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内定辞退はいつまで可能?企業に伝える際の注意点とメール・例文を紹介

内定辞退

転職で応募した企業から内定が出たものの、他社でも内定が出ている、条件が合わない場合など、状況により内定を辞退する可能性もあります。内定辞退はいつまでに、どのような方法で伝えれば良いのでしょうか。また、設定された期限内に回答を出せない場合、内定企業に待ってもらうことは可能でしょうか。

内定辞退をする際に気をつけたいことや、メールや電話で回答する際のポイントについて、人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

内定辞退はいつまでに、どうやって連絡をすれば良い?

「内定辞退」とは、選考が進んでいた企業から内定通知をもらった後に、自分の都合で内定を辞退することです。理由としては、例えば「より魅力的な内定条件が提示された他社を選択したい」「まだ志望度の高い企業の選考が残っている」「労働条件やキャリアの方向性などが希望に合致しなかった」といったケースなどが見られます。

内定辞退はいつまでならできるか

一般的に、企業から内定が出た後、内定承諾の回答期限までには一週間ほどの猶予があるケースが多いようです。基本的には、その期間中であれば、内定を辞退することには問題はありません。同時期に複数の企業から内定をもらって、どこに入社するかを検討する方もいますし、仕事を続けながら転職活動をしてきた方であれば、最終的に現職に残るという選択肢もあるからです。

内定辞退の連絡方法はどうするか

企業の内定を辞退する場合の連絡方法は、基本的に電話でもメールでも構いません。とはいえ最近は、メールのほうが相手の業務に割り込むことがなく、文面として記録が残るという理由から、メールでの回答が一般的になってきているようです。

ただ、メールは見落とされたり、採用担当者が休暇で見られなかったりする可能性もゼロではありません。送信日の翌日いっぱいを目処に相手から返信がない場合は、電話をかけて「○日付でメールにてお返事いたしましたが…」と改めて口頭で伝えるほうが確実であり、より丁寧な印象になるでしょう。

内定承諾後の辞退はできるのか

内定承諾後に内定を辞退することは可能なのでしょうか。対応方法を解説します。

内定承諾後も辞退はできるが、慎重に検討しよう

求職者が一度内定を承諾した後に「家族の事情で入社できなくなった」「現職の状況が変わって留まることにした」など、何らかの理由で入社を辞退することは、民法627条で法的に認められています。たとえ「内定承諾書」などの書類を提出したとしても、法律で入社を定めているものではありません。

例えば、求職者から企業に「入社前に○○の研修を受けたいので費用を負担してほしい」と申し出て、「○年以内に自己都合により退職した時は費用を全額返還する」といった契約をした場合、内定を辞退して費用を払わなければ、訴訟に発展する可能性が考えられます。ただ、そうしたレアケースを除けば、内定承諾後の辞退が法的なトラブルになることはまずないでしょう。

できる限り慎重に検討し、辞退を決めた場合は真摯に対応しよう

ただ法的な定めがないとはいえ、企業側は採用活動にコストをかけており、内定を承諾した以上は入社準備も進めています。企業にとっては採用活動が振り出しに戻り、他の求職者も採用が見送られて、選択肢を奪われている可能性もあります。

求職者にとっても内定承諾後の辞退は心理的な負担が大きく、今後、内定企業の関係者や、担当の転職エージェントと関わる機会がないとは言い切れません。従って、承諾後に内定を辞退するのが自分にとって本当に良いのか、慎重に検討することをお勧めします。

入社に際してどうしても不安な点があれば、もう一度内定企業に面談を願い出たり、転職エージェントに確認してもらったりすることもできるでしょう。その上で辞退する気持ちが固まったなら、企業に対してきちんと背景や理由を説明し、真摯に謝罪の気持ちを伝えるようにしましょう。

内定辞退を伝える時の注意点

企業からの内定を辞退することを伝える場合の、基本的な考え方や注意点について解説します。

内定辞退の意向は採用担当者へ伝える

転職サイトなどを通じて自分で企業に応募した場合、内定辞退を伝える相手は、窓口になっている企業の人事などの採用担当者です。直接企業に電話やメールをして、採用担当者に内定辞退の旨を伝えましょう。転職エージェントを利用している場合は、担当のキャリアアドバイザー経由で企業側に伝えてもらうようにしましょう。

