実力で挑む女性管理職。デンソーは組織の意思決定に「新しい視点」を求めている。

■人事部タレントマネジメント室の原村室長(右)と中川課長

株式会社デンソーでは、多様な人材がそれぞれの強みを発揮して活躍できる環境づくり(DE&I)を、経営上の最重要課題(マテリアリティ)の一つとして掲げています。自動車業界がいわゆる「100年に1度の大変革期」を迎え、CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)やカーボンニュートラル(CN、温室効果ガスの排出量実質ゼロ)への対応など、求められる技術が高度化・複雑化する中、同社はこれまでの延長線上ではない「新しい価値の創出」を迫られています。ものづくりの確固たるDNAを脈々と受け継ぎながらも、なぜ今、多様なキャリアを持つ人材、とりわけ女性管理職候補の採用を強力に推進しているのか。人事部タレントマネジメント室の原村室長と中川課長に、その背景にある危機感と、形骸化させないための本気度の高い取り組みについて、詳しくお話を伺いました。

多彩な人材の掛け合わせが「世界初」を生み出す

── デンソーが今DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進に注力している背景や目的について教えてください。

原村:デンソーには昔から「モノづくりはヒトづくり」という言葉があり、人を何よりも大切にしてきた企業風土があります。どれだけAI(人工知能)などの先端技術が発展しても、それらを使いこなし、新しい付加価値を生み出すのは最終的には「人の力」に他なりません。これまで当社が数々の「世界初」の製品を生み出してこられたのも、研究開発を行う技術者と、それを形にする高い技術を持った技能者といった、異なる知見やバックグラウンドを持った人たちが融合し、自由闊達に意見を交わし合ってきたからです。社会の変化がより早く、激しくなるなか、これまでの延長線上の発想だけでは生き残れません。性別、国籍、年齢、そして新卒・キャリア採用といった枠を超えた「多彩な人々」が集まり、お互いに刺激し合う環境を作ることこそが、次の新しい価値を生み出すために不可欠だと考えています。

── これまでも多様な人材の融合があったとのことですが、昨今のキャリア採用の拡大は社内にどのような変化をもたらしていますか?

原村:ここ数年、非常に多くのキャリア入社の方がさまざまな部署で活躍されていますが、彼らは外からの新鮮な視点で「デンソーのここが変わっている」「このルールやプロセスは、もっとこう変えた方が効率的ではないか」といった客観的な指摘をフラットにしてくれます。生え抜きの社員だけではどうしても「これが当社の当たり前」と思い込んでしまいがちな部分に、良い意味での一石を投じてくれます。過去のやり方に固執せず、組織をより良く変革していくための大きな原動力になっていると感じていますし、長く在籍している社員も「負けていられない」と良い刺激を受けています。

2030年に向けた明確なマイルストーン

── 現在の女性活躍に関する現状と、今後の目標について詳しく教えてください。

原村:製造業、とりわけ自動車部品メーカーという業界の特性もあり、これまではどうしても理系出身の男性比率が高く、女性に選ばれにくい側面があったのは事実です。そのため、管理職世代における女性の絶対数はまだ少ないのが現状です。しかし、デンソーで働いている女性たちは皆、非常に責任感を持って、生き生きと働いています。

中川: 彼女たちの活躍を標準とし、さらに広げていくために、当社では2026年4月に「2030年に向けた女性活躍推進法に基づく行動計画」を新たに策定しました。私たちが目指しているのは、単に数字を合わせることではなく、あらゆる階層で男女が区別なくいきいきと働き、会社や組織の重要な意思決定の場に女性が当たり前に参画している状態です。具体的には、キャリア採用における女性比率を15%程度まで引き上げること、そしてグローバル全体で女性管理職比率10%(日本地域では3.3%以上)を達成することを明確なマイルストーンとして掲げています。これは一朝一夕で達成できる数字ではありませんが、経営陣も含めた会社全体の共通認識として、非常に本気度の高い活動として強化しています。

ライフイベントを見据えた早期の育成と発掘にこだわる

── 多様性を推進する一方で、数値を追うあまり運用の難しさや、組織への浸透において懸念される部分はありますか?

中川:そこは非常に重要なポイントで、当社の揺るぎない基本方針として、「昇格はあくまで能力で判断し、女性だからといって下駄は履かせない」という強いこだわりがあります。単に数値目標を達成するためだけに、実力が伴っていない段階で登用してしまうと、昇格した本人が周囲からのプレッシャーやギャップに苦しむことになりますし、周囲のメンバーからの納得感も得られず、結果としてDE&Iの形骸化を招いてしまいます。だからこそ、私たちは「評価の公平性」を厳格に保ちながらも、女性がライフイベントを迎える前の早い段階から、意図的にチャレンジングな機会やポストを提供していく「早期発掘・早期育成」の仕組みづくりを徹底しています。

── 具体的にはどのようにして女性リーダーの育成や登用を行っているのでしょうか。

中川:各事業部のトップである経営層や部長と、私たち人事部が密に議論を交わす場を設けていく予定です。「この部署のこの女性社員は非常に高いポテンシャルを持っている」「ならば、次にこの大きなプロジェクトのリーダーを任せてみよう」といった具合に、本人の強みを信じて適切な仕事をアサインできる伴走体制を敷いていきます。これまでは「まだ育児で大変だから、この重い仕事は避けた方がいいだろう」と無意識のバイアスで周囲が良かれと思って配慮してしまうこともありましたが、本人のキャリアへの意志を確認しながら、適切な挑戦の場を提供することを組織全体で実践していきます。

