出会いをつくり、決断に寄り添う。一人ひとりの成婚を、組織の力で支えていく。

結婚相手を探す手段は、かつてないほど増えました。それでも、出会いがそのまま結婚につながるとは限りません。相手との関係をどう進めるのか。自分はどんな人生を望んでいるのか。結婚までの道のりには、誰かと話すことで初めて整理できる迷いがあります。全国54店舗で結婚相談所を運営する株式会社ZWEI(以下、ツヴァイ)は、2020年のIBJグループ入りを機に、成婚までの関わりをさらに深めてきました。結婚を望む人が、その希望を諦めなくてよい社会へ。そのために、結婚相談所は何ができるのか。代表取締役社長の橋爪みずほ氏に聞きました。

株式会社ZWEI/代表取締役社長

橋爪 みずほ

結婚相談所を、もっと身近な選択肢に

── まず、ツヴァイの事業とサービスについて教えてください。

全国54店舗で、結婚相談所「ツヴァイ」を運営しています。結婚を希望する方に出会いの機会を提供し、活動が始まった後は成婚までお手伝いします。お相手の探し方は、希望条件や価値観による検索、AIマッチング、担当者からの紹介などさまざま。ご自身のペースで探したい方もいれば、担当者と相談しながら進みたい方もいらっしゃいますので、活動の仕方を一つに限定していません。

── マッチングアプリをはじめ、出会いの選択肢は増えています。そうしたなかで、結婚相談所を利用する意味はどこにあるのでしょうか。

マッチングアプリとの大きな違いは、出会った後も担当者に相談できることだと思います。会員の方には独身証明書などをご提出いただくため、結婚への意思がある身元のたしかな方と安心して出会える。さらに、相手にどこまで踏み込んでよいのか、交際を続けるべきかと迷ったときには、担当者が間に入ります。出会いをつくることと、その関係をどう進めるか一緒に考えること。その両方が結婚相談所の役割だと考えています。

── 担当者は、お客様とどのようなやり取りをするのでしょうか。

たとえば、まずは最初に挙げた希望条件が、本当に望む結婚生活と結びついているのかを一緒に考えます。なぜその条件を大切にしているのか。結婚後はどのように暮らしたいのか。問いを重ねるうちに、お相手に求めるものが明確になり、探し方が変わることもあります。答えを決めるのは、あくまでお客様です。担当者は、納得できる選択にたどり着くまで対話を続ける。こうした関わりが、私たちが大切にしている「決断支援」です。

── ツヴァイでは、婚活の成果をどのように捉えていますか。

第一に目指すのは、もちろん成婚です。ただ、成婚という結果だけを追えばよいとは考えていません。活動を通じてご自身の希望や価値観を整理し、納得して結婚を決断していただくことが大切です。お客様自身が納得できる選択にたどり着けるよう支援する。その先に成婚があると考えています。

また、活動を通じて自分自身への理解が深まったり、これからの人生について考え直すきっかけになったりすることもあります。成婚を目指すことが大前提ではありますが、そうした変化も婚活を通じて得られる大切なものだと思っています。

── 婚姻数の減少や少子化が社会課題となるなかで、結婚相談所はどのような役割を果たせると考えていますか。

結婚を望む方が、出会いのきっかけがないために諦めなくてよい社会にしたいと考えています。婚姻数の減少や少子化は、一つの企業だけで解決できる問題ではありません。それでも、目の前のお客様の話を聞き、出会いをつくり、成婚まで伴走する。その積み重ねによって、結婚したい方が結婚できる可能性は高められます。今はまだ、結婚相談所には、婚活がうまくいかなくなった方が最後に訪れる場所という印象があります。結婚を考えたときに、もっと自然に選択肢に入る社会インフラのような存在にしていきたいですね。

出会いの先に、より深く関わる体制へ

── 2020年にIBJグループへ入りました。サービスにはどのような変化がありましたか。

それまでのサービスの中心は、データマッチングによる出会いの提供でした。もちろん活動中のご相談にも対応していましたが、その後はお客様ご本人に委ねる部分も多かったのです。IBJグループ入り後は、「成婚」をより強く社内の共通目標に掲げるようになりました。交際中の悩みや、結婚の意思を固める過程にも継続して関わっていきます。ツヴァイが培ってきた店舗網やブランドに、IBJグループの会員基盤と成婚ノウハウが加わり、出会いを提供するだけでなく、成婚まで深く関わるサービスへと重心が変わりました。

── その変化に伴い、現場の体制はどのように変わったのでしょうか。

新設したのが、入会後の伴走を担う成婚カウンセラーです。以前は、入会のご案内とその後のフォローを同じ担当者が行っていました。現在は、婚活アドバイザーが入会前の悩みや希望を伺い、成婚カウンセラーがお相手探しからお見合い、交際、成婚までを担当します。活動中のお客様にきちんと時間を使うには、入会後の伴走を独立した仕事として置く必要があると判断しました。

── 成婚へのコミットを強めたことで、担当者には何が求められるようになりましたか。

お客様の活動が思うように進まないとき、ただ励ますだけでは状況が変わらないことがあります。ときには、ご自身では気づきにくいことや、少し違う視点から考えてみることを率直にお伝えすることも必要です。ただ、背中を押したつもりの言葉が、厳しく受け取られることもあります。何を、いつ、どのように伝えるのか。経験を積んでも迷うことは多いですね。

