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転職すると退職金はどうなる?押さえておきたい退職金の基礎知識

転職 退職金

転職する前に知っておきたいことのひとつが退職金制度です。転職すると、退職金や企業年金はどうなるのでしょうか。そこで、退職金制度の種類や金額の目安、転職する場合の手続きについて、社会保険労務士の岡佳伸さん監修のもと、解説します。

退職金制度は企業によって異なり、約2割の企業は退職金制度がない

退職金制度は、法的な義務がないため企業によって内容が異なります。そのため、退職金制度自体を設けていない企業もあれば、複数の退職金制度を設けている企業もあります。「平成30年_就労条件総合調査」によると、従業員数1,000人以上の企業では退職給付制度を設けている企業は92.3%に及んだのに対して、30~99人の企業では77.6%にとどまっています。

第42表 退職給付(一時金・年金)制度の形態、産業・企業規模、退職者の有無別企業割合

従業員規模 退職給付制度(一時金・年金)がある企業
調査企業計 80.5%
1,000人以上 92.3%
100~999人 86.6%
300~999人 91.8%
100~299人 84.9%
30~99人 77.6%

出典:平成30年_就労条件総合調査(厚生労働省)

退職金制度の種類

退職金制度には、大きく「退職一時金」と「企業年金」の2種類に分けられます。退職時に一括で受け取ることができるのが「退職一時金」、年金の形で受け取ることができるのが「企業年金」です。

退職一時金

退職時に一括で退職金を支給する制度です。企業が独自で退職金を積み立てて支給する「退職一時金」と、企業が契約する共済が支給する「退職金共済」があります。

退職一時金

退職一時金の計算方法は企業によって異なり、勤続年数に応じて支払われる「定額制」、給与に応じて算出する「給与比例制」、勤続年数や役職などをポイント化して算出する「ポイント制」などがあります。いずれにしても、退職時に一括で支払われるケースが一般的です。

退職金共済

退職金共済は、中小企業退職金共済や特定退職金共済があり、企業が契約した共済に掛け金を納付する仕組みです。中小企業退職金共済は国の助成によって共済が運用しているため、所属している企業が倒産したとしても退職金が保証されます。また、同じ共済に加入している企業に転職した場合は、退職金を通算することもできます。

企業年金

企業によっては退職金を企業年金として支給する場合があります。年金には、「確定給付型」と「確定供出型」の二種類があります。企業の規約にもよりますが、受け取り方は、一時金・年金・併用の3つから選択することができます。

確定給付企業年金(DB)

企業が拠出・運用・管理・給付までの責任を負う年金制度です。企業が生命保険会社や信託会社などと契約し、年金資産を管理運用する「規約型」と、企業が年金基金を設立して管理運用を行う「基金型」があります。いずれにしても、給付内容は企業と従業員の間であらかじめ定められており、退職後、その内容に基づいて年金が給付されます。

企業型確定拠出年金(DC)

企業が掛け金を拠出し、従業員が運用する制度です。確定給付企業年金と異なり、退職後に受け取れる年金額は従業員の運用次第となります。企業が拠出した掛け金に上乗せして、従業員が掛け金を拠出する「マッチング拠出」を設定している企業もあります。

退職金はいくらもらえる?退職金の目安

退職金はいくらもらえるのでしょうか。金額の目安として、「平成30年_就労条件総合調査」の「平均退職給付額」では、35年以上勤めた場合、中学卒で1321万円、高校卒(現業職)では1629万円、高校卒(管理・事務・技術職)では1954万円、大学・大学院卒では2173万円という結果となっています。いずれにしても、勤続年数によって金額が大きく異なり、長く勤めた方が支給額は高くなる仕組みです。

第44表  学歴・職種、勤続年数階級、企業規模別定年退職者1人平均退職給付額

勤続年数 中学卒(現業職) 高校卒(現業職) 高校卒(管理・事務・技術職) 大学・大学院卒(管理・事務・技術職)
20~24年 268万円 421万円 525万円 1267万円
25~29年 453万円 610万円 745万円 1395万円
30~34年 728万円 814万円 928万円 1794万円
35年以上 1321万円 1629万円 1954万円 2173万円

注:1)「退職給付額」は、平成29年1年間における勤続20年以上かつ年齢45歳以上の定年退職者の値であり、退職一時金制度のみの場合は退職一時金額、退職年金制度のみの場合は年金現価額、退職一時金制度と退職年金制度併用の場合は、退職一時金額と年金現価額の計

出典:平成30年_就労条件総合調査(厚生労働省)

転職したら、退職金はどうなる?

