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30代前半の転職事情、実現のポイント、転職活動での注意点などを解説

30代前半 転職

30代前半で転職を考えたとき、「スキルに自信がないと転職は厳しいのではないか?」「未経験で異業種・異職種などに転職できる可能性はどのくらいなのか?」などの疑問を感じる方もいるでしょう。30代前半の転職事情や転職実現のポイント、転職活動における注意点などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。

30代前半の転職でよくある疑問をプロが解説

社会人としてある程度の経験を積んだ30代前半で、転職を考えたときに抱きやすい疑問についてお答えします。

【疑問1】30代前半の転職は難しい?

30代前半で転職を実現している人の割合について、厚生労働省による「雇用動向調査」で公表している「年齢階級別転職入職率」のデータを紹介します。「30~34歳」の数値は、2000年には9.4%でしたが、2010年以降は毎年10%を超えており、2023年には12.0%となっています。30代前半で転職を実現している人は一定数いるため、企業からのニーズも一定以上はあると言えるでしょう。

(※)出典:雇用動向調査 年次別推移(表番号4-2 性、年齢階級別転職入職率)(厚生労働省)

【疑問2】30代前半で未経験転職はできる?

一般的に、社会人歴が短い場合は経験・スキルが豊富でなくてもポテンシャルを期待されて採用されるケースが多く、経験年数が上がるに従って即戦力を期待されるようになります。そのため、社会人歴を経た状態での未経験分野への転職は、社会人歴が短い状態と比較すると難しくなると考えられます。

とはいえ、転職市場全体で「異業種×異職種」への転職は増えています。リクルートエージェントで2022年度に転職が決定した方々を分析したデータにおいて、転職前後の業種・職種を見てみると、30代前半の転職では、「同業種×同職種(19.2%)」「同業種×異職種(11.2%)」「異業種×同職種(33.9%)」「異業種×異職種(35.7%)」という結果が出ています。

つまり、30代前半で「異業種×異職種」へ転職した人が3割強を占め、「異業種」への転職となると約7割に達しているのです。このデータからも、30代前半で未経験分野にキャリアチェンジできる可能性は十分にあると言えるでしょう。

【年齢別】転職時の業種・職種異同のパターン別割合(2022年度)
(※)出典:「『異業種×異職種』転職が全体のおよそ4割、過去最多に 業種や職種を越えた『越境転職』が加速」(株式会社リクルート(現・株式会社インディードリクルートパートナーズ ))

30代前半で未経験職種に転職したい場合は、業界や職種を超えて持ち運べるスキルである「ポータブルスキル」を軸にすることが重要です。例えば現状の把握や課題の設定などの「仕事のし方(対課題)」、社内対応や社外対応といった「人との関わり方(対人)」など、自分にどのようなポータブルスキルがあるのかを分析してみましょう。

【疑問3】30代前半で年収アップ転職するには?

厚生労働省が発表した「雇用動向調査(令和5年)」の「転職入職者の賃金変動状況別割合」によると、30代前半で前職の賃金と比べて「増加」と答えた人は44.6%という結果が表れています。そのうち「1割以上増加」と答えた人は30.4%でした。

なお、20代や30代前半と比べると、35歳以降は賃金が増加した人の割合が低下する傾向が見られます。年収アップ転職を実現したい場合は、30代前半のうちに検討することも1つの方法です。

(※)出典:令和5年 雇用動向調査結果の概要 転職入職者の状況 (厚生労働省)

30代前半の転職として多い理由・背景は?