── 結婚や出産などのライフイベントを迎える社員への、具体的なサポート制度について教えてください。

中川:例えば、産休や育休に入る前には「産休前説明会」を実施しています。休職期間を単なるキャリアのブランク(停滞)として捉えるのではなく、中長期的な人生のプランの中で、仕事とキャリアをどう組み立てていくかを前向きに考えるための「プランシート」を配布しています。これによって、復職後もスムーズにキャリアの軌道に戻れるよう、自律的なキャリア形成を支援しています。また、復職後にフルタイムで働きながらでも、しっかりとキャリアを築いていけるように柔軟な働き方を支える環境も整っています。さらに、デンソーグループ各社で共同運営している託児所では祝日保育にも対応しているほか、ベビーシッターの費用補助制度なども完備されています。これらの充実した制度をフルに駆使しながら、家庭と仕事を高いレベルで両立させ、自らの意志で管理職へとステップアップしている女性社員が、現在のデンソーには数多く在籍しています。

さらなる組織変革をリードする、3つの重要ポジションで女性管理職候補を募集

── 今回、キャリア採用で特に募集を強化しているポジションについて教えてください。

中川:2026年度は、さらなる多様性と変革を推進するため、女性管理職および将来の管理職候補向けのポジティブアクション求人として、特に「調達DX」「知財」「人事」の3つの領域で積極的に募集を行っています。(※)いずれも組織の基盤を支える非常に難易度の高いポジションですが、その分大きな裁量を持って活躍していただけます。(2026年9月公開時点:採用充足した場合は終了となります)

中川: まず1つ目の「調達業務のDX改革リーダー」ですが、これはITエンジニアを求めているわけではありません。調達部門のメンバーたちの働き方改革やDXを進める部署で、AI価格査定システムやグローバル調達システム、マイクロソフトの「Power Platform」などを活用して自分たちでツールを作って展開していくチームです。業務の内容を理解した上でシステム部門としっかり会話ができ、要件定義をしてプロジェクトを引っ張っていけるようなリーダー格の方を求めています。

中川: 2つ目の「知財戦略リーダー(商標・ブランドマネジメント)」は、BtoBビジネスだけでなくBtoCビジネスに拡大しているデンソーにおける商標の方針・戦略を策定し、実行するポジションです。また、従来の商標管理や模倣品対策といった『守り』の業務にとどまらず、知的財産を当社の『会社の競争力』としてどうアピールしていくかという戦略を描く役割も担うことができます。BtoC企業などでのご経験を活かし、社外の知見を強みとして持ち込んで戦略を一緒に描いてくださる方に、ぜひ来ていただきたいなと思っています。

中川: そして3つ目が、私たちと一緒に働く「人事(女性活躍推進のプロジェクトリーダー)」のポジションです。グローバル16万人の組織で、経営課題に直結するDE&I推進を主導できるダイナミックな仕事を、ぜひ一緒に手掛けて欲しいと思います。自動車部品業界のリーディングカンパニーとして、私たちの取り組みは社外からも注目されているので、やりがいは十分です。その一方で、当社のメンバーは人事経験が長い者が多いのですが、どうしても「社外の常識」に疎くなってしまう側面があります。「他社ではこういうやり方で上手くいきましたよ」といった新しい感覚を持ち込んでいただきながら、事業部門のパートナーとして、若手人材の発掘から昇格までの伴走、さらには経営層と対等にやり取りをして人材抜擢の提案ができるような方を求めています。

── どのポジションも非常に高い専門性と、組織を動かすリーダーシップが求められますね。求める人物像についてはいかがでしょうか。

中川:はい、いずれの採用も大変重要な役割を担っていただくポジションですから、簡単に進むとは思っていません。ただ、求める人物像の根底は、職種を問わず「仕事での成長や社会貢献への意欲」を持ちながら、同時に「自身のプライベートやライフも大切にできる方」です。今回のポジションであれば、年齢的にも30代から40代前半くらいの、まさに子育て世代の方々も多く想定されます。ですから「大変なのは同じだよ、一緒に頑張りましょう!」という風に、お互いの事情を理解し合える非常に温かい職場ばかりですので、そこは安心して飛び込んできていただきたいですね。

デンソーの中から業界を、世界を変えていく

── 最後に、デンソーへの応募を検討されている方へメッセージをお願いします。

原村:デンソーは現在、ビジョンとして「社会課題の解決」と「人の幸せ・成長」を掲げています。自動運転の安全技術やカーボンニュートラルといった、地球規模の大きな課題に対して、自分を成長させながらアプローチできるのが当社の最大の魅力です。グローバルに大きな影響力を持つ仕事に挑戦したいという想いをお持ちの方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。

中川:当社は「これをやりたい」という強い意志と意欲を持って手を挙げれば、それをほぼすべて叶えられるチャンスと環境が整っている会社です。オンボーディングや定着までの人事のサポート、そして業界トップクラスの両立支援制度も用意して伴走しますので、目標を持って自発的に行動できる方からのご応募を、心よりお待ちしております。

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