退職金制度が設けられている企業を退職した場合、退職金はどうなるのでしょうか。退職一時金と企業年金に分けて解説します。

退職一時金

退職一時金を設けている企業を退職する場合は、勤続年数などの規定に従って退職一時金が支給されます。退職一時金が支払われるタイミングや、支給条件は企業によって異なります。一定の勤続期間を過ぎていないと退職金が支給されないケースもあるので、転職活動を始める前に就業規則を確認しておきましょう。中小企業退職金共済に加入している場合は、転職先企業が同じ共済に加入していた場合は、通算することができます。

企業年金

確定給付企業年金(DB)

確定給付企業年金(DB)の企業から、確定給付企業年金(DB)の企業に転職する場合、規定によっては資金を移動できることがありますが、対応している企業は多くはありません。企業型確定拠出年金(DC)の企業に転職する場合は、支給された脱退一時金を企業型確定拠出年金(DC)に移換することができます。なお、転職先企業がDB、DCを実施していない場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)や通算企業年金に資金を移換することができます。企業によって企業年金制度は異なるため、転職先企業の担当者に確認してみましょう。

企業型確定拠出年金(DC)

企業型確定拠出年金(DC)の企業から、企業型確定拠出年金(DC)の企業に転職する場合、資金を移換することができます。転職先の企業が企業型確定拠出年金(DC)を実施していない、または転職先企業の企業型確定拠出年金(DC)に加入する意思がないという場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)や通算企業年金に移換することができます。転職先企業が確定給付企業年金(DB)だった場合は、規定によっては移換することができますが、対応している企業は多くはありません。対応していない場合は、それまでの資金をiDeCo(個人型確定拠出年金)に移換し、転職先企業の確定給付企業年金(DB)に加入することになります。

前職の企業年金 転職先の企業年金 対応
確定給付企業年金(DB) DB 規約によっては移換可能

規約がない場合は前職の資金はiDeCoに移換

DC 移換可能
なし iDeCoや通算企業年金に移換
企業型確定拠出年金(DC) DB 規約によっては移換可能

規約がない場合は前職の資金はiDeCoに移換

DC 移換可能
なし iDeCoや通算企業年金に移換

参考:企業年金連合会サイト「 年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」

退職金にかかる税金は?

退職時に受け取る退職金には、「所得税」と「住民税」がかかります。ただし、長年勤務したことに対する報償的給与として一時に支払われるものであるため、税負担が軽くなるように配慮されています。なお、退職金は、勤務先に所定の手続をしておけば、源泉徴収で課税関係が終了するため、原則として確定申告をする必要はありません。

退職所得控除額

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)


1:勤続年数に1年未満の端数があるときは、たとえ1日でも1年として計算します。
2:上記の算式によって計算した金額が80万円未満の場合は、退職所得控除額は80万円になります。
3:障害者となったことに直接基因して退職した場合は、上記により計算した金額に、100万円を加算した金額が退職所得控除額です。

退職金にかかる所得税の計算方法

退職所得控除額を算出し、退職金の支払額から退職所得控除額を差し引いた額に2分の1をかけて退職所得の金額を計算します。退職所得の金額に税率をかけて控除額を差し引いた金額が所得税額となります。所得税額に復興特別所得税を足したものが、源泉徴収税額として退職金から差し引かれます。

[退職金]-[退職所得控除] × [1/2] = [税金がかかる退職所得金額]

例1:勤続年数30年、退職金2,000万円のAさんの場合

退職所得控除額 800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円
退職所得の金額 (2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円
所得税及び復興特別所得税 (250万円×10%-97,500)×102.1%=155,702円
住民税額 250万円×10%=250,000円
税金合計 155,702円+250,000円=405,702円

例2:勤続年数15年、退職金300万円のBさんの場合

退職所得控除額 40万円×15万円=600万円
退職所得の金額 (300万円-600万円)×1/2=0円
所得税及び復興特別所得税 0円
住民税額 0円
税金合計 0円

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社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所代表 岡 佳伸氏

アパレルメーカー、大手人材派遣会社などでマネジメントや人事労務管理業務に従事した後に、労働局職員(ハローワーク勤務)として求職者のキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は、雇用保険を活用した人事設計やキャリアコンサルティング、ライフプラン設計などを幅広くサポート。特定社会保険労務士(第15970009号)、2級キャリアコンサルティング技能士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士など保有資格多数。

記事作成日:2022年08月03日
記事更新日:2024年07月25日

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