決心したらできるだけ早く伝える

基本的に、内定通知をもらったら指定された回答期限に関わらず、できるだけ早く承諾するか否かを伝えることが大切です。どちらの場合でも無為に回答を先送りしたりせず、決心したらすぐに伝えるようにしましょう。何かを断る連絡は、心理的にしづらいものですが、入社を前提に準備を進めている企業にとっても、辞退を決めているのであれば早い時点で判断をしてもらうほうが、対応がしやすいでしょう。

求職者にとっても、決心が固まっているのであれば、早く区切りをつけることで、他の選考に集中しやすくなります。なお、内定を承諾するか否かの回答を迷っていて、少し考えたい場合も、内定企業を不安にさせないよう、内定通知を受信し検討したい旨はすぐに返信しておきましょう。

回答期限を延長したい場合も早めに伝える

例えば、他の企業の選考が並行しており、回答期限までに合否が分からない場合などは、期限を延長してほしいと交渉することもできます。「実は他の企業の選考が進んでおり、回答が〇日になりそうなので、少々お時間をいただくことは可能でしょうか」などと相談すると良いでしょう。そうした場合、選考中の企業に早く結果を出してもらえるように働きかけるなど、内定を出した企業になるべく迷惑をかけない配慮も大切です。

回答期限の延長をお願いする際も、連絡方法は電話とメールのどちらでも構いません。折り返し企業から、延長理由や延長期日の確認、「追加の面談は必要か」といった連絡があれば、企業側に合わせた方法で対応していけば良いでしょう。

ただ、企業側は入社予定日も考慮して求職者に内定を出しています。そのため場合によっては、他の求職者を優先され、待ってもらえない可能性もあります。

なお、回答期限の延長を願い出る場合も、その旨をできるだけ早く伝えましょう。期限ぎりぎりになってからの申し出では「最初から分かっていたのになぜ今ごろ言うのか」「うちへの志望度が低いのではないか」などと、企業の心証を害する可能性もあるので注意が必要です。

内定辞退を伝える際に意識したいこと

企業に内定辞退を伝える場合、具体的に何をどのように伝えると良いかを解説します。

どの連絡手段でも「4つの要素」で構成しよう

メール、電話のどちらで内定辞退の連絡をする場合でも、「お礼」+「辞退の意思と理由」+「お詫び」+「結び」の4つのポイントを押さえておくと安心です。内定に対するお礼を伝えた上で、辞退したい旨を続けます。そして、内定辞退を詫び、結びの言葉で締めます。
メールを送る場合は、件名を「内定辞退のご連絡/氏名」などにして、メールボックスの一覧からでも内容が分かり、見落とされないようにするのもポイントです。

辞退の理由は簡潔に伝えよう

内定を辞退する理由は、必ず添えなければならないわけではありませんが、採用担当者の多くは今後の採用活動の参考にするためや、社内関係者への報告のために、内定辞退の理由を確認したいと考えます。条件がマッチして、入社への期待が高まっている場合は、辞退を回避するために、理由を明らかにして交渉を検討するケースもあります。
こうしたことから、辞退の電話やメールにも、伝えられる範囲で理由を準備しておくと、やり取りがスムーズになるでしょう。

<辞退理由例>

「他社の内定を承諾することにした」

「改めてキャリアの選択肢を考え直すことにした」

「希望するキャリアに合致していなかった」

「現職に留まることにした」

「希望年収を下回っているため」「仕事内容に興味を持てない」という伝え方は、 ネガティブに受け取られてしまう可能性があります。「希望していた年収条件と合致しない部分があり」「仕事内容が、今回の転職で実現したいものと少しずれがあり」といった、柔らかい表現を意識すると良いでしょう。ただ、どうしても言いたくない理由がある場合は「申し訳ありませんが、お答えすることが難しいと感じております」と伝えるという方法もあります。

内定辞退メール例文と電話での伝え方

転職エージェントを経由せずに選考を受け、企業から直接内定通知を受け取った場合に内定を辞退する時の例文をご紹介します。

メールで伝える際の例文

件名:内定辞退のご連絡/氏名
本文:

