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出戻り転職は可能?出戻り転職のメリット・デメリットと転職のポイント

出戻り 転職

以前は「退職した従業員を再度迎えるのは他の従業員に示しがつかない」などの理由から、出戻り転職を受け入れる企業は多くはありませんでした。しかし、少子高齢化に伴う労働力人口の減少や、採用コストの削減、入社後ギャップが少ない、などの理由から、出戻り転職を受け入れる企業は増えています。そこで、人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏に、退職の伝え方や円満退職のための注意点などのアドバイスを伺いました。

退職した従業員を受け入れる企業が増えており、出戻り転職が可能なケースも

少子高齢化に伴う労働力人口の減少や働き方の多様化を背景に、退職した人材の再雇用は、以前ほど珍しいケースではなくなっています。過去に在籍していた従業員の場合、企業特有の社風や仕事の進め方を理解しているため、入社後のギャップが少なく、即戦力となる可能性が高いのが特徴です。

そのため、退職者やOB・OGのコミュニティを作り、積極的に受け入れる企業もあるほどです。企業側としては、退職者は即戦力となる可能性が高いだけでなく、採用コストを抑えることもできるため、メリットが大きいのです。ただし、どの企業も出戻り転職を受け入れているわけではありません。出戻り転職を受け入れるかどうかは、企業の人事戦略や採用計画、在籍時の実績や評価、辞め方や退職後に得た経験・スキルなどによって判断されます。

そのため、出戻り転職を検討している場合は、退職した企業が制度として出戻り転職を受け入れているか、また、現時点で自身の経験・スキルの採用ニーズがあるのかどうかを、元の上司や同僚などを通じて確認することから始めましょう。

なお、元上司や同僚と話す機会があり、「人が足りていない」「戻ってきてほしい」などと声をかけられたりしている場合は、出戻り転職を実現できる可能性が高いと言えます。興味があれば、積極的に話を聞いてみましょう。

出戻り転職の方法

では、出戻り転職を実現するにはどのようにアプローチしたらいいのでしょうか。4つのステップでご紹介します。

人脈を通じて採用の可能性を探る

まず、信頼関係が構築できている元上司や同僚などにアポイントを取り、出戻り転職を希望していることを伝えましょう。そして、その人から上長や人事担当者などに、自身の経験・スキルが社内でニーズがあるかどうかを聞いてもらいます。その際に、元の部署やポジションに戻ることができるかどうかも確認してもらいましょう。元上司や同僚が人材ニーズを打診する際に、上長や人事担当者から出戻り転職希望者の人物像や実績、経験・スキルなどを聞かれるため、できるだけ自身を評価し、信頼できる人物に相談するのがポイントです。

なお、退職してから時間が経っており、人脈を活かしてアプローチできない場合は、企業のホームページや転職サイトなどで求人を募集していないか調べてみましょう。経験・スキルを活かせそうな求人があれば、直接応募して出戻り転職の可能性を探ってみましょう。

再入社までのプロセスを確認する

出戻り転職を受け入れるプロセスは、企業によって異なります。人脈を通じて打診した時点で前向きに入社を期待されて、役員や配属先の上長、人事担当者との面接のみで採用となるケースもあれば、書類選考のみ免除で、あとは通常の選考フローと同様に、一次面接から進み、不合格もあり得るケースまで様々です。そのため、元上司や同僚などに相談した結果、出戻り転職の可能性がある場合は、再入社までのプロセスを確認しておきましょう。もし、通常の選考と同様のプロセスであれば、「出戻り転職だから」と甘く考えず、面接対策をしっかりと行うことが大切です。

転職理由を整理しておく

出戻り転職の場合、「また辞めてしまうのでは?」という採用担当者の不安・疑問を解消しなければなりません。転職理由(退職理由)は、入社後に再現することのない、一貫性のある内容が望ましいでしょう。例えば、「幅広い業界経験を身につけるために転職しましたが、他社で様々な業界を経験した結果、やはり自分は○○業界で専門性を深めたいと実感しました」など、他社を経験したことで気づいたことを交えると、納得しやすい転職理由になります。