結婚は、お客様ご自身が決めるものです。私たちは成婚という目標に向かって全力で支援しますが、代わりに決めることはできません。結果を急いで、お客様の気持ちを置き去りにしないこと。この距離感は、常に意識しています。

個人の経験を、組織の力に変える

── 全国の店舗で同じサービスを提供するうえで、どのような課題がありますか。

全国の店舗でサービスを提供するなかで見えてきた課題の一つが、お客様の本音を引き出す問いや、活動が止まったときの声のかけ方を、多くの担当者がそれぞれ個別のノウハウとして持っていることでした。ところが、その工夫は本人や店舗のなかにとどまり、外からは見えにくい。経験豊富な担当者の勘や人柄は大きな強みです。でも、その人にしかできない仕事になれば、お客様が受ける支援の質は巡り合わせに左右されてしまいます。全国の現場にある工夫をほかの社員も使える形にし、どの店舗、どの担当者でも一定水準以上の支援を提供できるようにしていくことに力を入れています。

── 担当者個人が持つノウハウや経験を、どのように共有していくのでしょうか。

店舗や担当者の事例を集め、研修や日々の情報共有に活用しています。ある店舗でうまくいった声のかけ方を別の担当者が試し、そこで分かったことをまた社内へフィードバックする。もちろん、お客様によって状況は違いますから、言葉をそのまま真似ても同じ結果にはなりません。「何と言ったか」と同じくらい、「なぜそう言ったか」まで共有することは大切にしています。

── 育成の仕組みについても教えてください。

JLCA(日本ライフデザインカウンセラー協会)の認定資格も活用し、婚活支援に必要な知識を体系的に学べるようにしています。受け答えの練習にはAIも活用しています。さまざまな相談者を想定し、どんな問いを返すか、どの言葉を選ぶかを何度でも試せるからです。実際のお客様を相手に、失敗を前提とした練習はできません。AIは、試行錯誤するための相手としては最適なのです。

── 知識や対応の型をそろえる一方で、担当者の個性はどう生かしていますか。

担当者ごとに品質がバラつかないことは前提として、全員が同じ伴走やアドバイスのしかたをする必要はないと考えています。じっくり話を聞ける人、状況を整理して次の行動を提案できる人など、それぞれに強みがありますから、その持ち味は生かしていただけるように、育成を行います。ただし、自分の成功体験や結婚観をお客様に画一的に当てはめないことは共通の前提です。結婚経験の有無に関わらず、ご自身のさまざまな人生経験は“正解”を教えるためではなく、お客様の気持ちを想像するために使ってほしいですね。

── 担当者が対応に迷ったときは、どのようにフォローしていますか。

良かれと思って伝えた言葉がお客様に届かないと、担当者自身も悩みます。一人で悩み続けていても、なかなか考えが前に進まないことはあります。だからこそ、一人で抱え込まず、同僚や上司に相談できる環境づくりを大切にしています。一人のお客様を一人の担当者だけで支えるのではなく、必要なときには周囲の知見も借りながら、組織としてよりよい支援を考える。その文化をつくっていきたいと思っています。別の担当者から「こう接してみたら」と言われて、初めて見えてくることもありますから。

人の幸せに、本気で向き合える仕事

── 婚活アドバイザーや成婚カウンセラーには、どのような経験が生かせますか。

営業や接客、販売など、人と直接向き合ってきた経験は生かしていただけると思います。婚活アドバイザーに必要なのは、相談に来られた背景や希望をくみ取り、その方にとって婚活を始めることがどんな意味を持つのかを一緒に整理し、最初の一歩を後押しする提案力です。一方、成婚カウンセラーは、活動中の気持ちの揺れに付き合いながら、必要なときには耳の痛いことも伝えます。説明が上手なこと以上に、相手の反応を見て言葉を選べるか。接客で培った観察力が生きる仕事です。

── 実際に現場で活躍しているのは、どのような方ですか。

お客様の幸せを自分のことのように喜び、必要なことを誠実に伝えられる方ですね。優しさだけで務まる仕事ではありません。自分の考えに固執せず、分からないときに周囲を頼れることも大切です。

── この仕事を続けることで、身につくものはありますか。

相手の言葉の背景を考え、必要なことを伝える力は磨かれていくと思います。お客様によって状況も価値観も異なるので、過去の成功例をそのまま当てはめることはできません。毎回考え、周囲にも相談する。その繰り返しのなかで、人を見る視点が増えていくのではないでしょうか。現場で経験を重ねた後は、後輩の育成や店舗運営に関わる道もあります。

── 最後に、ツヴァイで働くことに関心を持つ方へメッセージをお願いします。

人と向き合ってきた経験を、誰かの人生のために使いたい方と、ぜひ働きたいと思っています。お客様の活動がうまく進まず、どんな言葉をかけるべきか悩むこともある。決して簡単な仕事ではありません。それでも、お客様が一歩を踏み出す瞬間や、成婚を決める瞬間に立ち会える。そして、その一人ひとりへの支援をもっと磨き、結婚相談所をより身近な選択肢にしていくことも、これから私たちが挑戦したいことです。その仕事を一緒につくっていける方に来ていただけたらうれしいですね。

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