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転職には「妥協」が必要?転職を成功に導くポジティブな妥協のコツ

転職活動を始めて時間が経つのに、なかなか理想の企業に出会えないと「この辺で妥協したほうがいいのかな」「いや、妥協したら後悔するかも…」という迷いが生じがちです。そもそも、転職には妥協はつきものなのでしょうか? 妥協していい条件、いけない条件を見極めるにはどうすればいいのでしょうか? 納得の転職を叶えるための「妥協の考え方」について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が解説します。

ズバリ、転職に「妥協」は必要?

転職における妥協はネガティブなことばかりではない

転職活動で希望条件が揃った企業が見つからず「妥協するべきか?」と悩む人は多いものです。妥協というと「折れた」「不本意」「後悔」というネガティブなイメージが強くて、余計にモヤモヤしてしまうのでしょう。

「そもそも転職に妥協は必要?」という問いの答えは、「YES」でもあり「NO」でもあります。

自分が理想とする希望条件を100%満たす企業を探すことは、現実的には難しいので、転職を実現するためには条件の取捨選択が欠かせません。それを妥協と呼ぶのなら、必要だと言えるでしょう。

一方で「妥協するか否か?」という悩みは、転職の目的を分解、整理することで「ポジティブな妥協」に変えることもできます。それにより、結果として妥協という発想自体がなくなることもあるのです。そうした例を以下にご紹介しましょう。

妥協の悩みを分解してポジティブに変える3つのパターン

1.希望条件が「本当の転職理由」とリンクしない場合

「理想の転職先がない」という場合、「年収が高い」「福利厚生が充実」「知名度が高い」「上場企業」などの外的条件ばかりを求めすぎて、転職で叶えたい本当の目的を意識できていないケースがよくあります。「そもそもなぜ転職したいのですか?」と尋ねると、初めて「今の会社の社風が合わない」「仕事にやり甲斐がない」という本音が漏れることも。つまり「本当の転職理由」と、本人の希望条件が全くリンクしていないことが問題です。

その場合はまず、本当の転職理由から企業選びの条件を見直す必要があります。「どんな社風を求めるか」「やり甲斐とは何か」から方向性を探れば、最初の希望条件も変わり、優先度が下がったり、外れたりするものもあるでしょう。企業選びの解像度を上げることで、「妥協した」ではなく「納得できる」希望条件に変えていくことができます。

2.希望条件の先にある「本来の欲求」に気づいていない場合

理想とする外的条件の陰に隠れた「本当の転職理由」に気づかないために、自ら選択肢を狭くしているケースもあります。例えば、年収アップという外的条件が最優先であり、一番の転職理由だと信じてしまうと、ほかの希望条件が揃った企業があっても、年収が合わなければ目に入らなくなることがあります。その結果、転職活動に苦戦してしまうことも起こりがちです。

そんなときは自分の希望条件を分解し、紐解くことで状況が変わるかもしれません。改めて「自分はなぜ年収を上げたいのだろうか」と深掘りしてみると、実は「サービス残業のない労働時間に見合う収入」や、「仕事に対して正当な評価を受ける」のが重要だったと気づくケースもあります。

希望条件の先にある本当の欲求が明らかになれば、企業選びの視点と選択肢も変わります。年収アップが必須でなくなれば、妥協という発想自体もなくなるでしょう。

3.そもそも希望条件が多すぎる場合

本当の転職理由を自覚している人でも、こだわる条件が多いために転職活動がうまくいかないケースがあります。その場合は条件に対して「1位、2位、3位…」とはっきりとした優先順位をつけることが先決です。全ての希望を満たす求人はそう簡単に見つかりませんが、重要度と優先順位を明確にしておくことで選択肢を広げることができます。

転職で、決して「してはいけない妥協」とは?

上の例から言えるのは、自分の中にある本来の欲求=本当の転職理由を明らかにし、それを叶えるための条件設定で転職活動をすれば、それ以外の条件に妥協したとしても納得感があるということです。本当の転職理由はそう簡単に譲れませんが、「妥協するか否か?」と迷うような外的条件は、案外本質的でないことも多いのです。

逆に言えば、本当の転職理由を置き去りにする妥協は極力避けるべきです。実現したい目的を見失った転職は、意味をなさなくなるからです。

よくあるのが、転職活動が長期化して精神的に疲れたり、失業保険の期限が迫ったりして、本来の目的に妥協してしまうパターン。内定が出た会社に「もうここでいいや」と入社して、後悔する人は少なくありません。「妥協で転職した」という思いが残れば、入社してもやる気が起きず、辛いことがあっても頑張れず、またすぐに転職を繰り返すこともあります。不本意な妥協を強いられる状況にならないよう、転職活動の進め方には注意が必要です。

妥協していい条件・いけない条件の見極め方

転職で妥協して後悔しないためには、譲れない条件とそうではない条件の順位付けを明確にしておくことが重要です。そこで、希望条件の優先順位を見極めるための、簡単な方法を以下にご紹介するので参考にしてください。なお、転職理由や希望条件は転職活動を進める中で変化していくことが多いもの。その際に軸がブレすぎないよう、ここで初期設定をしておくといいでしょう。