〇〇〇株式会社 人事部
△△△様

大変お世話になっております。
内定のご連絡をいただきました〇〇です。

この度は、内定をいただき、誠にありがとうございました。
ご提示いただいた労働条件等も含めて慎重に検討した結果、
他社とのご縁をより強く感じたため、大変恐縮ではございますが、
内定を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。

内定までに何度も面接のお時間を割いていただいたにも関わらず、
このようなご連絡となってしまい誠に申し訳ございません。
また、本来であれば貴社へお伺いし、直接お詫びをするべきところではございますが、
メールでのご連絡になりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

△△△様をはじめ、面接でお世話になった皆様には心より感謝しております。
末筆ながら、貴社のますますの発展をお祈りしております。

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署名
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電話で伝える際の例文

自分「大変お世話になっております。私、〇日に内定の通知をいただきました〇〇〇〇と申します。人事部の□□様はご在席でしょうか?」

人事「はい、私が□□です」

自分「この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
大変申し上げにくいのですが、慎重に検討させていただいた結果、御社からの内定を辞退させていただきたく、ご連絡をいたしました」

人事「そうですか。差し支えなければ、辞退の理由を教えてもらえますか」

自分「はい。今後のキャリアについてじっくりと考え、現職に留まることに決めました。御社には大変魅力を感じていたため迷いましたが、ご期待に添えず大変申し訳ございません」

人事「○○さんにはぜひ入社いただきたいと考えていたので、非常に残念ですが、また機会がありましたらよろしくお願いします」

自分「ご理解いただきありがとうございます。本来であれば御社へ伺って、直接お詫びをするべきところですが、電話でのご連絡となり申し訳ございません。
この度は、□□様をはじめみなさまには大変お世話になりました。それでは失礼いたします」

内定辞退についてのQ&A

転職活動中の内定辞退について、よくある質問にお答えします。

Q.電話をかけて伝えるかどうかの判断基準は?

通常のビジネスシーンと同様、最近は内定辞退の連絡方法もメールが一般的になってきていますが、例えば次のような場合は電話を選択するのも一案です。

  • できるだけ早く内定辞退に関するやり取りを終えて、他のことに集中したい時。
  • 「選考中とても良くしてもらった」「今後も別のビジネスの場面でコミュニケーションが発生するかもしれない」などの理由から、直接自分の言葉でお礼やお詫びを伝えたい時。
  • 口頭によるコミュニケーションのスタイルが得意な人の場合。

Q.電話をかけても担当者が不在だったら?

内定辞退を電話で伝える場合も、通常のビジネスコミュニケーションと同じ対応で大丈夫です。担当者が在席する時間帯を聞いて後からかけ直す、電話口で概要を伝えて「折り返しがほしい」と依頼する、連絡手段をメールに切り替えるなど、状況に応じて選択しましょう。

Q.メールをしてもすぐに返信がない場合は?

メールは双方にとって便利である半面、見落とされてしまう可能性もゼロではありません。返信がなければ、翌営業日中には再度メールをして確認を依頼するか、採用担当者に直接電話をすると良いでしょう。企業側としても承諾の可否は早く知りたいと考えられるため、早めの確認が望ましいでしょう。

Q.内定辞退の理由を詳しく聞かれたら?

理由を深掘りされても答える義務はありませんが、自分自身が伝えても良いと考えるなら、できる範囲で回答しましょう。その際は、他社との優劣をつけるような言い方をせず、「希望と合致しない部分がある」「目指すキャリアの方向性と異なる印象を受けた」など、あくまでも自分との相性の問題として伝えることをお勧めします。また、細かな条件面などに触れると「では、こうすれば入社してくれますか?」と引き止めの交渉材料になる可能性もあるので、あまり具体的に伝える必要はないでしょう。

Q.内定辞退を引き止められたら?

自分が一度内定辞退を決心したのは、企業に対して何かしら懸念や、納得できない点があるからと考えられます。そのため、説得されて気持ちが揺れた場合も、その場で結論を出すことはお勧めできません。「少しお時間をいただけないでしょうか」と回答を保留して、冷静に考える時間を持ってから、最終判断をしたほうが良いでしょう。
辞退する気持ちが固まっているのなら、引き止められても同じ理由を繰り返し説明して、自身の決心の固さを伝えるようにすると良いでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

記事作成日:2022月03日01日
記事更新日:2023年02月24日
記事更新日:2025年07月02日 リクルートエージェント編集部

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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