転職して得た経験をアピールする

転職理由の整理とともに、他の企業で得た経験・スキルが活かせることもアピールできると理想的です。「請求書の電子化や専門ソフトの導入など、現職では経理のデジタル化を経験しました。その経験を活かして、御社の経理業務の効率化に貢献したいと考えています」など、他社で得た経験・スキルを活かして、入社後に貢献できることを伝えましょう。できれば、元上司や同僚などの相談者に、事業や職場の課題についてヒアリングしておくと、より説得力のあるアピールができます。これまで培った経験・スキルと、出戻り企業が抱える課題との接点を探ってみましょう。

出戻り転職のメリット

企業側だけでなく、求職者にとっても出戻り転職にはメリットがあります。まず、2つのメリットをご紹介します。

企業の良い面も悪い面も理解している

実際に働いていたので、企業の良い面も悪い面も把握していることがメリットのひとつです。通常の転職活動でも、仕事内容や待遇などの条件は、求人や面接などで確認することができますが、「ドライで実績を重視して評価される」「人間関係がフラットで組織間の壁がない」など、数値で表しにくい社風は求人や面接などで見極めることが難しく、実際に働いてみないと実感することはできません。その点、出戻り転職であれば、社風や働き心地を理解しているので、全く知らない企業に転職するよりも、転職前の不安や入社後のギャップが少ないと言えるでしょう。

通常の転職活動よりも、入社後に馴染むのが早い

転職すると、職場の人間関係も仕事の進め方も社風もすべてが変わるので、新たな環境に馴染むまでに時間がかかることが一般的です。そのため、仕事を覚えて人間関係を構築し、実績を出せるようになるまでに苦労する方も少なくないようです。その点、出戻り転職は、社風や仕事の進め方をある程度理解しています。また、着任する職場によっては、以前も関わっていた人が在籍していて、人脈を活かせるかもしれません。業務理解や人間関係の構築を一から行う通常の転職よりも、出戻り転職の方がスピーディに会社に馴染むことができるでしょう。

出戻り転職のデメリット

企業を理解しているため入社後のギャップが少なく、早期で実績を出すことができる点が出戻り転職のメリットですが、一方でデメリットもあります。出戻り転職を検討しているのであれば、デメリットも把握しておきましょう。

退職理由が再現する可能性がある

例えば、「残業が多くワークライフバランスを整えるために転職した」「評価に納得ができず転職した」など、退職を決めた理由が、入社後に再現する可能性があります。退職時のことを思い出して、現在は完全に解消できるのかを人脈を通じてヒアリングするか、面接の場で確認する必要があります。また、企業側も、入社後に退職理由が再現して早期離職とならないように、面接などで転職理由(退職理由)を質問する可能性が高いでしょう。退職理由を思い出し、自身も採用担当者も納得できる転職理由をしっかりと用意しておくことが重要です。

紹介者がいる場合は選考辞退がしにくい

在籍していた当時の人脈を活かして出戻り転職を実現しようとしている場合は、紹介者に気兼ねして通常な転職活動よりも選考辞退がしにくくなります。特に、自ら伝手を頼って出戻り転職をお願いした場合は、途中で辞退することは信頼関係を損ねることに繋がります。人脈を活かした出戻り転職の場合は、選考辞退がしにくいことを認識しておきましょう。

なお、一般の求職者同様に、求人に応募して転職しようとしている場合は、紹介者がいる場合よりも選考辞退への心理的な負担は軽くなりますが、ライバルとなる他の求職者も応募しているため、人脈を活かした転職よりも選考の通過率が下がる可能性が高いでしょう。

出戻り転職に期限はある?

