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エバンジェリストの仕事内容・やりがい・必要スキル・将来性とは?

エバンジェリスト

「エバンジェリスト」の仕事に「興味がある」「転職を考えている」皆さんに、仕事内容、働き方、仕事の魅力、適性、キャリアパス、転職市場でのニーズなどについて、リクルートエージェントのコンサルタントがお伝えします。
エバンジェリストの仕事に興味がある、チャレンジしてみたいという方はぜひご一読ください。

エバンジェリストとはどんな仕事?

「エバンジェリスト」とは、IT業界における最先端の技術・製品・サービスなどを世の中に「布教する」役割を担う職種です。企業に所属して、自社製品の特長や魅力を外部へ発信するという点では「広報」に近いのですが、エバンジェリストの場合、広報よりもITの技術やトレンドに関して「客観性」「社会性」を持って発信する傾向が強いのが特徴といえます。

自社の利益はもちろんのこと、「優れているが、理解されにくい」技術をわかりやすく伝え、浸透させていくことで、社会をよりよく変えていこうとする意識で取り組んでいる人が多く見られます。

近年、IT業界の進化のスピードが加速し、新しい技術がどんどん登場していますが、多くの人はなかなかついていけない状況です。そこで、最新の技術情報をキャッチアップし、わかりやすい言葉や表現で伝えていくエバンジェリストの存在がより重視されています。

エバンジェリストが活躍しているのは、自社製品・サービスを持つIT企業やコンサルティングファームなどです。規模に関わらず、世の中にまだ認知されていないもの、浸透していないものを扱っている企業で活動しているケースが多く見られます。

先端テクノロジーでサービスや製品を開発するスタートアップ企業が、そのマーケットでの存在感を強めるために、エバンジェリストの活動を強化しているケースもあります。

エバンジェリストの具体的な活動内容は?

エバンジェリストが重点的に担っている役割・日々の活動内容は、企業や人によって異なりますが、大きく4つに要素分解できます。

最新情報のキャッチアップ、事例研究

IT業界のトレンドのウォッチを続け、最新の情報をキャッチアップします。技術開発の動向、新しい製品・サービスやその導入事例などの情報を収集、研究します。

イベントでのプレゼン、メディア対応

自社主催、あるいは他社と合同開催のイベントなどで、自社が強みとする技術、それを活用した製品・サービス、それを導入するメリットや効果などについてプレゼンテーションを行います。

例えば、企業の人事担当者が集まる「働き方改革セミナー」で自社のツールを紹介する、「ブロックチェーン技術」に興味があるエンジニアが集まるシンポジウムにパネリストとして登壇するなど、対象者やテーマはさまざまです。イベントのテーマや対象者に合わせて自社が伝えたいメッセージを発信します。

同様の目的で、ビジネスやテクノロジー関連の情報メディアの取材を受けたり、記事の寄稿を行ったりすることもあります。

営業活動を支援する「プリセールス」

技術知識を活かして営業活動をサポートする「プリセールス」として、製品・サービスの導入を検討しているクライアント企業に説明やデモンストレーションを行います。相手企業の課題に合わせ、自社製品・サービスがどのような価値を提供できるかをプレゼンします。

社内向けマーケティング

自社で開発した製品・サービスについて、販売に結び付けるためにどのようにブランディングするのか、顧客に説明するのかなどを資料にまとめ、社内説明会や勉強会を開催して伝達します。社員の誰もが、製品・サービスを正しく理解し、適切なプレゼンテーションができるように必要な知識を浸透させます。

「エバンジェリスト」を専門職として確立している企業がある一方、プリセールスの仕事の一部としてエバンジェリスト的な役割も担うなど、兼務している人も多く見られます。

また、上記に挙げたようなエバンジェリストの活動を、「○○コンサルタント」「ソリューションアーキテクト」といった職種名にしている企業もあります。会社によって位置付けや役割は少しずつ異なるものになりそうです。

エバンジェリストの仕事のやりがいは?どんな人が向いている?

先ほども触れたとおり、日々新しい技術が生まれていますが、一般の人々にとっては難解な技術が多いもの。優れているにも関わらず、浸透していない製品・サービスは数多くあります。

難しいものをわかりやすく伝えることで、理解が広がり、改善や変革が進み、社会や人々の生活が便利に、豊かになっていく。そんな世界を「旗振り役」として実現していくことが、エバンジェリストのやりがい、面白みであるといえるでしょう。

「良いものを世の中へ伝えていきたい」という志向が強い人に向いている仕事です。

エバンジェリストに必要なスキルは?

