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ライフイベントによる変化を機に転職するコツを解説|仕事を両立させるには?

ライフイベント 転職

結婚・出産、配偶者の転勤・転職、介護など、ライフイベントを機とする生活の変化を理由に、「働き方を変えたい」と考える方は多いようです。仕事とプライベートを両立させ、理想のワーク・ライフ・バランスを手に入れるためには、どのような会社・仕事を選べばいいのでしょうか。転職活動で意識したいポイントについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

ライフイベントは転職を考える大きなきっかけ

株式会社リクルートが定期的に転職市場トレンドを発信している「日進月報」(※1)では、2024年3月発行版において、転職エージェントのキャリアアドバイザーが「育休が明けた男性から転職の相談を受ける機会が増えた」と報告しています。これまで女性の悩みとして多かった「仕事と育児の両立」に対し、男性も意識が高まっている傾向が見られます。

(※1)出典:「転職市場は日進月報 ~2023年度下半期、足元の動向は?~」(株式会社リクルート)

また、同じく株式会社リクルートが実施した「就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022」(※2)によると、現在・転職前ともに「正社員・正職員」の転職経験者の退職理由は、20~50代と年代にかかわらず「仕事」「人間関係」「賃金」への不満が上位であるものの、「結婚」5.4%、「妊娠・出産、育児・子育て」3.9%、「家業を継ぐため、家族の仕事を手伝うため」2.3%、「介護のため」1.2%、「配偶者の転勤のため」0.9%と、ライフイベントを機に、個人としての時間を確保したいという人はいることも見てとれます。

(※2)出典:「就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022」退職理由の上位10項目(転職前・現在「正社員・正職員」の20~50代転職経験者/複数回答)(株式会社リクルート)

ライフイベントによる変化に合わせた転職をするには?

ライフイベントを機に生活スタイルが変わったとき、現職でその変化に対応することが難しい場合は、転職を検討するのも一つの方法です。どのような観点で転職先を選べば、ワーク・ライフ・バランスを実現しやすいかをご紹介します。

柔軟な働き方ができる制度・環境がある会社を選ぶ

育児や介護などで働ける時間に制約がある場合、柔軟な働き方ができる制度・環境がある会社に注目してみましょう。制度の一例として「リモートワーク制度」「フレックスタイム制」「時短勤務制度」などがあります。

また、「サテライトオフィス」を設けるなど、従業員が自身にとって都合の良いエリアで勤務できる環境を整えている企業もあります。「残業時間削減」「男性の育児休暇取得」への取り組みを強化する企業も増えています。

育児中であれば、「朝、子どもが急に熱を出した」といった場合でも、すぐに在宅勤務に切り替えられたり休暇が取れたりする制度や体制があれば安心でしょう。

介護との両立を図るなら、ホームヘルパーの来訪日やデイサービス利用日などに合わせ、出社・在宅勤務の曜日を自分の都合で設定できる制度などがあれば、1週間/1カ月のスケジュールを組み立てやすいと思います。

「時短勤務」の制度についても、企業によって複数パターンを用意していたり、期間を延長したりと、個々の事情に応じて活用できるよう、さまざまな配慮がなされています。

柔軟な働き方ができる制度・環境がある会社を探す方法

柔軟な働き方ができる制度・環境がある転職先候補企業を探すなら、求人サイトで希望する制度名などを入力して検索するほか、転職エージェントに相談してみるといいでしょう。

また、厚生労働省では、子育てサポートが充実している企業を「くるみん」認定、女性活躍推進が進んでいる企業を「えるぼし」認定しています。これらのマークを取得している企業であれば、育児サポートや女性活躍だけに限らず、柔軟な働き方を推進する意識が高く、制度・環境が一定レベル整備されていると期待できるでしょう。

厚生労働省が運営している「女性の活躍推進企業データベース」では、エリア・業種・企業規模別に「えるぼし」「くるみん」認定企業のほか、「イクメン企業アワード」「ダイバーシティ経営企業」などに該当する企業、働きやすい社内制度がある企業を検索することができます。

なお、厚生労働省が発表している「令和4年度雇用均等基本調査(事業所調査)」(※1)には、育休取得率や介護休業制度の状況などが数値でまとめられています。

(※1)出典:「令和4年度雇用均等基本調査(事業所調査)」(厚生労働省)

ほかにも、女性活躍推進の取り組みを紹介している事例集(※2)もあります。こうした資料を、企業選びの参考にしてみてもいいでしょう。

(※2)出典:「中小企業における女性活躍推進の取組のための好事例集および改善取組事例集」(厚生労働省)

