
学校を中退した経験がある場合、中退と履歴書に書くべきかどうか迷う方もいるかと思います。この記事では、中退した場合の学歴欄の書き方や面接での伝え方などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
中退した事実は履歴書に書きましょう
中退したという事実があるならば、履歴書には記載すべきです。その理由について解説します。
履歴書に中退を書くべき理由とは
履歴書には事実を記載するのが大前提です。気が進まないと思う方もいると思いますが、学校を中退した事実があるならば学歴欄に必ず書きましょう。
履歴書への中退の記載がポジティブに働くケース
自分なりに考えた末、前向きな理由で中退を選んだのであれば、好感を持たれる可能性もあります。
例えば、「学業以外に目指したい道ができた」「早く社会に出て働きスキルを身につけたいと思った」などが理由の場合は、ポジティブに働くケースも考えられます。
そして、中途採用の場合は学歴だけでなく「職務経歴」も確認される内容です。学校を中退したことは事実として伝え、社会人として経験・スキルを積んできた経験をアピールすることを意識しましょう。
履歴書に中退を書かないとどうなるのか
履歴書に中退した事実を書かない場合、応募企業に疑問に思われるだけでなく、次のようなリスクが起こり得ます。
学歴詐称となるリスクがある
実際には中退したにもかかわらず「卒業」と記載するのは学歴詐称となります。内定が取り消しになる可能性や、入社後でも場合によっては懲戒解雇になるケースもあります。
大学を中退したのに高校卒業までの記載に留めることも学歴詐称にあたるので注意しましょう。
証明書の提出を求められて発覚する可能性がある
内定後、入社前に卒業証明書の提出を求める企業もあります。その段階で学歴詐称が発覚し、内定取り消しになる可能性があります。
内定取り消しまでには至らなかったとしても、入社前から勤務先、および配属先の上司などにネガティブな印象を与えてしまうでしょう。
面接中や入社後に中退が判明して問題になる恐れがある
中退した事実を隠して面接に臨むと、在学中のエピソードなどを聞かれたときに十分な受け答えができない可能性があります。学歴のブランク期間について指摘される可能性も高いでしょう。
転職エージェントを活用している場合は、転職エージェントからも学歴詐称の懸念を持たれ、サービスを利用できなくなるケースも考えられます。
入社後に中退が判明した場合、前述のように懲戒解雇になるリスクがあるほか、懲戒解雇までには至らなくても社内での信用が低下し、仕事がしづらくなる可能性もあります。
履歴書への中退の正しい書き方
履歴書への中退の正しい書き方について解説します。
中退を履歴書に書く際の基本的なルール
学校名、学部・学科名を入学した年月から記載し、中退した年月とともに「中途退学」と記載します。「中退」と略さず、中途退学と明記しましょう。
高校中退の履歴書の書き方の例
中学卒業から記載し、高校入学の次の行に、高校名の後に1マス開けて「中途退学」と記載しましょう。学校名も省略せず、正式名称を記載しましょう。
入学・卒業・中退の「年月」も正確に記すことが重要です。

大学中退の履歴書の書き方の例
大学入学の次の行に、大学名、学部・学科名の後に1マス開けて「中途退学」と記載しましょう。学校名だけでなく学部・学科も省略せず、正式名称を記載することが大切です。入学・卒業・中退の「年月」も調べたうえで正確に記しましょう。
なお、大学中退の場合は、中学卒業は省略し、高校入学から記載する形でも問題ないとされています。

中退の理由も履歴書に記載すべき?
中退の理由を書くかどうかはケースバイケースです。以下の項目を参考に、記載するかどうか考えましょう。
中退の理由を書いたほうが良いケース・書かなくても良いケース
「起業した」「やりたい仕事が明確になった」「海外留学した」など、目的や理由が明確である場合は、中退の理由を書いたほうが良いでしょう。中退後に積んだ経験が応募企業の仕事に合致している場合は、アピールポイントにもなり得ます。
また、中退した理由を伝えたい場合は書いておくという方法もあります。
一方、ネガティブに伝わる可能性や誤解を招きそうなものは、敢えて書かなくても良いと考えられます。
例えば、「人間関係の悩みやトラブル」「学校で学ぶ意味を感じられなくなった」などの場合は、面接の場で直接説明したほうが理解を得られやすいでしょう。
履歴書への中退理由の書き方
「中途退学」の後に、カッコ書きで理由を記載する方法があります。理由が一言で収まらない場合は、改行したり、次の行に記載したりするといいでしょう。

履歴書に書いた「中退」を面接でポジティブに伝える方法
面接では中退理由を聞かれることもありますので、次のポイントを押さえつつ準備をしておくと良いでしょう。
面接で「中退理由」を聞かれたときの採用担当者の本音を知ろう
採用担当者は中退理由を聞くことで、応募者のこれまでの人生の歩みや経験、考え方などを知りたいと考えているでしょう。
明確な理由や目的があれば、そこから個性や持ち味、キャリア観がつかめるでしょう。自社にとって有益な経験を積んでいると判断できれば、評価が上がることも考えられます。
ただし、「何かネガティブな側面があるのでは?」「継続力や協調性に欠けるのでは?」などと懸念を持つ採用担当者もいるかもしれません。次に説明する「コツ」を踏まえ、前向きに伝えるといいでしょう。
中退を面接でポジティブに伝えるためのコツ
中退理由を伝える際には、事実を端的に伝えるのがポイントです。中退を選んだ理由や目的、その後の歩みで得たものを、シンプルに伝えましょう。中退を経験したことで今の自分にどうプラスになったのか、どのような成長があったのかを軸に、考えをまとめておくことをおすすめします。
ただし、あまり長々と説明すると、言い訳のように聞こえる可能性もあるので注意しましょう。
中退後に積んだ経験の中で、応募企業にマッチするものがあれば、志望動機や自己PRとして活用するといいでしょう。
中退したという事実を必要以上にネガティブに捉える方もいますが、決して「中退=マイナスイメージ」ではありません。中退したからこそ得られたものに目を向け、応募企業にどれだけ貢献できるかということを考えたうえで、自信を持って自分をアピールしましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2022年10月25日
記事更新日:2025年06月19日 リクルートエージェント編集部
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。