1.今の希望条件を書き出して優先順位付けしてみよう

「残業○時間以内」「年収○万円」「マネジメント経験」……など、転職先に求める条件を思いつくまま書き出してみましょう。さらに「仮」で良いので、それらに1位、2位、3位…と優先順位を付けてから、以下を試してください。

1)列挙した条件で、転職サイトや求人情報から応募したい企業を探してみましょう。

2)今の優先順位で選んだ企業に応募したと仮定して、面接で「転職理由」や「志望動機」を語れるかどうか想像してみましょう。語れることがないとすれば、選んだ条件は本当の転職理由とリンクしていない可能性があります。その場合は次のプロセスで再考しましょう。

2.「本当の転職理由」と、それを叶えるための条件を明らかにしよう

次に、希望条件は一旦脇に置いて、そもそも転職したいと思った理由は何なのかを考えてみましょう。「ワークライフバランスを取りたい」「社風に馴染めない」「将来性のある業界に行きたい」など、人によりさまざまだと思います。

そして自分の求める転職理由は、転職先にどんな条件があれば叶うかを、なるべくたくさん書き出してみましょう。例えばワークライフバランスを取りたいという転職理由は、「テレワークが可能」「フレックスタイム制」「働き方の自由度」「裁量権」など、色々な方法で実現できるかもしれません。

3.本当の転職理由のために「受け入れても良い条件」を考えよう

最初に挙げた希望条件と優先順位を、2.で考えた転職理由と見比べてリンクしているかどうかを確認し、必要に応じて別の条件を加えたり、順位を並べ替えたりして整理していきましょう。

例えば、最初は「残業月20時間以内」が最優先だと考えていても、ワークライフバランスを叶えるためには色々な方法があると気づけば、「必ずしも優先順位が高くなくて良いかもしれない」「月30時間でも受け入れられるかもしれない」と思うかもしれません。細かな条件に囚われず、本質的な部分に着目していけば「自分にとって譲れない条件」と「受け入れても良い条件」の違いが分かってくると思います。

「妥協」で転職に後悔しないためのポイント

極力、在職中に転職活動をする

会社を辞めて転職活動をした場合、すぐに転職先が決まらずにキャリアの空白期間が長くなると、選考で不利になる可能性があります。さらに経済的な不安も膨らむため、最後には焦って転職先を決めてしまい、後悔するケースは少なくありません。

ですから、差し迫った健康上の問題がある場合や、忙しすぎて時間が取れない場合などを除いてはできるだけ会社を辞めず、在職中に転職活動をすることをお勧めします。そうすれば応募先企業と現職の条件を比べることもでき、より良い選択ができるメリットもあります。

真の転職理由や優先順位を再確認する

前述のように、転職活動を進める中で内的な本当の転職理由に気づいたり、希望条件の優先順位が変化したりするのはごく自然なことです。ただ、求人情報を見たり、面接に行ったりするたびに「あれもいい」「この条件も捨てがたい」と目移りし、優先順位が変わる場合は、転職の軸になる部分が整理できていない可能性があります。

枝葉の条件に目を奪われるうちに、本来の転職理由で妥協してしまい、あとから「しまった」と思うことにもなりかねません。迷っていると感じたら「A社は何が良かったのか」「B社の何に惹かれたのか」とそれぞれのケースを整理して、その先にある本当の転職理由を再確認することをお勧めします。

常に比較検討できるようにスケジュールを組む

転職活動を進めるときは、複数企業の選考を同時進行させて、比較検討できるようにスケジュールを組むことも重要です。最終的には同時に複数の内定を取り、条件を見比べて転職先を決められるようにしたいもの。希望条件が完璧に揃ってはいなくても、その時点でのベストな選択ができれば「自分が主導権を持ち、主体的に選んだ」という納得感があるでしょう。

転職することを目的化しない

転職はあくまでも、キャリア上の問題を解決する手段のひとつです。それを「いつまでに何が何でも転職する」と目的化してしまうと、ときには判断を誤り、不本意な選択をしてしまうかもしれません。

理想の企業がなかなか見つからないときは「3ヶ月で決着させよう」「内定が2つ出たら決めよう」といった期限や条件設定を一旦外してみるのもひとつの方法です。中途採用では新たな求人が毎日毎週のように出てくるため、近い将来、自分の転職理由や希望条件に合致した求人に出会える可能性もあるからです。

一方で、転職活動をしてみると「この条件で採用されるにはまだ自分の経験・スキルが足りない」と気づくこともあります。それでも希望条件を変えたくないのなら、まずは現職で経験を積むという選択肢もあるでしょう。転職活動で多くの企業を見た結果、今の会社の良さを再発見し、「転職せずに問題を解決していこう」と決めた人もたくさんいます。最初から転職ありきではなく、現職に残ることも視野に入れれば、妥協で後悔するリスクも減らせるのではないでしょうか。

転職エージェントの利用もお勧め

「理想の転職先が見つからない」「条件を見直すべきかな…」とお悩みの方は、転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。

転職エージェントでは、第三者の目を通して相談者の希望条件を分解し、本当の転職理由を明らかにすることで、納得感のある転職活動を後押しします。転職市場の相場感から応募できる求人のアドバイスや、「妥協による転職失敗例」なども聞けるかもしれません。面接が始まれば、数社を同時進行させるスケジュール調整や、日程調整の交渉も代行。ベストな選択ができるようサポートしてくれることでしょう。

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組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

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