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営業以外の仕事に転職する方法│おすすめの職種とキャリアの活かし方も解説

「もう営業の仕事はしたくない」「営業職から他の職種に転職したい」という場合、どのような観点で職種を考えればいいのでしょうか。営業以外の職種を選ぶ場合の考え方や、職種の例と自己PR例文、転職する場合の注意点、転職以外の問題解決法について、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏にお伺いしました。

営業職の人が営業を辞めたいと思う理由は?

「営業の仕事を辞めたい」と考える理由はさまざま。まずは自分が営業を辞めたい理由を整理し、「何を解決したいのか」を明確にすることが大切です。

ノルマが厳しくて辛い

営業には多くの場合、数値的なノルマが課せられます。しかも簡単には達成できない高めの数値であることが多いため、営業は常にプレッシャーに晒されます。ノルマを達成しなければ評価されず、他の営業と比較されて自己肯定感が下がることも多いでしょう。直近3カ月、1年と達成できたとしても、さらに数値目標が高くなったり、達成難易度が上がったりすることも。「ノルマを追い続けなければいけない」という感覚に耐えかねて、営業が嫌になる人は多いようです。

コミュニケーションが苦手

営業は、社内外の多くの人と円滑な人間関係を築くことが求められますが、対人コミュニケーションに苦手意識がある人にとっては、精神的に疲れることが多いものです。「断られたり、煙たがられたりすることを避けたい」「売上だけを目的としたセールストークが苦手」「社内外の調整役で板挟みになるのがしんどい」などの理由で、営業を辞めたいと思う人も少なくありません。

商材に自信が持てない

「担当商材に競争力がない」と感じていると、営業は顧客に対してしっかり提案ができないため、結果を出すことが難しくなります。ノルマ達成のためには価格や対応スピードなどで勝負するしかなく、顧客に買いたたかれたり、無理な売り方をしたりする状況にも。その結果、モチベーションが上がらず、仕事の意義も感じにくくなってしまうでしょう。

残業が多く休みが取れない

営業はクライアントワークであるため、「顧客の要望に応える」「トラブルに対応する」「より良い提案のために準備をする」といった多くの仕事を抱えます。ノルマ達成のために顧客対応を優先し、その結果、経費処理や社内報告などの作業を業務時間内で終えることが難しいケースも多いようです。仕事に追われてプライベートの時間が削られ、十分なリフレッシュができないことも、「営業を辞めたい」と思う理由の一つです。

営業職の人が営業以外に転職する方法

営業職の人が営業以外の職種に転職する場合は、「未経験職種への転職」ということになります。「未経験職種に転職できるのだろうか」と不安に感じる方も多いかもしれません。

しかし営業の仕事では、コミュニケーション力や信頼関係構築力、提案力、交渉力といった汎用性の高いスキルを養うことができるため、転職には幅広い選択肢があるといえます。営業での経験や培ったスキルをうまく活用することで、キャリアの可能性は広がります。自分の長所を元手に、キャリアチェンジの選択肢を考えていきましょう。

ここでは、「営業経験を活かす」「新たな資格やスキル、知識を身につける」の2つの方向性で、営業からの転職例をご紹介しましょう。

営業経験を活かす職種を選ぶ

営業経験が活かしやすい職種を選択することで、これまでの営業経験やスキルを強みにすることができます。営業経験が活かせる職種の一例と、自己PR例文を紹介します。

営業企画

営業企画の仕事は、市場の動向調査や顧客分析、自社・他社の製品分析などから営業の戦略を立て、その戦略を実行することです。どうしたら買ってもらえるかを考え実行してきた営業経験は、営業企画の要ともいえる「モノやサービスなどを売るための戦略づくり」に役立ちます。

また、「課題発見・解決力」「提案力」「説得力」など、求められるスキルが共通していることが多いため、営業で築いたスキルを活用できます。業界や扱う商材が近い場合には、仕事で得た知識も役立てられます。

