「模擬面接」とは、第三者に面接担当者になってもらい、本番さながらの面接を行うことです。模擬面接を効果的に行うと、面接で自分の魅力を伝えやすくなります。
組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏が、模擬面接のメリットや具体的なやり方、注意点などを解説します。
模擬面接とは
模擬面接とは、実際の面接の状況を入室から質疑応答、そして退出までの流れを体験することです。面接のリアルな雰囲気や、その場の緊張感を前もって体感できます。
自分自身で面接の練習を行っても、表現のクセや相手に与えている印象を正確に掴むのは難しいものです。しかし模擬面接では第三者に面接担当者になってもらうため、気になるポイントや改善点をその場でフィードバックしてもらうことが可能です。
このように自分では気づけなかった点を知ることができるのは、模擬面接のメリットと言えるでしょう。
「模擬面接」の効果
本番前の「模擬面接」には、さまざまなメリットがあります。実際の面接に臨むのと同じように、事前に話す内容を準備し、真剣に行うことが肝心です。
話の内容をブラッシュアップできる
自己紹介や志望動機など、面接で話す内容の準備は皆さん行っているかもしれません。しかし実際に声に出してみることで、相手に伝わっているか、スムーズに理解されるかどうかがより明確になります。
面接担当者役の人に感想を聞き、内容をブラッシュアップしていくことで、相手に伝わる効果的なアピールができるようになるでしょう。
話すスピード、声のトーン、表情などを確認できる
話の内容は十分なものでも「話し方」で伝わりにくくなってしまう場合もあります。話すスピードが速すぎないか、声のトーンは低すぎないかなどを確認して修正しましょう。目線が泳いでいないか、暗い表情になっていないか、イキイキと話せているかなど、話しているときの表情についても面接担当者役の人にチェックしてもらうことがおすすめです。
繰り返すことで面接に慣れ、緊張感が薄まる
面接はどうしても緊張してしまうものですが、模擬面接を経験しておけば面接の流れがつかめ、雰囲気にも慣れるので「ぶっつけ本番」で挑むよりも落ち着いて面接に臨むことができます。
模擬面接のやり方は?
模擬面接のやり方にはいくつかの方法があります。以下の中から自身に合った方法を選んで行ってみましょう。
転職エージェントの模擬面接サービスを活用する場合
転職エージェントの多くは、利用者に対して模擬面接サービスを行っています。面接ノウハウの蓄積があるうえ、過去の実績から応募企業の特徴も把握している可能性が高いため、より実践的な模擬面接を受けることが可能です。
なお、リクルートエージェントの模擬面接サービスは「転職支援のプロ」が担当します。話の内容が伝わっているか、論理性や一貫性があるかなど、プロならではの視点でチェックし、フィードバックを行っています。
面接時間には30分から1時間をかけ、面接開始の挨拶から終わりまでの一連の流れを本番さながらに行い改善ポイントを具体的にお伝えしています。質疑応答の内容がブラッシュアップされるうえ、実際の面接の雰囲気も体感できるので、ぜひ活用しましょう。
家族や友人などに面接担当者になってもらう
家族や友人など身内を相手に模擬面接を行う場合は、身内だからといって気を抜かず、本番だと思って真剣に取り組むことが大切です。
話すスピードや声のトーン、話し方、しぐさや表情などのチェックについては十分有効です。面接の雰囲気に慣れることもできるでしょう。
自分一人で行う
相手を立てず、一人で模擬面接を行うことも可能です。その際は、スマホなどで自分の動画を撮り、見返してみることをおすすめします。話し方やスピード、表情はどうか、話の内容に一貫性があるかなどを客観的に見て判断し、軌道修正するといいでしょう。
模擬面接を行った方がいい人
実際の面接に臨む前に模擬面接を行った方がいい人について解説します。模擬面接を効果的に行うと面接の通過可能性を高められるので、しっかりと取り組みましょう。
人前で話すときに緊張してしまう人
人前でのプレゼンテーションや、初対面の人と話す時は緊張するものです。しかし模擬面接を行うと、実際の面接の雰囲気を体験しながら、人前での会話の練習も重ねることができます。練習を重ねていくうちに段々とその場の空気に慣れ、自信をもって自分をアピールできるようになるでしょう。
初めて面接に挑む人
これまで面接経験のない方にとって、面接の雰囲気や流れは未知のものです。事前に質問対策やマナーを学んでいたとしても、本番でうまく対応するのは難しいでしょう。どれだけ準備をしていても、本番で力を発揮できなければ面接通過の可能性は下がってしまいます。
模擬面接によって面接の流れを事前に体感して少しでも不安を払拭することで、効果的なアピールにつなげることができるでしょう。
面接の選考に通過できない人
面接対策を行っているにも関わらず、なかなか選考に通過できない人にとっても模擬面接は有効です。選考に通過できない原因の中に、誤った面接対策や自分では気づいていない仕草などが考えられる場合もあります。
模擬面接を利用することで、客観的な視点でのフィードバックを得ることができ、自身の弱点や課題を明確に捉えることができます。第三者の評価を受けることで、改善点を見つけて通過の可能性を高めましょう。
模擬面接を行う際のチェックポイントと注意点
模擬面接を家族や友人などに協力を仰ぐ際は、主に以下の点をチェックしてもらうようお願いすることがおすすめです。
- 入室~退室までの基本的なマナーができているか
- イキイキとした表情で話せているか、目線にぶれはないか
- 話すスピードは適当か、早すぎたり遅すぎたりしていないか
- 話を論理的に組み立て、要点をついて話せているか
- 聞き手に伝わりやすい情報になっているか
- 質問に対する答えがズレていないか
- 話の内容に一貫性があるか
- 仕事に対する熱意、入社意欲が伝わってくるか
また、模擬面接を有意義なものにするために注意すべき点も解説します。
本番と同じ気持ちで取り組む
模擬面接の際には、練習という意識ではなく本番と同様の気持ちで取り組むことが鍵となります。練習という気持ちで臨んでしまうと気持ちのギャップが生じ、本番で緊張してしまう可能性があります。
特に家族や友人との模擬面接は、リラックスしすぎてしまうことがあるため注意が必要です。面接担当者の役を誰に行ってもらう場合でも、本番のように取り組むことで、模擬面接の効果を最大限に引き出せるでしょう。
フィードバックをもらう
模擬面接を行う際はフィードバックをもらうことがおすすめです。第三者から客観的な意見をもらうと、面接における自分自身の改善点に気づくことができます。単に模擬面接をするだけでは面接の一般的な流れの把握にとどまってしまいます。フィードバックをもらうことが面接通過の可能性を高めることにつながるかもしれません。
回答を暗記して挑まない
本番の面接と同様に回答は暗記しないで臨みましょう。回答を暗記してしまうと不自然な受け答えになったり、自分の言葉で気持ちを伝えづらくなってしまったりすることに加えて、回答を忘れてしまったときに頭が真っ白になってしまう恐れがあります。面接で回答を準備するときは暗記せずに、要点をまとめておく程度にしておくことをおすすめします。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。