「退職してから期間が空きすぎると、出戻り転職が実現しにくいのでは」と考える求職者の方もいるようですが、「半年以内」「一年以内」など、出戻り転職に期限を設けている企業はほとんどありません。ただし、退職してから間もないうちに出戻り転職をした場合は、在籍時と従業員の顔ぶれや社風、仕事の進め方に大きな変化がないため、社内の人脈を活かしたり、すぐに職場に馴染んだりする可能性が高いでしょう。一方で、時間が経てば経つほど従業員も社風も変わっていくため、職場環境の変化にギャップを感じる可能性が高くなります。離職して時間が経っている場合は、社内環境を十分に確認することが重要です。

出戻り転職に向いている人

では、出戻り転職に向いている人はどのようなタイプなのでしょうか。代表的なタイプをご紹介します。

元の職場で成果を出していた人

在籍時に目覚ましい活躍をして成果を出していた人は、面接でアピールがしやすいため、出戻り転職に向いています。面接の場だけでなく、元上司や元同僚など、在籍時の人脈を活かして出戻り転職をする場合も、「主力商品である○○の企画者」「20XX年の通期表彰者」など、分かりやすい実績があれば社内で推薦しやすくなります。また、優秀な成果を収めた人は、表彰や社内報などを通じて、他部門の人にも知られているものです。採用担当者が名前や実績を憶えていた場合は、面接をする前に好評価を獲得できるため、選考が有利に働くでしょう。

信頼関係を構築できていた人

社内の関係者と信頼関係を構築できていた人も、出戻り転職に向いています。選考にあたって、人物像や経験・スキル、実績などの確認のために、採用担当者が社内の関係者にヒアリングをするケースがあります。社内で信頼関係を構築し、一定の評価を受けている場合は、ヒアリングでもポジティブな反応が返ってくる可能性が高いため、選考が有利に働きます。逆に、信頼関係を築くことができないまま退職していたり、職場に迷惑を掛ける形で退職したりした場合は、関係者からネガティブな反応が返ってき、選考が不利に働くかもしれません。

出戻り転職の注意点

出戻り転職を目指す場合に、気をつけることはあるのでしょうか。出戻り転職の注意点を3つご紹介します。

退職時と同じ雇用条件とは限らない

退職時のポジションや所属部署、待遇などの条件が、出戻り転職後も同じであるとは限りません。入社後の条件は、その時の社内の人材ニーズや過去の実績、人柄への評価、選考結果などから総合的に判断されます。退職前は課長クラスだったのに、出戻り後は係長クラスになるなど、退職時より役職が異なるケースもあります。一方で、他社で得た経験・スキルが大きく評価された場合は、退職時よりも条件がアップする可能性もあります。出戻り転職と言っても、一般的な転職活動と同様に、「内定が出るまで正式な雇用条件は分からない」と念頭に置いておきましょう。

内定が確定してから退職交渉を行う

出戻り転職の場合、一般の転職活動と比べると、人脈を通じて口頭で進めるケースが多いのが特徴です。そのため、出戻り転職を相談した現場の元上司や同僚は「ぜひ戻ってきてもらいたい」と前向きでも、実際に社内で話を通した結果、組織全体の人員計画や予算などの都合から採用まで至らないケースもあります。また、前述のように、よくよく話を聞いてみたら、退職時とは異なる雇用条件の可能性もあります。相談相手が採用に前向きであっても、内定通知書が出て採用が確定した状態になるまでは、現職に退職を申し出るのは避けておきましょう。

職場の体制や仕事の進め方などが変わっている可能性もある

入社してみたら、想定以上に退職時と組織体制や仕事の進め方などが変わっている可能性もあります。特に、退職して時間が経っていたり、ベンチャー・スタートアップで企業規模が変化したりしている場合、当時の印象と大きく異なっているかもしれません。「職場の雰囲気や仕事内容はよく知っているから」と、面接できちんと確認しないまま入社を決めてしまうと、入社後にギャップを感じるかもしれません。納得度の高い転職を実現するために、過去に在籍した企業であっても、組織体制や仕事の進め方などを確認し、現時点での職場環境を理解しておきましょう。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

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