多様性は、事業を動かす力になる。髙松コンストラクショングループが挑む「誰もが活躍できる」組織変革

1917年創業の髙松コンストラクショングループは、建築・土木・不動産などを担う多様な事業会社を束ねながら、グループとして新たな価値創出を目指しています。その変革を人財面から支えるテーマの一つがDE&Iです。2024年にはダイバーシティ&インクルージョン推進部を立ち上げ、まず女性活躍を重点テーマに、風土醸成・登用支援・両立支援を推進。長く男性中心だった建設業の常識がテクノロジーや働き方の変化によって揺らぐ中、誰もが力を発揮できる組織をどうつくるのか。グループ人財統括本部 副本部長 兼 ダイバーシティ&インクルージョン推進部長の萩原智子さんと、施策推進を担う阿部田珠希さんに伺いました。
株式会社髙松コンストラクショングループ/グループ人財統括本部 副本部長 兼 ダイバーシティ&インクルージョン推進部 部長
萩原 智子様
メーカーに入社後、人事・教育部門、子会社の人事総務部長などを経て、2024年に髙松コンストラクショングループへ入社。現在はグループ全体の人財戦略の構築、DE&I推進、エンゲージメント向上施策の立案・実行を牽引。
株式会社髙松コンストラクショングループ/グループ人財統括本部ダイバーシティ&インクルージョン推進部 課長
阿部田 珠希様
IT業界にて人事部長として人事労務全般を幅広く手掛け、2025年に髙松コンストラクショングループへ入社。現在はグループ全体の女性活躍推進や働き方改革に関する施策の立案・実行を担当。
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トップの覚悟から始める。DE&Iを「誰もが活躍できる土壌」へ

── DE&Iを経営課題として進める背景と、現在の取り組みの軸を教えてください。
萩原:DE&I 推進部は2024年6月に立ち上がりました。私自身はその年に入社し、まずはグループ全体で女性活躍を本格的に進める役割を担いました。最初から大きな改革を打ち出すのではなく、まず「風土醸成」「登用支援」「両立支援」の3つを柱に、地道に土壌を整えてきました。あわせてグループ共通のDE&Iビジョンを策定し、年齢や性別、国籍、経歴、家族構成などの違いを尊重しながら、同じ方向を向いて最大限の力を発揮できる組織を目指すことを明文化しています。
背景には、建設業そのものが大きな転換点にあるという認識があります。長い歴史の中で、現場の安全や力仕事を背景に男性中心で発展してきたことは事実です。一方、今はAIやDXをはじめとするテクノロジーによって、仕事のあり方が変わり、多様な人が関われる領域が広がっています。だからこそ、制度を整えるだけでなく、誰もが活躍できる風土をつくる段階に入っていると考えています。
そのために欠かせないのが経営トップのコミットメントです。取り組みのスタート時には、社長の動画メッセージをグループ約5,000名に届けました。トップが本気で取り組む姿勢を示せば、役員や部門長の受け止め方も変わり、社員にも「会社は本気で変わろうとしている」と伝わります。少しずつですが、制度や風土が前に進んでいるという声も聞くようになり、土壌はでき始めたと感じています。
「トリプルスリー」の先へ。発掘・育成・登用を一本の線でつなぐ

── DE&Iの中でも女性活躍を重点テーマとして進める理由と、現在地を教えてください。
萩原:女性活躍については、まだ道半ばです。長期的には女性の採用比率・社員比率・管理職比率をそれぞれ3割とする「トリプルスリー」を掲げ、まず2035年にはグループ全体の女性管理職比率10%を目標にしています。私が入社した頃は女性管理職比率が2%台でしたが、現在はグループ全体で4.1%、髙松コンストラクショングループ単体では12.5%まで上がってきました。数字は着実に動いていますが、ここからが本番だと捉えています。
特に力を入れているのが、管理職候補となる女性を発掘し、育成から登用まで伴走することです。「次世代女性リーダー育成プログラム」は3年目を迎え、グループ全体で累計51名を選抜しました。半年ほどかけてマインドセットとスキルの両面を学び、研修後も面談を続けています。仕事や家庭の状況によって悩みが生まれれば、所属会社の人事とも連携し、必要に応じて制度にも反映します。すでに約10名が管理職に就き、髙松コンストラクショングループでも一期生3名がマネージャーになりました。
大切なのは、数だけを増やすことではありません。20社近い事業会社を一社ずつ回り、各社の人事と「どんな人財を育てたいのか」「誰に可能性があるのか」を話し合いながら候補者を選んでいます。女性だから機械的に選抜するのではなく、本人の力や期待役割を丁寧に見極める。発掘・育成・登用を一本の線でつなぐことが、今の私たちに必要な取り組みだと思っています。
完璧なロールモデルはいらない。「パーツモデル」で自分らしいキャリアを描く

