転職エージェント トップ > 転職成功ガイド > 転職準備 > 新卒で仕事を辞めたいのは甘え?会社を辞めるメリット・デメリットと退職を検討しても良いケース

新卒で仕事を辞めたいのは甘え?会社を辞めるメリット・デメリットと退職を検討しても良いケース

新卒 辞めたい

新卒で入社して間もないのに「会社を辞めたい」と思う人は少なくないようです。しかし、同時に「甘えていると思われる?」「すぐに辞めたら転職もできず、人生終わり?」といった不安の声も聞こえてきます。早期の転職に対する考え方、メリット・デメリット、転職が望ましいケース、辞めずに問題を解決する方法などについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。

新卒1年目で会社を辞める人は約1割いる

新入社員の離職に関する調査データを見れば、新卒で就職した会社を早期離職する人は決して少なくないことがわかります。

厚生労働省の発表によると、新規学卒就職者(平成31年3月卒業者)の就職後3年以内の離職率は、高卒就職者で約4割(35.9%)、大卒就職者で約3割(31.5%)。つまり、新卒入社3年以内に会社を辞める人が全体の3割以上に達しています。さらに、何年目で離職したかについての内訳を見ると、入社1年目で離職する人の割合が一番高く、高卒で16.3%、大卒で11.8%となっています(※1)。

また、厚生労働省による若年者雇用実態調査(※2)では、入社後3カ月以内や半年程度で辞める人がいる実態も明らかになっています。

初めて勤務した会社を辞めた人のうち、全体の5.3%が入社3カ月未満、7.2%が入社3カ月~6カ月未満で退職。大学卒業者だけでも、入社3カ月未満3.4%、入社3カ月~6カ月未満6.4%と、新卒で入社した会社を辞めた人の約1割が、入社6カ月までに退職しています。

※1)厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」
※2)厚生労働省「平成 30 年若年者雇用実態調査の概況」

甘えではないが安易な決断は避けよう

新卒入社して間もないうちに「辞めたい」と思うことに対し、「甘えがあるのではないか」と自分を責める必要はありません。

学生から社会人になれば環境は大きく変わります。過ごす場所や接する人、生活リズム、会社から求められることなど、最初の1~2カ月は変化に対応するだけで精一杯という人も多いでしょう。そこで「辞めたい」と思うのは、誰にでもありえる自然な心の反応といえます。また、状況次第では、早い段階で辞めて転職するのも有効な手段となります。ただし、現状の不安や不満から逃れるため、後先を考えずに会社を辞めることはおすすめできません。新卒1年目で会社を辞めることには、さまざまなデメリットもあります。

まずは、辞めたいと思う理由を整理し、早期に転職するメリット・デメリットを理解したうえで、すぐに転職すべきかどうかを考えましょう。

新卒で会社を辞めたい理由

新卒入社して間もない人が「辞めたい」と思う理由はさまざまです。まずは自分がどんな点に不満・不安を抱いているかを明確にしましょう。よくある不満のパターンとしては、次のようなものが挙げられます。

仕事が合わなかった

新卒1年目は、研修後に上司やメンターの下で補助的な仕事から始めるのが一般的ですが、そこで「イメージと違う」「希望した仕事ではない」「扱う商品・サービスが好きになれない」とギャップを感じるケースも珍しくありません。

また、仕事が難しいと感じたり、よくミスをしたりすると「自分に向いていない」と自信をなくしてしまうこともあります。

人間関係が悪い

上司や同僚とうまくコミュニケーションがとれない、考え方や価値観が合わないといった状況では、職場で居心地の悪さを感じるものです。

最近はリモートワークも増え、直接顔を合わせる機会が少ないなど、新卒入社者にとっては社内で人間関係を構築しにくい環境であるかもしれません。

労働条件が良くない

「残業が多くてきつい」「人手不足で1人が担う仕事量の負担が大きい」「シフトが不規則で身体的に辛い」など、労働条件に対して不満やストレスを募らせることもあります。

給与が安い

「給与が安い」「ボーナスが少ない」など、他社に入社した友人などと比較して自社の給与の低さに気付くこともあります。特に、成果を挙げていても報酬に反映されない場合は意欲が低下しがちです。給与の安さに対する不満=評価制度への不満となることも少なくありません。

