
応募した企業から書類選考通過の通知メールが届いたら、どのように対応すればいいのでしょうか。返信が必要なケースと不要なケース、返信のマナー、好印象を与える書き方や注意点について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。返信内容別のメール例文もご紹介しますので、参考にしてみてください。
書類選考通過メールには返信をするべき?
書類選考通過を通知するメールを受け取ったら、基本的には返信するべきです。ただし、返信が不要な場合もあります。以下を参考に判断してください。
書類選考通過メールに返信が必要なケース
多くの場合、書類選考を通過した旨を伝えるとともに、面接の案内が記載されていることが多いでしょう。面接日程の候補日が提示されていたり、面接日程の希望を問われていたりする場合、返信が必要となります。
書類選考通過メールに返信が不要なケース
返信が不要なケースとしては以下のパターンが挙げられます。
- 「返信不要」と記載されている
- 送信専用アドレスから送られている
選考通過を伝える文章に続き、「1次面接に関するご案内は別途お送りしますので、本メールへの返信は不要です」などの記載がある場合は、返信しなくてもいいでしょう。
また、書類選考の量が多い大企業などでは、書類選考通過者へATS(採用管理システム)の送信専用アドレスからメールが送信されるケースもあります。応募者が通知メールを受け取ったら、そのメール内に記載されているURLにアクセスし、面接の日程調整を行ったり試験などを受けたりします。
このような場合も、「このメールは送信専用のため返信は不要」「このメールに返信しても回答できない」などの記載があり、返信は不要です。
書類選考通過メールの返信マナー
書類選考通過メールに返信する際に、押さえておきたい基本マナーをご紹介します。
メールの返信はなるべく早くする
書類選考通過メールを受け取ったら、なるべく早く返信しましょう。可能であれば24時間以内を目安に返信を心がけるといいでしょう。
メールにて面接日程の調整を行う場合、返信が遅れると、自身の都合のよい候補日がすでに埋まっている可能性があります。また、複数の応募者がいた場合、面接日程の調整に関する連絡が遅れると、その間に他の応募者に内定が出ることも考えられます。
面接日程についてすぐに回答できない場合は、「現職の都合により、面接にお伺いできる日程がわかるのが○月○日以降となります」「○日までにご連絡いたします」など、詳細な返信ができる目安を記載して返信しておきましょう。
件名は「Re:」のままにする
メールに返信する際、件名は変えず、「Re:」を付けたまま返信します。企業の採用担当者がメールを受信した際、どの案件の返信なのかがすぐにわかるようにするためです。受け取ったメールの本文も残したまま返信しましょう。
本文は「宛先・挨拶・自分の名前・用件・締め・署名」
メール本文の構成は、通常のビジネスメールと同様です。基本的に、宛先→挨拶→自分の名前→伝えたい用件→締めの挨拶→署名の順番に構成します。
宛先は「企業名・部署名・担当者名」
返信メールの「宛先」には、企業名・所属部署名・担当者の氏名を記載します。部署名や担当者名がわからない場合は、「採用ご担当者様」と記しましょう。
挨拶・用件は簡潔にわかりやすく書く
ビジネスメールの挨拶は、「お世話になっております」が一般的ですが、この場合は「貴社の求人に応募しました○○と申します」「面接のご案内をいただいた○○です」などと名乗ると、相手がすぐに把握しやすいでしょう。なお、「△△社の○○です」など、在籍企業名を伝える必要はありません。
用件は簡潔に伝えましょう。丁寧さを心がけるあまり、回りくどい印象にならないようにしたいものです。
なお、志望動機などを長々と書く人も見受けられます。場合によっては採用担当者に響くこともありますが、簡潔にまとめるのが望ましいでしょう。
好印象を得るポイント・注意点
返信メールを書くにあたり、好印象を持ってもらいやすいポイントと注意したいポイントをお伝えします。
応募先の企業名・部署名・担当者名は正式名称で書く
宛先を記載する際、企業名・部署名は正式名称を記載します。「株式会社」などの法人格は、(株)などと略さずに書きましょう。社名の前と後、どちらにつくのかも確認してください(株式会社○○/○○株式会社)。
部署名も省略せず、担当者名はフルネームで記載すると丁寧な印象となります。
選考と通過のお礼を述べる
選考と通過に対し、「誠にありがとうございます」など、感謝の言葉も述べましょう。基本的なビジネスマナーやコミュニケーション力を備えている印象を持たれるでしょう。
「御社」ではなく「貴社」と記載する
「御社」と「貴社」は、いずれも相手企業への敬意を示す丁寧語ですが、話し言葉の場合は「御社」、書き言葉の場合は「貴社」を使用します。メールの文面では「貴社」と記載しましょう。
「了解しました」ではなく「承知しました」と記載する
敬意を示す相手に対して承諾の意を伝える場合には、「了解しました」ではなく「承知しました」を使います。
