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メーカーに転職するには?機械、電気メーカーの採用動向やキャリアパス

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自動車や家電、スマートフォンなど、生活を便利にする技術が次々に生まれています。自身の仕事が“モノ”として目にすることができる、メーカーの仕事を希望する方も少なくありません。そこで、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーに取材し、機械、電気メーカーの特徴や中途採用の転職市場の動向、キャリアの選択肢などをご紹介します。

機械・電気メーカーの特徴

機械、電気メーカーは、歴史の長い産業のため、休日や残業などの労務管理が徹底されており、福利厚生面も充実しているなど人気の高い業界のひとつです。

近年、メーカーでもDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されており、スマートファクトリー化など、生産性向上や付加価値創出の取り組みが進んでいます。特に自動車メーカーは「100年に1度」と呼ばれる大きな変革期を迎えており、ADAS(先進運転支援システム)による自動運転化や、IoT(モノのインターネット化)によって、新たな価値を生み出そうとしています。

労務管理や制度面で安定性がありながらも、モノづくりに携わり、将来に向けて新しいものを生み出すことができる点が、機械、電気メーカーの魅力と言えるでしょう。

機械、電気メーカーの中途採用動向

機械、電気メーカーでは、モノづくりに関するエンジニアは、多少の変化もありますが積極的に採用が行われています。

モノづくりエンジニアは、「設計」と「生産技術」の2つに大きく分けられます。「設計」とは、自動車や家電、機器など製品の外観や構造を決める役割を担いますが、生産技術」は、設計された製品の生産工程や設備の改善や最適化を図ったり、製造に関わる人員の配置計画を立てたりする役割です。

設計に関するエンジニアは機械や電機など高い専門知識が求められるため、職種経験者の方が有利となります。近年は、機械、電気エンジニアだけでなく、IoTによる組み込みエンジニアの採用ニーズが高まりを見せています。なお、未経験でメーカーの設計・開発職種への転職は難易度が高く、機械や電気、情報など、応募する職種に関する学科を専攻し、理系の素養があることが最低条件となるでしょう。

生産技術に関するエンジニアも経験者が有利となりますが、品質管理や生産管理で異職種からキャリアチェンジするケースもあります。品質管理は、その名の通り品質を管理する仕事ですが、万が一問題が発生した時は事情を説明して解決を図る必要があります。生産管理は顧客からのオーダーに対して、納期の交渉を行ったり、製造現場を調整したりする仕事です。どちらもコミュニケーションや交渉力が求められるため、営業で培った交渉力や調整力など、異職種のポータブルスキルが評価されることもあります。

また、モノづくり未経験でもチャレンジ可能なのが製造です。工場の仕事はマニュアルやルールが徹底されているため、未経験でもスタートしやすいのが特徴です。単純作業のイメージがあるかもしれませんが、キャリアを積んでリーダーや班長にステップアップすることで、現場で指示を出したり、改善のアイデアを出したりするなど、生産性向上などに携わることができるでしょう。

一方で、エンジニアと比べると、営業やバックオフィスなど非エンジニア職の求人はそれほど多くはありません。欠員募集で即戦力を求めるケースも多く、もし異業界からメーカーの非エンジニア職に転職を希望する場合は、業界経験者がライバルとなるため、応募数を増やす、企業規模にこだわらない、などの対策が必要です。

メーカーではなく“エンジニアリング会社”という選択肢も

「モノづくりに携わりたい」「技術力を高めたい」という理由でメーカーを志望しているのであれば、技術者派遣を行うエンジニアリング会社を選択するという方法もあります。以前は、メーカーがさばき切れなかった業務を一時的に担う “リリーフ”のような役割だった時期もありましたが、近年は変化が見られるようになりました。世の中のニーズの変化が激しく、メーカーはAIの活用や電気自動車など、将来を見据えた新しい技術の研究開発を迫られています。その影響で、人気シリーズの次世代モデルなど、3~5年先の中期的な開発には、以前ほど人員を潤沢に配置できなくなっています。一方で、エンジニアリング会社は設計・開発に特化し、長年にわたりモノづくりのノウハウを蓄積しています。そこで、メーカーはエンジニアリング会社とパートナーシップを組み、役割分担をすることで、効率的なモノづくりを実現するようになりました。

こうした商流の変化により、以前はエンジニアリング会社に不安定なイメージを抱くエンジニアも多かったのですが、今は転職先のひとつとして候補に入れるケースが増えています。エンジニアリング会社の役割の重要度が増しているため経営の安定性も高まっていますし、メーカーのように為替の影響を受けることもありません。

また、エンジニア自身としても、手掛けた製品が世に送り出されるのが目に見える喜びや、専門特化して技術力を伸ばしていくことができるため、メリットも大きいと言えるでしょう。特に、マネジメントよりもスペシャリストとして技術力に重きを置きたいエンジニアの場合は、エンジニアリング会社の方が志向に合っているかもしれません。

ただし、エンジニアリング会社は給与や福利厚生などの待遇面で、企業規模の大きいメーカーに届きません。また、メーカーの戦略や意向によってプロジェクト内容や期間、勤務地、予算などが左右される点がデメリットと言えるでしょう。

なお、エンジニアリング会社は未経験者の採用も行っています。理系の素養は必要となりますが、育成システムが充実しており、プロジェクト単位の技術者派遣のため、経験者の伴走によるサポート環境も整っているからです。

機械、電気メーカーの転職活動のポイント

機械、電気メーカーに転職する際の転職活動のポイントをご紹介します。

求人だけで判断しない

求人に仕事内容が書かれていますが、多くの場合、ざっくりとした内容しか説明されていません。求人内容が読み解けないまま応募すると、アピールポイントが嚙み合わず書類選考や面接を通過することが難しくなります。また、同じ企業の別のポジションなら書類選考を通過した、というケースもあります。求人だけで「合う/合わない」を判断せず、キャリアアドバイザーに相談することで、求人の詳しい説明や、マッチしたポジションをご紹介できることもあります。

応募書類を具体的に記載する

書類選考で細かい経験・スキルを判断しているケースもあるため、職務経歴書には具体的な事例や経験を丁寧に記載しましょう。具体的な経験を細かく書くことは、書類選考だけでなく面接でも有利に働きます。例えば「仕事で工夫したポイントは」「特に注力した仕事は何ですか」といった抽象度の高い質問よりも、書類を見ながら「○○の部分はどのように改善しましたか?」「××業務を詳しく教えて下さい」など、具体的な経験を中心に掘り下げて質問されるため、面接でも話しやすくなるでしょう。

佐々 俊彰

機械設計エンジニアとしてモノづくりに携わった後、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーとして東海エリアのエンジニアの転職支援を担当。