将来性を感じない

入社してみて初めて、「業績が振るわない」「競合に比べて商品・サービスが劣っている」「企業体質が古く、新しいことを取り入れようとしない」といった実情に気付くこともあります。新たなチャレンジをしない会社では、新たな経験を積むチャンスも乏しく、自身を成長させられないという不安を抱くでしょう。

新卒で会社を辞めて転職するメリット

新卒入社して早期に転職することには、メリットもあります。得られるメリットとしては次のようなものが挙げられます。

第二新卒枠で転職できる可能性がある

学校卒業後、3年程度以内の人は「第二新卒」と呼ばれます。転職市場には「第二新卒」を対象とする求人が多数あります。

採用競争が激化する中、新卒採用で充足できなかった分を第二新卒採用で補おうとする企業は少なくありません。また、中小企業やベンチャー企業などは、新卒と同じ位置付けで第二新卒を中途採用するケースも多く見られます。

未経験の職場・業界にチャレンジしやすい

第二新卒層を対象とする求人の多くは「未経験OK」。経験・スキルよりもポテンシャルが重視されるため、未経験の業界・職種に転職できるチャンスが豊富です。最初に選んだ仕事が合わなかったとしても、早い段階で方向転換し、キャリアを積んでいくことができます。

新卒で会社を辞めて転職するデメリット

新卒入社して早期に転職することには、デメリットもあります。以下のようなデメリットを理解したうえで、転職に踏み切るかどうかを判断しましょう。

選考で不利になる

新卒で会社を辞めた場合、「第二新卒枠」を狙って転職活動をすることになります。社会人2年目以上で、短いなりにも実務経験を積んだ人なら、中途採用の選考でも経験・スキルや強みをアピールすることができるでしょう。

しかし、研修と補助的な業務しか経験していないうちに辞めると、実質的には新卒と変わらず、実務未経験者と見なされます。同じ第二新卒を対象とした選考の中でも、2年目以上の人がライバルとなった場合、経験・スキル面において見劣りしてしまい、なかなか採用に至らないかもしれません。

また、「短期で離職した」という経歴があることで、採用担当者に「またすぐに辞めてしまうのではないか」という懸念を持たれ、採用を見送られるリスクも考えられます。

再び不本意な転職をする可能性がある

第二新卒の中で競争に勝ち抜くのが難しい状況にあると、応募先の選択肢はどうしても少なくなります。また、「新卒で辞める自分」を責める気持ちや迷いがある中で、転職理由や将来のキャリアプランを整理できないまま、転職活動をしてしまうケースもよくあります。

その結果、なかなか選考を通過できずに気持ちが焦り、「自分が行きたい会社」ではなく「自分を受け入れてくれる会社」に入らざるを得ないことも。そうなれば、再び不満を抱き、不本意な転職を繰り返す悪循環に陥ることもあるでしょう。

経済的な不安がある

雇用保険に加入する労働者は、自己都合で退職したとしても一定期間は失業給付金を受け取ることができます。ところが、入社1年未満で退職した場合、「12カ月以上同じ会社に勤務すること」という給付条件を満たさないため、失業給付金が支給されません。

就職して1年未満で十分な貯金がある人は少ないでしょう。会社に在籍しながら転職活動をするのなら問題はありませんが、転職先が決まる前に辞めてしまった場合、実家で暮らしているといった人でない限り、経済的な不安が大きくなるでしょう。