リクルートエージェントが実施した調査によれば、「30代の転職のきっかけランキング」は以下の通りとなっています。

【30代の転職のきっかけランキング】

1位「給与が低かった」(29.0%)
2位「会社の将来に不安を感じた」(28.0%)
3位「労働時間・環境が不満だった」(25.8%)
4位「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」(25.8%)
5位「年収を上げたかった」(24.7%)

トップ5となった転職のきっかけを見ると、報酬や労働時間・環境などの労働条件に対する不満が多いことがわかります。また、会社の経営や仕事内容などにも不満も多い様子が窺えます。

以降で、30代前半に多い転職理由とその背景について解説していきます。

(※)出典:年代別転職理由の本音(リクルートエージェント)

転職理由1:キャリアアップや他の仕事に挑戦したい

30代前半になると、20代で積み重ねてきた経験を踏まえてキャリアの方向性がより明確になり、キャリアアップや、もしくは異業種・異職種などの仕事に挑戦したいと考える傾向が見られます。また、30代前半は、一定以上の社会人経験を積んできたことから、社内での立ち位置が見えてくる時期と言えます。昇進・昇格、異動・キャリアパスなどの実態を理解するうちに、「今の会社では、希望のポストに就くことが難しい」「目指すキャリアを築く道筋がない」などと感じるケースもあるようです。

こうした背景から、30代後半や40代以降などに実現したいキャリアを見据え、ステップアップしていくためにどのような経験が必要なのかを検討した結果、「早期からマネジメント経験を積める環境で働きたい」「身に付けた強みを興味のある◯◯分野で活かしたい」「〇〇領域の専門性を高めたい」など、30代前半で新たな道に進むことを決意する人も少なくはないでしょう。

転職理由2:賃金への不満

20代の場合は、成長志向をベースに仕事の習得や目標達成に向けて頑張り、自己成長や周囲からの評価などを糧とする傾向も見られます。30代前半になる頃には、一定以上の成果を挙げ、周囲からも評価を得ていることが考えられますが、自身の成果・評価が賃金に反映されずに不満を抱くケースがあります。また、経験に応じて後輩の育成や部下のマネジメントを任されたり、より高い数字目標を課されたりするなど、責任範囲が広がるケースもあり、それが賃金に反映されないことを不満に感じるケースもあるようです。

一方、結婚・出産などでライフステージが変化したためにより多くの収入が必要になることも。「現職の賃金体系や昇給システムでは、希望する収入が得られない」と感じて転職目指すケースも見られます。

転職理由3:労働環境への不満

先にも述べた通り、一定上の社会人経験を積み重ねた30代前半の場合は、20代の頃よりも大きな責任・裁量を任される傾向があります。チームやプロジェクトのマネジメントを任されるケースもあれば、より高い数字目標を課されるケースもあり、20代の頃と比べて残業や休日出勤などが増え、不満を抱く傾向も見られます。特に、慢性的な人手不足の職場で管理職として働いている場合は、「自分自身が回らない業務をカバーしなくてはいけない」「残業が増えているのに、管理監督者のために残業手当が支給されない」などの状況に悩むケースもあるようです。

また、30代前半で結婚・出産などを経験し、ライフステージが変化したために、ワーク・ライフ・バランスを見直したいと考えて転職を決意するケースも見られます。

30代前半で転職するメリット・転職しないメリット

30代前半で転職すべきかどうかを検討するために、「転職するメリット」「転職しないメリット」も把握しておきましょう。それぞれについて、考えられる一例を解説します。

30代前半で転職するメリットは「キャリアを見直して新たな一歩が踏み出せること」

30代前半は、20代のうちに積んできた社会人としての経験やさまざまな業務の経験をもとに、あらためて目指したいキャリアや実現したいライフスタイルなどの見直しがしやすいタイミングと言えます。また、ライフステージが変化し、結婚・出産やマイホームの購入などに合わせて、ワーク・ライフ・バランスや年収条件などを見直すタイミングを迎えるケースもあります。

また、これまで積んできた経験・スキルを活かせるため、20代の頃よりも転職活動でアピールできる材料が増えていることもメリットと言えます。リーダー経験や人材・プロジェクトのマネジメント経験などを求めている企業もあり、そうした経験・スキルをアピールすることで年収アップを実現できたり、異業種・異職種などに転職できたりするケースも見られます。
30代前半の転職は、相対的に見て、転職の選択肢の幅が広がったり、新たな経験を積めるチャンスをもらえたりするなどで、転職後のキャリア構築がしやすい点にメリットがあると言えるでしょう。

