普段、オフィスカジュアルや制服で仕事をしている人は、いざ転職活動をしようという時に「一体何を着たら良いんだろう?」と悩むことも多いのではないでしょうか。
転職活動での服装はある程度、業界や企業風土に合わせて選べば良いと言われますが、広く受け入れられている基本的なマナーが分からなければ、個別に判断するのも難しいものです。
そこでリクルートエージェントのキャリアアドバイザーが、転職活動のスーツの基本から業界別の対応法まで、転職活動を始めたばかりの人にありがちな疑問にお答えします。
転職活動の服装の基本はスーツと考えましょう
Q.転職活動では必ずスーツを着るべきですか?
A.特に指定がなければビジネススーツが基本です。
前提として、転職活動で企業を訪れる際に、企業側から服装を指定されることはあまりありません。例外的に「私服で来てください」「スーツ以外の服で来てください」と指定されることもありますが、通常は特に服装には触れないことが多いようです。
そこで何を着ていくかを考える時に大切なのは、面接官に「社会人としてのマナーが身についている」「TPOをわきまえている」という印象を与え、安心感や信頼感を持ってもらうことです。その基準で言うと転職活動の服装は、フォーマルな場に相応しく、万人に受け入れられやすいスーツが安心。どんな場でもスーツを着ていけば、相手に対して失礼にあたることはないでしょう。
特に女性の場合、職場でビジネスカジュアルが許されていると「面接もスーツじゃなくて大丈夫?」と迷うこともあるかもしれません。それでも問題のないことが多いですが、相手企業の雰囲気が分からずに判断に困る場合は、スーツを着ていくことをお勧めします。
Q.転職活動にはどんなスーツを選ぶといいですか?
A.流行に左右されない色と型のスーツが便利。
スーツは男女ともに流行に左右されないオーソドックスなデザインで、濃いネイビーやグレー、ブラックなど、落ち着いた色を選ぶことをお勧めします。とりわけネイビーは、業界を問わず着られて、色々な場面で着回しができる点でも便利です。女性は薄いグレーやベージュなど、柔らかな印象を与える明るめの色でも良いでしょう。
柄は無地が無難ですが、派手すぎないストライプなどであれば問題はありません。男性のジャケットは二つボタンでも三つボタンでもOK。また女性はスカートスーツ、パンツスーツどちらを選んでもかまいません。
そしてどんなスーツであれ、体に合ったものを選ぶことが一番大事です。サイズが合わないスーツはだらしなく見えたり、窮屈に見えたりして、面接での第一印象を落としてしまう可能性があります。ぜひお店の人にチェックしてもらって、ジャストサイズの一着を選びましょう。
Q.リクルートスーツを着てもいいですか?
A.まだ若い方で他に選択肢がなければ良いでしょう。
リクルートスーツはもともと、学生が就活をするために作られたものです。そのためフレッシュなイメージが濃く、経験が浅くて未熟な印象を相手に与えてしまいがち。やはり転職活動には、社会人が着るビジネススーツを用意していただきたいと思います。
ただ、社会人2〜3年目くらいの若手で、すぐにスーツが用意できないという場合はリクルートスーツを着ても構いません。その際、就活の時と同じ着こなし方では学生っぽくなってしまうので、女性ならインナーを色味のあるものにしたり、丸首のカットソーにしたりして、社会人らしい「こなれ感」を演出してみましょう。男性の場合は派手になりすぎないように、ネクタイを上品な色柄に変えてみることをお勧めします。
Q.スーツで出社すると転職活動がバレそうですが…
A.服装を徐々に「きれいめ」に寄せる方法も。
いつもラフな服装の人が急にスーツ姿で出勤すると、周囲に転職を怪しまれてしまいますね。それを避けるために、駅などのコインロッカーにスーツを預けて出社し、仕事が終わった後に着替えて面接へ向かう人も多いようです。また、販売職などのシフトで働いている方は、仕事のない日を選んで面接を設定したりしています。
さらに少し難易度は上がりますが、転職活動を始めた時から服装を少しずつ「きれいめ」に寄せていくことで、自然に見せる方法もあります。そうすれば面接へ向かう際の着替えも少し楽になります。
たとえば男性なら、スーツのパンツにノーネクタイで、別のジャケットを手に持ったスタイルで出社してみる。いつも足元がスニーカーで、革靴が目立ってしまうなら、靴だけは荷物で持参して会社のロッカーに置いておく手もあります。女性ならスーツも上下で着回せるデザインが多いので、トップスやボトムスに手持ちのアイテムを合わせてみるのも良いでしょう。
転職の服装・応用編。こんな面接はどう対応する?
Q.「自由」「スーツ以外で」と言われた時はどうしたら?
