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30代の転職は厳しい? 未経験・スキルなしでも可能? 成功のコツを紹介

30代 転職

30代の転職について「そもそも30代で転職すること自体、難しいのでは?」「スキルに自信がないから不安」「未経験でも転職できるのだろうか」などの疑問や不安を抱えている人もいるでしょう。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏に、30代の転職市場の状況や、未経験・スキルなしの転職の可能性、意識したいポイントなどについてお伺いしました。

30代の転職は難しい転職市場の現実

まずは30代の転職市場について解説します。実際にどのような状況なのか把握しておきましょう。

30代で転職する人は増えている

昨今、30代で転職をする人は増えている状況にあります。リクルートワークス研究所が4,387社の企業に向けて実施した「中途採用実態調査2019」(※)によれば、中途採用における採用年齢層は「10代・20代」が51.4%である一方「30代」は57.2%となっています。

2019年度通期 中途採用における採用年齢層

出典:リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2019年度実績、正規社員)」

30代の転職で求められているものは?

個人としての活躍だけでなく、組織により良い影響を与えて貢献できる人材が求められる傾向があります。マネジメント経験や高度な専門性がある場合は、評価につながりやすいでしょう。

30代でも未経験の業界・職種に転職は可能

リクルートエージェントが発表した「転職決定者データ分析(2009年度~2020年度)」(※)によれば、30代で「異業種×異職種」の転職をしたパターンは全体の約3割を占めており「異業種×同職種」の転職をしたパターンも全体の3割超となっています。

企業が30代に対し、いわゆる「越境転職」を歓迎するケースは増えている状況と言えるでしょう。その背景としては「変化の激しい時代の中、企業も変化していくことが必要」「労働力が不足している」という2点が挙げられます。

終身雇用の制度がスタンダードではなくなりつつある現在、社員に対して「終身成長」を期待している企業が増えています。また、少子高齢化に伴い、さまざまな業界が労働力不足に陥っているため「同業界・同職種の経験がなくとも、業務に活かせるポータブルスキルがあれば問題ない」と考える企業も少なくはありません。このように、企業の人材要件そのものが変化しているため、未経験者にも転職のチャンスが広がっていると言えるでしょう。

【年代別】転職時の業種・職種異同のパターン別割合(2020年度)

出典:『リクルートエージェント』の転職決定者分析(2009年度~2020年度)より

30代の転職は資格を持っていた方が有利?

応募する企業や職種の業務に役立つものでなければ評価にはつながりにくいでしょう。特に、業務に必須となる資格以外は、資格の有無より実務経験が評価される傾向があります。

ただし、経営戦略や組織マネジメントなどに役立つような資格、例えば中小企業診断士、MBAなどを取得している場合は、幹部候補の人材として期待値を高められる可能性もあるでしょう。また、リスキリング(技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、業務上で必要とされる新しい知識やスキルを学ぶこと)が注目されている中、新たな知識を自ら学ぼうとする姿勢そのものを評価するケースもあります。

転職エージェントを活用することもおすすめ

30代の転職活動を成功に導くためには、転職エージェントの活用もおすすめです。自分の希望や経験・スキルにマッチした求人を紹介してくれるため、自分に合った企業を探しやすいでしょう。また、キャリアの棚卸しや応募書類の作成、面接対策などの各種サポートを受けられるので、選考通過率がアップする可能性があります。

30代の転職を成功に導くポイント

30代の転職を成功に導くために、意識しておきたいポイントを紹介します。

応募企業を選ぶ際には幅を広げる

自分の経験・スキルをより活かせる求人に応募した方が選考通過率は高まります。業界・職種を絞り込み過ぎず、幅広い企業を視野に入れることは重要なポイントです。同業界・同職種以外でも、業界経験や職種経験などを活かせる可能性があるので、できるだけ幅を広げる意識を持つと良いでしょう。

また、複数の企業の選考を並行することも大事です。転職エージェントを活用する場合は、トータルで10社以上に応募するのが一般的です。その後、選考に落ちたり、自分が選考辞退したりすることで、2〜5社程度の面接を並行するケースが多いでしょう。ある程度の応募企業数を担保することが大事です。

求める人材要件に対し、よりマッチする経験・スキルをアピールする

30代は即戦力採用が前提のため、求める人材像によりマッチしていることが重要です。特に、人気の企業や職種の場合は、ほかの応募社の経験・スキルも高いことが想定されます。企業が求める人材要件にマッチする経験・スキルをアピールし、かつ、マネジメント経験など、組織に貢献できる力もアピールすると良いでしょう。

応募企業の企業文化や業務にフィットする部分をアピールする

他社で一定以上の経験を積んできた30代の場合は、自社の職場や業務の進め方、企業文化などに馴染めるかどうかも評価のポイントになります。企業研究をしっかりと行った上で、そこにフィットする経験や考え方をアピールすれば評価につなげることができるでしょう。

転職理由で前職(現職)の批判をしない

前職や現職の職場への不満が転職のきっかけとなるケースは少なくありません。しかし、面接では「転職の目的=転職先で何を実現したいのか」を前向きに伝えることが重要です。転職理由は必ず面接で聞かれる質問ですが、そこで前職(現職)に対する批判や不満のみを話せば「同じ不満を繰り返すかもしれない」「新しい職場に馴染めないのでは?」などの懸念をされ、定着性を疑われてしまう可能性もあります。