一方、30代後半や40代の場合は、30代前半の頃よりもさらに大きな責任を任される傾向もあります。そのため、現職の上長に退職を言い出しづらいケースや、退職を申し出た際に強く引き留めされるケースもあり、転職のタイミングを逃してしまうことも考えられます。さらに、子育てや介護、マイホームのローン支払いなどの経済的な事情から、家族やパートナーから転職を反対されるケースも見られます。

これらを踏まえると、30代前半は、「今後のキャリアや働き方を見直し、転職によって新たな一歩を踏み出しやすいタイミング」と言えるかもしれません。

30代前半で転職しないメリットは「今ある経験と信頼を活かして社内で成長できること」

30代前半で転職しないメリットとしては、現職で積み重ねた経験と信頼を活かして、より大きな裁量・責任を任せてもらったり、自己成長や自己実現ができたりすることが考えられます。
転職する場合は、新たな職場でゼロから人間関係を築き、信頼を積み重ねていくことが必要と言えます。また、異業種・異職種などに転職する場合は、現職よりも年収条件が下がることもあります。

一方、転職しない場合は、これまで築いた信頼や社内人脈があるため、スピーディに物事を進めやすかったり、やりたいことを実現しやすかったりする可能性があるでしょう。すでに経験・スキル・実績を評価されているために、希望の部署や職種などへの異動を実現しやすかったり、やりたいプロジェクトやマネジメントなどを任せてもらいやすかったりするケースも見られます。昇進・昇格・昇給などについても、近い将来に希望を叶えられるかもしれません。

これらを踏まえると、自分が目指すキャリアの方向性と社内のキャリアパスがマッチしていたり、昇進・昇格・昇給などに期待できたりする場合は、転職しない方がいいケースもあるでしょう。
また、結婚・出産・マイホーム購入などを予定している場合は、「転職しない方が仕事面における変化が少ないため、プライベート面における影響も少なく、今後の計画が立てやすい」と考えるケースもあります。

30代前半は転職のチャンス?それとも転職できるギリギリのタイミング?

30代前半の転職について、「年齢的に見て、希望を実現できる最後のチャンスなのでは?」「30代後半になるとさらに厳しくなり、転職できるギリギリのタイミングなのかもしれない」などと考える方もいるかもしれません。

これについては、業界・業種・職種や個々の経験・スキルなどによって異なると言えます。しかし、30代半ばから30代後半の年代になると、マネジメントの経験・スキルが求められる傾向もあります。30代前半の場合は、転職活動の時点でそうした経験・実績がなくても、入社後の伸びしろに期待してもらえる可能性があるでしょう。例えば、「現職では思うように評価されず、管理職に昇進することが難しい」と感じている場合でも、新たな環境なら自分の強みを発揮して活躍できるかもしれませんし、そうした部分を具体的にアピールすることで、管理職候補や管理職として採用に至るケースもあります。

相対的に見ると、30代前半は、より多くの求職者にとってさまざまなチャンスが開かれているタイミングと言えるでしょう。また、「キャリアの方向性を変えたい」「年収条件も含めたキャリアアップがしたい」「ワーク・ライフ・バランスを抜本的に見直したい」など、今後のキャリアや人生を大きく変化させたい場合は、それについてしっかり考え、実現していくために適したタイミングと言えるかもしれません。

30代前半の転職を実現させるポイント

30代前半で納得のいく転職を実現させるために役立つポイントを紹介します。

将来のキャリアを描き、転職の目的を明確にする

30代前半は、「10年近く培った経験・スキルをそのまま活かして転職する」「異分野にキャリアチェンジする」など、幅広い選択肢を持てる年代と言えます。
まずは、これまでの経験、身に付けたスキルの棚卸しをしたうえで、今後はどのような領域でキャリアを築いていくのかを考えましょう。将来的にどのようなキャリアを実現していたいのかを描くことで、今回の転職の目的が明確になり、適切な求人を見極めて選択できるようになります。

