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空白期間(ブランク)があると転職に不利?面接でどう伝えればいい?

退職後、次の仕事が決まらず、失業期間(=空白期間)が長引いてしまったら……。

職歴に空白期間がある人を企業はどう見ているのか、どんな理由をどう伝えればマイナス印象をカバーできるのか──組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏がアドバイスします。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

空白期間があると転職に不利になる?

まず、前の会社を辞めてから仕事をしていない「空白期間」がある応募者を、求人企業はどう評価するのでしょうか。

業界や企業にもよりますが、数カ月程度の空白期間であっても書類選考で不採用とするケースも見られます。空白期間がある人に対し、企業が懸念しているのは主に次のようなポイントです。

「働く意欲が低いのではないか」
「長期の休職でビジネス感覚が鈍り、入社後すぐ働く環境になじめないのではないか」
「計画性がないのではないか」

また、不景気で求人が少ない時期であれば、転職活動に苦戦して空白期間が長引いてしまうのもやむを得ないと捉えられますが、採用難で「売り手市場」となっている今、なかなか転職先が決まらない人=経験スキルが十分ではない人……というマイナス印象を持たれてしまいます。

企業が懸念を持つとされる空白期間の目安は「3カ月」。これは、転職活動を開始してから入社に至るまでの平均期間です。会社を辞めて転職活動に集中できる環境である中で、3カ月経っても転職先が決まっていないという状況に対し、上記のような懸念を企業が抱く可能性も出てきます。

空白期間を経て転職に成功した3つのケース

【CASE1】退職後に転職活動し、空白期間が8カ月になったAさん(20代)

Aさんは大学卒業後、大手金融機関に就職。しかし風土になじめず、3年目に転職活動を開始。「せっかくなら学生時代の就活で入社が叶わなかった憧れの企業に再チャレンジしたい」と、大手総合商社や人気の大手メーカーなどの「第二新卒」枠の募集に、業界や職種を問わず応募しました。しかし、内定を得られないまま8ヵ月が経過し、転職エージェントに相談に訪れたのです。

キャリアアドバイザーは、企業ブランドではなく、やりたいことや身に付けたいスキルを軸に企業を選ぶことを勧め、Aさんとの対話を通じて志向を整理。Aさんは、「変化のスピードが速い成長業界で働きたい」という軸を定めました。

その志向に合う企業に応募を開始。すると、ある人事担当者から転職エージェントに対し、「学歴も高く、大手金融機関での経験もあるのに、なぜ8ヵ月も空白があるのか。どういう事情があったのか知りたい」というフィードバックが寄せられました。

そこでAさんに、これまでの転職活動の経緯、不採用続きの現実に直面して自分の甘さに気付いたこと、いろいろな企業を検討した結果、やりたいことがようやく見つけられたこと……など、自分を客観的に振り返って反省するとともに、今後の決意をつづった文章を書いていただきました。

それを職務経歴書に添えたところ、書類選考を通過するようになり、整理した志向の軸に合致した大手グループのネット広告企業に採用されました。

Aさんのように、「キャリア」より「ポテンシャル」が重視される20代では、自己反省し、今後どう成長していきたいのか、何を目指すのかをしっかり考えて伝えることで、空白期間のハンデをカバーすることができます

【CASE2】資格の勉強に取り組み、空白期間が2年に及んだBさん(20代)

Bさんは大学卒業後、保険会社に営業として就職したものの、「営業は自分に合わない」と判断。「公認会計士」の資格取得にチャレンジするため、会社を辞めて勉強を始めました。しかし、2年も経つと、試験のハードルの高さを実感し、経済的にも厳しくなってきたことから、再就職を決意したのです。

公認会計士資格は取得できなかったものの、公認会計士の短答試験までは合格し、簿記2級も取得したBさん。その知識を活かせる求人にフォーカスし、事業会社の経理・財務職求人に応募しました。「2年間、どのような姿勢で学習に取り組んできたか」「知識を活かしつつ、経理・財務職としてどんなキャリアを積んでいきたいか」を整理し、面接で伝えた結果、人材企業の経理部門で採用されました。