年収などの条件面のみで企業を選択しない

年収や福利厚生、各種制度などの条件面のみで転職先を選んだ場合、後悔するケースは少なくありません。例えば「年収水準に惹かれて成功報酬型の企業を選んだ結果、本来の業務に加え、営業活動まで担うことになった」「福利厚生に魅力を感じたが、仕事にやりがいが感じられない」「ストックオプションの制度に期待してベンチャー企業を選択した結果、全く株価が上がらなかった」「テレワーク制度に惹かれたが、チームで仕事を進める意識が希薄な風土が自分に合わない」などの失敗例が挙げられます。

条件面だけでなく、転職先に求めるさまざまな希望条件を整理し、優先順位をつけることが大事です。

面接で自分から年収条件の交渉をしない

年収条件は聞かれてから回答するほうが無難です。特に転職市場の相場や自分の市場価値とかけ離れた年収条件を提示・交渉した場合は、選考見送りになる可能性もあります。そもそも採用人材の年収条件をアップする場合は、社内稟議に通すことが必要なため、面接担当者に交渉してもその場で回答を得ることはできません。年収条件は、2次面接や内定後などに確認されるケースが多いので、そのタイミングで伝えることをおすすめします。

30代未経験の転職を成功させるコツは?

30代で未経験からの転職を成功させるコツを紹介します。

ポータブルスキルをアピールする

未経験の業界・職種でも役立つようなポータブルスキルをアピールすることがポイントです。企業によっては、他業界・他職種の経験を求めるケースもあるので、
応募業界や応募職種で活かせる前職(現職)の経験も併せてアピールすると良いでしょう。

学ぶ意欲や姿勢をアピールする

未経験の仕事も積極的に学ぶ意欲や姿勢をアピールしましょう。また、応募職種に役立つ資格を取得した経験や、スクールに通ったり、自主学習で学んだりした経験などを話せば「入社後にも新しいことを学んで成長していける」という説得力につなげることができます。

一時的な収入ダウンの可能性も受け入れる

全くの未経験の場合は、前職と同様の年収条件を実現することは難しい可能性が高いでしょう。一時的に収入ダウンする可能性も受け入れて企業を探す方が、採用の可能性を広げることができます。ただし、今後のライフプランを見据えた上で「応募する職種や企業で経験・スキルを積めば、年収アップできるのか」まで、きちんと考えることが大事です。

経験・スキルを身につけられる企業に転職する方法もある

希望する職種に対し、現時点の経験・スキルでは採用が難しい場合は、足りない経験・スキルを身に付けるために、比較的、採用のハードルが低い関連職種などに転職する方法もあります。一定の経験・スキルを身に付けてから、再度、希望職種への転職を目指すこともできるので、視野を広げて考えてみるのも良いでしょう。

30代未経験におすすめの職種は?

営業職などの大量採用を行う職種や、IT関連など慢性的に人材不足の職種は未経験でも採用の可能性が大きいと言えるでしょう。また、業界・企業については、常に人材確保が必要な「成長産業」、同業者同職種の経験者がいない可能性がある「新サービス・新規産業」、サービスや事業が変化するスピードが早い「ベンチャー・スタートアップ」、ポテンシャルやカルチャーとのマッチングを重視している「未経験者に門戸を開いている企業」などもおすすめです。

「30代でスキルがないけど転職したい」どうすればいい?

「スキルがないために転職できるか不安」という人のために、方法論を紹介します。

まずは転職活動を始めてみる

即戦力採用の30代の場合、スキルを求められることは前提となりますが、自分が思ってもみないスキルや経験が評価される可能性もあります。まずは転職活動を始めてみることで、転職市場の相場観や自分の市場価値を理解してみるのも一つの方法です。自分に足りないものを知れば「それを身につけてから転職活動する」「身に付けられる転職先を探す」などの方法を取ることもできるでしょう。転職エージェントに相談し、キャリアの棚卸しのサポートを受けてみることもおすすめです。

30代スキルなしでも転職可能な業界・職種は?

リクルートワークス研究所による「中途採用実態調査」(2021年度実績、正規社員)によれば、人手不足の可能性が高い建設業(53.0%)、小売業(45.3%)などで未経験者比率が高いことがわかります。また、成長産業である情報通信業では、未経験者の採用比率が2020年度の22.3%から32.7%となっており「+10.4%ポイント」と大きく増加しているため、経験者では足りない人員を未経験者で補っていることが窺えます。スキルに自信がない場合でも、未経験人材と同様に、人材不足の業界や、成長産業を手がけている業界には可能性があると言えるでしょう。

2021年度通期 中途(経験者・未経験者) 2区分の採用実績人数と、未経験者比率(経年比較)

出典:リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2021年度実績、正規社員)」

30代スキルなしの転職を有利にする資格は?

マイクロソフトのオフィススペシャリストは、一定以上の事務系スキルを持っていることの証明になります。一方、ビジネス・キャリア検定は、職務を遂行する上で必要となる知識の習得と実務能力を評価する検定です。こうした資格を持っていることで、オフィスワークに対応できる一定以上のスキルがあることをアピールできるでしょう。

また、日商簿記、秘書検定、ITパスポートなどは、応募職種の業務に関連している場合は「基礎的な知識がある」として、評価される可能性もあるでしょう。「自ら学ぶ姿勢があること」を伝える裏付けとしても有効と言えるかもしれません。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2022年11月09日 記事更新日:2023年07月05日