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IT営業の仕事・やりがい・必要スキル・将来性とは?

IT営業

「IT営業」の仕事に興味がある皆さんに、IT営業の種類、仕事内容、向いているタイプ、仕事のやりがい、必要なスキル、キャリアプランなどについて、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーがアドバイスいたします。

IT営業とは、どんな仕事?

IT営業とは、IT機器、ソフトウェア、システムの開発・運用など、IT関連の商品・サービスを販売する仕事です。

主に扱う商品・サービスには、次のようなものがあります。

  • ハードウェア:パソコン、サーバー、ネットワーク機器など
  • ソフトウェア:パッケージソフト(財務・会計ソフト、顧客管理ソフトなど)
  • システムインテグレーション(SI):システムの導入企画・開発・運用
  • SaaS(Software as a Service/サースもしくはサーズと発音):クラウド上で提供するソフトウェア

IT営業の具体的な仕事内容

IT営業の仕事内容は、所属企業や扱う商品・サービスによって異なります。

ハードウェアメーカー、ソフトウェアメーカー、SaaS企業などの場合、顧客の業界・企業規模などによって担当を分け、顧客にアプローチして自社商品を販売します。

また、販売代理店の開拓および営業活動の支援をする「代理店営業」もあります。OA機器商社・IT商社などの販売会社に対して商品の情報や営業マニュアルなどを提供するほか、顧客先に同行してプレゼンテーションを行うこともあります。

一方、システムインテグレーター(SIer)は自社のプロダクトは持たず、顧客の課題やニーズに応じてさまざまなメーカーのハードウェア・ソフトウェアを組み合わせ、システムの提案をします。SIerでも「○○業界向け」「官公庁向け」など対象顧客ごとに部門が分かれ、その分野に特化した専門ノウハウを活かして営業を展開しています。

いずれの企業も、商談相手は顧客の企業規模によって異なります。大手企業を対象とする営業であれば主な商談相手は情報システム部門であり、中小企業であれば経営者と対話することが多いといえます。大手企業対象でも、予算規模が大きければ経営陣にプレゼンテーションを行うこともあります。

また、人事システムを導入する場合は人事部門、顧客管理システムを導入する場合は営業部門など、事業部門の責任者と対話する機会も多数。近年は、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が多く、あらゆる事業部門でデジタル化が進んでいるため、さまざまな事業部・職種の人と対話や交渉を行う場面が増えています。

大手企業担当であれば、システムの更新や新サービスの導入提案、まだ取引がない部署へのアプローチ・提案といった活動を展開しています。一方、中小企業を顧客とする場合、新規開拓の活動が中心となります。

SaaS企業では分業体制

SaaS企業の多くは、「The Model(ザ・モデル)」と呼ばれる営業体制をとっています。これはセールスフォース・ドットコムで活用されてきた、マーケティング・営業のプロセスを分割した体制です。

主に次のように役割を分けています。

  • インサイドセールス:メール・電話・DMなどで見込み顧客にアプローチする
  • フィールドセールス:商品に興味を示した顧客に対して提案・商談を行い、契約を結ぶ
  • カスタマーサクセス:既存顧客をフォローし、自社商品への満足度を高め、契約を継続・増加させる

これらの職種名で求人が出されていますが、「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」に関しては職種の定義が確立されておらず、企業によって位置付けや役割が異なります。マーケティングに近い業務を担うケースもあれば、営業に近い業務を行うケースもあります。

IT営業の仕事のやりがいは?どんな人が向いている?

IT営業に向いているのは、次のような志向を持つ人です。

「課題解決」が好き

顧客が抱えている課題を汲み取って解決すること、ときには顧客自身が気づいていない課題を発見すること、それによって感謝されることに喜びを感じる人に向いています。

最先端の技術・手法を活用したい

課題の解決のため、最先端の技術や手法を駆使することにやりがいを感じる人もいます。新たな技術や手法を学んでキャッチアップしていける人に向いているといえるでしょう。

成果が数字で表れる仕事がしたい

自身の働きの成果が「売上高」という数字で表れるのは、どの業種の営業職にも共通することですが、IT営業の方々は特に数字への意識が高いように見受けられます。

システムの導入により、「生産性が○%アップ」「○%のコスト削減」など、顧客の成果も数字に表れやすい点が面白みの一つといえそうです。

経営に近い立ち位置で働きたい

近年、経営課題はITによって解決するケースが増えています。経営戦略に密接に関わることも多く、経営者を相手にプレゼンを行い、パートナーとして認められることもやりがいの一つといえます。

コミュニケーションやチームワークが得意

IT導入に際しては、社内外の多くの人を巻き込んで推進することが多いため、人とのコミュニケーションやチームワークを得意とする人に向いています。

IT営業に必要なスキルは?

