転職エージェント トップ > 転職成功ガイド > 内定を受けて入社の準備をする > 【退職準備・手続きマニュアル】退職の流れと円満退職のポイント > 「転勤」を理由に退職はできる?辞める前に考えたい退職のリスクと転勤のメリット

「転勤」を理由に退職はできる?辞める前に考えたい退職のリスクと転勤のメリット

転勤 退職

会社から突然の転勤の辞令…。会社員である以上、ある程度覚悟はしていても「マイホームを購入したばかり」「配偶者が仕事を辞められない」など、さまざまな事情で転勤を受け入れがたく、退職しようかと悩むケースもあることでしょう。そもそも転勤を断ることは可能なのでしょうか?もし転勤を理由に退職したら、どんなリスクがあるのでしょうか?その場合に転職活動で注意するポイントは何でしょうか?組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏にうかがいました。

会社が社員に転勤を命じる理由・目的

まず転勤とは、社内の適材適所に人員を配置するために行う「人事異動」のひとつです。人事異動には、部署異動、グループ会社への出向、転籍などがあり、昇進や昇格も含まれます。そうした中で、一般的に転居を伴う勤務地の変更を転勤と呼んでいます。

多くの会社において、転勤は次のような理由や目的で行われています。

  • 経営、事業戦略の実行……新規事業の立ち上げに伴う増員や、退職や休職に伴う欠員の穴埋めなど、事業戦略の実行や組織編成を目的とするもの。
  • 人材育成……適材適所に人材を配置し、能力を十分に発揮できることによるモチベーションアップや、新たな部署で多様な経験を積むことによるスキルアップなど、社員の成長を目的とするもの。
  • 組織の成長や活性化……異動する社員のノウハウを新たな部署に伝達することより、組織の活性化を目的とするもの。

会社から転勤を告げられたら断ることはできる?

原則として転勤を断ることはできない

思いがけない転勤の内示や辞令が出れば、誰でも動揺してしまうものです。社員は会社からの転勤命令を断ることはできるのでしょうか?

結論から言うと、就業規則に「業務の都合により、配置変換や転勤を命じる場合がある」などの記載があれば、原則として転勤を断ることはできません。社員は「正当な理由がなく」会社の転勤命令を断ることはできず、それでも拒否し続けた場合は、降格や懲戒処分の対象になる可能性があります。

転勤を拒否できるかもしれない正当な理由

転勤を拒否できる「正当な理由」については次の3つがあります。ただし(1)はレアケースであり、(2)(3)についても会社が正当な理由と認めてくれるかどうかは未知数。現実的にはハードルが高いかもしれません。

(1)入社時の雇用契約に反するケース

就業規則に転勤の条文があっても、雇用契約書などで勤務地が限定されている場合は、契約外の勤務地を求める転勤命令は「契約違反」となるため、断ることができます。また、まれに就業規則や雇用契約書に、転勤に関する記述がない場合もあるので、まずはそれらの文書を確認してみましょう。

(2)やむをえない事情があるケース

例えば親の介護をする人が本人しかいない、家族が病気で転院ができないなど、社員にとっての不利益が著しい場合は、転勤を拒否できる可能性があります。ただし、会社が不利益の度合いをどのように判断し、配慮するかはケースバイケースです。

(3)不当な理由の転勤であるケース

気に入らない社員を閑職に就かせる、わざと遠方に赴任させるなど「嫌がらせのための人事」であると認められた場合は、転勤を拒否できる可能性があります。ただし、事実であることを立証するには困難が伴います。

転勤を拒否できたとしても伴うリスクがある

転勤を断るのが原則的には難しいとはいえ、会社都合の人事のあり方が見直されつつある昨今は、正当な理由なく転勤を拒否したとしても「即処分」「即解雇」には至らないかもしれません。
ただし、仮に粘りに粘って転勤拒否が容認されたとしても、「挑戦する気持ちがない」「順応性に欠ける人材」といったマイナスイメージが定着し、後々のキャリアに影響するリスクは否定できません。もし今の会社に長く勤めたいという意思があるのなら、可能な限り穏便に、譲歩できる部分も示しながら話し合いをすることをお勧めします。

転勤を理由に退職を選ぶ前にできることは?

望まない転勤の内示や辞令が出て「転勤するくらいなら退職したい」と悩む人がいる一方で、「まずは会社と交渉したい」「できれば今の会社で働き続けたい」と考える人も多いでしょう。諦めて退職してしまう前に、まず今の会社でできることを考えてみましょう。

少しでも条件が良くなるよう交渉する

上司から転勤の打診があったときなどに、「○○という理由で転勤したくない」という意志を伝えること自体は問題ありません。転勤そのものが免除される可能性は低いですが、自分の状況を伝えることで、転勤時期や期間、勤務地などには交渉の余地が生まれるかもしれません。

例えば「少し時期を遅らせて欲しい」「戻れる時期を提示して欲しい」と交渉することで、転勤の時期を配慮してもらえたり、「○年後には帰ってきてもらいます」と次のキャリアパスの見通しを取り付けることができるかもしれません。また、「転勤は受け入れるが勤務地を変更したい」と交渉した結果、同時期に転勤する別の社員と勤務地をトレードしてもらえたというケースもあります。転勤を望まない事情を正直に話し、譲歩を示したうえで、状況が少しでも良くなる代替案を検討してもらえるよう交渉してみましょう。

転勤をポジティブに捉えてみる

確かに転勤には、家族や友人と離れることや、知らない土地での慣れない生活、新たな職場で人間関係を一から築くストレスなど、さまざまな苦労が伴います。しかし決して悪いことばかりではなく、社会人として経験の幅を大きく広げるチャンスでもあります。

【転勤のメリット】

  • 新しい部門や職務に就くことで多様な経験を積むことができ、視野が広がる。
  • 経験の引き出しを増やすことで、将来のキャリアパスの選択肢が増える。
  • 社内でのネットワークが広がり、情報交換や、新たな仕事に取り組む際の力になる。
  • 物理的な環境や人間関係の変化によるリフレッシュ効果がある。心機一転、仕事に取り組める。
  • 知らない土地に住むことで発見がある。新たな趣味や楽しみを開拓できる可能性がある。

ぜひ転勤のメリットも視野に入れて検討し、納得のいく選択をしましょう。

転勤を理由に退職するとどんなリスクがある?

