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転職市場動向「2021年の展望」|全15業界の新型コロナウイルス禍の動向を解説。

2021年の転職市場動向

2020年、転職市場では新型コロナウイルス感染症という不測の事態により、採用計画の予期せぬ変更、 Web面接の急速な広がり、個人のキャリア観の変化など、さまざまな事が起きました。

一方で、構造的な人材不足の様相は変わらず、企業の採用戦略は今まで以上に深化が求められています。先を見通すことは難しいなかでも、2021年の転職市場はどうなりそうなのか、各領域の最前線で採用/転職支援を行う担当者から解説します。

2021年 転職市場の展望

新型コロナウイルス禍でも続く、構造的な人材不足。深化する採用戦略とWeb面接。
個人のキャリア観にも大きな変化。

新型コロナウイルス感染症の拡大は、日本が先送りしてきた課題を一気に顕在化させたと同時に、これまで試せなかった新たなHRM(Human Resource Management)施策を急速に実行させてきました。
6月以降の動きはどうなっていたのか?2021年はどうなっていくのか?各業界ごとに解説します。

コロナ禍でも続く、構造的な人材不足

全国企業短観(12月時点)からは、コロナ禍で業況判断DI(※1)・雇用人員判断 DI共に低下を見せる中、雇用人員判断DIは、依然リーマン・ショック前のピーク水準にあることが見えています。リクルートエージェントの利用企業2,013社に聞いた6月時点の採用活動調査では、緊急事態宣言後も依然継続・一度停止したが再開した企業の合計は約8割。コロナ禍でも戦略的人材採用は止められないことがわかっています。
(※1) Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略。企業の業況感や雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したもの。

2021年は、事業戦略別で採用戦略の細分化が顕著に

企業の採用動向については、「事業戦略別の採用」がキーワード。
企業の競争優位を築くまでの期間が長く、組織単位で成果を出す事業領域【OrganizationLongパターン】の採用(ポテンシャル重視の第二新卒採用など)は、採用量が減少もしくは採用基準が厳しくなる傾向があるでしょう。

一方、短期間で、個人単位で成果を実現する事業領域【Talent Shortパターン】、中長期の事業変革を担う【Talent Longパターン】の採用はコロナ禍も継続もしくは拡大。
事業戦略別での守りと攻めの採用戦略の併存こそ、コロナ禍の転職市場の実相です。「○○業は買い手市場」と粗い粒度で語る言説は、実態を見誤ることになるでしょう。

全産業で採用が加速する【Talent Shortパターン】の事業領域も多様で、デジタル庁で話題になったGovテック、ヘルステック、SaaS、セキュリティ、半導体、脱炭素対応…等、ウィズコロナ時代の事業変革を担う人材の争奪戦は、より激しくなっていくと考えられます。
2021年の転職市場動向
出所:リクルートワークス研究所 「戦略的採用論」競争優位を築くための4つの採用パターンより

「Web面接」は、企業・個人双方にメリット

「Web面接」体制の有無が、採用競争力に直結。安全配慮から強制的にはじまったWeb面接ですが、「面接日程調整」「選考リードタイム短縮」「現場担当者の移動省力化」「リラックスした対話」「遠方でも面接可能」など、企業・個人双方の効用が見えてきました。

実際、Web面接で採用計画数を上回る企業や、配属までWebで完結し、入社後の早期活躍(オンボーディング)に繋がる例も出ています。今後、Web面接体制の有無が、採用競争力に直結する時代になるでしょう。

変容する個人のキャリア観。柔軟な働き方を求め、キャリアを深く考える傾向に。

コロナ禍で将来のキャリアについて見つめ直した方は、転職検討中・活動中の方の中で58.8%に上りました(2020年8月7日~10日調査)。
「仕事選びで重視する項目」では、「給与」「テレワーク」「副業」が大きく上昇しました。「働く場所、時間、仕事の自由裁量度を高く持ちながら、生産性高く稼ぎたい」。そこには、「自分の働き方・キャリアは、自分でデザインしたい」といった深層心理が見えてきます。

今後、テレワーク環境が浸透していく中で、キャリアオーナーシップ・働き方の裁量権を希求する働く個人は増えていくでしょう。そうした一人一人の自律と貢献をどう引き出すか。これまでの採用とは異なる視点が、企業には求められています。

【業界別】新型コロナウイルス禍の転職市場動向

IT・通信

【IT通信業界】2021年転職市場の展望

IT業界の転職市場動向のポイント

全体としては、採用活動は活発。引き続きDX、5G、セキュリティがキーワード。
今後のIT人材不足に向けて中長期で人材を採用し育成していくことが求められる。在宅勤務による面接のしやすさが浸透している。社内SE志向の求職者の志向にも変化。
今後学び続けられるかどうかが、キャリア形成においてはより一層重要になるだろう。

