面接では「どのようなキャリアプランを描いていますか?」と聞かれることがあります。プラスの評価を得て選考をクリアするためには、どのような答え方をすればよいのでしょうか。キャリアプランの立て方から面接で伝える際のポイントまで、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。職種ごとの回答例もご紹介します。
目次
キャリアプランの立て方
面接で「キャリアプラン」を聞かれたときに答えられるよう、考えを整理しておきましょう。一からキャリアプランを立てるには、次のステップを参考にしてください。
これまでの経験を棚卸しし、自己分析を行う
まずは、これまでに経験した業務やプロジェクトを書き出し、「キャリアの棚卸し」を行います。そこから「身に付けたスキル」「仕事において大切にしてきたこと」「やりがいや面白さを感じた場面」などを洗い出し、自己分析を行いましょう。
将来目指すキャリアをイメージする
強みとするスキル、大切にしたい価値観、やりがいなどをベースとして、「将来こうなりたい」という姿をイメージします。例えば、「○○のスペシャリストとして、大規模プロジェクトをリードする役割を担っていたい」「○○分野に強いコンサルタントとして、多くの顧客から頼られる存在になりたい」などです。
目指す将来像に近づくため、必要な経験を考える
将来目指す姿を実現するために、現段階で不足している経験・スキルは何かを考えます。その経験・スキルはどのような企業・職種・ポジションで身に付けられるのかを考えたり、調べたりしてみましょう。さらに、「いつまでに」それを経験するべきなのか、時間軸でも計画します。
面接で使えるキャリアプランの例文【職種別】
面接では、入社後のキャリアをどう考えているのかについて聞かれることもあります。職種別に一例をご紹介しますので、回答を考える際の参考にしてみてください。
事務
「業務効率化を推進する企画力を身に付けたいと考えています。単にデジタルツールを導入するだけでなく、業務の必要性を抜本的に見直したり、事業環境の変化に応じてアウトソーシングやシェアードサービス会社との連携や切り分けを行ったりと、上流の改革部分に関与していきたいと思います」
営業
「マーケティングの観点やノウハウを備えた営業として、新たなマーケット開拓をリードしていくことを目指しています。そのために、SFAやCRMツールなどを活用した分析力、課題解決力を鍛えていきたいと思います。将来的にはマネジャーとして、営業人材の育成も手がけたいです」
企画
「将来的にはCxO(COO/CFO/CMOなど)のポジションに就き、グループ会社の経営を担う人材になることを目指しています。DXを推進(M&Aを推進/IPOを実現/海外市場を開拓など)し、事業規模を拡大してシェアトップ獲得を牽引していきたいです」
エンジニア
「BtoB領域で、より社会課題の解決につながる自社サービスを安定的に開発・運用していきたいと考えています。そのため、特にピープルマネジメント力を身に付け、エンジニアリングマネジャーを経て、将来的にはVPoEとして活躍することを目標としています」
管理職
「経理・財務および人事・総務、社内IT領域での実務や管理職経験を活かし、管理部門全体をマネジメントできる経験を積んでいきたいと考えています。経営に対して戦略的な提案を行える、『攻めの管理部門』の構築を目指しています」
面接でキャリアプランを伝えるポイント
面接で「キャリアプラン」を聞かれたときは、次のポイントを意識して答えましょう。
企業のニーズと自身のキャリアプランがマッチしているか意識する
自身が理想としているキャリアプランを一方的に伝えればいいわけではありません。「企業側のニーズ」と方向性が一致しているかどうかを意識しましょう。
例えば自身では「○○職としてスペシャリストを目指したい」と思っていても、企業側は「いずれはチームマネジメントを担ってほしい」と考えているかもしれません。
もちろん、100%企業側に合わせにいく必要はありませんが、「自身のキャリアプラン」と「企業が期待する成長」が重なっている部分を中心に話しましょう。
キャリアプランの実現性を考慮した伝え方をする
現状に照らし合わせ、あまりにも理想が高すぎるプラン、実現可能性が低いプランを語っても、企業は納得しません。まずは現在の延長線上で、「このようなステップを踏んで、いずれはここへ近づきたい」と、現実感を持たせて伝えることをお勧めします。
企業でどのようにキャリアプランを実現できるかを伝える
企業側は面接において、「自社に入ったらどのように成長するか」「自社にどう貢献してくれるか」という点に注目しています。自身がその会社に入った場合の活躍イメージを描いておくことが大切です。自身が描いたキャリアプランを伝えるだけでなく、「この会社であれば実現できる」と考えた理由を明確に伝えられるように準備してください。
面接でキャリアプランを聞かれる理由は?
そもそも、なぜ企業は面接でキャリアプランを聞くのでしょうか。適切な回答をするためにも、企業側の意図を知っておきましょう。
入社後のミスマッチを防ぐため
応募者のキャリアプランからは、その人の価値観や志向性が読み取れます。それが今回の募集ポジションや自社のカルチャーと合致するかどうかを確認しようとしています。入社後、仕事や組織風土への不満を抱いて辞めてしまうような事態を防ぎたいと考えているのです。
応募者が目指すキャリアと企業のキャリアパスがマッチしているか判断するため
応募者が目指すキャリアプランと、自社が提供できるキャリアパス、キャリアコースが合致するかどうかを見極めようとしています。例えば「海外ビジネスの経験を積みたい」と考えていても、配属予定の部署・職種では海外事業に携わる機会がなければミスマッチとなるわけです。
キャリアプランに類似した質問の回答方法
面接では「あなたのキャリアプランを聞かせてください」という聞き方ではなく、異なる表現で「将来像」を質問されることもあります。
よくある聞かれ方のパターンについて、回答のポイントをお伝えします。
Q.将来の夢はなんですか?
「夢」と聞かれても、「将来は海外に別荘を持ちたいです」「世界一周旅行をしてみたいと思います」「FIREしたいです」といった回答は不適切です。
中途採用の面接であることを踏まえ、「夢」→「キャリア上で実現したいこと」→「応募企業で実現可能性があること」→「応募企業が求めているものとつながっていること」という観点で考えましょう。
Q.10年後はどのような仕事をしていたいですか?
10年スパンでの目標について、「応募企業での実現」がイメージできないことに言及するのは避けたほうがいいでしょう。
例えば「複数社の顧問やコンサルをしていたいです」→「独立したいということ?」、「旅行で訪れた海外の○○エリアに興味があるので、そこで事業を展開したい」→「興味本位で実現性は薄い」といったように、面接担当者が「自社で成長を遂げている」と感じられないような回答はしないようにしましょう。
キャリアプランに迷ったら、転職エージェントに相談してみよう
転職エージェントでは、経験・スキルの棚卸しや、キャリアプランを立てるサポートも行っています。転職市場の動向やこれまでの転職支援実績をもとに、客観的な視点でどのような可能性が広がっているか、アドバイスを得られるでしょう。
プロの視点から、自身では想像できないような選択肢に気付けることもありますので、サポートサービスを活用してはいかがでしょうか。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。