間中に、仕事内容や社風などへの適性を見極め、本採用されます。ところが、想像していた働き方や環境と異なり、試用期間中に退職を考えるケースもあるでしょう。

そこで、試用期間中に退職することは可能なのか、その際の注意点について社会保険労務士の岡佳伸氏と、 組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏 に解説いただきました。

試用期間とは

試用期間とは、正社員としての適性を判断するための期間です。この期間で企業は新たに採用した社員の勤務態度、能力、スキルなどを評価し、本採用するかどうかを決めています。

試用期間は企業によって異なるため、就業規則や労働契約書で明記されている内容を確認することが大切です。

退職理由の伝え方

試用期間中に辞めたい場合、退職理由はどのように伝えればいいのでしょうか。退職理由の伝え方をご紹介します。

上司に時間をもらい口頭で伝える

まず「ご相談があるのでお時間をいただけますか」と上司に伝えて、ミーティングの時間をもらいましょう。退職の申し出は、会議室など落ち着いて対話ができる場所を確保して行います。テレワークが中心の企業の場合は、オンラインミーティングをセッティングしましょう。

ミーティング当日は、退職を希望していることと、退職日について相談します。なお「顔を合わせるのが気まずいから」と言って、退職の意思をメールで伝えるのはやめましょう。会社としては本採用を前提に試用期間を設けているため、退職理由を知ろうとするものです。お互いが納得できる形で円満退職するために、上司には口頭で退職希望を伝えるようにしましょう。

退職理由別の例文

退職理由が会社への不満だった場合、改善を条件に引き留められる可能性があります。退職の意思が固まっている場合は、不満ではなく「現在の職場で実現できないこと」や「納得してもらえるような理由」を伝えましょう。退職理由別の例文を3種類ご紹介します。

社風や人間関係が合わない

退職のご相談がありお時間をいただきました。社風である「自立した組織」であることを、入社して2カ月で実感しています。メンバーそれぞれが課題意識を持ち、自ら課題や解決案を発信する社風は、活気があり大変素晴らしいと感じますが、私は与えられた役割に対して黙々と進めるタイプなので、どうしても馴染むことができません。試用期間を通じて、自分は作業中心の仕事に向いていることに気付くことができました。

つきまして、大変申し訳ないのですが、退職させていただければと考えています。退職日のご相談をさせてください。

仕事内容のイメージが異なる

突然お時間をいただき申し訳ございません。入社して1カ月、職場の方にはとても良くしていただいたのですが、私の思い描いていた仕事内容と大きくギャップがあり、退職を考えております。
営業アシスタントとして資料作成が業務の中心だと思っていたのですが、営業同行や数値管理など、想像していたよりも営業に近い業務が多く、もともと事務志望だったので「向いていない」と感じています。恐れ入りますが、退職の方向で進めさせていただけないでしょうか。

体調不良で継続できない

お時間をいただきありがとうございます。突然ですが腰痛が悪化し、業務を続けることが難しそうです。
前々職は腰痛で退職しており、その後回復したと思っていたのですが、現在の仕事が想像以上に腰に負担がかかっているようで、一週間くらい前から痛みが続くようになりました。仕事内容はとても好きだったので、大変残念です。通院し、痛み止めをもらっており、あまり長くは働けなさそうです。
退職日はできれば○月○日を目途にしたいのですが、いかがでしょうか。

試用期間中に退職する注意点

実際に試用期間中に退職する際の注意点をご紹介します。会社とトラブルにならないためにも、しっかりと把握しましょう。

二週間前に告知が必要

退職については正社員と同じです。そのため、試用期間中に辞めたくなったとしても、即日で辞めることは原則としてできません。退職したい場合は通常の正社員雇用と同様に、就業規則等で定められている期間より前に申し出を行うか、最低でも2週間前に申し出る必要があります。

試用期間でも退職届は必要

試用期間中であっても、退職する際には退職届の提出が必要です。試用期間でも雇用契約は成立しているため、退職意志を正式に伝えるためには文書での手続きが求められます。

退職届は最低でも14日前に提出する必要があります。ただし、退職が会社都合である場合は、退職届の提出が不要なケースもあります。どのケースでも退職を考えた際には、速やかに意思を伝えましょう。

【参考記事】辞表と退職願と退職届 それぞれの違いと正しい書き方・渡し方

試用期間の退職でも履歴書には記載する

試用期間も職歴に該当します。そのため、数カ月間の勤務であっても、職歴として履歴書に記載する必要があります。試用期間中に退職し、転職活動を始め面接に至った場合、採用担当者から退職理由を聞かれるかもしれません。回答によっては「自社でも短期間で辞めてしまうのでは」と、定着性を不安視されることも考えられます。

どうしても辞めたい場合は、転職活動で指摘される可能性をふまえて回答を準備しておきましょう。

有期雇用契約社員の場合

有期雇用契約社員が試用期間中に退職する場合、無期雇用の雇用契約と異なる場合があります。一方的な退職は特別な事情がない限り難しいですが、双方の合意があれば可能です。

有期雇用契約の社員が試用期間中に退職を考える際も、事前に就業規則を確認しておきましょう。

試用期間中の退職QA

試用期間に関する、よくある質問にお答えします。

入社してすぐに辞めたいのですが、可能でしょうか?

労働者側が退職したい場合は、民法で最低2週間前に告知することが定められています。即日で退職するのはトラブルのもとになるので、退職を申し出て上司と退職日を相談しましょう。

また、入社してすぐの場合は、企業と入社者の双方が準備や理解不足でギャップが生じている可能性もあります。まず上司に辞めたい理由を伝えて、改善できることがないか探ってみるのも有効です。

試用期間中に退職した場合、転職活動ではどのように伝えたらいい?

応募企業には無理に取り繕わず、事実ベースで伝えましょう。ただし、不満があって退職した場合は、そのまま不満を伝えるとネガティブな印象になってしまいます。

例えば「前職では自身の弱みを理解しておらず、すぐに辞めてしまったことを反省しています。一方で、強みを把握することもできたので、強みを活かして○○領域の業務で専門性を極めていきたいと思います」など、試用期間を通じて得たことや、反省点などを補足しながら、今後のキャリアを前向きに伝えることが重要です。

試用期間が設けられている企業への応募は避けた方が良いでしょうか?

試用期間は長期雇用を前提として設けられています。正当な理由なしに解雇したり本採用を拒否したりすることはできません。また、試用期間中の給与も社会保険も保証されています。そのため、試用期間を設けている企業をあえて避ける必要はないでしょう。

社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所代表 岡 佳伸氏

アパレルメーカー、大手人材派遣会社などでマネジメントや人事労務管理業務に従事した後に、労働局職員(ハローワーク勤務)として求職者のキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は、雇用保険を活用した人事設計やキャリアコンサルティング、ライフプラン設計などを幅広くサポート。特定社会保険労務士(第15970009号)、2級キャリアコンサルティング技能士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士など保有資格多数。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2022年06月06日 記事更新日:2024年06月21日

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