自己PR例文

食品メーカーで飲食店のエリア営業を経験しました。分析ツールを用いた担当エリアのマーケット分析を行ったり、商品提案資料を作成する際にはより特徴を伝えられるようデザインを工夫したりしました。その結果、○期連続で個人売上目標を達成することができました。営業で培ったマーケット分析や提案力を貴社の営業企画でも活かし、売上の向上に貢献していきたいと思っています。

マーケティング

マーケティングの仕事は、市場調査、情報収集などからニーズや今後のトレンドを予測し、商品やサービスを売る仕組みをつくることです。仕事内容は企業や部署によって多様で、「デジタルマーケティング」や「SNSマーケティング」など、比較的新しいジャンルのマーケティングも存在します。

営業職で「売れるためにどうしたらいいか」と考え、調査・分析した結果を営業活動に反映した経験は、マーケティングの仕事でも活かすことができます。同業界であったり、扱う商材が近かったりする場合は、業界や商材の知識を活用することも可能です。

自己PR例文

人材派遣会社の営業職として、クライアント企業へのヒアリングや提案を行ってきました。見込み客に向けて、人材派遣業界のトレンドをテーマにオンラインセミナーを企画することで、リードを獲得し、売上に貢献しました。そうした計画的かつ積極的な営業を心がけてきた結果、営業所内で年間営業成績1位をとることができました。これまで培ってきた企画力や実行力を貴社のマーケティングで活かしていきたいです。

広報

所属する企業や自社商品・サービスをPRするのが広報の仕事です。顧客からの問い合わせやクレーム対応なども行います。営業と広報の大きな共通点として、「自社商品・サービスを深く理解し、その魅力を伝える」ということが挙げられます。

さらに、顧客との信頼関係を高めるためにコミュニケーション力を磨いてきたことや、誠実な対応を続けてきたことなどがアピールポイントになります。また、クレーム対応をした結果、顧客に納得してもらえたり、良好な関係を保てたりした経験も強みになります。

自己PR例文

インターネット広告代理店にて法人営業を経験してきました。お客様との関係構築を重視し、情報収集と細かなデータ分析から、最大限に効果が見込める広告プランを提案した結果、社内で上位の年間の新規成約数を獲得することができました。メーカーを担当しており、新商品を生み出すまでの苦労や想いをうかがった経験から、自社や自社商品の魅力を伝える広報に携わりたいと思うようになりました。貴社の○○(商品)に魅力を感じているため、これまでの営業経験で培ったコミュニケーション力や分析力を活かして、その魅力を広めることで貢献したいと思っております。

人事

人事の仕事は、採用活動や研修の企画、評価制度の策定などを行い人材の管理をすることです。「コミュニケーション力」や「交渉力」など、汎用性が高く、人事でも活かせるスキルを営業職で養ってきたことや、転職先の業界に精通していることをアピールするのがおすすめです。

人事ではマネジメント経験が重宝されるため、経験がある場合は積極的にアピールしましょう。

自己PR例文

出版社にて、書店営業を経験してきました。他社よりも書店に伺う頻度を多くして書店員さんとの信頼関係を築いたことで、自社の特設コーナーを企画してもらい、売上を伸ばすことができました。〇年前から○名のチームマネジメントを担当し、メンバー向けに1on1や営業手法のセミナー、研修資料の作成などを行うことでチームとしての成果を〇%伸ばすことができました。人を伸ばすことで組織が成長し、より大きなインパクトを与えられることを経験し、今後のキャリアでは営業・マネジメント経験を活かしつつ、人事部で組織を成長させる仕事がしたいと考え、転職を決めました。

資格やスキル、知識を身につける

未経験職種へ転職する場合、資格を取得したり、スキルや知識を身につけたりしたうえで、転職活動に臨むことも有効です。志望する仕事への熱意をアピールできますし、「経験はないけれど、知識やスキルは持っている」と伝えることもできます。

資格やスキル・知識が特に求められる職種の一例と、自己PR例文を紹介します。

SE(システムエンジニア)

SE(システムエンジニア)は、システム開発における要件定義や工程・進行・予算管理、品質設計、プログラミング、テストなどを行う仕事です。SEに特に求められるスキルは、論理的な思考力やプロジェクトマネジメント力などです。