── 女性がキャリアを中断せず、自分らしいリーダーシップを築くために、どのような支援をしていますか。
萩原:管理職を目指す方の中には、「私なんて」と感じたり、身近にロールモデルがいないことで将来を描けなかったりする方もいます。だから研修で伝えているのは、完璧な誰かを目指さなくていいということです。私は「ロールモデル」ではなく「パーツモデル」でいいと思っています。Aさんのこの強み、Bさんのこの姿勢というように、さまざまな人の良い部分を取り入れながら、自分らしいリーダーシップをつくればいい。型は学んでも、自分らしさまで型にはめる必要はありません。
阿部田:キャリアを考える機会そのものが少なかった世代もいます。以前は一般職として採用され、決められた仕事を長く担ってきた方に、ある日突然「管理職を目指してください」と言っても、自分がどうありたいのかをすぐに描くのは難しいものです。実際、50代になり「自分のキャリアはこのまま終わる」と考えていた女性が、次世代女性リーダー育成プログラムに参加し、「会社から期待されている」「自分にもできるかもしれない」と意識を変えたケースがあります。同じような不安を抱える仲間と話すことも、前へ踏み出すきっかけになっています。
萩原:一方、意欲があっても、ライフイベントによってキャリアが途切れてしまえば選択肢は狭まります。特に建設業では現場の存在があり、出産などを機にキャリアが中断しやすいことは大きな課題です。そこで女性活躍推進フォーラムという別の取組みでは、過去の経験や強みを棚卸しし、これからのキャリアを考える機会を設けています。加えて、フレックス制度や時間単位の休暇など、働き続けるための選択肢も拡充中です。「続けるか、諦めるか」ではなく、自分でキャリアを選べる環境へ変えていきたいと考えています。
「みんな転校生」だから、新しい価値が生まれる。異業界の知見を変革の力に

── 多様なバックグラウンドを持つ中途入社者は、組織の変革にどのように関わっていますか。
萩原:髙松コンストラクショングループには、さまざまな業界から専門性を持つ人財が集まっています。私自身も異業界からの転職ですし、「みんな転校生の集まり」という感覚があります。ただ、一人ひとりがプロフェッショナルとして自立しているからこそ、異なる視点が入り、物事が前へ進む。グループパーパスである「つながりで響きあい、オンリーワンの価値を生み出す」は、まさに日々の仕事の中で実践されていると感じます。
阿部田:私も他業界から入社したからこそ、社外とのつながりづくりに抵抗がありませんでした。建設や不動産業界でも同じDE&Iの課題を抱えている会社は多いので、「せっかくなら一緒に解決しよう」と同業他社のDE&I担当者コミュニティを立ち上げました。現在は約30社、50〜60名ほどが集まり、女性活躍やシニア活躍、障がいのある方の定着などをテーマに知見を共有しています。外から来た経験が、そのまま新しい動きにつながった一例だと思います。
萩原:中途入社者には、メンターに加えてグループ合同の研修も用意しています。入社して2〜3カ月すると、外から来たからこそ「ここは変えた方がいい」と感じる点が見えてきます。それを「髙松グループの伸びしろ」として議論し、会社をより良くする提案につなげるのです。経営との距離も近く、入社11日目の社員が社長や副社長、役員にタウンホールミーティングの企画を提案し、「まずやってみよう」と即座に動き出した例もあります。経験を持ち込むだけでなく、変革の当事者になれることが当社の面白さです。
伸びしろのある変革期を、一緒に楽しむ。誰もが「機嫌よう」働ける会社へ

── 今後どのような組織を目指し、転職を考える方に何を期待しますか。
萩原:私が目指しているのは、女性だけではなく、男性も、外国籍の方も、障がいの有無にかかわらず、大阪発祥の企業らしく言えば、誰もが「機嫌よう」日々仕事ができ、働き続けたいと思える会社です。楽しく前向きに仕事をしながら、会社をより良くしていく人が一人でも増えてほしい。その中で女性活躍を見ると、髙松コンストラクショングループでは性別に関係なく力を発揮できる領域が多く、部長や課長、次の管理職候補も確実に生まれています。今は、これまでの当たり前がオセロのように少しずつひっくり返り、女性の活躍がどんどん広がっている変革期です。
2040年のグループ事業ビジョンの実現を見据えた人事戦略プロジェクトにも、女性の課長層が参画しています。DE&Iは人事だけのテーマではなく、将来の事業をどうつくるかに直結するものです。建設業は、まちづくりやインフラ、寺社仏閣のような伝統、データセンターなど、社会を支えるものづくりに関わる産業。その事業会社を人財や制度の面から支え、変革を後押しできることにも大きな意義があります。
阿部田:年齢やこれまでのキャリアにかかわらず、挑戦することを会社や役員が応援してくれるのは大きな魅力です。経験を重ねるほど、新しいことに挑むハードルを自分で上げてしまうこともありますが、ここでは「やってみよう」と背中を押してもらえる。変化を楽しみ、自分の経験を生かして新しいことに踏み出したい方に合う会社だと感じています。
萩原:髙松グループは、まだ伸びしろがたくさんある会社です。完成された環境に入るのではなく、他社・他業界で培ってきた視点や経験を新しい風として持ち込み、一緒に価値へ変えてほしい。「会社を良くしたい」という当事者意識を持ち、変革期そのものを楽しんで前へ進める方には、実力を発揮できる機会が多くあるはずです。
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