このように、「資格の勉強」で空白期間ができた場合、学んだことを活かせる求人を狙うことで成功率は高まります。難関資格であれば、取得に至っていなくても、学んだ知識が評価されて採用される可能性があります。

ただし、「ダラダラと勉強していた」と思われてしまってはマイナス。目的意識を持ち、計画を立てて学習していたことを伝えられれば評価につながるでしょう。

また、前職の業界・職種経験と、資格の勉強で身に付けた知識を組み合わせて活かす手もあります。Bさんの場合であれば、「保険業界経験」と「会計知識」を掛け合わせた道――例えば「保険会社での経理」「保険会社での法人営業(会計知識を活かす)」「保険会社向け会計コンサル」などとしても、チャンスを得られた可能性があります。

【CASE3】親の介護で、空白期間が4年に及んだCさん(40代)

首都圏の複数の事業会社で法務職を務めてきたCさん(40代)。父親の介護をするために退職し、地方にある実家に戻りました。そして4年後、父親が他界したのを機に首都圏での再就職を目指し、活動を開始しました。

4年という空白期間は大きなハンデとなり、書類選考で不採用になること数十社。しかし、あきらめることなく、とにかく数多く応募するうちに、ネットサービス会社の法務職として転職を実現しました。

専門職の場合は、空白期間が長引くと知識・スキルが陳腐化することが懸念され、不利となります。そこでCさんは、4年の間にも法律改正などの動向にアンテナを張り、最新情報の収集を続けていたことをアピール。また、実務面で同世代に後れを取った分、これからどのようにキャッチアップしていくつもりかを語りました。その姿勢が評価され、採用に至ったのです。

「遊んでいた?」と思われそうな空白期間、面接でどう伝える?

「好きなことをして過ごしているうちに空白期間が長引いた」という人もいることでしょう。そのまま伝えたのでは、「遊んでいただけ?」と、やはりマイナス印象につながります。

そこで、1年以上の空白期間を経て転職した人が、面接でどんな伝え方をしたかの一例をご紹介します。

「26歳で会社を辞め、2年間海外を放浪していた。『30歳までには就職して社会復帰することを前提とし、英語を学びつつ、今しかできないことを経験しようと思った』と、決して無鉄砲ではなく計画性があったことを伝えた」
「流通企業で店舗企画の仕事をしていたが、事業撤退により退職。しばらくはのんびりしてリフレッシュした後、転職活動を開始した。失業中、買い物や食事などさまざまな店を見て歩き、トレンドを観察したことを面接で伝えた。 その中で浮かんだアイデアがあることを外食企業の面接で話すと、新しい店づくりの話題で盛り上がり、1年間のブランクを気にされることはなかった」

──後者のようなケースでは、どんな行動をとっていたか、より具体的に伝えるといいでしょう。例えば、「失業中は、月に〇件の店舗をチェックすると決めて行動し、情報をまとめてブログやnoteで発信していた」「好印象を抱いた店があったら、ホームページや経営者インタビュー記事などを読んで、戦略や運営方針を確認した」など。

──彼らに共通するのは、「失業期間を有意義に過ごした」ということを伝えている点。絶対にNGなのは「失業後、何となく時間が過ぎてしまった」というパターンです。ビジネスが進むスピードが速い昨今では、企業は、上司から都度指示をされなくても自ら行動を起こせる人を求めています。空白期間をどう過ごしたにしても、自分自身の強い意志で主体的に行動していた様子が見えれば、プラス評価につながる可能性があります。

ですから、空白期間中に、何かに力を入れて取り組んだこと、それを通じて自分がどう成長したのか、自分にとってどうプラスになったのかを伝えられるといいでしょう。

また、「前職の経験・身に付けたスキル」「今後のキャリアビジョン」をしっかり伝えれば、空白期間のマイナス印象をカバーすることは可能です。

それらをしっかり整理し、言語化するためにも、転職エージェントのサポートを活用してみてはいかがでしょうか。

リクルートエージェントでは、応募した企業の面接で質問されることなどの傾向や、どんな候補者が評価されるかなどの情報をお伝えすることができます。面接対策にお悩みの方はぜひ相談に来てみてください。