A.企業により、ビジネスカジュアルか私服を選びましょう。
企業があえて「服装自由」「スーツ以外で」と指定する場合にどんな意図があるかというと、たとえば次の2つが考えられます。
1.フランクな面接がしたい(広告代理店やWeb系企業など)
「カジュアルな雰囲気で面接をしたい」「フランクに話がしたい」という意図から、私服を指定する場合。広告代理店やWebメディア、ゲーム制作会社など、普段から服装にあまり縛りがない業界で見られます。
この場合は、ビジネスカジュアル的な服装がお勧めです。たとえば男性なら折り目のついたスラックス+襟付きシャツに、ノーネクタイでジャケットを羽織ったスタイル。女性はシンプルなスカートやパンツにブラウスなどを合わせ、やはりジャケットを羽織るといいでしょう。派手な柄のシャツや、デニムなどのカジュアル過ぎる服装は避けた方が良いでしょう。
2.私服のセンスが見たい(アパレルなど)
アパレル業界や店舗職の募集などでは、その人の私服のセンスや、服装に出る個性、人柄を見たいという理由で「スーツ以外の服装」を指定することがあります。その場合は、面接を受ける企業の雰囲気を意識した、好みの服装で行けばOKです。ただ私服といえども清潔感は大事。だらしなく見えないように身だしなみに気を使いましょう。
なお、どういったケースでも「着て行けそうな服を持っていない」「悩んで決められない」という人は、スーツで面接に行ってもかまいません。服装を準備するのに疲れてしまうくらいなら、面接自体に集中したほうが良いでしょう。
Q.特に服装に気をつけるべき業界はありますか?
A.金融業界などはベーシックな服装を心がけましょう。
銀行や金融系、メーカー系など、保守的で規則を重んじる傾向がある業界の面接では特に、真面目さや誠実さを相手に感じさせる服装を心がけたいものです。こうした企業では、男女とも濃いネイビーなどのスーツが安心です。ただし色はネイビーでも、ぱっと見て目立つストライプが入っていたり、生地に光沢感があったりするものは主張が強すぎて派手な印象を与えてしまうので、なるべくベーシックなスーツを選ぶことをお勧めします。
Q.Web面接はどんな服装で受ければいいですか?
A.通常の面接と同じ服装で臨みましょう。
多くの企業が採用し始めたWeb面接。「上半身しか映らないだろう」という安心感からか、上はスーツを着てネクタイを締めているのに、下は普段着のままで受けてしまう人がまれにいるようです。ところが、最後に立ち上がってあいさつをした拍子に、相手にボトムスが見えてしまい、面接が台無しになってしまったという事例もあります。Web面接でも、服装のマナーは通常の面接と同じ。上から下まで服装を整えて臨みましょう。
隙は意外に目立つもの。スーツを着る時はここに注意!
Q.スーツに慣れていない人によくあるNGは?
A.足元に意外と目が行くので注意してください。
スーツを着た時に、足元に隙があると意外に目立つものです。男性の場合、うっかり白い靴下を面接に履いて来てしまう人がいますが、ビジネススーツの下に履く靴下は、黒か紺が基本です。くるぶしが見えるスニーカーソックスも避けて、肌が隠れる靴下を選びましょう。
また、暑くなるとインナーを着用せずにそのままワイシャツを着てしまう人がいます。肌が透けたり、汗がにじんだりすると印象が良くないので、ワイシャツの下にはVネックかUネックの白い肌着を着用するようにしましょう。女性もスーツを着る時は、素足を見せないほうが清潔感があります。夏でもストッキングを着用し、かかとやつま先がのぞかないパンプスを選びましょう。
Q.身だしなみ全体で特に注意したいことは?
A.面接の前に、一度鏡で全身チェックを。
最近は流行の髪型にこだわる男性も多いですが、面接の日にはできるだけ清潔感のあるセットをし、髭を伸ばしている場合はきちんと剃るようにしましょう。
女性も髪のカラーリングは明るすぎない色にする、ピアスは小さなものにするか外す、化粧品は香りの弱いものを選ぶ、ネイルは派手すぎない色やデザインに変えるといった配慮をお勧めします。
また、面接の前には本番と同じ服装で全身を鏡で見てみましょう。糸が飛び出したり、ボタンが取れかけていたり、シワになっていないかを後ろ姿も含めてチェックし、当日までにお手入れしておくようにしましょう。
特に第二新卒など若い方の転職面接では、人柄や人となりをよく見られます。TPOに合った服装をして身だしなみが整っていれば、「仕事も丁寧かもしれない」「細かいことに目が配れそうな人だ」といった印象を相手に与え、アピールにも繋がることでしょう。
どうしても迷ったらキャリアアドバイザーに相談を
面接の服装にどうしても迷ってしまう人、転職活動の基本的な進め方が分からない人は、転職エージェントに相談することも考えてみてはいかがでしょうか?
たとえば、他の方がどんな服装で面接に参加しているかが気になる時も、キャリアドバイザーを通じて企業に確認することができるので、安心して本番に臨めることでしょう。
リクルート(旧:リクルートキャリア)の転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、第二新卒を中心とする若手社会人の販売職・サービス職全般の転職を担当。
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