また、ポテンシャル採用も行われる20代と比較すると、30代前半の転職活動では「これまでの経験・スキルを応募企業でどのように活かせるのか」「今後のキャリアをどのように築いていきたいのか」という点について、より具体的かつ説得力を持ってアピールすることが重要となります。応募企業を探す際には、キャリアの棚卸しで整理した経験・スキルを活かせるかどうかをしっかりと検討しましょう。

自分の強みを整理する

転職活動でのアピールポイントとなる「強み」を整理します。企業研究をしっかりと行い、応募企業の求める人物像や仕事の進め方などを理解したうえで、「どのような場面で強みを発揮できるのか」を具体的に伝えることが重要です。

未経験分野を目指す場合は、これまでの仕事で身に付けた専門性はもちろんのこと、先にも挙げた「現状の把握」「課題の設定」などの仕事のし方(対課題)、「社内対応」「社外対応」などの人との関わり方(対人)といった「ポータブルスキル」を明確にしておくといいでしょう。
自身が強みとするポータブルスキルを活かせる業種や職種、企業を選ぶことで、未経験でも受け入れられる可能性が高まります。また、強みとするポータブルスキルと、これまでのキャリアの中で挙げてきた実績を具体的に紐付けて語れるようにしておけば、「再現性が高く、自社でも活躍してくれるのでは」など、採用担当者の期待値を高めやすくなるでしょう。

「カルチャーフィット」に注目する

採用企業側は「求職者が自社のやり方やカルチャーになじめるかどうか」にも注目しています。応募企業について研究し、カルチャーがフィットするかどうかを検討するとともに、面接ではその企業のカルチャーになじめることを裏付ける経験や考え方をアピールするといいでしょう。

応募企業のカルチャーへの理解度の深さと共に、魅力に感じていることを自分の言葉や経験ベースで伝えることがポイントです。また、新たな環境になじめる柔軟性や適応力があることも併せてアピールすれば、活躍可能性に加え、定着性の観点においても安心してもらいやすいでしょう。

「年収アップ」にこだわりすぎない

社会人経験をある程度積み重ねてくると、転職において「年収アップ」を求める方もいるでしょう。しかし、年収条件にこだわりすぎない方がスムーズに進みやすいと言えます。転職先に入社する時点で希望年収に達していなくても、入社後に成果を挙げて給与を上げることができるかもしれませんし、転職先で身に付けたスキルを活かして次の転職で年収アップするなど、中長期的な視点で考えてみることも大事です。それによって選択肢の幅が広がり、マッチする企業に出会いやすくなるでしょう。

また、30代前半の場合は、より経験を積んでいる30代後半・40代と比べると、マネジメントを含めた経験・スキル・実績などの面で伸びしろを含めた評価をされる傾向も見られます。そのため、採用担当者が「入社後にどの程度のスピード感で成長するのか、どのような活躍貢献ができるのかは未知数である」と考える可能性もあります。年収交渉を行うことは可能ですが、入社時点での条件にこだわりすぎず、面接や面談などの中で中長期的な昇給の可能性や年収モデルなどについて確認してみましょう。

転職エージェントを活用し、選択肢を広げよう

30代前半の転職の方向性は、「即戦力として経験を活かす」「異分野へのキャリアチェンジ」ともに可能性があり、選択肢も広げやすいと言えます。これまでの経験を棚卸しして整理するにも、中長期視点でキャリアビジョンを描くにも、1人で考えていると迷いが生じることもあるでしょう。

そのようなとき、転職エージェントのキャリアアドバイザーのサポートを受けることで、客観的視点で整理ができるほか、自分では意識していなかった強みや志向に気付けるかもしれません。また、30代前半はリーダーを任されるなど、多忙な場合もあるでしょう。転職エージェントを活用することで求人情報収集、面接の日程調整などの効率化を図れるメリットもありますので、ぜひ活用してみてください。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

記事作成日:2022年11月03日
記事更新日:2024年06月25日
記事更新日:2025年07月02日 

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。