新卒で退職を検討しても良いケースとは

状況によっては、新卒入社から早期に転職を検討した方が良い場合もあります。例をいくつかご紹介しましょう。

労働環境や待遇が悪すぎる

「過剰な残業があり、長時間労働が常態化している」「残業代が正しく支払われない」「休日出勤が多い」「離職率が高い」「生活に困るほど極端に給与が安い」といった場合、改善される余地はあまりないため、早めに見切りを付けた方が良いかもしれません。給与の遅配があるなど、会社の経営状態が悪く、倒産のリスクが高まっている場合も転職を考えた方が良いでしょう。

パワハラ、セクハラに遭っていて言えない

職場で日常的にパワハラやセクハラが横行している場合や、自分が遭っている場合は、早めに何らかの対応をとる必要があるでしょう。現在は、企業のハラスメント対策の窓口設置が義務化されており、本来はそこに適切な対応をお願いするべきですが、窓口が機能していない、社内で周知徹底されていないといったケースもあります。

また、誰にも話せないほど追い詰められている場合もあるでしょう。パワハラやセクハラを我慢し続けると心の健康を損なう恐れもあるため、解決方法が見つからない場合は転職を検討することが望ましいといえます。

本当にやりたいことが明確になっている

社会人として働いて、改めて「自分が本当にやりたいこと」が見つかったのであれば、それを実現するために前向きな退職をするのもありです。特に、異なる業種・職種にキャリアチェンジしたい場合は、なるべく若いうちに転職活動をする方がチャンスは多いといえます。

また「留学したい」「資格を取り専門職としてキャリアを積みたい」といった方向性もあるでしょう。目的意識さえ明確にあれば、方向転換の利くうちにチャレンジした方が良いという考え方もあります。

1年目で会社を辞めたいときの考え方と対処法

新卒で退職することには相応のリスクがあります。特に「現状から逃れたい」という理由で安易に辞めることはおすすめできません。

会社を辞めたいと思ったときは、まず自分が辞めたい理由を整理し、今抱えている問題を現職で解決する方法を検討することが先決です。ここでは「辞めたい理由」別に、今の職場でできることをご紹介しましょう。

人間関係が悪い

1人で悩まず、社内の人を巻き込んでみてはいかがでしょうか。例えば上司と合わないのなら、同僚に悩みを打ち明ける、先輩に接し方を聞く、または人事に相談しても良いでしょう。

なるべく問題を「自分」と「合わない人」との1対1の関係に閉じないように、他の人間関係を広げて、行動の選択肢を増やしていくことをおすすめします。誰かと思いを分かち合うだけで、気持ちが整理されるかもしれません。もう一歩進んで、メンターを変えてもらう、自分が異動するなど、根本的な解決策への糸口が見つかる可能性もあります。

仕事が合わない、面白くない

今後のキャリアや会社の育成プランについて上司に話を聞いてみてください。社内で他にやりたい仕事があるのなら、希望を叶えるためにどのような道筋があるのか相談してみましょう。

年の近い先輩社員がいれば、入社1年目の頃の悩みや、キャリアの考え方、今の仕事のやりがいについて聞いてみる方法もあります。会社の考えや計画を理解し、将来像が想像できれば「もう少し仕事を続けてみよう」と思えるかもしれません。下積みが必要な場合は、与えられた仕事で求められる結果を出すことが最優先だと考えましょう。

仕事がうまくいかない

仕事でのミスを繰り返さないために、自分なりに振り返り、課題を見つけ、対策を立ててみましょう。その際に「あの人はうまくできているな」と感じる同期や、先輩の仕事の進め方を真似てみるのも1つの方法です。

また、先輩や上司に仕事のプロセスを一通り見てもらい、アドバイスをもらうのも良いでしょう。入社1年目に、手取り足取り仕事を教えてもらうのは、決して恥ずかしいことではありません。

どうしても会社を辞める場合のポイント

さまざまな方法を模索しても、どうしても状況が改善しなければ、会社を辞めるのも1つの選択肢です。その場合は「仕事が合わない」「思ったような会社ではなかった」など、ネガティブな理由での転職を繰り返さないことがとても重要になります。転職成功のためのポイントをご紹介しましょう。