数値データを用いた論理的な分析・提案をした経験や、顧客の抱える課題を構造的に整理して解決策を提案した経験、社内外の関係者を巻き込んで商談を成功に導いた経験などがあれば、素養のアピールになります。

プログラミングの基本的な知識は独学やスクールに通うなどして、転職時にはある程度身につけておく必要があるでしょう。資格は必須ではありませんが、業務に役立ちそうな資格を取得することで、知識があることをアピールできます。

自己PR例文

インターネット広告代理店の法人営業を経験してきました。契約件数でエリア内トップの結果を残した実績があります。コンペでは、クライアントの課題を整理・分析し、数値データを用いて契約件数を伸ばしてきました。自分の強みである論理的思考力をより活かしたいと考え、システム開発の仕事に興味を持ちました。ITパスポートを取得し、プログラミングスクールの○○コースを修了しました。今後もSEに必要な勉強を続け、貴社で活躍したいと思っております。

経理

経理には必須資格はありませんが、資格所有者のほうが有利になるため、特に未経験の場合は、「日商簿記検定試験」などの資格を取得しておくのがおすすめです。「資格取得のために勉強中」でもアピールになることがあります。

PCを使う業務が中心なので、「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」といったPCスキルを証明できる認定資格を取っておくのもよいでしょう。

経理は社内の人と密にやりとりをするため、営業で培ったコミュニケーション力を活かすことができます。また、数字が合うまで根気よく作業を続ける必要があるため、目標達成のために粘り強く営業に取り組んだ経験があれば、アピールポイントになります。

自己PR例文

オフィス機器の代理店営業を経験してきました。入社してすぐ、営業活動がうまくいかなかったときに先輩に相談し、「慣れないうちは数をこなすしかない」とアドバイスされ、効率よく営業回りをし、雑談もできるような関係の顧客を増やしていきました。その結果、4年目に営業所で年間売上2位をとることができ、その後も上位の成績を維持しています。営業での数字の管理や決算書を読み込む機会が多く、経理に興味をもったことから、経理職への転職を決めました。現在、日商簿記検定2級取得のために勉強中です。私の強みである、粘り強さとコミュニケーション力を、貴社の経理の仕事でも活かしていきたいです。

医療事務

医療事務は、病院・クリニック運営に関連する事務を行う仕事です。受付や会計などの業務のほか、大規模病院の場合には、総務や人事などの部署で働くケースもあります。資格は必須ではありませんが、資格を取ることで未経験でもある程度の知識を持っていることをアピールできます。

患者さんはもちろん、同僚やさまざまな医療・看護・介護職と関わることの多い職種なので、営業で身につけたコミュニケーション力が役立ちます。

自己PR例文

保険会社の個人営業を経験してきました。ヒアリング内容をふまえて、お客様に最も適したプランの提案とわかりやすい説明を心がけてきたことで、エリア内で年間売上2位になることができました。家族の通院の付き添いをしていた時期に、医療・看護職の方々が患者さんの健康や命のために尽力される姿を見て、自分もその一員になりたいと医療事務への転職を決め、「診療報酬請求事務能力認定試験」の認定を受けました。営業で鍛えたコミュニケーション力を医療事務の仕事でも活かしていきたいと思います。

営業以外の仕事に転職するときのポイント

営業以外に転職するときに大切なことは、前提として「自分はなぜ営業以外の仕事に就きたいのか」「解決したい問題は何なのか」をしっかり整理し、明確にすることです。

なぜかというと「営業以外に転職したい」という場合、「ノルマがきつい」「コミュニケーションが嫌」など、営業が抱きがちな不満だけで頭が一杯になっているケースが多いからです。

「営業が嫌だから辞めたい」というネガティブなマインドのままでは、企業から「営業が嫌なだけ」「何をしたいか考えていない」「すぐに不満を持つ」といった見方をされ、転職活動がうまくいかないでしょう。新たな仕事に就けたとしても、また同じ問題を抱えてしまうかもしれません。