コンサルティング

【コンサルティング業界】2021年転職市場の展望

コンサルティング業界の転職市場動向のポイント

少しずつ案件は回復し、徐々に採用ニーズも戻っていく傾向。
金融、通信、セキュリティなどはニーズも強く分野によって採用意欲に濃淡がある。

インターネット

【インターネット業界】2021年転職市場の展望

インターネット業界の転職市場動向のポイント

求人の回復は早く、採用活動は活発。Web面接完結するのがスタンダードに。
求職者はより時流にあったサービス、自分がやりたいことを重視する傾向に。

自動車

【自動車業界】2021年転職市場の展望

自動車業界の転職市場動向のポイント

ITエンジニアのニーズは依然として高く、争奪戦の様相は変わらない。
Web面接はほぼ全ての企業で導入された。

総合電機・半導体・電子部品

【総合電機・半導体・電子部品業界】2021年転職市場の展望

総合電機・半導体・電子部品業界の転職市場動向のポイント

引き続きハードからソフトへ。採用が活発な領域と落ち着く領域が二極化の動きは継続。
若手技術者が半導体・電子部品業界へ転職する動きも。

環境・エネルギー

【環境・エネルギー業界】2021年転職市場の展望

環境・エネルギー業界の転職市場動向のポイント

再生可能エネルギーなど環境系の人材を求める動きは継続。
技術者のビジネス職への挑戦が歓迎される機運が高まる。

化学

【化学業界】2021年転職市場の展望

科学業界の転職市場動向のポイント

半導体、ヘルスケア関連の求人の戻りが早く、全体的には年明けには復調するだろう。
環境への配慮も重要テーマ。新規事業関連求人も増加するだろう。

医療・医薬・バイオ

【医療・医薬・バイオ業界】2021年転職市場の展望

医療・医薬・バイオ業界の転職市場動向のポイント

新型コロナウイルス禍の影響は落ち着き、各社採用計画は順調な傾向。
デジタル分野・データ活用分野・バイオ領域は引き続き採用は活発。

建設・不動産

【建設・不動産業界】2021年転職市場の展望

建設・不動産業界の転職市場動向のポイント

多様な働き方のニーズに応えられる企業が出てきており、応募も集まるように。
求職者は自分の価値観に合うか、きちんとした人材管理・経営ができているかを重視。

銀行・証券

【銀行・証券業界】2021年転職市場の展望

銀行・証券業界の転職市場動向のポイント

銀行は引き続き採用は活発。中でもDX(IT・事業開発・デジタルマーケ)求人が活発。
証券は新規事業開発関連求人が出ている。求職者の志向も徐々に変化が。

生保・損保

【生保・損保業界】2021年転職市場の展望

生保・損保業界の転職市場動向のポイント

新型コロナウイルス禍の影響は比較的軽微。DX関連の採用が進む。(生保)
将来的なキャリアを考え異職種への転職を検討する方も。(損保)

消費財・総合商社

【消費財・総合商社業界】2021年転職市場の展望

消費財・総合商社業界の転職市場動向のポイント

採用は10月以降回復基調。DXに取り組み始める動きも。

人材・教育

【人材・教育業界】2021年転職市場の展望

人材・教育業界の転職市場動向のポイント

人材業界の採用は回復。教育分野は対面でのサービス継続の動きが強い。

外食・店舗型サービス

【外食・店舗型サービス業界】2021年転職市場の展望

外食・店舗型サービス業界の転職市場動向のポイント

影響はまだ大きいが、オンラインサービスや中食、スーパーなどは好調。
業態を多角化する動きが強まる。

ベンチャー領域

【ベンチャー領域業界】2021年転職市場の展望

ベンチャー領域業界の転職市場動向のポイント

SaaS系事業は引き続き好調で採用も求職者の動きも活発。
地方ベンチャーへの転職の動きも出てきている。

リクルートエージェントでは様々な業界に精通したキャリアアドバイザーが多数在籍しています。
2021年の転職活動に不安を感じている方もいらっしゃると思います。
情報収集に転職エージェントのサービスをご活用ください。

お申込み時にキャリアアドバイザーの指定はできません。予めご了承ください。

HR統括編集⻑ 藤井 薫

1988年リクルート⼊社。TECH B-ing編集⻑、Tech総研編集⻑、『アントレ』編集⻑を歴任。2008年からリクルート経営コンピタンス研究所、14年からリクルートワークス研究所兼務。変わる労働市場、変わる個⼈と企業の関係、変わる個⼈のキャリアについて、多様なテーマ(AI全盛時代の採⽤戦略、多中⼼時代のHRM、アントレプレナー・パラレルキャリアの⽣き⽅など)をメディアで発信中。近著『働く喜び未来のかたち』(⾔視舎)。

こちらの内容は、2020年11月~12月時点の取材を元に作成しています。