なぜ早く辞めるのかを反省も含めて振り返る

就活時に描いていた理想と、入社後の現実との間に少なからずギャップがあったとしたら、「なぜそうなったのか」と理由を掘り下げましょう。その時に「自分の思いを実現できない会社が悪い」など他責傾向が強すぎると、不平不満が先に立ち、転職で何を実現したいのか目的が明確でないため、転職活動に影響してしまいます。理由を分析する時は、自分自身の反省点や改善点もセットで考えましょう。

例えば、就活で「知名度のある会社に行きたい」と大手企業を選んだものの、実際に入社すると、年功序列で若手の意見が通らない社風に強くギャップを感じたとします。その反省を踏まえつつ、冷静に振り返りができれば、次は企業規模や知名度ではなく、社風や組織の体質を軸に会社選びをしようと考えるでしょう。

転職理由を明確にする

新卒1年目に限らず、転職で最も大切なのは、「○○を実現したい」という転職理由を明確にすることです。不満の解消だけを目的として転職活動をしても採用担当者からすると入社後の活躍イメージがつかないため、転職先でも同じ不満を抱えてしまう可能性が高いからです。

転職理由を整理する際は、人間関係や待遇面での不満などネガティブなものは、ポジティブな理由に変換するようにしましょう。

【転職理由の変換例】

  • 上司との人間関係に不満⇒仕事を任せてもらい、成長できる環境で働きたい
  • 職場の雰囲気が悪い⇒チームワークで業務課題を解決する働き方をしたい
  • 給与に不満⇒頑張りを正当に評価してくれる会社に行きたい

また、現職で社会人として働いた経験を踏まえ、改めて「将来どんな自分になりたいか」というキャリアプランを描くことも大切です。それにより、企業選びの基準も明確になるでしょう。

転職活動の際はこれまでの反省を踏まえて、「今後の自分が実現したいこと」を根拠に転職理由やキャリアプランを伝えることができれば、応募企業の「またすぐにやめてしまうのではないか」という懸念も払拭することができるでしょう。

転職先が決まってから会社を辞める

転職先が決まる前に会社を辞めれば、収入が途絶え、経済的な不安に押しつぶされて、思うような転職活動ができなくなるかもしれません。特に新卒の場合は失業給付が受けられないため、さらに状況は厳しくなります。

焦るあまりに、十分な自己分析や企業研究ができないまま次の会社を決めてしまうと、再びミスマッチになる可能性もあります。「すぐ会社を辞めたい」と思っても、なるべく今の仕事を続けながら転職先を検討する方が安心です。

一人で抱え込まず、転職エージェントに相談してみよう

辛い気持ちを抱えているときは、第三者に向けて言葉にすることも大切です。誰かに話すだけでも気持ちが整理され、現状を客観視できるかもしれません。自分がこれまで関わってきた人などを思い出し、話し相手を探してみましょう。

話し相手として、転職エージェントを利用するのもおすすめです。まだ転職すると決めていなくても、転職エージェントではさまざまなキャリア上の悩みを相談することができます。キャリアアドバイザーと話すだけで、もやもやとした不安や不満を軽くできることもあります。

また、第二新卒に関する転職市場の情報を得たり、キャリアの選択肢の提案を受けたりすることもできます。多くの転職者をサポートしてきたキャリアアドバイザーからは、自分と似た状況の人の転職事例を聞けることもあります。

自分の気持ちを整理し、転職すべきかどうかの判断材料がいくつか得られるだけでも、転職エージェントを利用する価値はあるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2021年03月08日
記事更新日:2022年12月24日
記事更新日:2023年07月31日 リクルートエージェント編集部

リクルートエージェントでは、転職でお悩みの方に適切なアドバイスをお送りしています。また、企業の面接対策や職務経歴書の作成サポートや、スムーズな退職のためのサポートを行っています。お悩みの方はぜひ一度相談に来てみてください。