当然ながら、特定の技術領域においての専門知識が必要です。求められる経験のレベルは、領域・テーマによって異なります。例えば、「クラウド」のように、すでに普及が進んでいるような領域に関しては、最先端導入や開発を自ら手がけた実例など、高度な経験が求められます。

一方、「ブロックチェーン」「AI」「量子コンピュータ」など、まだ確立されていない領域や進化の途上にある領域については、最新のトレンドや事例を「詳しく知っている」だけでも、エバンジェリストの役割を果たせるケースがあります。

多くの人に発信する仕事ですから、「プレゼンテーションスキル」も欠かせません。論拠を持って語れることはもちろん、聴衆を惹きつける話の展開、自信を感じさせる所作など。これらをしっかり「準備」できることが重要です。

対話する相手の知識レベルに合わせて伝え方を変えるなど、わかりやすく説明できる「対話力」も欠かせません。

また、常に最先端の知識・情報をキャッチアップしていく必要があるため、「知的好奇心」「学習意欲」も必須の要素といえます。

エバンジェリストにはどんなキャリアパス、キャリアチェンジがある?

これまで「プリセールス」「ITコンサルタント」などを務めてきた人、あるいはIT領域のマーケティングとして実績を積んできた人、専門領域の技術に関するエキスパートが、仕事の幅を広げてエバンジェリストの役割を担っているケースが多く見られます。

エバンジェリストの「先」のキャリアパスは、明確なパターンがあるわけではありません。しかしながら、最新技術の情報収集や研究を行い、自社にどう活かしていくかを考えるという側面から、経営に参画していく可能性もあるといえるでしょう。例えば、CIO(最高情報責任者)のポジションに就く道も考えられると思います。

また、独立起業して学生や個人に向けた講座を開講したり、大学などの高等教育機関で教育に携わったりといったキャリアを歩んでいるケースも見受けられます。

エバンジェリストの採用市場について

かなり限定的ではありますが、「エバンジェリスト」という職種名で募集している求人もあります。例えば、SaaS企業が自社の取り組みを広く発信するため、エンジニア向けにSNSやメディアでの発信やイベントでのプレゼンテーションを担う人材を求めています。

また、大手コンサルティングファームでも、これから拡大したいマーケット領域で自社の存在をアピールするため、エバンジェリストの採用に動いています。

通常、大手企業では、自社で実績を積んできた社員をエバンジェリストに登用するケースが多いのですが、自社に経験者がいない領域への進出を図る場合、その領域の経験者を迎えるケースもあります。

例えば、FinTech(金融×技術)、AgriTech(農業×技術)、ReTech(不動産×技術)など、これまでテクノロジーが入っていなかった領域に参入を図る大手企業が、ベンチャー企業でそのサービスを立ち上げた経験を持つ人を迎えるといった事例があります。

何らかの専門領域に強く、プリセールスやマーケティングなどの経験を積んだ方は、素養が認められればエバンジェリストとして採用される可能性があります。

将来的にエバンジェリストを目指したいという人は、今の会社にある最先端のテクノロジーや製品の開発プロジェクトに関わりつつ、社外の情報にもアンテナを張り、独自の学習を続けていくことで道が拓けるかもしれません。

個人レベルでは、まだITがあまり活用されていない領域に注目し、導入事例などの情報を集め、SNSや勉強会などで発信していく活動を通じて知名度や人脈を広げるのも一つの手段です。いずれマーケットが確立し、さまざまな企業が参入を始めたとき、エバンジェリストのポジションに迎えられるかもしれません。

※本記事の内容は、2020年9月取材時点の情報です。

リクルートエージェント 加藤 丈博

新卒でリクルート(旧:リクルートキャリア)に入社後、IT・NET領域のスタートアップから東証一部上場企業まで幅広い企業担の採用支援に従事。その後、事業会社情報システム部門の年収600万円以上求人に対するコンサルティングサービスをする部署を経験。
現在は、外資ベンダー(セールス/プリセールス/PM/コンサル/テクニカルサポート全職種)・外資コンサルティングファームを中心にハイキャリアの方を支援。

【参考】SE・ITエンジニアの転職者向け求人情報

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