
「転職へのモチベーションが上がらない」と感じたとき、どうすればいいのでしょうか。転職はしたいけれど、転職先がなかなか決まらない場合、「転職活動にもう疲れた」「やる気が出ない」「面倒になったから現職に残るべき?」などと悩む人もいるでしょう。転職活動のモチベーションが下がる理由やモチベーションを保つ方法、転職するか現職に残るかを判断するポイントなどについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
転職活動のモチベーションが下がる6つの理由
まずは、転職活動のモチベーションが下がる理由について解説します。思い当たることがないか考えてみましょう。
希望に合う転職先がなかなか見つからない
希望条件に合う転職先がなかなか見つからないために、転職活動を進めるモチベーションが下がるケースが見られます。全ての希望条件を満たす理想の転職先を探そうとしている場合に陥りがちなケースと言えるでしょう。
不採用通知が続き、自己肯定感が下がっている
転職先がなかなか決まらず、不採用通知が続くことでモチベーションが下がることもあるようです。書類選考や面接に落ち続ける中で、「自分を求めてくれる企業がない」と感じて自信を喪失したり、自分の市場価値に対するギャップを感じて自己肯定感が下がったりするケースも見られます。
他者と自分を比較して焦りや不安を感じている
転職を実現した人と自分を比較し、「なぜ自分は転職活動がうまくいかないのだろうか」「スキルに自信がない自分では転職できないのではないか」などと感じ、焦りや不安からモチベーションが低下するケースもあります。
転職活動が長引き、ストレスが溜まっている
転職活動が長引く中でストレスが溜まり、モチベーションを保てなくなることがあるようです。一般的に、転職活動の期間は「3カ月」が目安となっているため、それ以上の時間がかかることに不安や焦りを感じたり、自己肯定感が下がったりするケースも見られます。
また、退職後に転職活動を進めている場合は、定期収入がないことに焦りを感じたり、離職期間が長引くうちに「再就職は難しいのではないか」と不安を感じたりする傾向もあります。
在職中の転職活動のために、忙しくて疲れが溜まっている
在職中の転職活動の場合は、現職の業務と並行することが必要になるため、多忙な中で疲れが溜まり、モチベーションが低下することもあるでしょう。応募企業の選定や応募書類の作成、面接対策などの転職準備に時間を割くことで、十分な休息を取れず、肉体的な疲労を感じてやる気が失われるケースが挙げられます。
また、面接日程の調整がなかなかうまくいかず、現職の業務に追われるうちに「面倒になった」と感じて、転職への意欲が薄れていくケースもあります。
転職活動の相談ができる相手がいない
転職活動を進める中で疑問や不安、焦りなどを感じたとき、相談できる相手がいないためにモチベーションが下がるケースもあります。1人で悩みを抱え込むうちに「どうすれば転職をうまく進められるのかわからない」と感じて落ち込んだり、「何がしたいかわからなくなった」と感じて転職活動の方向性を見失ったりすることがあるようです。
転職活動のモチベーションを保つ方法
「転職活動に対するやる気が出ない」と感じたとき、モチベーションを保つために役立つ方法を紹介していきます。
転職活動の計画を見直す
転職活動のゴールが見えず、「辛い時期がいつまで続くのか」と感じれば、モチベーションは下がりやすくなるものでしょう。こうした場合は、転職したい時期から逆算し、転職活動を進める具体的な計画を立てることもおすすめです。ゴールとなる時期を設定することで、「ここまでは頑張って乗り越えよう」と思えるようになるかもしれません。
また、計画に基づいて行動していくことで、やるべきことが見え、転職活動に集中しやすくなるでしょう。
転職活動の相談ができる相手を見つける
転職活動の相談ができる相手を見つけることで、自分1人で悩みを抱え込まずに済むでしょう。家族やパートナー、友人など、信頼できる相手に悩みを話すことで、ストレスを軽減できたり、自分の考えを整理できたりする可能性もあります。また、転職経験がある友人・知人に話を聞くことで、転職活動をうまく進めるヒントが見つかるかもしれません。
転職後の自分の姿をイメージする
転職後の自分の姿をイメージすることで、モチベーションを高めやすくなります。「やりたい仕事ができる」「目指すキャリアを実現できる」「スキルを身につけ、専門性を高められる」「年収をアップして生活の質を高め、やりたいことにお金を使える」「ワーク・ライフ・バランスを改善し、プライベートを充実できる」など、具体的に思い描いてみることがポイントです。