転職活動をする前には、営業の仕事での取り組みや、そこで学んだこと、結果が出せなかった点、自分に足りなかった点などを振り返りましょう。その上で、今の問題を解決する環境について考えてみましょう。「相手に信頼されたときに、最もやりがいを感じる」「新規開拓ではなく、既存顧客との深い関係構築ができる仕事がよい「仕事にメリハリがあり、生産性の高い環境で働きたい」など、希望が具体化されれば、どの職種を候補に入れるかも含めて方向性が見えてきます。

そして、最終的に異職種への転職を目指す場合は、営業の仕事の振り返りで確認した経験・スキルを、次の仕事に生かせる「強み」としてアピールすることが大事です。

営業以外の仕事に転職するときの注意点

言うまでもありませんが、営業以外の職種でも、仕事には何らかの厳しさやストレスがつきものです。営業を辞めたい一心で転職して、「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、次の点を心得ておきましょう。

年収が下がる可能性がある

基本的に未経験職種への転職は年収が下がることが多く、営業が営業職以外に転職する場合も例外ではありません。特に、成績が賞与やインセンティブに反映されることの多い営業は、もともと他の職種よりも収入が高い傾向があるため、営業以外の仕事に就くと年収が下がる可能性があります。

どの職種でも成果は求められる

営業ノルマに追われることはなくなりますが、成果を出すことが求められる点では、他の職種も同じです。例えばエンジニアは、開発するアプリやシステムの品質、納期、コストカット等での目標設定があるでしょうし、事務でも正確性がシビアに求められるものです。その一方で、営業のように売上数字が出ない分、努力がなかなか評価や昇給に反映されないことにギャップを感じてしまうかもしれません。

どの職種でもコミュニケーション力は求められる

「クライアントとのコミュニケーションに疲れてしまった」といった理由から営業以外への転職を決めるケースもありますが、別の職種では社内で密なコミュニケーションが必要な場合もあります。むしろ社内ではパワーバランスなどが絡み合い、違った意味での難しさを感じるかもしれません。対象は違っても、コミュニケーションの重要性はどの職種でもさほど変わらないと思っておいたほうが賢明でしょう。

未経験転職以外の選択肢も考えてみよう

何らかの理由で「営業を辞めたい」「営業以外の仕事に就きたい」と思っても、これまでのキャリアをリセットし、新たな会社と職種で一から出直すことには、それなりのリスクがあるものです。これまでの仕事を振り返り「自分が本当に解決したいことは何なのか?」を見極めた上で、次のような選択肢も検討してみましょう。

社内異動をする方法

これまでに得た商品知識や、社内の人脈というアドバンテージを活かす方向で、今の会社にいながら環境を変えるのも一つの方法です。自己申告で社内異動が可能な場合や、社内公募制度、社内FA制度などがあれば、営業の経験、社内の人との関係性、業界知見などを活用しながら、別の職種や別事業に移るなどができるかもしれません。例えば、「新卒のときに他の部署を希望していたが営業に配属され、数年頑張ってみた結果、やはり○○として貢献したいと感じた」というように、今後のキャリアについて上司と相談してみる価値はあるでしょう。

スタイルの違う営業職に転職する方法

「今の問題は解決したいが、培ったスキルは活かしていきたい」という場合は、スタイルの違う営業職に転職し、環境を変えるという方法もあります。例えば、土日休みの働き方を希望する個人向けの不動産や金融の営業職の場合、法人向けの営業職に転職をすれば、週末に休むことができるでしょう。また、新規開拓の営業が苦手であれば、カウンターセールスや、既存顧客のフォローアップ・企画提案が中心の営業に転職する手もあります。同じ営業でも、ノルマや評価指標、営業スタイル、商品サービス、働き方などを変えることで、不満が解決できないかを検討してみましょう。

転職エージェントへの相談もおすすめ

「営業を辞めてどのような仕事がしたいのか」について、考えが整理できない場合は、転職エージェントに相談するのも一つの方法です。転職エージェントでは、転職市場の動向や、自身では気づきにくい「強み」の言語化、キャリアの市場価値、求人の提案など、さまざまなアドバイスを受けることができます。実際に転職活動を始めることで、今後のキャリアの方向性を見極めていくこともできるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2019年12月23日 記事更新日:2023年05月22日

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