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コンカレントエンジニアリングのメリット・デメリット、必要知識・スキルとは?

コンカレントエンジニアリング

「コンカレントエンジニアリング」という開発手法に興味があるエンジニアの皆さんに、この手法の特性、取り組みの背景、今後の展望、必要とされるスキル、コンカレントエンジニアリングに関連する採用ニーズなどについて、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーがお伝えします。

コンカレントエンジニアリングとは?

コンカレントエンジニアリングとは、製造業の製品開発工程において、複数の業務を同時進行させることで、開発の効率化や期間短縮を図る手法です。

従来は設計を終えた後に生産技術へバトンを渡していたのに対し、コンカレントエンジニアリングでは設計段階から生産技術部門・製造部門などと共同で、同時に開発を進めていきます。

コンカレントエンジニアリングの思想はアメリカで生まれ、日本では数十年前、大手自動車メーカーが先立って導入しました。近年は、家電や重工系など、幅広い製造業に広がっています。部品点数が多く、開発スケールが大きな製品分野で効果を発揮する手法であり、主に大手メーカーで取り入れられています。

一方、中小メーカーにも、開発・製造プロセスの改善策としてコンカレントエンジニアリングに取り組む企業が見られます。昨今、大手企業がOEM委託先を巻き込む、あるいは「オープンイノベーション」をキーワードに他領域・他業態の中小企業と協業するような動きも広がってきました。

現在、中小メーカーに勤務しているエンジニアの皆さんも、今後コンカレントエンジニアリングに関わる機会があるかもしれません。

コンカレントエンジニアリングのメリット・デメリット

コンカレントエンジニアリングが拡大した背景には、海外の発展途上国の開発規模の増大による「グローバル競争の激化」があります。アウトソースによる分業が加速する中、グローバルで勝ち残るためには、製造において重要な「QCD」=Quallity(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)の3要素を極めていくことが課題となります。

メリット

コンカレントエンジニアリングの導入によって「納期」の短縮が可能となり、工数が削減されれば「コスト」(人件費)の面でもメリットをもたらします。製造・品質管理といった下流工程を想定して設計することで「品質」の向上にもつながります。

近年は、日本で開発して海外で製造したり、基礎研究を海外で行ったりと、拠点が世界に分散しています。ITツールの進展によって、距離が離れた状態での協業も可能になっており、コンカレントエンジニアリングのメリットがより発揮しやすくなっているといえるでしょう。

デメリット

ただし、ルールを整えた上で導入しなければ、開発が遅れる事態にも陥ります。各部門が同時進行で開発を進めるコンカレントエンジニアリングにおいては、部門間の密な連携が欠かせません。情報共有やコミュニケーションの体制が不十分なままで進めたり、業務が属人化したりすると、不具合が生じ、開発が進まなくなるケースも見られます。

コンカレントエンジニアリングに必要なスキル・知識

コンカレントエンジニアリングという思想は、機械系、電気・電子系、制御・組み込み系などあらゆる領域、また、設計・開発を中心に生産技術、製造、品質保証、生産管理など、全工程のエンジニアに関わるものです。

転職市場においては、それぞれの領域での経験・スキルに加え、コンカレントエンジニアリングの経験を持っていることが価値となり、プラス評価されるケースもあります。

コンカレントエンジニアリングのプロジェクトメンバーとして必要なスキル・知識としては、下記の要素が重視されます。

ITツールの情報を読み取るスキル

コンカレントエンジニアリングにおいては、各部門間の情報共有をスピーディに行う必要があります。そのために欠かせないのがITツール。CAD・CAM・CAE・PDMといったシステムの操作スキル、正確に情報を読み取るスキルが求められます。

他部門との調整力

設計・開発、生産技術、製造、品質保証、生産管理など全工程の部門のほか、場合によっては資材調達、企画、営業などの部門とも連携して進めます。他部門のスタッフとベクトルを合わせていく調整力が欠かせません。

調整を図るためには、他部署での問題を引き出して可視化するスキル、論理的に説明するスキルが必要です。

段取り力

専門外の工程も含め、どんなことが起こり得るかを予測し、根回しをしたり、早めに対策を打ったりしておく「段取り」の力が求められます。

コンカレントエンジニアリングにまつわる採用ニーズ

中途採用市場において、「コンカレントエンジニアリング経験がある○○エンジニア」「コンカレントエンジニアリングに携わる○○エンジニア」といった形で募集されることはあまりありません。

先ほども触れましたが、機械系、電気・電子系、制御・組み込み系などのエンジニアの求人において、求める経験・スキルがあることを前提に、「コンカレントエンジニアリング経験があれば評価がアップし、採用可能性が高まる」ことはあり得ます。

なお、コンカレントエンジニアリングの経験がなくても、コンカレントエンジニアリングに対応できる素養が認められれば、プラス評価につながる可能性があります。日々の業務の中で、次のようなことを意識して取り組むことをお勧めします。

改善:常に「改善」の意識を持ち、潜在的な問題点を洗い出して解決策を考える習慣を付ける
コミュニケーション:担当以外の工程の知識を持つ。別部門のスタッフとコミュニケーションを図る
連携:担当以外の工程を意識し、連携しながら、自身の業務に取り組む。例えば、設計であれば「生産しやすさ」「品質の担保のしやすさ」など、下流工程を意識しながら設計する

これらを実践し、職務経歴書や面接などでアピールできれば、「コンカレントエンジニアリングに対応できる人材」として受け入れられる可能性があるでしょう。

※本記事の内容は、2020年9月取材時点の情報です。

リクルートエージェント ハイキャリアコンサルタント 永田 慶

リクルートキャリアの転職エージェントサービス「リクルートエージェント」の製造業のハイキャリア領域のコンサルタントとして企業の採用支援及び個人のお客様の転職支援に従事。主な専門領域は、機械、メカトロ、電気電子、・研究、設計開発、生産技術、生産管理、品質管理、品質保証、工場長など。

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