転勤の内示や辞令にどうしても納得できず、退職を選んだ場合には、どのようなリスクがあるでしょうか。退職を決断する前に把握しておきましょう。

突然の転職活動に苦戦する可能性がある

「前から転職活動をしていて、転勤辞令で退職する決心がついた」という場合は別として、転勤を理由に退職する場合は、内示や辞令を受けて意図せず急に転職活動を始めるケースが多くなります。そうなると、転職活動に必要な情報収集、書類作成、キャリアの棚卸し、家族や周囲への説明など、準備段階のプロセスが計画的に進められない可能性があります。

その結果として、転職活動に苦戦し、期間が長引くことや、キャリアや労働条件についてじっくり検討・選択せず、焦って希望に合わない転職をしてしまうといったことが起きてしまうかもしれません。

退職金や、雇用保険の給付に影響が出る可能性がある

「会社都合退職」とは、経営不振やリストラ、倒産などを理由に会社側が労働契約を解除し、退職を余儀なくさせること。それに対して「自己都合退職」は、自分の意志や都合で退職を申し出ることです。

就業規則などに転勤の規定がありながら、転勤を理由として退職した場合は、基本的に自己都合退職の扱いになり、退職金の支給額が減額される場合があります。また、自己都合退職では、雇用保険の基本手当(失業給付)がもらえるまでに最短で2ヵ月かかり、受給期間も会社都合に比べて短くなります。(ただし、転勤先への通勤に関して往復4時間以上かかる場合は、正当なる理由のある自己都合退職者(特定理由離職者)として給付制限期間が無く直ぐ基本手当(失業給付)の受給が出来る場合があります)転職活動が順調にいかなければなおのこと、経済的に不安が生じやすいかもしれません。

転勤を理由に退職・転職をするときのポイント

焦らず「キャリアの棚卸し」からしっかりと

転勤を理由にした転職活動では、会社に対する不満や、「とにかく早く次の仕事を決めたい」という焦りで頭がいっぱいになり、今後のキャリアや、転職先に求める条件に考えが向きにくい状態でスタートすることが多いものです。しかし、そうした後ろ向きの動機のままでは、転職活動はうまくいきません。転職を決意したのなら一旦冷静になり、しっかりとキャリアの棚卸しをして「こういう働き方がしたい」「こんな経験ができる会社に行きたい」という前向きな転職理由を整えていきましょう。

退職理由は「転勤」で構わないが、伝え方には注意

面接で退職理由を聞かれた場合、「転勤を命じられたのがきっかけ」と正直に話して構いません。ただ「会社が信用できなくなった」と批判したり、不平不満を前面に出したりするのは得策ではありません。面接担当者に「人事異動が意に沿わないとすぐに反発する人だろうか」という懸念を抱かせ、選考で不利になる可能性があります。

こうした場合は会社の立場にも理解を示したうえで、ポジティブに転化させた表現で伝えるのがお勧めです。例として、次のような伝え方をすると良いでしょう。

「転勤にもメリットがあるので検討しましたが、やはり私の積みたいキャリアの方向性とは違うと考え、退職して転職活動をすることにしました」
「家族とも話し合いましたが、引っ越しは難しかったため、子どもの成長期に家族が揃って暮らすことを優先したいと思いました」

「転勤の可能性が低い」会社や職種を探すことはできる

転勤を理由にした転職では「次は転勤のない会社に行きたい」と考える人が多いかもしれません。
結論から言うと、この先ずっと転勤がない会社を探すのは簡単ではありません。例えば募集時点で求人票に「転勤なし」と書かれていたとしても、会社は業務上の都合により、将来的に転勤や出向、配置転換を命ずる可能性があるからです。

ただ、「転勤の可能性が低い」会社や職種を探すことは可能です。例えば、長年地域で事業を営み、広域での事業展開予定がない会社、オフィスが一拠点の会社、勤務地の概念がない会社(好きな場所で仕事ができるWebやIT系企業)など。職種では、総務や経理などのバックオフィスの仕事、テレワークが可能な職種(エンジニア、デザイナー)などがあります。

また社会全体の傾向として、特にコロナ禍の影響でテレワークが急速に普及したことから、社員に転勤を求める会社は以前より減ってきています。例えば、育児や介護などの家族都合がある場合に転勤や異動を免除する会社や、エリア限定社員を採用する会社も増えてきました。さまざまな働き方の多様化が進んでいることを視野に入れて、会社選びをするのも良いでしょう。

急な転職活動は転職エージェントに相談を

転勤の内示や辞令がきっかけで転職を考えたときは、転職エージェントの利用も検討してはいかがでしょうか。転職エージェントではキャリアの棚卸しや求人紹介、面接対策など、転職活動全般をサポートするだけでなく、相談者が抱えている問題を紐解き、会社に残ることも含めたベストな選択肢を一緒に考えてくれることでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

あわせて読みたい参考記事

リクルートエージェントでは、転職でお悩みの方に適切なアドバイスをお送りしています。また、企業の面接対策や職務経歴書の作成サポートや、スムーズな退職のためのサポートを行っています。お悩みの方はぜひ一度相談に来てみてください。