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転職時の適性検査の目的は?合否に影響する?受検のコツや対策方法も徹底解説

転職 適性検査

転職の選考の1つである「適性検査」は現在、多くの企業が採用するようになりました。「書類や面接対策だけでも大変なのに、適性検査まで手が回らない」と戸惑う人も少なくないでしょう。転職の適性検査は何のために実施され、合否にどれだけ影響するのでしょうか。適性検査で失敗しないために、効率よく対策するにはどうしたらいいのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

転職の「適性検査」はなぜ実施される?目的は?

「適性検査」とはどんなもの?

「適性検査」とは、企業が採用活動をするときに、応募者が自社で業務に就くための適性があるかどうかを判別する目的で行う、検査や試験のことを言います。
適性検査は、「性格検査」と「能力(学力)検査」の大きく2つに分けられます。

性格検査

主にその人の性格や、人物タイプを見極めるための試験です。短い面接では見抜けない性格特性などを知ることで、募集職種に適した人材かどうかを判断します。

能力(学力)検査

主に基礎的学力や論理的思考力などを測る試験です。言葉の意味や話の要旨を的確に捉えて理解する力や、数的な処理、論理的な思考力を測ることで、募集職種に必要な能力があるかを見極めるために活用されます。また、企業によっては時事問題などの一般常識や、募集職種の業務に必要な知識を見極めるオリジナルテスト(エンジニアに対するプログラミング課題など)を用意しているケースもあります。

企業が適性検査をする目的とは?

前提として、新卒採用と中途採用では、選考プロセスにおける適性検査の役割が異なります。

新卒採用では一度に大勢の応募者の選考を行うことが多いため、面接に進める応募者の優先順位づけのために、書類選考と合わせて適性検査を活用するケースが多く見られます。また選考が進むと、配属部署などを決めるための判断材料にも利用されます。職務経歴のない新卒は、いわゆる「ポテンシャル採用」になるため、基礎的な能力や性格が分かる適性検査は、中途採用に比べると合否に対するウェイトが高いと言えます。

一方で選考する人数が比較的少なく、募集職種が決まっている中途採用の適性検査の目的は、大きく次の3つになります。

1.選考時の見極めとして、能力や性格を確認したい

募集している職種、仕事、配属部署やその企業の社風に、応募者が性格や能力の面でどの程度マッチするかを見極めるために活用します。客観的な数値で見られることで、面接担当者による評価の偏りを修正し、応募者と企業とのミスマッチを防ぐ役割を果たします。

2.入社後の配置、人材開発に役立てたい

採用後、職場の上司や同僚に転職者の適性検査の結果を共有しておくことで、人物への理解が深まり、質の高いコミュニケーションに繋げることができます。さらに、その人の特性を活かした新たなキャリアの提案や、人材開発インフラの整備にも活用します。

3. 採用活動を振り返り、今後に活かしたい

適性検査でどんな結果を出した人が組織にマッチしたか、自社で活躍しているかをデータとして蓄積していくことで、より効果的な人材採用に結びつけようとしています。

転職の適性検査の実施タイミングと位置づけは?

中途採用の適性検査が実施されるタイミングとしては、(1)書類選考と並行して実施、(2)一次面接(初期選考)と並行して実施、(3)最終面接と並行して実施、のパターンがあります。

(1)のように面接前に適性検査を実施する目的は、企業によって主に2つに分けられます。
一つは書類選考の一環として実施する。もう一つは、面接にあたって事前に性格や能力についての情報を取得するためです。少ない募集枠に大勢の応募者が集まる人気企業では、新卒と同様に書類採用の一環として適性検査が行われ、面接へ進める応募者の優先順位付けのために利用されるケースもあるようです。

(2)(3)のタイミングで実施される適性検査は、応募書類・面接と合わせた総合的な判断材料になることが多く、面接で受けた印象や面接担当者の評価が偏っていないかを客観的に見るために活用されます。また、今後の選考で見ていくべき観点、面接での質問ポイントの提供などにも利用されます。

採用の合否にはどう影響する?適性検査で落ちることは?

中途採用では、面接前に応募者が適性検査で選別されるようなケースは多くありませんが、適性検査の位置づけや求められるレベル、合否判断に占めるウェイトは企業によってさまざまです。ですから、「適性検査がどれだけ合否に影響するか」について一概には言えません。

ただ一般的には、履歴書や職務経歴書、面接を含めて判断されることが多いため、企業側が求める水準から大きくかけ離れていない限り、適性検査が合否の決め手になる可能性は低いと考えられます。採用担当者は適性検査の結果と面接を合わせて応募者の人物特性を理解し、自社が求めている人材だと総合的に判断すれば採用となるでしょう。

転職の適性検査の概要と対策について

現在、市場にはさまざまな種類の適性検査があります。それぞれの検査には特徴があり、測ることができる要素も少しずつ違うため、各企業は自社が知りたいと思う素養に適した検査を採択しています。ここでは、「能力(学力)検査」と「性格検査」の概要と、受検前の対策について解説しましょう。

【能力(学力)検査】問題形式に慣れておくことが大事

能力(学力)検査には、製品によって「言語」「数学」「図形」「論理」などさまざまな分野があります。基礎学力や論理的思考を見極めるための問題が出題されるのですが、こちらも、選択肢の中から答えを選ぶ形式が主流です。

能力(学力)検査は、出てきた問題を正しく理解し、迅速に処理することが求められるテストです。多くの場合、資格試験のように知識を問うのが目的ではないので、直前に勉強しても得点結果は大きく変わらないと言われています。