経験を活かしながらも職種分野を変える

これまでの経験を活かせる別職種に転換することで、働きやすくなることもあります。

粟野氏のご経験から事例を紹介すると、大手証券会社で営業の第一線にいた女性が、結婚を機に「家庭と両立したい」と考え、別の大手証券会社で既存顧客のアフターフォローや営業支援を行うポジションに転職したケースがあります。証券業界の知識・経験を活かしながらも、在宅勤務が可能となり、残業削減にもつながりました。

タイムスケジュールを顧客に合わせる必要がある営業職であれば、育児や介護などとの両立を困難と考えるケースが多いでしょう。そのような営業経験者が、これまで培ったコミュニケーション力・信頼関係構築力・課題解決力などを活かし、「カスタマーサクセス」に転職するケースが見られます。

また、市場や商材の知識を活かせば、「営業企画」「サービス企画」「マーケティング」などへ転換する道もあるでしょう。企業によってはリモートワークを活用できるかもしれません。

このように、これまでの業界経験・職種経験を活かし、より働きやすい職種やポジションを探してみてはいかがでしょうか。

ライフイベントに対応する転職活動をするためのポイント

ライフイベントを意識して転職活動を行う場合、次のポイントを意識してみてください。

自身にとって理想のワークスタイル/ワーク・ライフ・バランスを定義する

自身が理想とするワークスタイル/ワーク・ライフ・バランスとはどういうものかを定義するところから始めましょう。家族やパートナーとも相談したうえで目指すイメージを明確にし、どのような条件や環境であればそれが叶うのかを考えてみてください。

ただし、この先のライフステージの変化とともに、理想も変化していくかもしれません。育児・介護などの期間を終えた先のキャリアや働き方など、中長期的な視点でイメージを描いておくといいでしょう。ライフイベントだけに注目し、働きやすさだけで転職先を選ぶのではなく、将来に向けたキャリア構築とのバランスを意識しましょう。

キャリアチェンジも視野に入れる

ライフイベントに対応できる働き方を希望する場合、業界や職種を変える「キャリアチェンジ」という選択肢もあります。

例えば、リモートワークが浸透しているIT・Web業界へ異業界から転職するなどの事例はよく見られます。

業界・職種にとらわれず視野を広げてみると、自身の経験が活かせるポジションが見つかることもあります。柔軟な姿勢で可能性を探ってみてはいかがでしょうか。

ライフイベントを理由に転職活動する際の注意点

ライフイベントを理由に転職活動を行う場合、以下のポイントに注意してください。

制度が「運用」されているか

柔軟な働き方の制度が設けられていても、実際には十分に運用されていない企業もあります。「上司や同僚の視線が気になり、制度を使いたくても使えない」という声は少なくありません。

「仕事とプライベートの両立の支援」が、建て前だけでなく本当に機能しているのか、しっかり見極める必要があります。

制度を活用している従業員の数や割合を聞いてみたり、自身と同じ状況(育児中・介護中など)にある従業員と話をさせてもらったりするなど、実情を確認するといいでしょう。

制度・条件面以外のミスマッチ

リモートワーク制度やフレックス制など、柔軟な働き方ができる制度に魅力を感じて転職先を決めたとしても、入社後に「社風になじめない」「商品・サービスに愛着を持てない」といったギャップを感じるケースもあります。結果、パフォーマンスが上がらず、ストレスを感じることにもなりかねません。

そうしたミスマッチを起こさないように、自身が大切にしたいポイントを整理し、企業研究や面接での質問で確認しましょう。

面接での「転職理由」「志望動機」の伝え方

面接では「転職理由」「志望動機」を聞かれます。転職理由が「ライフイベントに備えるため」、応募先企業への志望動機が「柔軟な働き方の制度・環境が整っているため」であったとしても、ストレートにそれだけを伝えて終わらないようにしましょう。

企業側としては「経験・スキルを自社で活かして貢献してほしい」と考えていることでしょう。また、特にスタートアップやベンチャー企業などでは「ミッション・ビジョン・バリューやパーパスへの共感」「風土・カルチャーとのマッチ」も重視する傾向も見られます。そうした観点も意識し、転職理由や志望動機の伝え方や自己アピールを工夫しましょう。

面接では、その企業で何がやりたいのか、何を目指すのか、どのように貢献したいのかも語れるように準備しておくことが大切です。

悩んだら転職エージェントに相談してみよう

「ライフイベントによる生活の変化」と「キャリア構築」の間で悩む方は多いようです。そのようなときは、転職エージェントに相談してみるのも一つの方法です。

どのようにバランスをとるか、中長期視点でどのような選択をすればよいかなど、市場価値や求人市場の動向、同様の立場の人の転職事例などを踏まえ、判断材料となる情報提供やアドバイスを受けられる可能性があります。

「ライフ」と「キャリア」をトータルで考えるために、転職支援のプロの視点も取り入れてみるといいでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2020年02月03日 記事更新日:2024年07月16日

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