「了解しました」は丁寧語ではありますが、尊敬語ではありません。同僚や部下に使うことは問題ありませんが、応募企業に対して使うと失礼にあたるため、注意が必要です。
「致します」ではなく「いたします」と記載する
締めの挨拶は、「よろしくお願い致します」ではなく「よろしくお願いいたします」と記載しましょう。
「致します」とは動詞の用法であり、「そのことが元で、よくない結果を引き起こす」という意味を含んでいます。一方、「いたします」は、補助動詞「する」の謙譲語・丁寧語です。応募企業へのメールではひらがなで「いたします」と記載するのが適切です。
書類選考通過メールの例文
書類選考通過メールに返信する際の例文を、伝える内容別にご紹介します。
提示された面接日程を回答する
株式会社○○
人事部 ○○ ○○(フルネーム)様
お世話になっております。
貴社の求人に応募しました○○ ○○(フルネーム)と申します。
この度は、書類選考通過のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
ご提示いただきました面接日程の中から、下記日時にお伺いしたいと存じます。
○月○日(○)○時~
ご多忙の折、面接日程をご調整いただき、ありがとうございます。
貴重なお時間を頂戴することとなりますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
=======================
氏名
メールアドレス
携帯電話番号
=======================
提示された面接日程の変更を依頼する
株式会社○○
人事部 ○○ ○○(フルネーム)様
お世話になっております。
貴社の求人に応募しました○○ ○○(フルネーム)と申します。
この度は、書類選考通過のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
大変申し訳ございませんが、ご提示いただいた面接日程での調整が難しく、
再度ご調整をお願いできますでしょうか。
代わりとなる日程候補をお知らせいたします。
こちらでご検討いただければ幸いです。
【1】○月○日(○) ○時開始~○時終了
【2】○月○日(○) ○時開始~○時終了
【3】○月○日(○) ○時開始~○時終了
ご多忙の折、大変恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
=======================
氏名
メールアドレス
携帯電話番号
=======================
面接希望日程を聞かれ、候補日程を提示する
株式会社○○
人事部 ○○ ○○(フルネーム)様
お世話になっております。
貴社の求人に応募しました○○ ○○(フルネーム)と申します。
この度は、書類選考通過のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
面接の希望日程をお知らせいたします。
下記日程でご調整いただけますと幸いです。
【1】○月○日(○) ○時開始~○時終了
【2】○月○日(○) ○時開始~○時終了
【3】○月○日(○) ○時開始~○時終了
ご多忙の折、大変恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
=======================
氏名
メールアドレス
携帯電話番号
=======================
選考を辞退する
株式会社○○
人事部 ○○ ○○(フルネーム)様
お世話になっております。
貴社の求人に応募しました○○ ○○(フルネーム)と申します。
この度は、書類選考通過のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
大変恐れ入りますが、今回の面接を辞退させていただきたいと存じます。
自身の目指すキャリアを改めて考えた結果、貴社の方向性とは異なると考えました。
選考に貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、誠に申し訳ございません。
末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
=======================
氏名
メールアドレス
携帯電話番号
=======================
転職活動のメールで悩んだときは転職エージェントに相談してみよう
転職エージェントでは、求人の紹介だけでなく、転職活動全般についてサポートを受けることができます。応募企業とのやりとりも転職エージェントにサポートしてもらえるため、「これを伝えたいが、どのように切り出せばいいのだろうか」「こんなことを言って失礼にあたらないだろうか」などと悩む場面でも、転職エージェントに任せることができ、安心です。
忙しい中でもスムーズに転職活動を進めるために、転職エージェントのサービスを活用してはいかがでしょうか。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。