転職マーケットトピックス　IT･通信系技術職（2011年1月号）編

2010年の転職市場を振り返る

●ネット分野の求人が活発。モバイルエンジニアの求人件数が伸びる
ネット関連企業の採用が活発で、特にSNSやモバイル向けサービスを展開する企業の積極採用が目立ちました。モバイルエンジニアの求人件数はこれまでにない伸びを見せ、各社で採り合いになるほどに。中には、入社意志を決めた人に転職準備金を出す企業もありました。
スマートフォン関連、ソーシャルアプリ関連の求人が増加したのも、2010年の特徴といえます。年の初めには「独学でスキルを習得した人でもOK」という求人が多数ありましたが、業界の急成長、経験者の増加に伴い、求めるレベルが高くなっていきました。

●アプリ分野では、夏頃から大手が採用を再開
アプリケーション分野の求人市場は、2010年前半、不景気の影響で冷え込んでいました。しかし、後半には、大手ITコンサルティングファームやSIerが徐々に採用を再開し、明るい兆しが見えてきました。SIerがネット関連の案件を受注するケースが増え、Web関連経験者を求める求人も出てきました。

●インフラ分野では、ユーザー系SIerの求人が増加
インフラ分野では、2009年にはほとんど見られなかった「ユーザー系SIer」の求人が、2010年になって増えました。総合電機メーカー、ネットワークベンダー、大手SIer系列会社など、大手関連の求人も豊富でした。
秋頃からは、運用保守のみの経験で応募できる求人も見られるようになり、さまざまなポジションの人にチャンスが広がったといえます。

2011年、求人市場はどう動く？

●ソーシャルアプリ関連の採用がさらに活発に
昨年12月、グリーはiPhone/Android版「GREE」向けソーシャルアプリの開発に171社がパートナーとして参加すると発表しました。ゲーム会社をはじめ、出版社やコンテンツプロバイダーなどが参加を表明するなど、幅広い業種がソーシャルアプリの開発に乗り出しています。
スマートフォン向けアプリ、ソーシャルアプリの開発経験を持つエンジニアのニーズはさらに上昇。趣味で開発していたレベルの方にもチャンスがありそうです。
また、ディレクター、プロデューサーの求人では、収益化した実績を持つ方が求められるでしょう。

●アプリ分野では、採用控えの反動で求人が出てくる可能性
大手企業ガ大規模な採用活動を行う可能性は低いものの、求人はじわじわと回復してくるでしょう。各企業、新規案件の受注が堅調なこともあり、これまで採用を控えてギリギリの人員でやりくりしていたSIerが採用を開始すると考えられます。
SNS、スマートフォン関連の開発をSIerが受託する構図もできつつあり、Webサービス関連の求人が増える見込み。2次請け企業などを中心に、プログラミングから基本設計、リーダーまで担える人のニーズが高まるでしょう。

●インフラ分野では仮想化製品経験者のニーズが高まる
クラウド、仮想化案件が増えるにしたがって、VMwareなど仮想化製品経験者のニーズがさらに高まりそうです。これまでは大手企業が中心に募集していましたが、中堅SIerからも求人が出てきており、裾野が広がりそうです。

●Webマーケティング経験者の求人も増加へ
ECサイトのディレクター、プロデューサーなどは今後もニーズが伸びる見込み。ただし、サイトへの集客力、数値分析力がこれまで以上に求められるようになるでしょう。

新規プロジェクトが動く時期に向け、選考に乗り遅れないように

IT業界では、3月末でプロジェクトが終了したり、外注との契約が切れるケースが多数。
新たな人員計画や配置転換が行われるので、このタイミングを逃さないよう、早めに動いてください。
「予算取りの都合上、年度内に採用計画を達成したい」「4月1日に入社してもらい、新卒入社者と一緒に研修を行いたい」などの理由から、1～3月に採用活動をスピードアップする企業もあります。選考が速く進むので、求人が出たらすぐに応募すること、面接対策を早め早めに進めておくことで成功率が高まります。

普段は見られないポジションの求人が出てくる可能性も

冬のボーナス支給後に退職した人の欠員補充求人が、1月中旬に出てくることがあります。通年採用を行っていない企業・職種・ポジションの求人が見つかる可能性もありますので、見逃さないように継続して情報収集をしてください。

新年度を迎えた外資系企業の採用計画に注目

12月決算の外資系企業では、新年度の採用計画が固まり、早ければ1月から求人が出てきます。外資系企業への転職を希望している方、視野に入れている方は、新規求人の動向に注目してください。