転職先がなかなか決まらず、「面倒になった」と感じている場合でも、乗り越えた先にある自分の未来を思い描くことで、やる気を出せるようになるかもしれません。
希望条件を見直し、優先順位をつける
希望条件をあらためて整理した上で明確化することで、自分に合う転職先を見つけやすくなります。全ての希望を叶えられる転職先はそう簡単には見つからないものなので、希望条件に優先順位をつけることも大事です。優先順位の低い条件にこだわりすぎず、譲れない条件をベースに求人を探すことで、応募企業の幅が広がり、転職の可能性も広げていけるでしょう。
自己肯定感を高める考え方や行動をしてみる
採用選考は企業とのマッチング次第であり、選考に通過しなくても人格そのものを否定されているわけではありません。「自分に合う企業はどこかにある」と考え、落ち込みすぎずに転職活動を進めていくことでマッチする企業が見つかるかもしれません。
自分の市場価値に疑問を感じている場合は、過去の経験・スキルを整理してみることで自分の良い点が見つかりやすくなります。また、「自分で自分の良い点がわからなくなった」という場合は、周囲の人に自分の長所を聞いてみることで自己肯定感を高められるでしょう。
うまくいかない理由を分析し、改善に活かす
書類選考や面接に落ちたとき、「なぜ落ち続けるのかわからない」と悩み続ければ、自信を喪失してモチベーションも低下しやすくなるものです。うまくいかない理由を分析して改善に活かすほうが、選考通過の確率を高めていくことができるでしょう。
「うまくいかないことに疲れた」「どうすればいいのかわからない」「もう何がしたいのかもわからなくなった」と悩むより、「うまく進めるために、なぜ落ち続けるのかを考えて次に活かしてみよう」という前向きな考え方をすることで、転職活動への意欲も高めやすくなります。
適度な休息やリフレッシュを意識し、メリハリをつける
適度な休息やリフレッシュをすることは、肉体的な疲労やストレスの軽減につながり、辛い時期も乗り越えやすくなるかもしれません。例えば、「平日のこの時間帯は、転職準備に集中する」「この曜日は、友人と会ってリフレッシュする」「週末のどちらか1日は、休息や趣味の活動に使う」など、意識的にメリハリをつけることでメンタルを保ちやすくなるでしょう。
転職で後悔する人の割合は?「転職するか、現職に残るか」後悔しないための判断方法は?
株式会社リクルート(現・株式会社インディードリクルートパートナーズ)が行った調査によれば、転職後の総合満足度について「満足」と回答した方は20.6%、「どちらかというと満足」と回答した方は42.9%。合計すると63.5%の人が転職後の状況に満足していることがわかります。
反対に、「どちらかというと不満」は8.6%、「不満」は6.5%にとどまっていました。転職後に不満を感じている人が2割にも満たない一方、満足している人は6割超を占めているため、後悔している人の割合は少ないことが窺えます。
転職するか、現職に残るかを判断するポイント
「転職すべきか、現職に残るべきかをどう判断すればいいかわからない…」と悩む人もいるかもしれません。そのようなときは、転職先に希望する条件について、現職のままでも実現できるかどうかをまず検討してみましょう。
今の会社における異動の可能性や活用できそうな社内公募の制度を調べてみれば、やりたい仕事に就けたり、自分に合う職場環境で働けたりする方法が見つかるかもしれません。さらに、社内のキャリアパス、年収モデルなどを調べることで、転職せずに自分の希望を実現できるかどうかを判断しやすくなります。
また、転職活動で出会った会社と現職の会社に対し、満足できる点と不満な点をそれぞれ抽出して比較検討してみることで、「どちらのほうが納得できるか、自分に合うのか」を判断しやすくなるでしょう。
転職活動のモチベーションが下がったときは、転職エージェントに相談してみるのも一つの方法
「転職活動に対するやる気が、どうしても出ない」と感じたときは、転職支援のプロである転職エージェントに相談してみるのも一案です。プロの視点から客観的なアドバイスをもらい、さまざまなサポートを受けることは、転職活動を効率的に進めることや、採用の確率を高めることに役立つでしょう。
また、転職活動を進める中で、「何がしたいのかわからなくなった」という場合でも、転職エージェントに相談することで、自分の考えを整理できたり、自分に向いている仕事などのアドバイスをもらえたりするかもしれません。1人で悩まず、まずは転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。