IT営業は、技術に関する深い知識やプログラミングなどのテクニカルスキルは必須ではありません。顧客の情報システム担当者、あるいは自社のITエンジニアなどと対話するための基本的なIT用語・技術を理解していれば問題ありません。顧客に技術的な説明をするのは、技術営業(プリセールス)が担当することが一般的です。

むしろ、以下のようなポータブルスキルが求められます。

課題発見・解決力

顧客のビジネスや業務を理解した上で課題をつかみ、解決策を提案する力

巻き込み力

顧客の情報システム部門担当者、さまざま事業部門担当者、社内のエンジニアなど、多くの人を巻き込んでプロジェクトを推進する力

データ分析力

マーケティングデータを分析した上で顧客へのアプローチ法を判断する力(※特にSaaS企業のインサイドセールス)

IT営業関連の資格

IT営業の仕事をするために必要な資格は特にありません。ただし、ITの基礎を体系的に理解するため、「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」などを学んでおくのは有効といえます。

IT企業では新入社員向けの導入研修に組み込まれていることもあります。未経験で転職を目指す場合は、資格を取得しておくと「学ぶ意欲がある」「ITの基礎を理解している」と見なされ、プラスにはたらく可能性があります。

IT営業にはどんなキャリアパス、キャリアチェンジがある?

IT営業は、基本的には同業界・同職種で、「より扱いたい商品・サービス」「より自身に合った社風」「年収・待遇アップ」を目指して転職するケースが多くを占めています。

IT営業の経験を活かしたキャリアチェンジとしては、次のような選択肢があります。

  • 営業部門のチームリーダー、マネジャーのポジションへステップアップ
  • マーケティングを担当
  • 営業企画・販促を担当
  • サービス企画を担当

SaaS企業であれば、インサイドセールスからフィールドセールス、カスタマーサクセスなどへ移るキャリアパスがあります。一方、「専門性を高める」ことを目指し、自身が特化したい領域を得意とする企業に転職するケースも見られます。ITコンサルタントに転職する事例もあります。

IT営業の転職市場について

IT営業の求人数は、近年大幅に増えています。ここ数年のDX推進の活発化に加え、コロナ禍によるリモートワークの拡大、サービスのオンライン化などでIT導入のニーズが増加したことに起因します。各社は営業人材の増強を図っています。特に、SaaS企業はベンチャーキャピタルなどからの資金調達を受け、人材採用や育成に積極投資しています。

IT営業経験者にとっては「より大規模なクライアント・商談を手がけたい」「この商品・サービスを扱いたい」「年収を上げたい」といった希望がかないやすい環境といえます。また、「早くマネジメントポジションに就きたい」という人であれば、組織が急拡大していてポストが増えているSaaS企業などが狙い目となります。

未経験者でもIT営業への転職が可能

IT営業未経験であっても、法人営業の経験、かつ企画・提案型の営業経験を持つ人は受け入れられる可能性があります。自身で営業の戦略・シナリオを組み立てて活動してきた人、多くの関係者を巻き込んでプロジェクトを推進してきた人、潜在的な課題の発見に注力してきた人は歓迎されます。

また、近年は「IT×金融(Fin Tech)」「IT×人材(HR Tech)」「IT×教育(Ed tech)」など、あらゆる業種でテクノロジーと融合させた「○○Tech」サービスが生み出されています。そうした商材を扱う企業では、ターゲット顧客の業界の出身者を採用しています。業界経験を活かし、出身業界向けのITサービスを扱う営業へのキャリアチェンジが可能です。

自身のこれまでの経験やスキルを活かして、どのような種類のIT営業で活躍のチャンスがあるか、転職エージェントに相談して探ってみてはいかがでしょうか。

(2022年4月取材時点)

リクルートエージェント キャリアアドバイザー 三上 千春

リクルートキャリアの転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、主にIT業界を担当。

リクルートエージェント キャリアアドバイザー 内山 尋美

リクルートキャリアの転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、SE・営業領域担当を経て、2015年よりモノづくりエンジニアのキャリアサポートを担当。

リクルートエージェントでは、転職でお悩みの方に適切なアドバイスをお送りしています。また、企業の面接対策や職務経歴書の作成サポートや、スムーズな退職のためのサポートを行っています。お悩みの方はぜひ一度相談に来てみてください。