ですから最も重要なのは、本番で自分の実力をきちんと出すための対策です。
能力(学力)検査でどのような形式の問題が出題されるか全く知らないと、受検のときに焦ってしまって力が発揮できない可能性があります。Web上の参考サイトや問題集などで例題を解いてみて、どんな問題が出るのか、どんな感覚で解いていくのかを事前に把握しておきましょう。

また、パソコンでの受検では「手元で計算して画面上で答える」「次に進むと前の画面には戻れない」など進め方にコツがあるので、あらかじめ受検方法や解答方法を確認しておきましょう。

【性格検査】ありのままの自分を出すことを第一に

性格検査は、決められた時間内に多くの設問に対して「はい」「いいえ」「どちらでもない」などを選ぶ問題が主流です。回答の内容や傾向を分析することで、性格や人物タイプ、行動パターンが分かるようになっています。

性格検査の準備は特に必要ありません。仕事の場面における普段の自分をイメージして、素直に答えていくことだけを心掛けましょう。似ている質問が何度も出てくる場合もありますが、それはひとつの性格特性について表現を変えながら多角的に質問することで、その特徴の強さを精度高く測定する手法です。ですから一問一問に直感的に、正直に答えていけば問題はありません。

逆に「この企業はこんな答えを選ぶ人材を求めているのではないか」と考えて、回答を取り繕うのはNGです。面接で検査結果と実際の人物とのかい離はすぐに明らかになるので、「この人は嘘をつくのではないか」と企業にマイナス評価をされかねません。仮に採用されたとしても、企業風土や職務が合わずに苦労する可能性もあります。企業は適性検査から、あなたが「この仕事に向いているか」「社風にフィットできるか」を見極めようとしています。自分の持ち味に合った仕事や企業に出合うためにも、正直に回答することをお勧めします。

転職の適性検査の実施形式は?

適性検査の実施形式は次の4種類。どれを選ぶかは応募先企業によって異なりますが、コロナ禍の影響から、最近はWEBテストを選択する企業が増えています。いずれの場合も企業の案内をよく読み、間違いのないよう受検しましょう。

WEBテスト(パソコン、タブレット、スマホ受検)

インターネット環境に接続できるパソコンから受検する形式。企業から指定された受検期間内で、自分の都合のよい時間に自宅などのパソコンから受検します。試験によってはタブレットやスマホでも受検できますが、推奨されるのは性格検査のみ。能力(学力)検査は小さな画面では取り組みにくく、誤操作も起きやすいためお勧めできません。

ペーパーテスト(マークシート受検)

応募先の企業が用意した会場で、紙のテスト用紙を使い、マークシートで受検する形式です。

インハウス(パソコン受検)

応募先企業内のパソコンで受検する形式で、面接と同じ日に実施する企業が多いようです。その場で結果が出るため、企業側は面接の判断材料としてすぐに活用でき、また応募者にとっても一度の訪問で済むため、双方にとって効率的です。

テストセンター(パソコン受検)

適性検査の開発元が、全国に用意した会場のパソコンで受検する形式。応募者は指定された受検期間から都合の良い日程・会場を予約し、会場に足を運んで受検します。

適性検査を受けるときのポイントアドバイス

事前に検査内容を知りたいときは?

転職活動を効率よく行うため、適性検査の内容を事前に知りたい人も多いと思います。応募前なら、企業名と「適性検査」をネットで検索すると、過去にその企業の選考を受けた人の情報などが見つかるかもしれません。ただし最新の情報とは限らないので注意が必要です。

すでにエントリーして企業とコンタクトしている段階なら、人事担当者に直接聞くのが早道です。特に公表を控えている場合を除けば、普通に教えてもらえることが多いでしょう。
転職エージェントを利用している場合は、キャリアアドバイザーに聞くか、転職エージェントを通じて企業に問い合わせてもらう方法もあります。もし転職エージェントから同じ企業を受けた人がいた場合、どんな検査が実施され、どんな準備をして、手応えはどうだったか?という話を聞くことができるかもしれません。

期限に関わらず早めに受検をしよう

適性検査の実施形式の中でもWEBテストやテストセンターは、指定された期間から都合の良い日を選んで受検をすることになります。この場合は、企業から案内が届いたら、期限に関わらずできるだけ早く受検することが大切です。締め切りギリギリに受検しようとして、IDやパスワードの間違いでテストページに入れなかったり、先に受検したライバル応募者から選考が進んでしまい、すでに募集が終了していたりすることもあり、注意が必要です。

あらかじめネットや周囲の環境を整えよう

現在はWEBテストを選択する企業が多いため、自宅などで適性検査を受けるケースが増えています。テスト中に回線が落ちてしまうことなどがないよう、案内に従って事前にパソコンの動作環境やネットワーク環境をしっかりチェックしましょう。また、一般的に適性検査は「性格検査+能力(学力)検査」で1時間ほどかかります。家族のいない部屋を使う、1日の中で騒音が少ない時間帯を選ぶなど、できる限りテストに集中できる環境を作ることを心がけましょう。

適性検査は総合的な判断材料のひとつ

最近、中途採用に適性検査を導入する企業が増えている一因には、オンライン面接の普及もあるようです。オンラインでは掴みきれない応募者の人物像を補うために、適性検査を活用したいと考える企業が多いのでしょう。

繰り返しになりますが、中途採用における適性検査は、総合的な判断材料のひとつであり、応募者の「ありのまま」を見るための手段です。従って、適性検査対策は出題の傾向を知るだけに留め、書類作成や面接対策などに力を入れた方が、転職を成功させる可能性が広がることでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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